なんでチグハグかもしれないです。その気になったら修正するかも。
「これで全員だな。それでは渡す書類があるから、順に後ろに回していってくれ」
全員が自己紹介をし終わり、今は入学してからについての説明を受ける時間になっていた。
前の席からB5サイズのプリントが渡された。上部に『1年間の行事予定』と印刷がされている。
……どうも読む気になれない。頭がうまく回らないからだ。
そして、その原因もハッキリと分かっている。
――人間という生き物は、思考において割けるリソースが決まっている。
故に解決すべき事柄に優先順位をつけ、順に対処しようとするのだ。
『それならば、普通は書類の方が優先順位が先だろう』と、これを聞いた者達は思うだろう。
もちろん、客観的に見ればそうだ。
しかし人は……物事を客観的に見るのが苦手な生き物だ。仮にそうしようと試みても、多少なりともそこには感情という主観的なモノが入り込んでしまう。だから……
………いや、回りくどい言い方はやめよう。
そうだ、
――俺は今、
幼少期の憧れだったあの少女。急に姿を消してしまったあの少女が、再び目の前に現れたのだ。
そのあまりの衝撃に、あの時は一瞬フリーズしてしまった。
『なぜ突然あの河原に来なくなったのか』
――頭の中を駆け巡る疑問
『元気にしていたのか』
――心配
『また歌って欲しい』
――願望
様々な感情が複雑に絡み合っていて、頭がパンクしてしまいそうになる。
そして彼女のことばかり考えているせいで、俺は他のことをまともに考えられていない。
この感情を口に出せば、彼女に伝えれば少しはマシになるかもしれないといあのは分かっている。
そうしてしまおうかと、内心思ってしまったのも否定はしない。
………できなかった。
彼女の顔、あれは緊張にしては少し度を過ぎていた。
――――彼女は怯えているのだ。人の視線、好奇の視線に少なからず恐怖を覚えている。
彼女に、ここにいる人間がなにかした訳では無い。しかし彼女自身に『人の視線を恐れる』という行為が、既に染み付いてしまっているのだ。
そんな彼女に、自分の無粋な感情をぶつけることはできなかった。
――結局自分は、このしこりを抱えておくことしか出来ないのだ。
定まらない思考の中、仕方なく俺は書類に視線を落とした。
――――――
――――
――
―数十分後―
HRを終え、今日の活動は全て終了。
入学初日ということもあって授業はなく、そうそうに解散となった。
正直担任の話している内容の1割も頭に入ってこなかったが、流石にこれ以上彼女の事をズルズルと引きずるわけにも行かない。
そう思い、なんとか意識を切り替えようとする。
「親睦会ってことで、一緒にご飯行かない?」
「いいね! どこ行く?」
辺りを見渡すと、親睦を深めるためなのか放課後の予定を考えている者達が多かった。
「修斗! 俺らも昼飯食いに行かね?」
「………」
「修斗?」
「……あっ、悪い。なんだって?」
「飯だよ飯。俺腹減ってさー」
「……おう。そうだな」
折角会話を広げようしてくれているのに、生返事しかできない事に申し訳ないと思う。
「……大丈夫か? 自己紹介が終わってからずっと、まさに『心ここに在らず』って感じだったけど」
「……問題ない。ちょっと考え事をしてただけだ」
「ねーねー戸山さん! この後、私たちとカラオケ行かない?」
「えっ……あの……………ごめんなさい!」
そんな中、遠くで戸山さんがクラスの女子の誘いを断る姿が目に入った。
「……」
「……戸山香澄さん……だっけ。彼女となんかあったのか?」
「………まぁ、そういうところだ」
……どう答えようか、一瞬戸惑ってしまったが誤魔化す必要もないので取り敢えず質問に答えておいた。
「彼女、オドオドしてたし……人見知りっぽいな」
