上のカウントダウンがこのお話の終了までのお話の日付です。
不要ならば、ご指摘ください。お願いします。
師匠よりちょっと早く起きて、私は師匠の知る
そうしないと、おそらく私はだめになってしまう。恋心を抱いたままの私では、師匠を苦しめてしまうからだ。
背伸びしてちょっと柔軟体操をして、スキマの中で服を着替える。
着替え終えて、スキマから出ると、ちょうど師匠が目を覚ました。
「あー、おはよう。紫ちゃん。」
「はい!おはようございます!師匠!」
できるだけ元気に、できるだけ明るく挨拶を返す。
そうでもしなければ、私もおかしくなってしまいそうだから。
師匠は、うーーん。と言いながら背伸びをする。
そして、雨簾を腰脇に差して、荷物を持つ。
「じゃあ、行こうか。紫ちゃん」
「はい!師匠!」
「紫ちゃんは、今日も元気だねぇ」
カラ元気・・・ですけどね。
その言葉を、言わないようにして師匠の手を握る。
師匠もにこやかに握り返してくれる。師匠の手は、相変わらず体温を感じられない。
でも、それは温かいものだった。
ゆっくりと街道を歩いていると、目の前で行き倒れている人を発見する。
銀髪で珍しいモンペという和服を着ていて、大の字に倒れている。
ちなみに、そのモンペには大量のお札が張られている。
「師匠。」
「助けよっか、紫ちゃん。調理器具をお願い」
「はい、師匠!」
私は、スキマを開きその中から調理道具を取り出す。
師匠が火をつけだしたので、私は意識を集中させて音を聞くのに専念する。
木々がざわつく音、風がうなる音、セミが鳴く音に、そーなのかーという声・・・
最後の一つは無視して、ようやく目的の音を見つける。
その場所に能力で瞬間移動し、しっかりとそれを見た。
「うん、さすが私。魚がいっぱいいる川を見つけた。」
自分で自分をほめながら、スキマから網を取り出す。
師匠が作ってくれた式(紙人形)を使い、網を広げて川に投げる。
ちょうど、魚が密集している場所に網は落ちて魚が大量にとれた。
「よし、大量大量。」
魚を血抜きして、能力で腐らないように境界を操る。
それを、食材用のスキマを開いて入れて、さっさと師匠の元にもどる。
「師匠!ただいま戻りました!」
「うん、おかえり。成果はどうだった?」
師匠が私を見てそう聞いてくるので、さっき取れた魚を見せつけるように取り出す。
どや顔で師匠を見ていると、頑張ったね。とだけ言って、頭をなでてくれた。
境界少女&師匠調理中・・・
「がつがつ・・・」
「そんなに急いで食べなくても大丈夫だよ。えっと・・・」
「mgmg、ごっくん。妹紅だ。藤原妹紅。」
「藤原?もしかして、藤原道長の?」
「ああ、一人娘だった妹紅だ。」
藤原道長・・・たしか、平安京の有数な貴族で強い権力を持っていたとか
噂では、かぐや姫の騒動の一件ですっかり自暴自棄になってしまってその権力も落ちたとか。
しかも、道長には一人の娘がいて、その娘はかぐや姫と並ぶほどの美人だとか。
こうしてみると、大人っぽい雰囲気を纏っており男の人にも劣らないカッコよさを持っている。
「それで、なんであそこで倒れてたんだい?」
「あぁ、それはな。」
妹紅さんが言うに、妹紅さんとかぐや姫は一度お忍びで出かけたときに知り合ったらしく、親友の関係らしい。
で、かぐや姫が月に帰っていないことを本人からの手紙で知った妹紅さんはその手紙に書かれた竹林に向かおうとした。
その時に道長さんに、親子の縁を一方的に切られて数日分の食料を渡されて追い出された。
それで、節約しつつ何とかここまで来たものの・・・食べるものがなくなりそのまま倒れてしまったらしい、
しかも、妹紅さんは蓬莱の薬という、完全な不老不死になる薬を飲んでおり死ねないままでいたらしい。
そこに、私と師匠が通りかかり今に至るということらしい。
「まったく、ぐーやになんて言ってやろうか」
「仲いいんだね」
「ん?そうか?ま、私とぐーやの仲だからな、甘味でできた絆ってもんは固いんだよ。」
「「へー」」
「おい、その心のこもってない、返事はなんだ?」
だって、ねぇ。と私と師匠は顔を合わせて笑う。
この人の雰囲気では、甘いものとか言わなそうな雰囲気で、むしろお酒をかっこよく飲んでるような感じだ。
妹紅さんは、それに気づいたらしく、頭に手を置いて恥ずかしがっていた。
「さて、あたしはこれで、失礼するよ。あ、そうだ。あんた、少しいいか?」
「え?あ、はい。」
私は、師匠を見るが師匠はほら、行った行ったとジェスチャーしているので
おとなしく師匠に従った。
妹紅さんにおとなしくついて行ってあの野営地からかなり離れた後妹紅さんが振り返った。
「あんた・・・なんで、死人と一緒に旅をしている?」
「・・・・・・」
やっぱり、聞いてきた。
「その反応・・・知ってるなら、なおさら何故。」
「私は、師匠が死んでるのなんて知ってます。だから、ついて行ってる。
師匠がいなくちゃ、私はだめになってしまうし、師匠を望みをかなえたいから、私はあの人と旅をしてるんです。」
妹紅さんにそう言いながら妹紅さんの赤い目を見る。
この覚悟は、誰であろうと動かすことはできない。これが、
師匠が死ぬ。ならば私は、その最後まで隣にいて師匠の知る私として見送る。
恋心を抱く私は、いないほうがいい。たとえ、その恋心がとても大切だと言えども。
「はぁ、あの男は相当な曲者だと思ったが・・・お前もお前で、変わってるな。人間に恋する妖怪だなんて」
「この国には、妖怪と人間が愛し合うことなんてよくあることですよ?」
「ま、それもそうか。実際、私もそんなもんだし・・・」
と、妹紅さんが踵を返してそのまま森の奥へと入ってゆく。
「ま、頑張りなよ。あ、これは人生の先輩としてのアドバイス。」
「??」
「恋ってものは、時に人を豹変させるんだぜ?私の親父がそうであったように。」
「・・・」
「だから、これだけは言っておく、死ぬ前でもいいから素直になってその気持ちを伝えろ。」
「でも・・・それだと」
そのまま妹紅さんは、かっこよく手を振りながら歩いて行った。
でも、私は・・・その姿をただ見ているだけしかできなかった。
なんで、私は・・・そこで言い返せなかったのだろう。
それでも、私は師匠の知る私でいる・・・と・・・
そのころの道長さん
「妹紅に嫌われた妹紅に嫌われた妹紅に嫌われた・・・」
モブ1「道長様、最近暇があればずっとぶつぶつ妹紅様に嫌われたって言ってるな。」
モブ2「心配なら、ついていけばいいのに」
「それだっ!」
モブ1、2「「えぇ?!」」
親バカだった。