ワープすると・・・
お約束があるのは知っているかな?
霊鵡さんが魔梨紗さんに引きずられて帰った昨日から、私はブルガリアという国に興味が津々だった。
この国ではない、別の国。そこには、どんな妖怪がいるのか、どんなところなのかという妄想をどうしてもしてしまう。
もし、その国で新しい人と出会えたらどんな人なんだろうということも考えてしまう。
「さてと、紫ちゃん。お願い」
「はい!師匠!」
師匠にお願いされて、師匠が言った大体のところにスキマを開く。
そのスキマに、師匠とルーミア様が入っていったのを確認して、私も入っていった。
スキマから出た場所は、霧が立ち昇る日本とは少し違う雰囲気の国。
少し古めの時計塔や、石畳の街道がものすごく不気味な雰囲気を醸し出している。
「っ!?」「!?」
「?」
いきなり、師匠とルーミア様が構える。
そして、私を守るように構えて、あたりを警戒し始める。
まさか・・・敵?
カツン・・・カツン・・・カツン・・・カツン・・・
人の気配のしない、霧の中。
そんな音が聞こえてくる。足音のようで、聞いたことのない音。
師匠とルーミア様が、それぞれの武器・・・師匠は、雨簾をかまえて、ルーミア様は、暗闇で剣を作り出していた。
私も、その足音を聞いていつでも、弾幕を張れるように妖力を高める。
「
「くっ!時雨流・・・雷帝っ!」
師匠が、雷光並みの速度で抜刀する。
あれは、時雨流の居合抜刀術で師匠の手にかかれば、鋼すら切ってしまうのだが・・・
その、刀は霧を少し斬るだけで、近づいてきているであろう敵には効果がなかった。
でも、私は近づかせないために、二人に当たらないように弾幕を放つ。
できるだけ濃く、そして近寄らせないように複雑に。
しかし
「
”それ”は、私の目の前で、嗤っていた。
直感的に殺気を感じ、隙間を開いてレーザーを放つ。
放ったレーザーはひらりとかわされてしまうが、師匠たちにそれで気づいてもらえたようだ。師匠とルーミア様は、即座に迫撃し、師匠は刀を、ルーミア様は暗闇の剣をお互いがお互いの邪魔にならないように振り始めた。
でも、その攻撃も”それ”は、軽々とかわしてどこからか大量のナイフを取り出した。
「
”それ”が、自身の周りにナイフをぐるっと大量に投げると、いつの間にかかなりのナイフが方向転換し、飛んでくる。
師匠とルーミア様は、自信を狙っているナイフだけを武器で叩き落して、私はスキマを開いてナイフをスキマの中に入れた。
師匠とルーミア様が、攻撃しようと近づくが・・・”それ”は、近づけさせないようにするためかナイフを大量に投げつけてくる。
地面に落ちたと思ったら、消えていて、地面に刺さっていたかと思ったのに次の瞬間には目の前にあるナイフに師匠とルーミア様は混乱しつつ、冷静に的確にナイフを落としてゆく。
師匠とルーミア様が私のことを守ってくださる間に私は、”それ”をよく観察する。いまは、師匠とルーミア様に頼りきりだけど、いつかは私一人で、戦闘と観察をこなして見せる。
”それ”が投げる癖は、まず右手をスナップをかけて6本を投げる。そして、そのすぐ後に左手はスナップをかけずに同じく6本を投げてくる。そして気づいた瞬間には、合計12本が、60本に増えておりどういう手品なのかはわからない。
でも、分かることはいきなり12本が60本になることは、”普通”ではありえない。そう、普通ならだ。あり得るとしたら・・・そういう妖怪なのか、もしくは”程度の能力”なのか・・・
「・・・あれ?」
周りの建物や明かりをともしている鉄の物体をよく見ると、高いところに刺さっているナイフは回収されずに突き刺さっている。(まず鉄に刺さっているのがおかしいんだけど・・・)
でも、地面に刺さったものや”それ”の身長的にジャンプすれば取れそうなところにはナイフが刺さった跡が、しっかりと残っている。
・・・まさか。
師匠とルーミア様の前にスキマを開き、”それ”が届かないところにそれにつながるスキマを開く。
投げられたナイフが、師匠たちの前のスキマに入ってゆき、高いところで開かれている隙間から吐き出される。
建物の高いところに突き刺さったナイフは、いつまでたっても消えずにずっとそこで突き刺さっている。
”それ”も気づいたのか、ナイフの投げるのを一度やめた、私は多分ずっと開いていたらだめと思いいったん閉じ・・・
酔うと思ったけど、私の目の前で急いでナイフ一つが通るぐらいのスキマを開く、するとそのスキマにナイフが飛び込んでゆき建物の壁に突き刺さった。
「
「なんていっているか、わからないけど・・・とてつもなく嫌な予感がするわね・・・」
「
途端、大量のナイフが目の前に現れる。
「紫ちゃん!」「紫ちゃんっ・・・」
師匠と、ルーミア様がそれぞれ私の名前を呼ぶ。
でも・・・師匠、ルーミア様・・・私だって
「成長するんですよ!」
目の前に小さなスキマをナイフが飛んでくる順番に開いて、ナイフが入った瞬間に閉じて開きっぱなしのスキマを操って吐き出す、そしてすぐに別の小さなスキマを開いてナイフを同じようにする。
それが、超高速で行われるため私はすぐにめまいに襲われる。でも、めまいがなんだ・・・今まで、辛いことなんていっぱいあった。だからめまいごときで!
