Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】 作:rekko
フランクとマルクが連れていかれたあと、シンシアはホッとして胸を撫で下ろした。
「本当に良かったです。おかしな罪を着せられないで」
「いえいえ。本当に助かりました。ありがとうございます」
ラトがシンシアちゃん達に深々と頭を下げる。彼女達がいなければ、私達の無実どころかフランク達の悪事さえ暴けなかった。私も感謝の意を込めて頭を下げると、ラトは私のようなガサツな者がお礼をすることに驚き、シンシアちゃんはすぐに頭をあげてくれと言った。
ここで私は、忘れかけていた疑問を思い出した。
「ところでシンシアちゃんはどうしてここに?前は連邦に向かってる途中だったよね?」
「あぁ、申し訳ありません。私、この国の君主であるドレイク大公陛下にお仕えするメイドなのです。メイドとは……陛下のお仕事を多岐に渡ってサポートする秘書のようなものなんですよ?」
シンシアは少し焦りながらも丁寧に自己紹介をしてくれた。
メイドといえば、私達にはメイドの友人がいる。主人と一緒に暮らしているが、最近は会っていなかったので今はどうしているのか、ふと気になった。
しばらく瞼を閉じて私達の会話をじっと聞いていたドレイク王が、そろそろいいだろうとゆっくりと目を開き話を切り出した。
「兵士長の企みを暴いてくれて感謝する。やつの巧みな隠ぺいに愚かな我々は気づけなかったようだ。まずは褒美を取らせよう」
王はそういった後、少し考えるように私達をじっと見た。これだけでは足りないかもしれないとでも思っているのだろうか。
正直な話、別に褒美はいらない。例えそれがお金だったとしても私とラトは丁寧にお断りする。最初から褒美なんて求めていないし、何ならフランクとマルクを罰せる事が私達には褒美以上の嬉しさがある。
「他に……礼と言ってはなんだが、何かあったら我の力を貸して進ぜよう。いつでも城を訪ねるがいい」────
「ふぅ……やっと終わった……」
私は長く、半分面倒だったあの状況をやっと終わらせた事にとても安心感を抱いていた。
と同時に、溜まっていたストレスやら疲れもどっと出てきたため、私の目は座っているだろう。
「荷物も増えずに済んだし、お金はちょっと余裕できたし、疲れたし早めに宿とっておこうか」
そんな私に比べてラトはスッキリとした顔で機嫌良さそうに私の隣を歩いている。
ご褒美は、ラトのおかげでなんとか丸く納まった。お金は10分の1だけ貰い、あとは教会に寄付、その他のご褒美も私達以外の困っている物に与えてくれとラトは言った。王もなんとか納得してくれたらしく、あの場から解放されるのは意外にも早かった。
「ゲルミアヒージョ。ゲルミアヒージョ食べたい」
「はいはい、チップさんに作ってもらおうね」
なんてことない、平凡な話をしながら酒場に入ると、先程までフランク達の事情を話してくれたチップさんの元気な声が聞こえた。
ラトは「先程はありがとうございました」と一礼をし、私は座るための席を探した。
もう夕方のため、酒場は夕飯を求めた冒険者達が多く賑やかであった。席が見つからず酒場をそろそろ1周する頃、1人の女の子が席を立つのが見えた。
「あ、空いたかも。あそこ行こうよ」
「待って、もう1人いるよ」
それを聞いてよく見ると、確かにもう1人人が座っていた。早く座りたいという気持ちが強く、周りが見えていなかったようだ。
仕方ない、立ち食いだなとラトに言おうとした時だった。
「あれ、レッコ、ラト。久しぶりだね」
そこで私は会いたかった友人に会えるなんて思ってもいなかった。