Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】 作:rekko
不老不死。普通の人は「不老不死」という言葉にどんな思いを抱くだろうか。
恐ろしい、羨ましい、とにかくいろんな思いがあるだろう。
不老不死の村は一見、荒れていたりするものなのだろうかという想像もあったが、そんなことは無く、とてものどかで自然豊かな空気が澄み渡った場所だった。
滅びの村と似ている雰囲気だが、あの場所と違いここには人がいた。村の入口の高い場所から下を見下ろし、あまり多くない人を眺める。
あの人達も不老不死で、もう何十年何百年も生きているのだろうかと考えると複雑な気持ちになる。
「ラト。ほら道わかれてるよ。坂道と階段どっちがいい?」
「いやどっちでもいいけど」
しょうもない話をして、坂道の方を進んでいく。途中にある小屋の様なものの中には肉が干されていたり、干し草が積まれた荷台が置かれていたり、いかにも「村」という感じがした。
「ようこそ、この村へ、冒険者様」
「ん?」
後から声がして振り返ってみると、いかにもチャラそうな男が立っていた。右目がクリーム色の髪で隠れている。なんかチャラい。
「いや、わかっているよ。鍛え抜かれたその体、見栄えする美しい顔。あなたは伝説の勇者様でしょう?」
いきなり話しかけてきてろくに相手の話も聞かずずかずかと話を進め、更には勝手に伝説の勇者にされた。正直言うと気持ちが悪い。
普通に「伝説の勇者」なんて棚に上げられるのはそんなに嬉しくないし何よりもめんどくさい。だからこそ何もしていないのに伝説の勇者だなんて嘘とわかっていても気持ち悪い。
「あの……そういうお世辞とかはいいので……」
ラトが遠慮したように言った。ラトもこの人の態度には少々気味の悪さを感じるのだろう。
「いやいやお世辞じゃないよ。ご機嫌取り……おっとこれは本音が……失礼」
「アンタ今ボロ出したな?ご機嫌取りっつったな?」
チラリとどころじゃないボロの出方を目の当たりにし、問い詰めようとするも、やはり話を聞かず何事もなかったように男は話を進める。
「この村には劇場もあればのどかな自然もある。愛くるしい動物もいる」
体全体で村の空気を体感している彼に、私の文句が届くことは無かった。
右に向いていた首は左に向き、村全てを自分に取り込んでいるかのようにもみえた。
「もっとも、それはどの農村にでもある風景。この村が他と違うのは……」
「もしかして……」
「そう、人を不老不死にするという不思議な術を使う『救済者』様がいることだ」
「やっぱりそうか!お兄さんありがとうな!!」
『不老不死』、『救済者』という単語に反応し、とにかく探すために酒場や家が建つ広場へと急ぐ。
後からラトやあのチャラい人の声も聞こえたが無視した。
救済者様とやらはどこにいるのか。
特に情報を聞くことも無く飛び出してしまった事を後悔した。
しかし見つけるのはそう難しいことではなかった。
近くで『救済者』を呼ぶ声が聞こえた。