お話が少し進みますが、急展開かもしれません。
師匠と出会ってから、ほんの数日が流れた。
師匠に無理を言ってついて行っている間は、妖怪たちは手を出してくるものの
師匠がそのたびに
こうしてみると、師匠の強さが改めてよくわかる。
師匠の力を評価するとしたら、武御雷か素戔嗚のどっちかに近いだろう。
どっちなのかと聞いてみたら、笑顔ではぐらかされてしまい聞くことができなかった。
「いいかい、強くなるコツなんてない。強さなんて人それぞれ、イメージでどうにかなるんだよ。」
「そうなんですか?」
「ああ、特に妖怪は自分が勝つイメージをしっかりと鮮明に持つことによって強大な妖気を発することができるんだよ。」
「へー」
師匠と旅をしていて、つまらないと思った日はない。
師匠と笑いながら歩くだけでも楽しかったし、師匠にはぐれないようにと手をつないで歩いたこともある。
その時は、顔が赤くならないようにするのに精いっぱいで無口になってしまった。
「よし、ここで止まろう。明日には町に着くし」
「はい!師匠」
私は、スキマを開き、中から野営の準備を取り出す。
慣れた手つきでてきぱきと作り上げ、師匠のために枝を集めに行く
「夜を越え境界線を見る♪ 何時かの記憶を手繰り寄せ♪ いつまでも其処にあり続ける♪ 夢に身を委ねて♪」
いつの間にか、そう口ずさんていた。
多分、私は師匠と一緒に旅ができてうれしいんだと思う。
あの人は、優しいし私だけをしっかりと見てくれる。しかも、間違っていることはちゃんと叱って教えてくれて、いいことをすれば頭をなでてくれる。
それだけでも、私はうれしいのだ。人間の親子みたいな関係・・・それをずっと望んでいた。
師匠は血はつながってないが、それでもうれしいのだ。
「ふふ、師匠。よろこんでくれるかなぁ~♪」
いっぱい、乾いた木の枝を集めて野営の場所へと戻る。
これだけ集めたんだから、師匠もきっと褒めてくれるはず。
「なあ、あんさん。いいのかい?あんたの最後の願いでそうやってこの国を見て回っているのに」
「・・・ああ、あの子には本当に申し訳ないとは、思っている」
師匠と誰かの話し声がして無意識に妖気を隠し木の陰に隠れる。
え、どういう・・・
木の陰からこっそりとみると、師匠と知らない女の人がそこにいた。
女の人はあきれた表情、師匠はいつも通り糸目で表情が読みずらい。
「なら、分かっていたなら。なぜついてこさせた、あんたの命は」
「わかっている。わかっているから、言わないでくれ。ああ、確かに僕は今年の夏の終わりに死ぬ。」
・・・えっ。
そこからの会話は全く聞こえなかった。
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side komati
目の前にいる男は、かつて世界を騒がせるほどの剣客だった男だ。
しかし、おおよそ半年前に既に死亡しておりやり残したことの清算のためにこうしてこの国を回っている。
十王様たちの許可は、満場一致で承認。私は、いわばこいつのお目付け役ということだ。
だが、その許可も条件付きで、今年の夏中に回る手はずになっている。
「だったら、なおさら何故あの子をあんたは」
気になっていたことを聞いてみる。
死ぬとわかっていて、彼はあの子と会うまで極力人とは関わらないようにしていた。
しかし、あの子・・・八雲紫と旅をするようになってからは人と関わるようになっていた。
「あの子には、この世界の美しさを知ってほしい。
人々の笑みを、妖怪たちの生き様を、植物たちの賢明さを、動物たちの生を・・・
あの子には、それを学んでもらって、作ってほしいものがあるんだ。」
ピクン・・・
と、木の陰に隠れている八雲紫の肩が少しだけ跳ねる。
