黒龍伝説 ~The Legend of Fatalis〜   作:ゼロん

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ここまでは誰かが知る物語。
ここからは誰も知らない『あなた』がつくる歴史。

終着点にて伝説は待つ。




最終話後編 ~龍と狩人の歴史~モンスターハンター

 *****

 

 

 眠りにつく前に、ミラボレアスは自身の身体を見ていた。

 

(かつて自分にここまで傷をつけた生き物を見たことがあっただろうか)

 

 己の姿を見て逃げる生き物たち。それは全て獲物であると彼は認識していた。

 

 今まで襲った獲物との間に命のやりとりなどというものは存在し得なかった。

 

 あるのは蹂躙と殺戮。ただ生きるための捕食行為。

 

 だが先ほどまで、獲物と思っていたものが牙を剥いて襲いかかってきたのだ。

 

 シュレイド城の決戦。

 この時、初めてミラボレアスは狩りをした。

 

 そこには得体の知れない高揚感と興奮。飽くなき衝動。今までにない命のやりとり。それらを始めて体感した。

 

(ならばこの場所で眠り傷を癒そう。この地に留まろう。そして────)

 

 この場所にいれば再び同じ生き物が自分を倒しにやってくる。

 

 ミラボレアスは待つ。

 シュレイド城にて、狩るに値する力を持つ者を。

 

 *****

 

 風が、ガブラスどもが噂を運んできた。

 

 シュレイド王国の崩壊から時は流れ、世界には狩人が溢れたという風の噂を。

 

 ──────────非常に喜ばしきことだ。

 

 どうりでやってくる人間が数百年前より増えたはずだ。

 手強き者も多くいた。

 

 その中でも数多の龍を狩り、狩人の極致へと登ろうとする者。

 

 その極致へと至ろうとする男はシュレイド城跡へとやって来るとの噂も耳にした。

 

 そいつがここに至るのはいつであろう。

 彼の者が来るまで、しばし我は眠りにつこう。

 

 

 *****

 

 

 時は流れ数百年。

 

 

「ハンターさんの古龍討伐を祝って————————————かんぱーい!!」

 

『かんぱーい!!』

 

 ハンターズギルドの集会場。

 多くの狩人が集い、モンスター討伐、撃退の依頼を受注する憩いの場である。

 

 そんな中、腕利きのハンターたちが、ある一人の若者に注目が集められていた。

 

「いやぁ、大したもんだ。この間までイヤンクックすらまともに相手できなかったのに!」

 

「炎王龍テオ・テスカトル! 爆砕の竜ブラキディオス! ついには巨大な蛇の新古龍を討伐すんだかんな!」

 

「ダラ・アマデュラ……だっけか。ガララアジャラの親戚みたいなやつだろ?」

 

「いやいや、比べものにならねぇよ」

 

 酒を飲みながら、若者の実績を語るハンターたち。

 

 そんな中、件の若者は受付嬢に話しかけてきた。

 

「……もうあの古龍の依頼が最後か?」

 

「はい。これで、ハンターさんが受注できるすべての依頼は完了しました」

 

「そうか」

 

 若者は残念とも、納得ともとれる声色でうなずいた。

 

「……そういえば、ずっと気になっていたんですが」

 

「はい、なんでしょう?」

 

 彼は奥の壁に飾られたギルドの紋章を指す。

 

「あれはなんのモンスターだ?」

 

「あぁ……あれは、伝説の黒龍をモチーフにしたものです」

 

「黒龍……聞いたことがない」

 

「えぇ、もちろん。わたし達ギルドのメンバーも、このモンスター……伝説の黒龍『ミラボレアス』の存在を疑問視しているんです」

 

 聞くところによると、ミラボレアスはおとぎ話のような存在として語られている伝説のモンスター。

 

「伝説によれば、世界の全土を焦土へと変える力を持っているとされています。かつて栄華を誇っていた大国シュレイドを滅ぼしたのも、このモンスターだそうです」

 

 うーむ……と悩ましい声を出し顔をしかめるz

 

「国を滅ぼしたモンスター……まるでおとぎ話のような存在だな」

 

「そうですね……口承で、口伝えで伝わっている伝説ですからね。真実は定かではありませんよ。発祥は赤毛のお姫様だとか」

 

「たしかに冗談に聞こえるな……もしもいるとしたら、どんなモンスターなんだろうな……」

 

 ぜひ会ってみたいものだ、そう若者は告げる。

 

「この古龍は、巨大龍の絶命によって蘇るとされています。もしかしたら……ハンターさんにも伝説と出会えるチャンスがあるかもしれませんよ?」

 

 ひとまず、依頼お疲れ様です、と受付嬢は若者をねぎらい、若者は用意された部屋へと戻っていく。

 

 それから数日後、シュレイド城跡近辺に調査に行った者たちが帰らぬ者になり、そのほとんどが消息不明。

 

 辛うじて帰ってきた調査員が黒龍の名を呟きながら狂死するという事件が起こることを、

 

 

 まだこの時、この二人は知る由もない。

 

 

 

 *****

 

 

 

『伝説の黒龍』

 

 

 

 *****

 

 

「ここがシュレイド城……完全に廃墟じゃないか」

 

 わずかな足音を聞きつけ、目が覚める。

 

「……足音が」

 

 人間よ。待ちわびたぞ人間よ。

 狩人の極みへと至らんとする者よ。

 

「こいつが……黒龍ミラボレアス!」

 

 我が名を呼べ。

 

 剣を抜け。矛を構えよ。その銃口を我に突きつけよ。

 我が豪火と爪でそれに応えよう。

 

 我が喰らってきた者たちの鎧と剣。

 取り込んできた我が全てをもって。

 

「狩らせてもらうぞ!!」

 

「──────────ッ!!!!!!」

 

 

 さぁ、我らの命のやり取り(狩り)を始めよう。人間の狩人たちよ。

 




あとがき

お待たせしました、ゼロんです!
これにて黒龍伝説 ~ミラボレアスの伝説~ は完結です!

ここまでお読みいただきありがとうございます!
いや……最初がきつかった。うん。

けれど感想欄でもやめないで書いてほしい、とのお言葉があり、
こうしてマイペースに完結させることができました。

言うまでもなく、ミラボレアスはモンハンの中で私が一番好きなモンスターです。
なかなか出てくる作品も少なく、公式では完全に秘匿されてますからね。

フィギュアも出ないわ出ないわ。
クシャルダオラで満足するしかねぇ!

けどやったねミラちゃん! 20周年記念でフィギュア出るよ!
ワールドでも出演待ってるよ!

話がそれた。

たくさんの応援をありがとう!
見続けてくれてありがとう!

ソラナキさん、しばりんぐさん
感想をありがとう! 続けられたのも皆様のおかげです!

鯖の使者さん、いつもありがとう! 他の作品でもよろしくお願いします!

沙希斗さん、日が開いても感想を毎回くださってありがとうございます! もしかしたら書き終えられたのもあなたのおかげかもしれません。そうでなくとも、最大の原動力でした。ありがとう!

みなさんもよければ私の他の既存作品もよろしくお願いします!
オリジナル作品のネタも用意があるので、完成次第、投稿したいと思います!

では、また他の作品でお会いしましょう!
バイナラー!
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