少年の異世界戦記~ハイスクール D×D編~   作:クロイツヴァルト

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王の奪還と乱入と

 

 

 「リアスの様子はどうだ?」

 

 「はい、暗示と催眠は上手く働いている様で反抗する事無く大人しくしておられます。」

 

 「値は張ったが、上級悪魔にも通用するこの隷属の刻印は中々に使えるな。 これであの女は俺の物になる・・・忌々しいあの男の所為で一時はどうなるかと思ったが、この俺を舐めた事を今頃後悔している事だろうな!」

 

 オカルト研を襲撃して数日後、結婚会場の控室には何も映していない虚ろな瞳のリアスにタキシードを着崩したライザーにその腰ぎんちゃくの悪魔の三名がいた。

 

 「・・・しかし、宜しいのでしょうか。 魔王サーゼクス・ルシファー様は」

 

 「実家の事に今更あの方が口出しする事は出来まいて。 そろそろ時間だ・・・俺は先に行くが、後の事は手筈通りに」

 

 「はッ! あの男が来た所で衛兵たちには殺す様にと通達しております故に」

 

 「上出来だ。 この婚約が成功した暁には貴様には俺の眷族悪魔の女を貸してやる。」

 

 腰ぎんちゃくの悪魔にそう言ってライザーは炎と共に控室から姿を消す。

 

 ――――――――――――――――

 

 その頃、戒翔はと言うと

 

 「シグナム、ヴィータよく来てくれた。 礼を言う」

 

 「何を言う、我等は戒翔の為ならどこにだって向かうぞ。」

 

 「そうだぜ、水くせぇ事言ってんじゃねェよ。 それに戒翔を眷族にしたって言うそのリアスっていう女悪魔を助けに行くんだろ?」

 

 「そうだ。 あの男は汚い事ばかりしてくれる・・・シグナムとヴィータは悪いが露払いを頼みたい。 本丸は俺自ら叩き潰す。」

 

 「戒翔様、我々は?」

 

 「オカ研の皆の様子は?」

 

 「戒翔様の用意したあの治療用ポッドの御蔭で先日には完治していますが、本調子とまではいかないかと・・・」

 

 「・・・そうか。 アインス、お前はここで目を覚ますであろうオカ研の皆が飛び出さない様にしておいてほしい。 後の事は俺が片付ける。」

 

 「仰せのままに・・・我が主よ。」

 

 「さぁて、行くぞ。 誰に喧嘩を売ったのか心身共に刻み付けてやろうじゃないか!」

 

 「「おぉ!」」

 

 ―――――――――――――

 

 「皆様! この度は私、ライザー・フェニックスと、その妻となるリアス・グレモリーの婚約の席にお集まり頂き、誠にありがとうございます!」

 

 両手を広げ大仰に口上を述べるライザーの横には椅子に座ったリアスがいた。 そんなリアスを痛々しくサーゼクスとその妻ルフィアと女王のグレイフィアが見ており・・・檀上の下の中にはリアスの眷族の姿も見られた。 その中でライザーの話も終わりに近づく。

 

 「では! 改めてご紹介しましょう! 彼女こそ、我が最愛の」

 

 そこへ爆音と共に会場の入り口の扉が粉々に吹き飛ばされる。

 

 「な、なんだ!?」

 

 入り口付近はもうもうと扉を壊した際の煙に覆われて壊れた原因が分からずに会場の面々は困惑していた。 ただ、一部の者・・・魔王であるサーゼクス、リアスの眷族だけは密かに笑っていた。

 

 「よう、糞野郎。 うちの主を返してもらいに来たぞ」

 

 「き、貴様は!?」

 

 煙の中から現れたのは戒翔であり、その事にライザーは驚きを隠せずにいた。

 

 「リアス! 迎えに・・・リアス?」

 

 戒翔はウェディングドレスに身を包んだリアスに声を掛けるが、反応が無い事に訝しむ。

 

 「既にリアスにはお前の声なんて届いちゃいないんだよ! リアスは既に俺の女で従順なんだよ! ほら、愛しのリアスよ、笑っておくれ?」

 

 そう言ったライザーに反応してかリアスは僅かに微笑むが、瞳から一筋の涙を流すのを戒翔は見逃さなかった。

 

 「・・・洗脳の類か、つくづく救えんな貴様は!」

 

 「ふん! なんとでも言え! 衛兵! その男を殺せ!」

 