「
”それ”は、目の前だけでなく私を囲うようにナイフを投げ始める。
でもそれも、さっきと同じようにしてどんどんとナイフを高いところの壁に突き刺さらせる。
あと・・・何本だ。”それ”が投げるナイフの弾切れを何度も願うように隙間を開く
「紫ちゃん・・・負けるな!」
「師匠・・・はいっ!!」
師匠の掛け声で、私は奮い立つ。
そうだ・・・大好きな師匠の前なんだ・・・かっこ悪いとこ見せられないや!
そう思い、堂々と立って感覚を研ぎ澄ます。
すると、全部がスローになり、ナイフがどこから飛んでくるのかよくわかるようになり始めた。
そのおかげで、さっきの方法では、取りこぼしがあったものの・・・(私に突き刺さることはなかったものの)
それが起きてからは、取りこぼしが極端になくなり始めた。
「
「これが、私の・・・全力だああぁぁぁっ!!」
最後のナイフが吸い込まれた後に、折りたたんだ傘で、”それ”に殴りかかる。
”それ”は、驚きで反応が遅れてしまい、私に大きな隙を見せる。
「
「時雨流・・・奥義『
「グアッ・・・
そういって、”それ”は倒れた。その直後、私も膝から崩れ落ちる。
流石に、私も脳を酷使しすぎたようで、疲れがどっときて・・・一時的に、頭が働かなくなり始めた。
「紫ちゃん!」
「あ・・・ししょぉ・・・・・・わたし・・・がんばりましたよぉ?・・・・・・だから・・・ほめて・・・・・・ほめてくだしゃい・・・」
「うん・・・うんっ!よく、よく頑張ったね。紫ちゃん・・・」
「はいぃ・・・ししょぉ・・・」
ああ・・・ししょぉ・・・あったかい・・・なぁ・・・
side ru-mia
目の前で、時雨君が紫ちゃんを抱きしめてすごく甘やかしながら褒めている。
こうしてみれば、もうカップルのようだが、この二人は付き合っていない。大切なことだからもう一度言うと”この二人はまだ付き合っていない”。
紫ちゃんは、幼い子供の用に幼い言葉で、時雨君に甘え。時雨君は、嬉しいようで悲しいような感じで大切に褒めている。
(この二人・・・さっさと付き合っちゃえばいいのに・・・さてと)
「
「
驚いた・・・紫ちゃんの”未完成”の水天竜・・・。私は見たことないけれども、それでも未完成とも見えるそれでも、並の人間では死んでしまい威力だ。
妖怪としての身体能力と、未完成といえども”ほぼ完ぺき”なフォームでその威力を発揮させたのだ。
だから、並の人間では真っ二つか、木っ端微塵だろう・・・しかしこの”人間”は耐え抜きこうして倒れているだけで、すんでいる。肋骨さえ折れていないのが本当に不思議である。
「
「
なるほど・・・そういうことね。
通りで、彼女があの一撃を耐えられたわけだ。
私は、これでも超古代の妖怪・・・この世界のあちこちに私の眷属が何体もいる。
そして、このイギリス・・・ロンドンにいる眷属が教えてくれたことだが。妖怪を軽々と殺すとある”女ハンター”がいるらしい、このイギリスにいる妖怪の大半が女性に化けているために・・・いつの間にか処女の女性を殺す殺人鬼として言い伝えられ始めたが・・・その眷属の調査によると、彼女はまだ人間らしい。
「
「
この子、妖怪のこっちでの呼ばれ方も知っている。
と、言うことは・・・この子は、その手の組織の手下ということだ。だから、妖怪のこっちでの呼ばれ方もこっち側での妖怪の呼ばれ方も知っていた。
ということは、今回のことは偶然じゃない?いや、そうだとしたら彼女一人ということがおかしい・・・私たちを完全に潰すとするとならば、この倍の人数を動員させるはずだ。
もしかして・・・
やっぱり、監視員が数名。
でも、監視特化の能力者みたいね・・・まるで、その組織の戦力はこの子しかいないということになる。
いや、おそらくこの子は捨て駒ね。これだけ強かったのに捨て駒なんて・・・ひどいわね。
「面倒ね・・・・・・常世『現世喰らい』」
私は、私の程度の能力を全力で発動させ、監視員だけを暗闇で喰らいつくした。
ひさびさの人の肉・・・少し、まずいわね。
「
「
私の本質は・・・闇。
だけど、人の心の闇は操れないだけ・・・
うふふ・・・
4578文字・・・初めて行った・・・
疲れた・・・イギリス語じゃなくて、フランス語だけど許してください。
というより・・・あと18話。あと18話ですよ!
・・・なんだか、長いようで短そう・・・