真夏に咲いた一輪の恋花   作:ソウソウ

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 日間ランキング9位………嘘だぁ。
 それと誤字報告してくれた方、ありがとうございます。ただ………技名を漢字表記にしてるのは仕様であって、間違いではないってことだけご理解頂ければかと思います。お手数煩わせてしまってすみません。
 それと話が変わります。前回の後書き通り、独自設定が追加されます。後々、響いてくる予定です。

 では、どうぞ。



-15-『草者×乱戦』

 ◇◇◇

 

 森林。

 

「………ツタージャ?」

 

 登場と同時に目の前のツタージャは"リーフブレード"で私とアシマリの拘束を解いた。

 この子は私を助けてくれた。

 そして、男達に敵対している。どうやら私の味方という解釈で良いみたい。

 まずはこの子とコミュニケーションを取りたい所。

 が、ツタージャの視線は一切、男達から外すことはない。その姿はまるで小さな戦士。

 ツタージャの肩から伸びる二つの蔓はバトルの基本武器となるようだ。先程からペシペシと地面を叩きつけて威嚇している。

 

「こいつ、誰のポケモンだ?」

「分からん。少なくとも俺達のリストには存在しないポケモンだ」

「だとすれば………もう片方の野郎のポケモンか?」

 

 服に付いたゴミを払い、私は立ち上がる。

 二人の男はツタージャから距離を置いて、作戦会議を始めた。

 途切れ途切れに聞こえる単語。

 それらから推測するに襲撃者の目当ては私以外にいるらしい。

 

「タージャ!!」

「えっ!?どうしたの!?」

 

 次の瞬間―――ツタージャが突撃した。

 先程のは気合い入れただけの雄叫びに過ぎなかったようだ。反応しただけあって、少し恥ずかしい。

 地面を高速で直進。目指すはゴルバット。

 だが、相手は空中に浮かんでいる。近くまで接近しようものなら、その分だけツタージャも隙を見せることに。

 

「くそっ!!こいつ、早いぞ!!」

「良いから応戦しろ!!アリアドス、"ねばねばネット"!!」

 

 横槍が入る。

 ツタージャの進行方向左前にある木の幹に構えていたアリアドスが広範囲に渡り、蜘蛛の巣を広げた。

 あれに捕まってしまうと一時的に動きが拘束されてしまう。

 ちらり、と頭上を確認したツタージャ。

 二本ある蔦の一本を右前の極太の幹へ伸ばした。電光の如く伸びた蔓先はぐるりと幹を数回巻きつく。

 そして、伸びた蔓を懐に仕舞う要領で自身の体を巻き付けた幹へと近付けさせた。

 

 ―――す、凄い………。

 

「避けられた!?」

 

 幹へ着地したツタージャ。

 幹に巻き付けた蔓は既に巻き取ってある。無駄のない一連の動きに私の視線は釘付けだった。

 力強く幹を蹴りつけ、再び突撃。

 ゴルバットが射程内に入るなり、蔓をゴルバットの両翼に巻き付けた。

 こうなればゴルバットも身動きが取れない。逃げようにも肝心の翼がぐるぐる巻きにされてある。

 一方でツタージャは急ブレーキからの背後へ振り向く。地面にギギギ、と跡が残るぐらいに力が込められていた。

 ただ、いきなり止まれば前に進もうとする慣性の法則が作用する。

 ツタージャはそれを賢く利用した。

 蔓へと上手く力を流し、ゴルバットを豪快に投げ飛ばしたのだ。

 その先にはアリアドス。見事に衝突。

 

「ただのツタージャじゃない!?」

「くっ………力が桁違いだ」

 

 俗に言うあの技は―――"蔓のムチ"。

 

 草ポケモンの基本技のはず。

 ただ、あんなに派手な使い道があったのは知らない。

 

「ゴルバット!!"エアスラッシュ"!!」

 

 敵が反撃に出た。

 さっきの攻撃でアリアドスは戦闘不能に追い込まれていた。アシマリの攻撃が響いたようだ。

 "草タイプ"に相性が良い"飛行タイプ"を持つゴルバットはダメージがあまりない様子。

 男の指示に反応したゴルバットは空中に飛翔、翼をはためかせ、沢山の風の刃を生成した。

 

「タジャ!!」

 

