輝く笑顔をもう一度   作:TAYATO

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小説版読んでたら浮かんだんで文字にしてみました。
文章力には期待をしないでおくんなまし。

※追記(2018年12月25日)
設定ミスのため、『女子校から共学に変わった』という設定を削除致しました。
それに伴い、第1話本文を大幅に修正させていただきます。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


本編
第1話


 ――彼女と出会ったのはただの偶然だった。

 

 親の買い物に、隣町まで着いて来ていた俺は歩いている最中河原で誰かが歌っているのを耳にした。

 

 冷静に考えれば普通に変な子だ。

 

 河原で、公衆の面前であんなに元気に歌うなんて、普通なら『凄いな』と言う感想の前に、『変人だ』という感想が出てきてしまう。

 

 しかし、自分の頭に否定的な言葉は浮かんで来ることはなく、浮かんできたのは別の言葉であった。

 

『楽しそうだな』

 

 捉え方によっては馬鹿にしているかのようにも思えるこの感想は、しかしただ純粋な羨望……いや『憧憬』から生まれていた。

 

 特段自分が不幸な子供時代を送った訳でもない。ただ俺は、誰もが恥ずかしがって尻ごんでしまうようなことを……『笑顔』で、『楽しそうに』やってのける彼女に憧れたのだ。

 

 それから俺は何度もその河原を訪れるようになった。彼女がほぼ毎日開く河原ライブ。それは特に趣味という趣味がなかった自分の、唯一の楽しみになっていた。

 

 夏休みの間も通い続けた。眩しい日差しの中、その中でも歌い続ける彼女は本当に輝いて見えた。

 

 

 ――しかし、夏休みに入ってしばらくした後。ソレは起こり始めた。

 

 

 初めは単純に観客が増えただけだった。彼女と同じ小学校に通っていると思しき男の子達の集団が彼女のライブを見に来るようになったのだ。

 彼らはライブを冷やかすなどする訳でもなく、ただ純粋に楽しんでいるように見えた。

 

――夏休みが明けてから、徐々に違和感は増していった

 

 彼女の顔にどこか陰りが差すようになった。周りの男の子達の顔もどこか彼女をからかうような、そんな気持ち悪い笑顔で―――

 

――そして、夏休みが明けて何日かが過ぎたあと。

 

 ……放課後に訪れたいつもの河原に、彼女の姿はなかった。

 

 

 風邪かなにかなのかなと思った。違和感はあったけど、彼女はそれでも歌い続けていたのだ。

 自分は彼女が帰ってくるのを期待して何度もその河原に通った。

 

 

 ――しかし

 

 

 ――彼女が河原で楽しそうに歌っている姿を見ることは

 

 

 ――――もう、なかった。

 

/\/\/\/\/\

 

 ――4月、始まりの季節。

 

 進級もしくは進学によって心機一転、新たな出会いに胸を弾ませるものも多いであろうこの季節。

 どこか浮き足立った者も多いそんな中だが、自分は特に何か感じることはなかった。

 

 1年間の受験期間を経て高校受験に成功した俺は、第1志望だった『花咲川高校』に入学が決定した。

 新しい制服に袖を通し、初めての登校をキメている訳だが

 

「これから楽しみだなー!」

 

 とか

 

「勉強難しいのかなー」

 

 ……というようなワクワクドキドキは一切心の中になく、

 

「これから高校生活が始まるのか」

 

とどこか達観した見方をしていた。

 

 それというのも、そもそも高校の志望理由自体が「◯◯を学びたい!」といった高尚なものではなく、最も多用されるであろう

 

「家に近い」

 

それだけの理由だった為、如何せん学校生活そのものへの熱意に欠けてしまっているのだ。

 

 だが、何も高校生活が全く楽しみではない訳でもない。

 それは何故か。

 

 ――十分な睡眠を、とることができるからだ。

 

 花咲川高校は、自宅から徒歩で数分の位置にあり、登校に時間をかけないで済む。

 つまり、睡眠時間を他より多く取れるというアドバンテージが存在するのだ。

 睡眠なくして充実した人生は無し。睡眠が人を豊かにするのである。

 昨今の世の中では、睡眠不足の人が増加している。

 だがそんな中でも俺はやりたいことをやりつつ、且つ『8時間睡眠』をキープし、そしてより豊かで、より良い人生を歩んでいきたいと思うんだ―――!!

