読んでいただいている皆さんに感謝を
無事、先週分と今週のジオウ見れました。
永夢、たとえ、仮面ライダーの力を失っても患者のことを第一に考える辺り、流石だなって。
そういえば、エグゼイド初期も他のドクターライダーがガシャット争奪戦を重きに置く中、ちゃんと医者らしいこともしてたし。
次回はフォーゼとファイズ回、果たして弦太朗はオリジナルは出てきてくれるのか
『先ほど、人質に少年を取っていたヘドロヴィランの前に突如として現れたのは、昨今を騒がせている“仮面ライダー”と分かりました。専門家は“仮面ライダー”についての目撃情報を募っているとのことです』
Jacarandaに置いてあるテレビ、そこで報道されているニュースに取り上げられていたのは、仮面ライダーについてのことであった。
カウンターに座り、穂波は美音が用意してくれたオムライスを口に運びながら、テレビを睨みつけるように眺めた後、コップを口に運んで水を流し込む。
「おいおい、怖い顔すんなよ?ハジメ。せっかく、俺の娘が作ったオムライスなんだぜ?味が落ちちまったらどうするんだ」
隣に座り、タブレットを弄っていた蛇島は穂波の肩に手を置きながらも、落ち着けと宥める。
穂波はそれなりに我慢強い方であるが、それでも手に握っているスプーンが
蛇島があの日に穂波を拾い、養父として育てた時間は長かったこともあり、僅かな変化から感情を窺うことができた。
「別に俺は怒ってなんかいない」
穂波は笑顔を作って見せる。
しかし、美音に対して笑いかけているときのことを思えば、今の不自然な微笑みは蛇島が思わず引いてしまうほどであった。
「お前、気味が悪いぞ。美音ちゃんに微笑んでる時のほうがまだ良いほどだ。……お前、ついに白昼堂々、ヴィランを
蛇島は言葉を飾らない。
その言葉を飾らないところこそ、彼の娘と同様に穂波の救いである。
「流石に白昼堂々とはしていない。ただ、」
穂波のオムライスを食べる手が止まる。
「ただ?」
蛇島はタブレットを触る手を止め、穂波の言葉の続きを待つ。
それから、ゆっくりと穂波は言葉を搾り出した。
「人質を取っているヴィランを見ていると、許せなかったんだ」
「ハジメ!オムライスは旨いか!?デザートも、……ハジメ?」
美音がデザートのミルクプリンを載せたトレーを手に姿を見せるが、穂波の様子に厨房の柱の近くで動きを止める。
「それは、お前が自分はまるでヒーローのようになったとでも言いたいのか?ハジメ」
蛇島は眉を顰めながら、穂波に尋ねる。
「違う」
穂波は首を振って蛇島の言葉を否定する。
美音は穂波の様子にえっ、と声が漏れてしまう。
穂波はいつでも美音にとっては格好良くて、自慢のヒーローだった。
そんな彼が家族として傍に居てくれることが美音にとっては何よりも幸せであり、埃であったから。
確かに穂波自身は自分はそうではない、と美音の言葉を否定をしたことがなかった。 だけど、穂波一は蛇島美音にとって――――。
「助けたいと、思った。一緒に居たツンツン頭の中学生も、緑谷も。助けたいと思ったんだ」
それは、自分がヒーローになることを主張しない穂波にとって初めての“ヒーローらしい”主張ではないだろうか。
蛇島がテレビの方に視線を向けると、確かに穂波の言う様に中学生がヴィランの人質にされていたことが報道されている。
テレビが言うには、違法個性使用を行なっている漆黒のヴィジランテ・仮面ライダーは突然やってきたと言っているが、おおかた、穂波は何らかの方法でヴィランの場所を見つけたのだろう。
恐らく、その身体能力の高さでどうにか見つけたのだろうと蛇島は察する。
「そういうのをヒーローって呼ぶんだぞ、ハジメ」
ここで美音はようやく顔を出す。
良いヒロインであれば、ここで出て行くことが出来ず、後悔をしていくのだろうけれど、自分はそんなヒロインでいるつもりはない。
家族が悩んでいれば助けるもの、と意気込んで出てきた彼女はにっこり笑って穂波の前にミルクプリンの載った小さな器にスプーンを添えて彼の目の前に置いた。
「俺が……?」
「父親である俺が娘のヒーローになれず、大変不服なところだが、美音ちゃんのヒーローは他でもないハジメだ。ヒーローって呼ばれている本人が、それらしい意識になって俺は嬉しいね。美音、お父さんのはないのか?」
顔を上げる穂波に対し、何でもないように穂波の肩を叩く蛇島。
「まだ作ってあるけど……。夜のディナーセットのデザートにしようと思ってて。……まかないでいい?」
「珍しいな、俺の分もあるようなモンじゃないか。うんうん、今日も美音はかわいいな!」
「わっ!?お父さん!ハジメがいるんだけど!」
思わぬ美音の返しに蛇島は目を丸くし、眼鏡を眼鏡拭きで拭くのであった。
その後、その長い腕を伸ばして娘の髪をわしゃわしゃと撫で、髪をくしゃくしゃにしてしまう。
