学園モノで、どちらかと言うと、地球メインのnotハーレム系夢物語(仮) 作:一一 一
《色彩魔術》
色彩魔術《カラーアーツ》とは、"色素"の性質を利用し、自身のイメージによって、色素を操作し、様々な事象を発現させる技能の総称。
特にコレといった区分分けは存在しないが、一般人に使用許可の降りているものは、
身体機能強化・細胞活性化・浄化・殺菌・解毒・水球・微風・火球・防壁の九つのみである。
それ以外のモノは、法律により、使用許可が必要になる。
☆
琥太郎と宗は、遅刻寸前で教室へと入る事に成功する。
すると、「珍しいな、お前達が遅刻間際なんて。何かあったのか?」と声を掛けてくる男子生徒が一人。
「おはよう、雅也」
「おはようさん」
雅也、と呼ばれた彼は「あぁ、おはよう」と返すと、再び聞き返す。
「それで、何かあったのか?」
「いやさ、コンビニで買った朝食を泥棒猫に盗られてさぁ……追いかけてた」
「らしいで?」
「……」
雅也は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにいつもの真顔に戻る。
「相変わらず勿体無いよなぁ……」
「せやなぁ……」
雅也はもっと愛想を良くすれば良いのに、と二人は思う。
雅也も宗に負けず劣らずのイケメンなのだが、持ち前の真顔と言葉遣いから、少し近寄り難いイメージを持たれている。
しかし、いざ接してみると、細やかな気遣いの出来る気さくな人間だ。
そのギャップがイイ!! と、一部の女子から大ウケしている。
「毎度毎度何の話だ?」
まぁ、本人に自覚は無いが。
「いや、何でもないよ」
「それよか、もうすぐHRやで?」
「……まぁいい」
そうして三人が席に着いたところで、教室の引き戸が引かれた。
そして、そこから艶やかな緋色の髪を後ろでポニーテールに結んだ、スーツ姿の美女が入ってきた。
「おはようございます」
「「おはようございます」」
担任教師の挨拶に生徒が返事を返す。
「はい、ありがとうございます。それでは出席を取るので窓《ウィンドウ》を操作してください」
「「はーい」」
生徒達は各々利き手を外から内へと手をスワイプさせる。
すると、生徒達の目の前に、半透明のウェイバープレートのようなものが出現する。
そして、生徒達が操作を終える。
「はい、確認出来ました。お休みは……桧並さん?」
首を傾げる先生。それもそのはずで、桧並と呼ばれた生徒は教室に居る。
それも琥太郎の隣に。
「桧《・》並《・》先生、麗奈寝てました」
「zzz……zzz……」
桧並《ひなみ》 麗奈《れいな》。それが今、琥太郎の隣で寝ている少女の名前であり、琥太郎のクラス──1-1の担任教師の桧並《ひなみ》 茜《あかね》の娘である。
しかし、茜の容姿はとても10代の娘が居る母親のものでは無い。ギリギリ成人迎えたか? 程度の見た目にしか見えない。現に、街に繰り出せばナンパの一つ二つは日常茶飯事の様である。
しかし、この事を知っているのは、ごく一部の人間だけである。
「……御笠《みかさ》さん、麗奈を起こしてください」
半ば呆れながら茜は言う。
「ははは……わかりました……」
琥太郎も半ば呆れながら麗奈を起こす。
「おい、麗奈、麗奈」
「んん……zzz……」
「麗奈、起きろ」
そう言いながら、身体を揺する。
「んん……うう……う?」
「ほれ、もう起きろ。出席取ってるぞ」
そう言われた麗奈は眠気眼を擦りながら、
「……琥太郎、おはよう」
と、挨拶をした。
「おはよう、麗奈。今出席確認してるよ」
「ん……」
眠そうにしながらも、出席確認を終える。
「御笠さん、ありがとうございます。確認出来ました。はい、それでは今日の連絡事項を────」
その後は至って普通にHRは過ぎていき、終わり際、茜は麗奈に一言。
「あぁ、桧並さん。HRが終わったら、職員室に来て下さい(ニッコリ)」
「……はい……」
まるで、この世の終わりを目の当たりにしたようなか細い声で、麗奈は返事を返す。
「よろしい」
対する茜は女神のような微笑みを浮かべていた。