人見知り、か。
あの河原で、人目をはばかることなく笑顔で歌を歌っていた彼女が人見知りと揶揄されるとは正直あの時は思っていなかったな……
「……さっきから何悩んでんのかはしらねーけど、そんなに考え込んでるならさっさと彼女の元に行けばいいんじゃねぇのか?」
「でも……」
「こういうモヤモヤは、早めに解消しといた方がいいぜ?」
深刻そうに顔を顰めている自分に気を使ってくれているのだろう。まだ会って1日目なのにと申し訳なさを感じてしまう。
「飯くらい、また明日いけばいい。そんなことよりさっさと彼女に会って言いたいこと言ってこい。そんな顔で明日も隣で授業受けられたらこっちも集中出来ねぇしな」
「あ、あぁ」
そうして桂に促されるまま、俺は彼女を追いかけることになった。
……彼女は、まだいるだろうか。
――――――
――――
――
件の彼女は、まだ下駄箱の所にいた。
「戸山さん!」
声をかけると、彼女の体がビクッと一瞬強ばる。しまった、少し声が大きすぎたか。
「……呼び止めてごめん。でもどうしても聞きたいことがあって」
彼女をあまり刺激しないような言葉を選ぼうとしつつ、自分の中の疑問を口にする。
「君って、小学生の頃に河原で歌を歌ってたあの……」
「っ………」
そう思っていたのに、初っ端からストレートに言い過ぎる。どうやら想像以上に今の自分はダメらしい。
その発言に明らかな怯えを見せ、彼女は走り去ろうとする。
――ふと、『ここでこのまま彼女を見送るのはいけない』と、心のどこかで自分が叫んでいるような気がした。
――いいのか?彼女は怯えているんだぞ?
――違う、
勘違い?
――
胸の奥の自分は、どうしても彼女に伝えたいことがあるらしい。
自分の心に従って、ポツポツと自分の思いを言葉にしていく。
「………小学生の頃、俺は君の歌が好きだったんだ」
「……へ?」
……またストレートな発言をしている。これでいいのかと思わなくもない。
それでも、今さら止まることなんてできないから―――
「笑顔で、心の底から楽しんで歌を歌っている君の姿に俺は憧れていたんだ」
自分の思いが、明確に頭の中に浮かんでくる
……段々と思考がまとまってきた。
頭の靄はまだ完全には晴れていない。
けれど、自分は何を言いたいのか……何を言わなくてはならないのか。それがハッキリとわかってくる。
「………」
「風が吹いたら風の歌を、雨が降ったら雨の歌を。雨がやんだら雨上がりの歌を、星を見つけたら星の歌を。自分の心のままに歌う……そんな君の姿は、本当に輝いて見えた」
――そうだ。
俺は彼女に疑問を投げかける前に、願望を伝える前に言いたいことが………言わなきゃいけないことがあった。
「あの河原から君がいなくなってしまった理由を、知りたくないといえば嘘になる。でもそんなことより、これだけは言っておきたかった。………伝えておきたかったことがあるんだ」
彼女の顔が露骨に強ばる。
あぁ、そんな顔をしないでくれ。
俺が伝えたいのは、非難の言葉なんかじゃない。君を馬鹿にする言葉でもない。
ただ純粋な――――
(………これを伝えるのはただの自己満足だ。これを言ったところで何か変わる訳では無い)
――それでも、あの輝きを。
――鼓動さえ感じるような星の輝きを。俺に見せてくれた彼女に
「戸山さん」
「は……はい……」
俺はずっと、魅せられていた。
「俺はずっと――――君のファンだった」
――君の歌は、たしかに誰かを魅了していたんだ。
結局ほとんど話は進んでません。はい。
本能に従った結果、主人公若干情緒不安定っぽく見える。突然いなくなった憧れの人と、思いもよらないタイミングで再会したんです。察してあげてください(筆者のスキル不足も察し(ry)
続きは思いついたら書くかもですけど、一応未定です。