Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】   作:rekko

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市場へ行ってみよう

リーティンとレイティと別れ、再び公国へ戻ってきた2人。公国の入口の大きな扉の向こうは、冒険者で溢れていた。いつもそこで集まって遊んでいる者、ずっとそこに突っ立っている者、ボンド勧誘をしている者。メンツはそんなに変わらないので、見覚えのある人も何人かはいた。皆のんびりしており、仲間と駄弁る為にここへ来ている者もいれば、ただただ休憩する為に来ている者がいた。たまに奥の方から走って来る者や重い足取りで酒場に向かう者は死んで復活した者だろうか。ぼーっと見ているだけでも色んな情報が入ってくる。レッコとラトは休憩に来ている者に入るだろうか。

「なあなあ、私市場見に行きたい」

レッコはラトに言った。

「僕も見たいのあったし、いいよ」

軽く会話をしながら市場へと向かう2人。大きな桜の木が2本立派に生えており、時折何か光って上へ上へと上昇している。その神秘的な桜の木に、レッコは珍しく興味を示した。

「あれ、動物にしか興味なかったレッコが珍しい。気になるの?」

「私は自然も好きだしこういう神秘的なもんも好きだよ」

重力を無視して軽々と上へ登っていく光の玉をずっと眺めるレッコ。彼女が飽きるまで見ていようとラトも桜の木に1歩近づき視線を移す。レッコはこの桜の木が人の魂を食らって育っている、とシンシアが説明してくれたのを思い出す。だがそれは死んだ人間の魂か、生きた人間の魂か。それはわからなかった。

─前者ならまだわかる。けど後者だったらここに住んでる人達や私達も危ないのでは?

変わらずそれを見続けらしくないことを考えるレッコ。今こうして吸い込まれるように見ているが、本当に吸い込まれていたらたまったもんじゃない。レッコはそろそろいいだろうと後方にいるラトを呼んだ。

「ごめんラト。もう大丈夫。市場行こ?」

「ん?もういいの?」

ラトの方へ向かいながら「うん」とレッコが頷く。「それじゃあ行こっか」とラトが先を歩くと、それにレッコは小走りでついて行く。ラトとレッコでは歩幅が違うので、普通に歩いているだけでもレッコは小走りしなければいけない時がある。だがラトはそれをちゃんとわかっているので、レッコが小走りすると歩幅を合わせる。レッコは追いつくのに必死でラトの気遣いなんか気づかない。だがそれはそれで可愛げがあり、ラトはよくあるその光景を楽しんでいた。

市場には錬金素材から日用品までズラリと並んでいた。他にも、本や人形などのおもちゃもあり、何でも揃っているので見ていて飽きることは無かった。

「あ、この青いピアスラト似合いそう」

「ホント?でも耳たぶに穴開けるの怖いな……」

「それはすっげぇわかる」

色んな商品を指さし話しながら買い物を楽しむ2人。しばらくそうしていると、何やら騒がしい4人組がこちらへやって来ている事にレッコは気づいた。ラトに声もかけずレッコはその4人組を凝視する。

「よっしゃアタリきたー!!」

「げー……俺また使えねぇの出たよ……」

「早く売っといでよ」

「おう、そうする」

「んじゃちょっと行ってくるね!」

4人組のうちの2人がこちらへ向かってきた。先程嘆いていた男が、市場の店番をしている少女に武器を渡し、青い石を受け取っているのが見えた。

「ホント最近ガチャ運ねぇよな」

「日頃の行いじゃない?また石溜まったら回そうね!」

「また爆死するのか?勘弁してくれよ」

そんな事を話しながら2人は仲間の元へ戻って行った。レッコはラトの肩をちょいちょいとつつき、「ガチャって何?」と聞いた。ラトもあまりわかっていないらしく、「さあ……?」と首を傾げるだけだった。その会話を聞いていたのか、先程の店番の少女が声をかけてくれた。

「貴方達冒険者になったのは最近?ガチャっていうのは賢者石で武器や装備を召喚する事を言うのよ。貴方達もやってみたら?いらないものが出たら、ウチで錬金石と交換してあげるわよ!」

少女が親切に教えてくれ、レッコもラトも興味を持った。

「へぇ……。やってみる?」

レッコがそう聞くも、ラトは少し不安と疑問があった。

「うーん……それって石がどれくらいでできるんですか?」

「1回だけするなら300賢者石、11連なら3000賢者石ね。たまに5連1200賢者石で出来るものもあるけど、基本はそれくらいよ。一時期は賢者石のインフレとかで5000賢者石の時もあったけど……」

熱く語る彼女についていけず、レッコは早々にダウン。ラトは頑張って聞いていたが、情報量が多く流石に処理できなくなってきたらしい。

「へ、へぇ……じゃあ11連なら1回できるね……レッコ……」

「経済の話終わった……?ぜんっぜんわかんないんだけど……。あ、11連?やってみよっか」

「やってみる」、その言葉を聞いてようやく彼女は話に急ブレーキをかけた。ガチャのやり方を教わり、ちょっとその辺でやっておいでと勧められた。じゃあまた後で、と別れた時だった。

「私はルーチェ。いつもここにいるからいつでもおいで!」

と大きく手を振り言ってくれた。レッコとラトは手を振り返し、桜の木の下でガチャをしてみることにした。

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