髪が料理に落ちるのを美音が嫌がったと見て、そのまま、口元を緩ませながら、オムライスを食べるのに戻る。
どうやら、今日のオムライスはいつも以上に美味しく味覚が感じているらしい。
自分の正体を打ち明けている相手がいるのは、少しはいい方向に向いてはいるようだ。
「それで、今日のオムライスは旨いか?ヒーロー!」
「ああ、最高だ。とても旨い。……これは、ミルクプリンか?」
父親の手を払い除け、美音はカウンターで頬杖をついて穂波の方をにこにこ笑顔で見つめている。
「そうそう!新しく出してみようと思って。前のゼリーが好評だったからさ!スクラッシュゼリー、凄く旨いよな!しゅわしゅわってしてさ~」
ごそごそ、とエプロンから美音が取り出したのは、どことなくスクラッシュゼリーにプリントされたイラストのようなタッチの絵。
それが簡易的な仮面ライダーのロゴで在ることが分かると、当の仮面ライダー本人である穂波一自身は苦笑してしまう。
しかし、そこで穂波は引っかかってしまう。
スクラッシュゼリーがそんなソーダのようにしゅわしゅわした感じがあった、というのが信じられなかった。
自分がシンリンカムイから労いを込めたであろう、貰い物のスクラッシュゼリーの味はプロテインラーメンだった筈だ。
それがそんなに普通のものなはずがない、とオムライスを食べ進める。
「美音、ハジメのサポートやってやれ」
「お父さん!それは」
「こうして生放送されて姿まで放送されちまってんだ、的確なルートで移動できるようにならないと、ハジメが困るんだぞ?真昼間にオールマイトに追われてみろ、あの運動神経じゃあ、お前が捕まっちまう」
蛇島の提案は、以前に穂波が断った美音からの申し出だった。
自分が彼女を巻き込みたくないが為に仮面ライダーとしての活動を手伝いたい、という美音からの申し出を断ったのだが……。
店内を穂波が見渡すが、夜の営業に向けて客は一人も見られない。外から店の様子を見れば、見慣れない男がカウンターで食事をしているように見えることだろう。
「……うん、お父さんの言うとおりだ。私、ハジメに捕まって欲しくないし。ハジメ、私からもお願い。私なら、ナビが出来ると思うんだ」
「仮面ライダーの活動は夜だ。俺はすっかり慣れているけど、お前は大丈夫なのか?Jacarandaでの厨房の調理もある。寝ぼけたままでの調理は危ないだろう?」
珍しく、強い意思を見せる美音。
しかし、それでも、穂波は美音が自分と同じ“側”に来ることが賛成できなかった。
「……でも、一人でハジメが抱え込んでしまうよりはいいと思うんだ。ハジメ、凄く強いけど、やっとそれっぽくなってきたし……」
「あちゃー、聞かれてたか。さっきの話」
蛇島は頭を掻く。
どうやら、穂波がヴィランをただ退治するという目的だけでなく、人を助けようと言う気持ちが無意識にも出てきたという話を聞かれてしまっていたようだ。
蛇島が穂波の方に答えを促す、自分からはとやかく言うつもりはないと手をヒラヒラさせてコーヒーを焙煎しに行ってしまった。
「……それで、答えは?」
「正直なところ、ノーだ」
穂波はオムライスを食べ終え、ピッチャーから水を注ぎ、そのまま口へと運ぶ。
そして、穂波の言葉に落胆する美音。
「だけど、美音がJacarandaでの仕事も両立できるなら、ナビゲートとして相棒になって欲しい」
「……!もちろん!私、頑張る!なぁ、これで私とハジメは二人で一人の仮面ライダーだな!」
「二人で一人の……、悪くないフレーズだ」
目を輝かせ、穂波の手を握る美音。
蛇島に睨みつけられた気がするが、その白く綺麗な手に包まれてしまっては、たとえ力が入っていなくても穂波は振りほどくことが出来なかった。
決意を新たにふんす、と鼻息を鳴らす美音、そこで扉につけてある客の来店を知らせる鈴が鳴り、扉が開く。
「はぁ、疲れた。ねえ、ホッパー?何か私に食事を――――、って何してんの?あんたたち。それで、二人で一人がなんだって?」
私服姿のMt.レディ――――岳山優は疲れ切った顔でふらふらとカウンターの方へと向かい、どっと穂波の隣に座ると、片目を閉じて交互に穂波と美音を見る。
「それ、オムライス?ホッパーと同じのちょうだい?お腹空いてるのよ」
「あーもう!なんでタイミングが悪いんだろうなぁ、タケヤマは!」
慌てて美音が手を離すと、穂波の前の皿を見、美音に注文する。
「私はホッパーの雇い主で、先輩よ?それくらいしてくれたっていいじゃない。ね、ホッパー?」
断ったけど、結局、こうなってしまった。
現在のハジメのスタイルはこれからも変わっていきそうにないとおもうので、まぁヴィジランテ路線ですよね。
遊英1-Aもいい奴らですけど、今の仮面ライダーの行動には好意的ではないでしょう。
背景を知った後ならば、もしかしたら、考えは分かれるかもしれませんが。