【ラブライブ μ's物語 Vol.3】 雪の中の闇   作:スターダイヤモンド

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たぶん2話くらいで終わります。





暗黒の雪穂

 

 

 

 

 

この人の名前は『南ことり』。

ことりちゃん。

お姉ちゃんの幼馴染みで、μ'sの衣装担当。

 

私の憧れだった人…。

 

お姉ちゃんと違って、可愛くて、優しくて、お淑(しと)やかで、お洒落で…つまり女子力が高い。

 

私が物心付いたときから、いつも傍にいたから、第二のお姉ちゃん的存在と言ってもいい。

 

 

 

でも、今は…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私の大好きな人を奪っていくから。

 

あのまま『ただお姉ちゃんの幼馴染み』でいてくれたら良かったのに…。

 

 

 

それが醜い嫉妬だとわかっている。

私はどう頑張っても、ことりちゃんにはなれないから。

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

あの人がことりちゃんと一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

ふたりは凄く波長が合うみたい。

趣味も嗜好も…。

仲良くスイーツを食べているところを見たりすると、絶望的な気持ちになる。

 

 

 

きっと…死ぬほど足掻いても、あの人は私の気持ちを受け入れてくれることはないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人の名前は『西木野真姫』。

真姫先輩。

あの人と同い年で、μ'sの作曲担当。

 

医者の娘で、才色兼備…。

 

世間的には『ツンデレ』のイメージが強いけど『デレの部分』は滅多に見せない。

特に後輩の私たちには。

 

たぶん海未ちゃんよりも、冷静でクール。

だから、冷たい人と思われがち。

だけど、彼女の指導とかアドバイスは常に的確で、ちゃんと私たちを見てくれるんだな…とわかる。

本当は凄く優しくて、尊敬できる先輩。

 

 

 

でも…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私の大好きな人を奪っていくから。

 

あのまま『ただ高校に入って初めてできた友達』でいてくれればよかったのに…。

 

 

 

それが醜い嫉妬だとわかっている。

私はどう頑張っても、真姫先輩にはなれないから。

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

あの人が真姫先輩と一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

先輩は凄く癒されるみたい。

私たちには決して見せない…穏やかな表情をして、あの人に寄り添う。

仲良くピアノの連弾なんてしているのを見たりすると、絶望的な気持ちになる。

 

 

 

きっと…死ぬほど足掻いても、あの人は私の気持ちを受け入れてくれることはないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人の名前は『矢澤にこ』。

にこさん。

お姉ちゃんがμ'sを始める前から、音ノ木坂でスクールアイドルをしていた大先輩。

 

そういう意味では神みたいな人。

 

「お客様を笑顔にするのがアイドルの仕事」と言って、いついかなる時も、その信念を崩さなかった、いわばプロ中のプロ。

 

お姉ちゃんたちに出会わなかったら単なる『引き篭りのアイドルオタク』と呼ばれていたかもしれない。

だけど、お姉ちゃんたちも…にこさんに出会わなかったら、μ'sはここまで輝かなかった。

感謝しかない。

 

 

 

でも…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私の大好きな人を奪っていくから。

 

あのまま『ただ先輩』でいてくれたら良かったのに…。

 

 

 

いや、それは無理か。

 

あの人がいたから、にこさんはみんなに心を開いてくれたようなものだから。

 

 

 

だから、それが醜い嫉妬だとわかっている。

私はどう頑張っても、にこさんにはなれない。

 

 

 

でも…

 

 

 

あの人がにこさんと一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

アイドル好きの『師匠』と『弟子』。

『料理上手』と『白米天使』。

噂によれば、にこさんの妹と弟も、あの人に懐(なつ)いているらしい。

仲良くDVDコーナーで談笑してるところを見たりすると、絶望的な気持ちになる。

 

 

 

きっと…死ぬほど足掻いても、あの人は私の気持ちを受け入れてくれることはないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人の名前は『東條希』。

希さん。

μ'sの名付け親。

 

そして…にこさんと絵里さんを、ずっと見守ってきた人。

 

ため息が出るほどの豊かな胸と、それに負けないくらいの溢れる母性。

高校からひとり暮らしをしているとあって、すべてにおいて『大人の女性』。

ちょっぴり悪戯好きで、ちょっぴり…いや、かなりエッチ…。

 

妖しくも、つい信じてしまいたくなるスピリチュアルパワーの使い手。

私と入れ替わりで卒業しちゃったから、直接絡むことはなかったけど、傍にいたら、頼りにしてたと思う。

 

 

 

でも…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私の大好きな人を奪っていくから。

 

あのまま『ただの先輩』でいてくれたら良かったのに…。

 

 

 

それが醜い嫉妬だとわかっている。

私はどう頑張っても、希さんにはなれないから。

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

あの人が希さんと一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

この人が冗談半分でするセクハラめいた『ワシワシ』…。

噂じゃあの人に『それ以上のことをした』とも聴いた。

 

嘘か本当かわからないけど、想像するだけで絶望的な気持ちになる。

 

 

 

…というより、殺意を覚える…。

 

 

 

誰に?

