Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】 作:rekko
それは突然の事だった。
自分の周りにある風景はどこか懐かしい雰囲気があったが、思い出すことができない。
草木が生い茂り、大きな池がある自然に囲まれた場所。
「ここは…」
自分の手や体は特に問題は無い。
よく状況を理解出来ず混乱している中、目の前に黄色と緑…色んな色が混ざった穴が出てきた。
「うわっ……何コレ…」
思わず虫でも見たかのような反応をしてしまった。
けどこの穴からは「不気味」とか「怖い」などの感情が出てこない。
これは一体…。
穴を集中して見ていると急にパッと光った。
あまりに急で警戒もしていなかったので、異常な眩しさを抑えることが出来ず視界が真っ白に染まる。
するとぼんやりと老人の姿が映し出されて来た。
「よくぞ参った!旅立ちの時を迎えた勇敢なる子よ!」
「ん?!」
目が回復する中、老人の姿はどんどんハッキリと見えるようになってきた。
ちょうど現実と見分けがつかないくらいになると、老人はまた口を開いた。
「ワシはエディアール。かつて英雄を目指し、冒険に立つも、故あってこの地にて村長となった者じゃ」
「あ…レッコっす。気づいたらここに居て……」
名乗り返すと、エディアールと名乗った老人は「そうかそうか」と言うように微笑み、話を続けた。
「錬金術により、人々の生活は大きく変わった。しかし、人の理は変わることが無い。成人を迎えた者はみな冒険の旅に出る。それが世の倣い、人の在り方である」
成人を迎えた者…?
そういえば私は成人しているのだろうか。
多分していないと思うのだが…。
エディアールに成人とは何か聞こうとしたが、エディアールは少し顔をしかめ
「強くならねば生きられぬ世界」
と言った。
その言葉に、少しだけ寒気がした。
つまりは弱肉強食。
弱ければ強い者に食われるだけだ。
だが何故だろう。そこまで怖いとかそういうわけじゃない。
私は生き残ることが出来るという思いがある。
戦いの指南をしてやろうかと言うエディアールに、必要ないと伝えようとした時、突如視界が歪んだ。
なんだかグラグラと揺らされているような感覚がする。
画面酔いなんてしたことは無いが、画面酔いしている気分だ。
とりあえず大丈夫だということを伝えなければ…。
「エディアールさん?え?」
グラグラと揺らされ視界が悪い中、そこにはもうエディアールは居なかった。
混乱に混乱が重なり、余計に頭の収集がつかなくなって更に気持ち悪くなる。
「ちょっと……まって…普通に…きもちわる……」―――