 今度は大きく真上にジャンプして回避。

 このツタージャ、素早さが異次元過ぎる。いや、これはバトルに余計な行動を全て省略した努力の成果なのだろうか。

 宙に浮かび上がったツタージャ。

 一見、草タイプでは隙だらけの瞬間なのだろうが、私の目に写るそれが全てを否定する。

 

「なんだよ!?あれ!!」

 

 ツタージャの肩から伸びた蔓。

 どんどんと底無しに伸びてくる。蔓はやがて、ツタージャの目の前の空間に何かを成すように蔓が巻いていかれる。

 不思議な光景だった。時間がスローになったような錯覚さえ覚える。

 

 完成したのは―――()()()()

 

 草緑の拳。

 全長は人間並みにある。それら全てが二本の蔓だけで構成されていた。

 ツタージャは蔓を巧みに使い、拳をゆっくりと引いた。

 

 刹那―――発射。

 

 スピードは相も変わらず電光。

 しかも、その範囲と威力は"蔓のムチ"とは比べ物にならない。

 ゴルバットのトレーナーもその圧巻した光景に指示すらも忘れてしまっていた。

 成すすべなくして、ゴルバットに命中。空中から一気に地表へ押し潰されてしまった。

 

「も、戻れ………ゴルバット」

 

 巨大な拳が霧散した。

 次には、其処で目を回すゴルバットの姿が浮かび上がった。

 一撃。相性の不利を覆す理不尽な一撃。

 瞬時の判断力と行動力。そして、それらを可能にする運動能力。

 並大抵のツタージャでは絶対に不可能な動きをこの子は魅せてしまった。

 

「No.13、まだまだいけるな」

「や、やるのか!?あのツタージャ!!絶対に()()()()()の使い手だぞ!?」

 

 ―――"オリジン技"。

 

 定義は以下の通り。

 ポケモン協会が公式に発表していない技。

 同じ種族のポケモンでも一部の個体にしか発動できない例外的な技を指す言葉。

 オリジン技のどれもが驚異的な威力や効果を秘めており、公式バトルでは使用禁止とされるぐらいに不条理な技でもある。

 でも、不思議な事にオリジン技を習得できるのは最終進化系のポケモン以外らしい。進化せずに己の信念を貫いた象徴として、オリジン技が誕生した説もあるぐらい。

 アリアドスの使い手は相方の動揺にも冷静に答えた。

 

「だからこそだ」

「………はぁ?」

「ここで俺達があいつをやれば、邪魔物の排除となり、結果的にリーダーの計画に貢献することになる。昇格出来る絶好の舞台にまさに俺達は立っているんだ」

「………成る程。一理ある」

「オリジンの使い手とは言え、所詮は進化前のポケモン。よりにもよって、あのツタージャとなれば、油断さえしてない限り―――いける」

「了解」

 

 男二人は新たにボールを投げた。

 前者。ラクダのような体格。背中に付いた火山みたいなコブ。ふんす、と漏れる鼻息は炎の塵と化す。

 ふんかポケモン『バクーダ』。

 

 後者。悪魔を彷彿とさせる先端が三角形状に尖った尻尾。大型犬のような姿。頭には角が二本生え、胸には髑髏の装飾。背中に肋骨状の装飾がある。

 ダークポケモン『ヘルガー』

 

 二匹のポケモンが同時に吠えた。

 最悪。よりにもよって最悪だ。どちらも"炎タイプ"を主体とするポケモン。ツタージャが相手するには不利すぎる。

 バクーダは特にそう。特性"マグマの鎧"は近接を得意とするこのツタージャにはさらに痛手だ。

 触れる度に火傷をする。物理技は推奨しない。

 流石にこれではツタージャも臆するのではないかと考えた私。アシマリによる援護さえあれば、まだ勝機は―――

 

「ツタージャ!!………え!?」

「タジャ!!タージャ!!」

「………うそ」

 

 すっごくヤル気満々だ。

 小さな掌で軽くシャドーして、挑発するぐらいにツタージャは闘志が燃えていた。

 ダメだ。強敵が登場する度にテンションが上がってしまうタイプだ、この子。

 

「へぇ~。あくまでやり合うって訳か………」

「ヘルガー!!"火炎放射"!!」

 

 元ゴルバットの使い手が今回はヘルガーに指示を下す。

 火炎のビームがツタージャ目掛け襲うが、華麗にステップで避けていく。

 

「バクーダも"火炎放射"だ」

 

