【ラブライブ μ's物語 Vol.3】 雪の中の闇   作:スターダイヤモンド

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2話では終わらなかった(笑)
もう1話かな?2話かな…





雪穂とμ's

 

 

 

 

「おはよう!」

 

「…おはよう…」

 

「どうしたの?元気ないじゃん。もうすぐお正月だよ!新年だよ!そんな暗い顔してちゃ、幸せは来ないよ!ほら笑って笑って!笑う門には福来る…ってね」

 

 

 

たぶん、お姉ちゃんは…意識的に普段より明るく私に声を掛けた。

『デリカシー』なんて言葉とは、およそ無縁のこの人に気遣われてる…。

それがイラッとした。

 

 

 

「…そりゃあ…ね…あの結果を受けて、落ち込まない方がおかしいでしょ」

 

 

 

一応、姉妹だし、ひとつ屋根の下に住んでるから…『嫌い』だとはいえ…これくらいの会話は交わす。

 

 

 

亜里沙と組んで挑んだラブライブ。

一次予選はなんとか突破したものの、最終予選で敗退し…本大会への出場権を逃した。

 

『絢瀬絵里と高坂穂乃果の妹』…その周囲の期待値と、私たちの実力が伴わなかった結果だ。

 

μ'sと較べられてしまうことを覚悟していたし、精一杯パフォーマンスしたから、悔いは残ってない。

 

 

 

いや、それはウソか…。

 

 

 

やっぱり、やるからにはμ'sを越えたかったと言うのが本音だ。

 

 

 

そして、私たちのことをサポートしてくれた先輩たちのことを思えば、ヘラヘラ笑ってはいられない。

そこについては、申し訳なさが残る。

 

 

 

特に…あの人には…。

 

 

 

「うん…まぁ、そうだけどさ…。でも、ラブライブがすべてじゃないから…決して変な気を起こさないように。…雪穂は真面目過ぎるところがあるから…」

 

「…お姉ちゃんがいい加減すぎるんだよ…」

 

 

 

スクールアイドルを始めて1年弱で、ほぼ『すべてを手にしてしまったお姉ちゃん』には、きっとわかんないと思う。

 

この私の複雑な心境は。

 

 

 

「あはは…そうだね!じゃあ、私は出掛けてくるから…」

 

「…あ、うん…いってらっしゃい…」

 

 

 

お姉ちゃんは『受験勉強』と称し、海未ちゃんの家に出掛けた。

恐らく、それが…大学入試合格への、もっとも的確で、もっとも最短…な方法。

付き合わされる海未ちゃんは『災難』かも知れないが、お姉ちゃんを管理・指導できる人は彼女しかいない。

 

ことりちゃんだと、お姉ちゃんを甘やかすから、きっと勉強は捗(はかど)らない。

まぁ、そこに関しては、海未ちゃんも怪しいところはあるけど…。

 

 

 

 

 

「お母さん、私も出掛けてくる」

 

「あら、どこへ?」

 

「学校!」

 

「でも、今日は練習、お休みじゃなかったの?」

 

「うん…そうだけど…なんとなく、家でジッとしてても…」

 

「…そう…わかった。でも、あんまり遅くならないうちに帰ってくるのよ」

 

「はぁ~い…」

 

 

 

亜里沙も誘おうかと思ったけど…やめておいた。

彼女はラブライブに命を懸けてたから、今回の結果は相当ショックだったみたい。

しばらくは立ち直れないだろう。

 

だから今は…

 

少しそうっ…としておいてあげた方がいい。

そう思ったから。

 

亜里沙はピュアだ。

私のように『擦れて』いない。

きっとそれはお姉ちゃんの差だと思う。

お姉ちゃんが絵里さんだったら、私もこんな風にはなっていない。

 

なんて。

 

そんな夢みたいな話、今さらするつもりはないけどね…。

 

 

 

 

 

去年の今頃は大雪が降った影響で、歩道の日陰はまだ路面が凍結していた。

だけど今年は、まったくそんな気配がない。

暖冬らしい。

もしかしたら、東京は今シーズン、雪は見られないかも知れない…とニュースで言っていた。

 

私は…雪穂…なんて名前だから、やっぱり雪が降ればテンション上がるけど、交通機関がマヒするほどの降り方ならゴメンだ。

 

いや、どうなんだろ?

 

私たちの最終予選も…あれくらい荒れた天気だったら、結果が変わってたのかな…なんて思ったりして。

実際、お姉ちゃんたちは、あんなアクシデントがあったから、余計なことを考えてるヒマもなく、ステージに集中できた…って言ってたし。

 

 

 

 

 

そんなことを考えながら歩いていると、ほどなく学校に着いた。

 

 

 

 

 

アイドル研究部には、私と亜里沙の他に、1年生は5人…つまり計7人が入部した。

みんなμ'sに憧れて入ってきた人ばかりだった。

 

でも、そのμ'sが解散してしまってて『一緒にステージに立てない』とわかると、すぐに2人が辞めた。

 

わからなくもない。

 

μ'sは解散ライブをしたとはいえ、その情報がすべての人に伝わっていたとは考えにくいから。

それに、μ'sは解散しても、メンバーを入れ換えて(もしくは追加して)活動自体は継続する…って思ってたのかも知れない。

 

