Alchemiastory 【故郷を忘れた2人の秘密の冒険記】   作:rekko

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裁き

城に入り王の間に入れてもらうと、玉座に座っていたこの国の王、ドレイク大公陛下がゆっくりと立ち上がった。周りにはメイドが5人、ドレイク王に沿うように並び立っており、その中には先程見たミーナとこの間助けたシンシアも並んでいた。

そしてその脇にはあのフランクも得意げな顔をして立っていた。緊迫した空気が漂う中、最初に口を開いたのはドレイク王だった。

「武器庫から武器が何者かに盗まれておる。それを盗んだのは主らだと、フランクより報告を受けているが、相違はないか?」

腕を組み、真っ直ぐ私たちを見つめずっしりとした重い声で話すドレイク王。

やはりフランクから聞いたのなら私たちを疑うか。

早速ラトが焦りの表情を見せた。

「それは……!」

「待ってくだせぇ!」

ラトが説明しようとすると、ナイスタイミングでマルクの声が聞こえた。

「主は出入りの商人……。名は、確かマルクといったか」

「その通りで」

マルクは武器を持って走ってきたにも関わらず、息切れひとつしていなかった。

武器を王に見せながら、私達の弁護をしてくれた。

「この人らは犯人じゃありやせん。この通り、武器も無事取り戻してきやした」

王はふむふむと相槌をうっており、ちゃんと話は聞いてくれるようだ。

一方フランクは、グルだったマルクが急に変な行動をしたのが不快なのか、顔をゆがめていた。

それでもマルクの弁護は続く。

「そもそも武器を盗んでいるのは魔王トッポ。奴を退治して武器を取り戻したのが、ここにいる冒険者様でさ!私はその荷物運びを頼まれたんでさぁ」

ここまで言うと、マルクはこちらを見て「どうだ、いい感じだろ」と静かに笑いかけてきた。

これを話が終わる度にやられたらいつかバレそうだ。

「怪しまれるからあんまりこっち向かないで」

「小声でもそういうの言わない方がいいよ」

ラトに注意され、再び目線をドレイク王の方にやると、ドレイク王はどこか納得の行かない顔をしていた。

「うむ……。マルクよ!そこに直れ!しばしこの話に付き合ってもらおう」

「は、はぁ……」

マルクを解放するかと思えば、マルクをこの話に付き合わせるらしい。

マルクは予想はしていなかったものの、特に大袈裟に驚くわけでもなく少しポカンとしてその場に片膝を着いた。

ドレイク王は顔をしかめ、フランクの方を向いた。

「どういうことだフランク。報告とは話が違うではないか」

その声は、いたずらをした孫を叱る老人のような少し優しめな声に聞こえた。

これに対しフランクは青い顔をしているんじゃないかとワクワクして見てみるが、全くもってそんなことは無かった。まだまだ余裕の表情で、ドレイク王の質問に答える。

「とんでもございません。あいつらは商人に武器を売ろうとしていて私めがそれを発見し、阻止させたのでございます」

よくまああんな嘘が息をするように出てくるもんだ。よくよく考えてみればそんな嘘を考える暇はいくらでもあった。

私達が呆れて、次は誰がどう出るかを考えていた時、玉座の方からまたも聞き覚えのある声がした。

「あ、あの、よろしいでしょうか」

「あ、君は確か」

私が反応すると 、特徴的な2つくくりの女の子は「そうです」と頷き

「ご無沙汰しております。シンシアです。その節はお世話になりました」

と、丁寧にお辞儀をした。その後直ぐ彼女は仏頂面をしてフランクの方を向いた。

「フランク兵士長。この方々はそんなことなさいません。私を無償で助けてくれた素晴らしいお二人です」

「ふむ。うちのメイドがそう言うのであれば主らが正しいのであろう。まずは褒美をとらそう」

今度は何も考えるような動作は一切見せず、即答だった。兵士長よりもメイドの方が信頼が強いようだ。

あれだけ自分は信頼が厚いだのお前らの話は聞かぬだの自分を棚に上げていた割にはメイドに負けているじゃないかと、私は勝手に心の中で笑っていた。

フランクが王に言ったことはもう信じては貰えないだろう。今度こそ青くなってるのではないかと期待しながら横を見るが、なんとまだ余裕ぶっこいた顔をしていた。

「冒険者よ。無実が証明できてよかったな。では、下がれ!」

「はーい……じゃなくて何言ってんの?!」

「フランク、待て」

余りにも張り切った声で言われたので一瞬そのまま従いそうになったがコイツよく兵士長なんて今までやってこれたな。さっきまで自分の言っていたことなんて全て忘れ、というか無かったような様子で話を締めようとした。

しかしまあ王はそれを許そうとはせず。

「どうかされましたか」

あからさまに嫌そうな顔をするフランク。

どうやら聞かれたくない事がありそうだった。

「どうしたもこうしたもさっきと言ってることがちが……」

「ストップ。ドレイク王が言いたいのはそういう事じゃないみたいだよ。一旦下がって」

ラトの指示通り、中っ腹になって思わず前に出ていた右足を引っ込め、話を聞く体制になると、ドレイク王は咳払いをして口を開いた。

「我は、以前も同じような話をした覚えがある。冒険者よ。なにか話すことがあるのではないか。我に真実を聞かせよ」

私達の裁きの後はフランクの裁きときた。

ちょうど良かった。言いたいことは全部こっちで吐かせてもらおう。私達の戦いの第2ラウンドが始まった

 

 

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