 さらに加わる火の猛威。

 流石に他人行儀に観戦するだけではいられまい。

 アシマリに指示を出そうと―――その瞬間に、辺り一体に謎の轟音が鳴り響いた。

 

「今のは何だ!?」

「分からん!!こっちからか!!」

 

 音源は男とツタージャが対面する丁度平行線上。

 まるで木々が薙ぎ倒される音。何かが大暴れしているような。

 徐々に聞こえる音量は大きくなり―――

 

「ガァァァァァアアアア!!」

「ラァァァァアアアアア!!」

 

 迫力満点に新たな乱入者が出現した。

 それも二匹。互いに取っ組み合い、どちらも引けを取らない。

 音の原因はこれだ。どちらも周りに一切の容赦がない。目の前の敵のみに集中している。

 片方は大きな熊の姿をしたポケモン。腹部分の黄色いリング模様が目立つ。

 

 とうみんポケモン『リングマ』。

 

 そして、リングマを相手にしているのは―――

 

「ラーグ!?」

 

 会うのは二回目となる『ラグラージ』。

 彼の手持ちの一体。しかも今のラグラージは前と同じ姿―――メガ進化をしている。

 ツタージャと男二人のバトルを邪魔をするように出現したリングマとラグラージ。

 

「これは!!No.11のリングマか!!」

「不味いな………少し、離れるぞ」

 

 殴り合いは終わらない。

 と、ラグラージがリングマの両拳をがっちり掴み込んだ。

 ぐぬぬと力を込める両者。

 が、状況を優位に進めたのはラグラージ。メガ進化した分、パワーもより強力になっている。

 腕をひねりあげ、リングマがダウン。

 そこに、

 

 渾身の―――"冷凍パンチ"、炸裂。

 

 お腹に直撃。悲鳴を上げたリングマ。

 これにより、リングマは戦闘不能へと陥った。

 

「おい………リングマが負けたぞ」

「あのラグラージも奴のポケモンってことになるのか。厄介だな………」

 

 男二人は冷静に分析。

 一方でツタージャはというと。決着が一段落ついて、落ち着いているラグラージの側へと歩み寄っていた。

 

 そして―――

 

「タジャ」

「ラグ?」

「タジャ!!タージャ!!」

「ラー?ラグ!?」

「タジャ」

 

 謎の会話が始まった。

 ポケモン同士の会話は人間には解読不可能。大人しく様子を見守るしかない。

 ………にしても内容が気になる。

 

「ラーグ」

 

 話の区切りはついたみたい。

 ギロリ、と向けたラグラージの視線の先は男二人、それにバクーダとヘルガーがいた。

 ラグラージはまるでここからは俺が相手をしてやるとばかりに待ち構えていた。

 水、地面タイプを保持するラグラージに相手のポケモンとの相性は抜群。つまり、ツタージャとは選手交替の話をしていた、となるのだろうか。

 ただ、ラグラージは連戦となる。そこがちょっぴり不安。彼の手持ちポケモンなので、きっと勝ってくれると信じる。

 

「タージャ!!」

「な、何?」

 

 そして、ツタージャ。

 今の今まで私の存在を意識の片隅にもない動きをしていたツタージャが私の前へと、てくてく移動してきた。可愛い。

 蔓が森のさらなる先へ指差す。

 この子はラグラージと喋る仲。つまり、彼の六体目となる手持ちポケモンで間違いない。私を守ってくれたのも後できちんとお礼を言わないと。

 今すべきはツタージャの言いたい事を感じとる事。うん、何となく伝わってきた。

 

「あっちにソウさんが………?」

 

 ―――パシッ!!

 

「えっ?」

「タジャ!!」

「わ、分かったから!!引っ張らないで~!!」

「オゥ~」

 

 蔓に捕まれた右手。

 私はツタージャに問答無用に誘導されるがままになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -16- へ続く




 ◇◇◇〔オリジン技、解説〕

 "草者の拳"。威力:190 命中:100

 現在、ソウのツタージャのみ使えるオリジン技。
 "蔓のムチ"をひたすらに極め、極め続けたその頂点の座にのみ修得可能すると云われる最強の草の格闘技。
 蔓で形成された巨大な拳が放つその容赦ない一撃は並大抵の防御では通用しない。
(基本的にオリジン技は威力が高め、もしくは付属効果がえげつなくなっております)

*後にこの設定を存分に利用したトレーナーが登場する予定(だいぶ先)なのでしばしお待ちを。
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