Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】   作:rekko

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滅びの村と魔物

「流石公国。人が多いね」

酒場から出ると、私のパートナー、ラトは綺麗な青い目を輝かせて言った。

確かに連邦よりかは少し人が多いかもしれない。

でも今私はそんなのどうでも良かった。

というかそれどころじゃなかった。

「早く魔物見つけて武器取り戻すよ」

「あ、ちょっと言い方優しくなったね」

私はこの何秒かも我慢できなかったが、ラトは気にしていなかったようだった。

公国を出て、私達は雪山と草原を駆け抜ける。

シュリンガー公国付近には雪があったものの、降りて来るとだんだん雪はなくなっていき、代わりに草木が生い茂る草原が出迎えてくれる。

途中ジャガイモを採ったり、ゲルミやコノミが体当たりしてきたりと色々あったが、なんとか10分程度で滅びの村に着いた。

 

 

 

 

 

滅びの村は自然豊かな場所だった。

なんだか懐かしさを感じる村。

そこまで広い村ではなさそうなので、魔物もあまり遠くではないかもしれない。

まずは聞き込みかというところでラトがなにかに気づいた。

「このあたり……人が住んでないね。自分達で頑張るしかないみたい」

こんな天気のいい日だ。人一人くらい外に居てもおかしくないのに誰もいない。

あたりを見渡してもあるのは草、木、花、橋……そして左の道から下に行けるようだがそのための橋が壊れていた。

「レッコ!先に行っちゃうよ!」

ラトを見ると、もう奥の方に進んでいたらしい。

「ごめんごめん。何か手掛かりになりそうな物は?」

ラトは静かに首を横に振った。

小走りでラト方へ行きながらも、周りの様子を探る。

人が住んでる気配はさらさらなかった。

「教会もある……まだ上に行けるみたい」

少し開けた場所に教会があり、また上に続く道があったのでそれを登る。

上を登ると村の頂上だった。

そこにはなにか施設のようなものと、青いネズミのようなものが見えた。

「ねえ、あのネズミって…」

「可能性はある……ていうかあれじゃなきゃ困る」

ネズミはその施設の中に入っていったので急いでおいかける。

中に入ると、そこは炭鉱のような場所だった。

「山掘って作ったのか。道理で壁が岩ばっかりなわけだ」

「線路も引いてある……。あ、ねえあそこ!」

ラトが指さしたところには、ポツンとトロッコが置いてあり、その手前に魔物はいた。

「我は偉大なる王。不死身のトッポ様だ。なんのためにここに訪れたのか、言わずともわかる」

腕を組んでトッポと名乗る魔物は偉そうに言った。

多分、ただ単純に自分を倒しに来たと思っているだろう。

王とか言ってるし多分名前あるみたいだし、おそらく魔王だろうか。

あまり認めたくはないが…。

「ここにいる魔物が、武器を盗んだと聞いて来たんだけど?」

「盗んだとは聞こえが悪い!そもそも世界の全ては大地のもの。誰のものでもない。所有という考え方は人間が、

人間の中で取り決めた事で我々魔物には関係ない!」

その言葉を聞いて、ラトはこっちを向き、呆れた顔をしながら「ダメだわコイツ」みたいな目で訴えてきた。

魔物にも少なからず所有という概念はあると思うが

話が長くなりそうで面倒なので、早めに奇襲でもして叩こうと思い背中に担いでいる星夜銀漢杖に手をのばすが、その瞬間にトッポと目が合う。

余計な事をすると何が起こるかわからない。

そっと手を下ろし、奇襲をするという思考を辞める 。

「我々一族は、古来から、お前ら人間共に殺され続けている」

トッポは武器を取ろうとした私を睨みながら話を続けた。

「子供にすら、『お小遣いを稼ぐ』という理由で襲われるのだ。人間に恨みがないはずがない!」

悲しそうな、悔やむような、恨むような、トッポの色んな感情が混ざり合い、言葉がこちらに飛んでくる。

「確かにそれはそうだけど…今の時代、皆生まれた時から剣を持つ人だっているし…」

「もしかしたら本当はそれがおかしいのかもね。時代のせいにしちゃいけないけど。だけど今は今なんだから仕方ない」

私が仕方ないと言ったことが納得出来ないのか、ラトはうつむき、綺麗な青い目を曇らせた。

「だからこそ、王たる我は行動を起こしたのだ。」

人間の住む地に敢えて城を構え、一族を守るため、我々を殺す『武器』を運び出し、人間を弱体化しようとな!」

「それはわかった。でも武器は国の人間の物。返して貰わないと困る。ていうかアンタが盗んだせいで濡れ衣着せられてるから一刻も早く返せ」

「本音絶対後者でしょ…」

ラトの呆れきった声は小さく消え、代わりにトッポの自信満々な声が再び響く。

「よかろう、武器は渡してやってもいい!」

「お、物分りのいいネズミだな。好かれるよ~お前」

「ただし!魔物のルールに従ってもらう」

「魔物のルール…?」

心の中でガッツポーズをとっていた私の期待を裏切ったトッポは得意げに言った。

「魔物の世界は力こそ全て!言うことを聞かせたいのなら俺様に勝つことだ!!」

「前言撤回。誰にも好かれることなく死にやがれ」

トッポが構えようとする前に星夜銀漢杖をつかみ、セラフィムウィングを放つ。

トッポが怯んだ隙に、ラトが氷晶刃を叩き込む。

セラフィムウィングで起こった風と、氷晶刃の冷気であたりは散らかってしまった。

砂埃が舞い、ドライアイスのように冷気が黙々と上がる。

10秒ほど、誰も行動を起こさなかった。

周りが見えるようになってくると、そこには大の字で倒れたトッポがいた

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