Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】 作:rekko
公国に入ると、奥の方にある城の前あたりにフランクさんがいた。
とりあえず事情だけでも話しておこうとフランクさんに近づくと、フランクさんは僕達を小馬鹿にするような顔をしてこちらを向いた。
「おや、お前らか」
その声は少しわざとらしく驚いたような声だった。
「……どうした?真犯人を倒すことはできたのか?」
「はい。トッポという魔物が犯人でした」
「ほほぉ、トッポが犯人だったというか」
フランクさんは顎に手を当て、困ったような素振りを見せる。
隣のレッコをみると、なんだか顔が強ばっていた。
「どうしたの?」
「いや……なんでもない」
なんでもないような表情をしていたが今の僕にはわからなかった。
フランクさんはキョロキョロとあたりを見渡し、
「ならば、盗まれた武器はどうしたのだ?」
と機嫌が悪そうに言った。
「酒場にいる商人に売ったとか言ってたんよ」
「うんうん。酒場にいる商人に売られたと」
イライラ気味に訴えるレッコとは真反対に、軽い声で言ったことをリピートし、少し口角を上げているフランクさん。
「しかし、な」
それもつかの間、フランクさんは眉が垂れて再び困り顔に戻った。
「それが真実かはわからない。肝心の武器がなければ 、無実を証明したとは言えぬ」
「でも……!」
「商人に尋ね、武器を取り戻して来るのだ。さすれば、王より褒美も貰えよう」
僕の発言に被せるように、今度は怪しい笑顔を浮かべて言った。
ここまで来ると、流石の僕でも気持ち悪さを感じる。
「しかし、取り戻せないときは……きちんと罰を受けてもらうからな。私はもう少しここで待っていてやる。酒場にいるという商人に会ってくるが良い」
「そうさせていただきます。行くよ」
「えっちょっコケるコケる!」
ニコニコしたり、しかめっ面になったり、本当に気味が悪くて僕はレッコの手を引いて酒場まで走った。
後ろから「やめろ」というレッコの声は、走るのに必死で耳に入らなかった。
いつもはあまり僕から動く事は少ないので、レッコは意外なことに少し驚いているようだった。
「ストップストップ!ラトが先先行くなんて珍しいね?」
酒場の手前でブレーキをかけられる。
「ごめん。流石にあの人はヤバいなって思って……」
「あった時からヤバいんじゃないかとは思ってたけどさ……。なんとなく……なんとなくアイツらグルなんじゃないかって思って」
レッコの意見を聞いて、フランクさんの表情の移り変わりの激しさがなんとなくわかった気がした。
可能性はある。
僕はさっきまでの走った勢いが殺され、自分から進む気なんてさらさらなかった。
そんな僕をレッコは「しょうがないな」と言うように口角を少し上げため息をつき、酒場の入口のドアを力強く開けた