 

 

 

もちろん、希さんに。

 

そして、それを拒否しない…いや、むしろ喜んでいるかのような、あの人…にも。

 

 

 

でも、それを伝えることは出来ない。

 

 

 

きっと…死ぬほど足掻いても、あの人は私の気持ちを受け入れてくれることはないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人の名前は『星空凛』。

凛先輩。

μ'sの元気印。

スピードスター。

 

μ'sに入るまで『ボーイッシュ』という言葉に縛られながら生きてきた人。

だけど、あの『ウェディングドレス』を着た日から、先輩は生まれ変わった。

本当は誰よりも乙女だったみたい。

 

いつも明るくて、賑やかで…時々毒舌で…この人がいないと、部活の雰囲気が何段階も暗くなる。

まさにムードメイカー。

いなくてはならない存在。

 

 

 

でも…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私の大好きな人の…

 

 

 

私の大好きな人の…すべてを知っているから。

 

あのまま…ただ、あの人の『幼馴染み』でいてくれたら良かったのに…。

 

 

 

それが醜い嫉妬だとわかっている。

私はどう頑張っても、凛先輩にはなれないから。

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

あの人が凛先輩と一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

 

バカみたい。

 

それが、あの人たちにとっては日常なのに。

そう…何年も前から…いや、きっと生まれた時からの日常。

 

私など、決して立ち入ることが出来ない空間…時間…領域。

それはことりちゃんでも、真姫先輩でもにこさんでも…希さんでも敵わない。

 

だから、凛先輩があの人に抱きつく度に、絶望的な気持ちになる。

 

将来、凛先輩が誰かと一緒になっても…あの人が誰か一緒になっても…ふたりはずっとこんな関係のままなんだろう。

 

 

 

ダメだ。

 

耐えきれない。

 

だけど、どうにもならない…。

 

 

 

死ぬほど足掻いても、あの人は私の気持ちを受け入れてくれることはないから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人の名前は『高坂穂乃果』。

言わずと知れた、私のお姉ちゃん。

μ'sのリーダーで、絵里さんのあとを継いで生徒会長も務めた。

 

いまや知る人ぞ知る…スクールアイドル界の大スター。

 

 

 

私は認めていないけど…。

 

 

 

人は彼女を『夏の太陽』と評する。

そう、理由はわからないけど、人を惹き付ける力…『カリスマ性』…みたいなものはあるらしい。

 

お姉ちゃんは、具体的な根拠がなくても『なんとかなるよ』で、すべて乗りきってきた。

それは、正直すごいと思ってる。

 

 

 

もちろん、嫌みだ。

 

 

 

ほとんどの人は、お姉ちゃんの本当の姿を知らない。

当たり前だ。

それは私が身内だからこそ、知り得ることだから。

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

嫌い。

大嫌い。

 

 

 

なぜなら…

 

 

 

私を大好きな人に『巡り会わせた張本人』だから。

 

そして、無責任に生徒会長を引き継がせて、あの人を忙殺させた人だから。

 

 

 

あのまま『ただお姉ちゃん』でいてくれたら、私はこんな気持ちに、苛(さいな)まれることはなかったのに…。

 

 

 

 

それが醜い感情だとわかっている。

 

 

 

 

でも…

 

だから…

 

 

 

あの人がお姉ちゃんと一緒にいるだけで、胸がキュッとなる。

どうして、あの人が私のお姉ちゃんじゃなかったんだろう…と。

容姿、性格、学力…すべてにおいて正反対のふたりを見ると、絶望的な気持ちになる。

 

同じなのがイニシャルだけ…っていうのが、さらに頭に来る。

 

 

 

でも、どうしようもない…。

 

 

 

死ぬほど足掻いても、あの人が私のお姉ちゃんになることは…絶対にないのだから…。

 

 

 

 

 

~つづく~

 

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