Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】   作:rekko

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公国の酒場

「ねえ起きてって。もう行くよ」

シュリンガー公国の酒場で昼食を食べた後、少し休憩して寝てしまったパートナーを僕は起こす。

いつもなら肩をトントンと叩くだけで、起きるけど今日はなんか眠りが深いのかなかなか起きない。

「起きてってば」

強めに叩いても特に反応は無く、少しもぞもぞと動くだけ。

このくらいすれば、いつもなら「痛い」とか言ってめちゃめちゃ睨んでくるのに。

ていうかそれを覚悟してやったんだけど。

あれ、おかしくない?

チップさん何か入れたのかな……いや、ないか。

「ねえってば!」

あまりに起きず、ちょっと頭にきたので、力いっぱい彼女を揺らす。

机も少し揺れ、机の上のコップが少しカタカタ動く。

「きもちわるい」

「え、ごめん大丈夫!?」

やっと反応があったと思ったら不調を訴えてきた。

「きもちわるい」と言ったレッコは少し顔色を悪くし、今にも閉じそうなまぶたを頑張って上げながら半目でこちらを見てくる。

「なんか変な夢見た気がする」

頭をおさえながら何とかレッコは立ち上がりけのびする。

寝覚めが悪いのはいつもの事だが今日は一段と悪い。

疲れていたのか、無理やり起こすのは悪かったかな。

「ごめん。でもそろそろ行かなきゃ。変な濡れ衣着せられちゃってるんだから」

「チッ……あんのクソジジイめ……なんの証拠もなく冒険者疑うとか頭わいてんじゃねーの?」

「いやめっちゃ口悪いね?落ち着こ?」

レッコの機嫌が悪いのには理由がある。

僕達はついこの間冒険を始めたばかりだった。

アブル連邦から始まり、神の加護を受けた後にここ、シュリンガー公国までやってきたのだ。

それまではよかったけど……。

公国に来ていきなり、国の兵士長フランクから「武器を盗んだ」などと勝手なことを言われた。

違うと言っても「その場に居たから」とか言う理不尽なことを言われたり。

ここでレッコは静かに中指を立てていた。

しかし、罪なき人間を裁いたとなると国の威信にも関わり、盗んだのが人間ではなく魔物という事もあったので、無実だと言うなら真犯人を捕まえろということになった。

「さっき女の人から聞いたでしょ。街の前で武器を持った魔物が東の村の方向へ歩いていくのを見たって情報。多分滅びの村……スティグマだよ」

僕は机に地図を広げ目的地に指を指した。

するとレッコは大きく背伸びをし、首をポキポキとならしまるで不良のような仕草をした。

あ、機嫌悪いなこれ。

「んじゃ早く行ってボッコボコにすんぞ」

「武器取り返せば良いんだけどね」

僕は口と機嫌の悪い彼女と共に、酒場をあとにした。

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