 ライザーの言葉と共に会場内にいた武装した兵士が戒翔の下に殺到する。 が、戒翔の後ろから二つの影が通り過ぎ、兵士達を吹き飛ばす。

 

 「アタシは鉄槌の騎士ヴィータ! 戒翔には指一本触れさせねぇぞ!」

 

 「烈火の将シグナム!我が最愛の者の道を阻むのならば斬り捨てるのみ!」

 

 長身の女性二人が戒翔の前に立ち、おのれの武器を構えて叫ぶ。 ピンクの髪をポニーテールにした女性は機械の様な様相を見せる片刃の剣を両手で構え、恰好は動き易さを考慮してか、要所要所を甲冑等で身を包んでいる。 そしてもう一人の女性は赤い髪を後ろに流す様にしてツインテールにし、ゴスロリの様な服装に小振りなハンマーを肩に掛け、悪魔達を鋭く睨んでいた。

 

 「な、なんなんだお前は!」

 

 「・・・俺は御坂戒翔。 リアス・グレモリーの眷族にして時の御子だ!」

 

 二人の闖入者により狼狽えるライザーの言葉に戒翔は堂々と言い放つ。 その言葉に会場内は混乱する。

 

 「バカな! あの時の英雄が人間だと!?」

 

 「そんな事、あの者の虚言に過ぎん!」

 

 「しかし、あの時の事をただの人間だった者が知るはずも無い・・・!」

 

 「皆、落ち着いてくれたまえ。 これは私が招いた事だ。 しかし、ここまで派手な登場の仕方だとは思いもしなかったがね、戒翔くん。」

 

 檀上の横から進み出たリアスと同じ赤い髪を靡かせて長身の青年が口を開く。

 

 「ま、魔王様自らご招待したのですか!?」

 

 「そうだよ、彼とは旧知の中でね。 どうだろう、ライザーくん。 彼と戦ってみては」

 

 「・・・それが御命令なのでしたら」

 

 「私に共に伝説とされる力を見せてはくれまいか?」

 

 「・・・良いでしょう。 このライザー・フェニックス身を固める前に今再び紅蓮の翼をはためかせましょう!」

 

 「では会場を作るので暫しお待ちを」

 

 「サーゼクス、その前にやる事がある。」

 

 「貴様! 魔王様になんて口を」

 

 「俺は貴様とは話してはいない・・・失せろ!」

 

 戒翔の物言いにしゃしゃり出る上級悪魔に対して威圧と共に少なくない魔力を開放して威嚇する戒翔はそのまま壇上への道を歩む。 その際、他の悪魔達は戒翔の醸し出す異様な雰囲気に吞まれ、一歩も動けずにいた。

 

 「・・・この刻印が」

 

 そして戒翔は何もない空間に手を沈み込ませ、取り出すのは歪な形のナイフであった。

 

 「戒翔くん、それは?」

 

 「黙って見ていろ。 【破戒すべき全ての符】!」

 

 そう言って手に持ったナイフをリアスに向けて振り下ろす。 その時、リアスと戒翔の間で眩い光が生まれそれを見ていたライザーは

 

 「貴様!?」

 

 「妙な細工をしていた様だが、この宝具の前には無力だ。 シグナム、彼女を頼むぞ。」

 

 術が解け、倒れたリアスを抱き止めていた戒翔は側に控えていたシグナムに任せる。

 

 「さて、今から貴様と戦う訳だが・・・一人で良いのか?」

 

 「何を馬鹿な事を・・・伝説といっても所詮は噂に尾鰭が付いただけたかが人間であった貴様にこの俺が負けるものか!」

 

 「・・・確かに彼の言う通りだね。 ライザーくん、眷族の皆も参加させなさい。 そこまでしなければ彼とは」

 

 「サーゼクス、そこまでにしておいてもらえないか? それ以上は駄目だ。」

 

 「そうかい。 ・・・そろそろ会場も準備できたようだし、転送の準備に入るよ?」

 

 「分かった。」

 

 ―――――――――――――――――

 

 「・・・ここが特設会場か。 まるでコロッセオの様な感じだな」

 

 「ここが貴様の墓場となる。 覚悟しろ!」

 

 悠然と立つ戒翔の前にはライザーを始めとした眷族たちが揃っていた。 しかし、敵意丸出しのライザーに比べて眷族の者達は浮かない表情をしていた。

 

 「・・・貴様の眷族たち には戦意が見えない様だが・・・どうした?」

 

 「ふん、俺がやろうとしていた事に異を唱えたのでな。 力で分からせてやったまでの事」

 