「人と妖怪が共存する楽園を、争う必要がない箱庭を」
「け、そんな幻想。よく夢見るもんだね。」
「おや、ボクの能力を忘れたのかい?。」
「予感を必中させる程度の能力。戦闘にも使えるし、未来予知もできる優れものの能力」
「あの子は、きっとそれを成し遂げる。ボクが鍛え上げた後に、ボクの屍を超えてでもね。」
「あんた、最低だね」
「それしか、あの子にはしてあげられないからね。」
悲しそうに顔を伏せる男。
この男がそれをすると、様になってしまっているのが若干ムカついてしまう。
あたしは、肩をすくめて三途の川に帰る準備をした。
「おっと、こいつを言い忘れた。」
「?なに?」
「あんた、面倒くさい奴に惚れたね。」
「?」「?!」
目の前の唐変木はその言葉に気づいていないようだが、木の陰に隠れている子には効果はあったようだ。
能力を使い、すぐさま三途の川に帰る。
さてと、一応頼まれたとはいえ連絡なしはまずかったか。
そう思いつつ、目の前にいるボーイスタイリッシュなロリ閻魔に苦笑いを向けた。
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side yukari
「人と・・・妖怪が、共存する。争いの必要のない箱庭・・・」
暗く、落ち込んでいた私でも聞こえたその言葉。
それが、師匠が期待する私の目標なのか。ああ、そうだ。師匠がそういったのだ。それが私の目標だ。
師匠が今年の夏の終わりに死ぬ?師匠は人間だ。いつ死ぬかもわからない。
だったらどうする、最後まで私は師匠の知る
師匠に恋心を抱く
私はそう決意し、木の陰から出る。
「師匠!木の枝、集め終わりました!」
「ん、そうか。ありがと・・・」
「?師匠、どうかしました?」
「ううん、なんでもない。気にしないで」
嘘だ、気にしている。私から目を逸らそうとしている。
私は、そういいたいがグッとこらえて火を焚く準備をする
師匠は、悲しそうな雰囲気を纏って私を見てくるが、私はそれに気付かないふりをして
食材を切り始めた。そうだ、私は勘づいていても無視しなければならない、それが、師匠が思う
あぁ・・・夏が終わらなければいいのに・・・
雑炊を食べ終わった後、私が火の番をすると言い焚火を見る。
その間師匠は、静かな寝息を立てて安らかに眠っている。
師匠が、死ぬ。師匠がいなくなる。そう考えただけで、私の身は冷たくなってゆく。
考えられない。もはや武神としか思えないほど強い師匠が死ぬかもしれない事実がどうしても受け入れられない。
私は、焚火に水をかけて消化し、眠ろうと目を瞑る。だけど、師匠がいない恐怖をどうしても感じてしまい、震えた。
そうだ、この間だけ、私は師匠に恋心を抱く
「んっ・・・紫ちゃん?」
「師匠・・・怖い夢を見たので、一緒に寝ていいですか?」
「うん、大丈夫。ボクがいるから」
「はいっ・・・」
この夏の間だけね・・・師匠は小さくそういった。
私はその言葉を聞こえないふりをして師匠に体を預けるのであった。
師匠の心臓の鼓動の音は聞こえない、死んでいるから聞こえない。
師匠の手が冷たい理由も、肌が白い理由も死んでいるからだ。
でも、師匠は・・・暖かかった。
あぁ、死んでほしくない。私を一人にしないでほしい。
貴方が死んだら・・・私は、どうすればいいの?
貴方についていくことで、ようやく・・・ようやく生きる希望を見つけたのに。
いやだ、この夏が終わってほしくない。この夏が永遠に続いてほしい・・・
嗚呼、神様。どうか彼を・・・師匠を
はい、紫さんは初心な依存症の女の子。
と言う性格でこの物語は進んでいきます。
いわゆる、ヤンデレ末期です。病んではないけど依存してます。
あ、あとこれは時代では平安時代あたりです。