 

 などと、くだらない考え事をしていると、いつの間にか目的地にたどり着いていた。

 辺りを軽く見渡せば、新入生と思われる制服がまだ馴染んでいない印象を受ける者達が沢山歩いている。

 

「……っと」

 背中に誰かがぶつかった感触がした。

 少し立ち止まっていたからだろう。相手には申し訳ないことをした。

 

「ごめん。怪我はない?」

「っ……す、すみません」

「え?ちょっと!……足速いな」

 

 一言謝罪をすると、当人はそそくさと歩いていってしまった。

 

 あの様子なら怪我は特になさそうだが、よく見るとイヤホンをつけていた。さっきのは俺に非があるが、ここから先も彼女が誰かにぶつかったりしないか少し不安に思う。

 

 しかし、そんなことを考えても特に意味は無いので思考を切り替えた。

 

 

(……にしても、あの声。どっかで聞いたことがあるような………気のせいか)

 

 

――――――

――――

――

 

(俺のクラスは……ここか)

 教室に着き、扉を開ける。もう既に何人かの生徒が登校していた。

 

(中学の頃の3倍は騒がしいな)

 速攻で意気投合したのか、もう既にあちらこちらから笑い声が聞こえてくる。

 しかしそんな喧騒には目もくれないで、黒板の方に向かった。早く座席表を確認したいのだ、俺は。

 

(俺の席は………あそこか)

 

 確認を済ませ、これから長い付き合いになるであろう座席へと足を進める。

 辿り着くとその隣の席には、既に誰かが座っていた。

 

「お前ここの席の人?」

「あぁ、そうだけど」

「よっし! やっぱり近くに同姓がいたほうが落ち着くよなー……あ、俺『桂 直人』っていうんだ。お前は?」

「俺は『千葉 修斗』だ。苗字でも名前でも好きな方で呼んでくれ」

「じゃあ修斗で!これから宜しく!」

「おう」

 

 隣が男子生徒とは、幸先のいいスタートを切れそうだ。クラスに馴染むまでの数ヶ月間、やはり同性の方が話も弾ませやすいためこの席順は非常にありがたい。

 目の前でガッツポーズを取っていた桂も、おそらくそう思っているのだろう。

 そう、思っているのだろうが……

 

「……一応聞くけど……お前、ホモだったり……しないよな?」

「………んなわけねぇだろ。出会って数秒でそんな質問とか、お前頭おかしいんじゃないのか?」

「そう。なら良かった。よし、これから仲良くしていこうぜ」

「聞いてねぇ……」

 

 初っ端から『同性が身近にいて安心した』などと言われたら少し自分の尻周りが怖くなるだろう。発言には気をつけてほしいものだ。

 

 そんなくだらない会話をしているとどうやらもう入学式の時間らしい。このクラスの担任らしき教師が教室に入ってきた。

 

「全員出席……っと。じゃあ。入学式があるから、全員、私についてくるように」

 

――――――

――――

――

 

 入学式は滞りなく進行し、今はHR。初めということでクラス全員での自己紹介だ。

 

「桂 直人っていいます。中学では野球やってました。なんで今は丸刈りっす。苗字はカツラですけど、カツラつけるつもりはないんでそこんとこよろしくお願いします」

 

 大ウケはしなかったが、桂のボケは少々受けた。自己紹介としては上々だろう。

 少しすると自分の番が回ってきた。

 立ち上がり、自己紹介を始める。

 

「千葉 修斗です。最近の趣味は……音楽鑑賞かな。友達募集中なんで、音楽が好きな人やもちろんそうじゃない人もどんどん話しかけてください。これからよろしくお願いします」

 

 普通に拍手が返ってきた。無難なものに仕上がっていただろう。

 ここでスベったりすると一年間辛いからな。こういうのは普通でいいんだよ普通で。

 

 ……っと、次で最後か。

 

「え、えぇと……」

 

 ……聞き覚えある声だな。確か朝に聞いた……あぁ、あのイヤホンちゃんか。そう言えば顔を見ずじまいだったな。

 一体どんな人なのか―――

 

「わ、わたしは」

 

 ……それにしても、なんか聞いたことある声だな。いや朝では無くて、それより遥か以前に。

 何故こんなに、彼女のことを意識してるのだろう。

 なにも、世界に存在する人間全員の声が全部違うわけじゃない。Aさんの声によく似た声を持ったBさんだっているはずだ。

 そうだな、多分この声もどこかでたまたま聞いたことのある―――

 

「と、戸山 香澄です。よ、よろしくお願いします……」

 

 

 ――――『トゥインクル♪トゥインクル♪ひーかーるー♪』

 

 

 

 ……戸山、香澄……?

 

 

 

 ――――『なーんにもナーイナイ♪』

 

 

 ――――その名前を聞いた瞬間。脳裏に、河原で歌うあの少女の姿が頭に浮かんだ。

 

 ――――ああ、待ってくれ。そう言えばあの子の名前も………

 

 

 

『「カスミ」です!聴いてください!次の曲は―――』

 

 

 

 カスミ………ではなかったか……?

 

/\/\/\/\/\

 

 これは原典における外伝。今では語られることのない、ある世界線でのifストーリー。

 

 ――なんでもない男の子は、輝く少女に憧れを抱いた。

 

 ――歌が好きだった少女は、歌を恐れるようになってしまった。

 

 

 この物語は―――

 

 ――ちょっぴり彼女(戸山 香澄)に厳しい世界で

 

 ――彼女を支える存在に至る

 

 

 ――――1人のファンの物語。

 




彼女の歌が純粋に好きだった人がいたらいいなという妄想。

妄想を吐き出すのは楽しいね。
続き浮かんでないけど。
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