 「・・・クズが。 女性を物の様に扱うとは・・・女性とは慈しむ者だ。 飾りや道具では無いのだぞ」

 

 「俺の御眼鏡に合う女にはそれ相応の態度を示すし、従順であればある程度の事は許すさ。 だがな、家の繁栄の為の事に反対する様な馬鹿な奴には躾が必要だ。」

 

 「・・・心底救えないクズだな。 戦意の無い者は下がっていろ! この馬鹿に従うのであればたとえ誰であろうと打ち倒すのみ!」

 

 「・・・お兄様、スミマセンが私たちは戦いには参加致しません。 そもそも今回の事だって疑問が残ります。 私が見ていた限りではあの御仁はルールに則って」

 

 「チッ、役立たず共が・・・言いたい事はそれだけかぁ!」

 

 「きゃッ・・・?」

 

 ライザーは進言する為に進み出た少女、レイヴェルに向けて平手打ちをする。 が、痛みと衝撃が来ない事に閉じていた目を開けば寸前でライザーの腕を戒翔が掴み止めていた。

 

 「自身の身内にする所業では無いな・・・。」

 

 「貴様ァッ! どこまで俺の邪魔をすればァ!?」

 

 「以前の戦いでは俺の力はかなり制限されていたが・・・ここじゃそれも無い」

 

 ライザーを殴り飛ばした姿勢の戒翔は拳を振り抜いた状態のままそう告げる。

 

 「こッお!?」

 

 よろめきながら立ち上がったライザーだが、直ぐに腹に衝撃を受けて足が浮く。

 

 「ぐぅッ!?」

 

 「・・・一つ聞く。 貴様はリアスとの婚約に括るが、純潔同士ならリアス以外でも良いのではないのか?」

 

 「た、確かにそうだが、あの美貌に肢体だ・・・さぞや夜は楽しませてくれるだろうさ!」

 

 「リアスに括るのはそれだけの為なのか?」

 

 「それ以外に何がある!」

 

 「そうか・・・これで貴様を心置きなく、叩き潰せる訳だ。」

 

 「転生悪魔風情がぁ!!!!」

 

 ライザーは吼え、背中から翼を現し、両の手には燃え盛る炎を携えて戒翔目掛けて突っ込んでいく。

 

 「貴様に反撃する余地をこの俺が与えるものかよ!」

 

 しかし、戒翔によってそれは不発に終わる。

 

 「な、なんだこれは!?」

 

 驚くライザーは自身の四肢にある黒色の輪っかの様な物によって空中で固定されていた。

 

 「・・・バインド。 拘束術式の様な物だ。 これで貴様には避ける事も防ぐ事も出来ないと言う訳だ。」

 

 「ひッ!?」

 

 淡々と告げる戒翔の手には何時の間にか杖が握られ、掲げた先には途轍もないデカさの黒色の魔力球が存在していた。

 

 「星すら砕くこの一撃をもって沈め!」

 

 「ま、待て! この俺はフェニックスなんだぞ! この婚約には悪魔の未来が」

 

 「それがどうした? 俺は俺の主を泣かした貴様を許す事は無いし、俺は彼女の夢を護る為に貴様を討つ!」

 

 《dark bureiker》

 

 「ウワアアァァァァァッ!?」

 

 そしてライザーは叫び声を上げながら砲撃に吞まれる。

 

 『そこまで。 この勝負は戒翔くん、キミの勝ちだ。』

 

 「とんだ茶番であったが、あの馬鹿を心置きなくぶちのめしたからな・・・満足ではあったな。」

 

 「あ、あの!」

 

 「・・・レイヴェル・フェニックスに他の眷族たちか。 あの馬鹿に付き合う事は無い。 フェニックス卿に進言しておくからこれからの事は考えておくと良い。 今回の事と前回のゲームの際にやらかした事であの馬鹿は勘当ないしは家督を継ぐ事は出来なくなるし、悪魔の世界では生きて行く事も難しい程の事をしでかしたのだからな。」

 

 「いえ、そもそも今回の事でもわたし達に話をする事も無く進めていましたので」

 

 「そうか。」

 

 意気消沈するレイヴェルを見て戒翔は身を翻す。 自身の下に向かって来る八人の魔力反応に気付き

 

 「バカ!」

 

 「よう、リアス。 気が付いたんだな、約束は守ったぞ?」

 

 戒翔に抱き着くリアスは涙を流し、戒翔は苦笑しながらも優しく抱き止める。

 




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