それはそれとして…

 

1年生は…残った5人でひとつのユニットを組むことも考えたけど…μ'sメンバーの妹である私たちと…そうじゃない3人との間にある『変な距離感』みたいなのを縮めることが出来なくて、結局、2チームで活動することになった。

 

あっ、もちろん、柔軟とか筋トレとかボイトレとか…そういうのは一緒に練習したよ。

ただ、ステージでのパフォーマンスは別々だった…ってこと。

 

それはそれで、お互い切磋琢磨っていうか…意識しながらやってきて…悪くはなかった…って思ってるけどね。

 

他校に『A-RISE』みたいな『ライバル』と呼べるようなチームもいなかったからさ。

もっとも、全国のスクールアイドルは『打倒、音ノ木坂』って気持ちでいたんだろうけど。

 

 

 

でも、先輩たちは大変だったと思う。

だって、同時に2チームの面倒見なきゃいけないんだから。

 

 

 

そうそう…μ'sの活動を終えた6人は…やっぱり『燃え尽き症候群』みたいになっちゃって…もうスクールアイドルとしてステージに立とう…って気は失せちゃったらしくて…。

 

お姉ちゃんは『調子に乗って』生徒会長なんて受けちゃうもんだから、どうしてもそっちの比重が大きくなっちゃって…せめて絵里さんの半分くらいの学力があれば、半々くらいで部活にも顔を出せたんだと思うけど…現実は厳しいわけで…。

生徒会:居残り:部活 = 6:1:3くらいの比率。

ほとんど名誉部員って感じだったのよね…。

 

そんなお姉ちゃんのサポートをしながらも、海未ちゃんは作詞やトレーニングメニューを、ことりちゃんは衣装デザインや裁縫の技術を私たちに指導してくれたんだ。

 

そして、真姫先輩が発声や曲作り、凛先輩がダンス。

 

部長が『特別講師』として迎えた『ヒデコ先輩』『フミコ先輩』『ミカ先輩』も、照明や音響の技術を教えてくれた。

 

スクールアイドルだからって、ただステージで歌って踊っていればいい…ってワケじゃない。

いや、むしろ…スクールアイドルだからこそ、何から何まで自分たちでやらなきゃいけない。

決して甘やかされた環境じゃないのだ。

そして華やかな舞台の裏には、必ず縁の下の力持ち…陰で支えてくれる沢山の人がいる。

 

「そういう人たちに感謝ができない者は、ステージに立つ資格がない!」

 

あの人は、優しくも力強い声で、私たちにそう説いたのだった。

 

 

 

こういうところが、私が惹かれた理由のひとつでもある。

 

 

 

また、あの人は部活を始める前

「怪我をしない、怪我をさせない」

って必ず言っている。

 

いつも誰かを気遣っていて…ポカポカとした暖かな陽だまりみたいな人。

私たちに、いつも安心感を与えてくれる人。

 

お姉ちゃんが『夏の太陽』なら、あの人は『春の木漏れ日』…。

 

 

 

だけど、意外と厳しいところもあって…μ'sは先輩後輩禁止だったけど、やっぱり上下関係はハッキリさせた方がいい!って、そのルールを取り止めたんだよねぇ…。

言葉使いも、基本上級生に対しては、タメ口禁止。

ただしμ'sメンバー間はOKだったけど。

 

だから、私もプライベートでは、お姉ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃんなんて呼んでるけど、学校ではそれぞれ『先輩』って呼んでるの。

 

当然、お姉ちゃんも『穂乃果先輩』。

 

これもね、実は、あの人が気を遣ってくれた結果なんだ。

『身内』と『そうじゃない人』と、なるべく同等の扱いにしよう!って考えたみたい。

 

そりゃあ、そうだよね。

 

私は亜里沙はμ'sメンバーを『ちゃん付け』で呼ぶのにそんなに抵抗はないけど、他の部員にしてみれば、憧れの先輩だもん。

そう気安く呼べる訳がない。

 

そんな細かいことまで、気配りができるところが、やっぱり素敵だと思う。

 

お姉ちゃんなら

「え~!そんなの気にしない!気にしない!」

って絶対言ってた。

間違いない!

 

 

 

そういう、あれやこれやを引っくるめて、アイドル研究部を総合的に取り纏めていたのが…部長である…花陽先輩。

 

 

 

 

 

私が部室のドアを開けると…その花陽先輩…がそこにいた。

 

今日の練習は休みであるにも関わらず…である。

 

 

 

ううん…本当言うと、多分いるんじゃないかな…って、そんな気はしてた。

 

なぜなら、それが花陽先輩だから…。

 

 

 

 

「あれ?雪穂ちゃん…」

 

「こんにちわ…」

 

「今日、休みだったハズだけど…」

 

 

 

「はい、知ってます。でも、もしかしたら、先輩に会えるんじゃないかと思って来てみました…」

 

 

 

「えっ?」

 

不思議そうな顔をした。

 

 

 

先輩を困らせるようなことはしたくない。

でも、それは凄く難しいこと…。

 

 

 

どうしたらいいか、答えが出ないまま

「少し、時間をもらえないですか?」

と私は切り出してしまった…。

 

 

 

 

 

~つづく~

 

 

この作品の内容について

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  • 花陽推し、ウザい
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