仮面ライダーは改人である   作:ふくつのこころ

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ビルドも残すところ後わずかとなりましたね。
地方の関係上、まだグリスの最後の雄姿を見れていないので今日が楽しみです。
また前書きのところで戦兎たちみたいにあらすじ紹介が出来たらいいなあと光るメロンは思いました。


悪より産まれる者

 とある建物の一室、ちょうど、バーのようになっている場所は奇妙な光景が作り出されていた。

 ガスマスクのような物を被ったスーツの男が座り、誰かの帰りを待っているようにも見える。

 彼のまわりに待機する者達は異質な印象を一目見ただけで与えるものが多く、待ち人が帰ってきたと分かるや否やガスマスクをつけた男はそちらに振り返った。

 

「おや、おかえり。どうだった?ホッパー1は」

 

「ただいま。堕ちるか堕ちないかってところだ、先生。……本当に、あいつが“切り札”となりうるとは思えないけど」

 

「僕の考えを疑うのかい?()

 

 先生(・・)と呼ばれた男はもやを纏う怪人・黒霧を連れた手首のようなモノをつけた青年、死柄木弔にわざとらしい言葉をかける。

 

「そうじゃない。あいつ、先生が言っていた以上に残ってた(・・・・)

 

 死柄木は頭を振ると、外出をしていた目的であった穂波一(ほなみはじめ)の様子を語る。

 残っていた、という愛弟子ともいえる青年の報告にガスマスクの奥の表情が喜びに満ちているのを先生は隠しきれない。

 

「オール・フォー・ワン。死柄木弔をかの死神に会わせたのには、理由があるようですね?」

 

「その通りさ。弔には、いずれ僕の跡を継いでもらう後継者になってもらいたい。だからこそ、仮面ライダーに会わせたんだ」

 

 死神、そして仮面ライダー。

 

 先ほどまで静まり返っていた、その空間の中で一気にざわめきが広がってゆく。

 死神と言えば、よく聞かれるようになったヴィジランテの一人である。

 自らを仮面ライダーと名乗り、その手に持った大鎌や衝撃波を起こす個性を使い、ヴィランにとっての通り魔のような存在。

 一部の者は死神のことを台風と呼ぶ者もおり、時には流血沙汰や殺害することも辞さない姿勢に恐れられてもおり、憎まれてもいる。

 

 黒霧の見た死柄木と会話をしていた、ラフな格好をした青年。

 とてもではないが、悪名高き(・・・・)ヴィジランテ・死神とは到底思えなかった。

 どちらかと言えば、ぶっきらぼうな性格でインテリ系で大人しそうな印象を与える青年のように思えたのだ。

 

「死神ってあの死神かよ!?」「ヴィジランテなんて違法ヒーローみたいな活動してるってのに!?」「超ウケるんだけど」

 

 更に波紋が広がる。

 ヴィランを正確に狙いを定めて得物を持って獲物に襲い掛かってくる恐ろしい存在。

 忌々しいモノ。

 

「静かに。続きを聞かせてくれ、それで、僕の仮面ライダー(・・・・・・)はどうだった?使えそうかな?」

 

 騒ぎの波を先生と呼ばれた男、オール・フォー・ワンは手で制す。

 その様子はどこか楽しそうで、死柄木は敬愛してやまない師がいけ好かない平和の象徴(オールマイト)を思わせる目をしていたこともあり、気に入らなかった。

 

「一度堕とす事ができたなら、あとは勝手に堕ちていく。そんなタイプだと思った。きっかけさえあれば、先生の望むように連れてこれるよ。……でも、流石は先生だ。ヴィランである俺たちで旧時代のキャラをつくろうなんてさ。ああいうのが好みとか?」

 

 死柄木は不愉快な感情を隠さず、穂波についての見解を述べていく。その中で気になった、オール・フォー・ワンの穂波への興味への好奇心が尽きなかった。

 否、この場合、オール・フォー・ワンに期待されている穂波への嫉妬によるものだろうか。

 

「オールマイトと激戦を繰り広げた、かなり前のことだ」

 

 オール・フォー・ワンは昔を懐かしむように語りだす。

 

「あのように僕の前に立ちはだかった男がいたのさ。個性の扱いもロクに出来ないくせに、無謀にも僕の前に立ちはだかった男が」

 

 それは、ヒーローと言う存在の共通点とも言えるものではないだろうか。

 

 一つの職業として確立されてしまった現在でも、オール・フォー・ワンの宿敵の男のような本物の気概(・・・・・)を持つヒーローと言うのは間違いなく存在する。

 

 

オール・フォー・ワン!お前の悪事はここまでだ!

 

 楽しませてくれるには十分な相手だったが、それでも、オール・フォー・ワンを下すには至らなかった。

 しかし、彼の最期の一言(・・・・・)がヴィランの首領とも言える男の興味を惹いたのは間違いない。

 

いつか、いつか必ず。私のような者がお前の前に立ちはだかり、きっと勝利して見せるだろう!

 

 男の名は、仮面ライダー(・・・・・・)と言った。

 旧時代に放送されていた、特撮ドラマのヒーローの名前を名乗り、その個性を使って悪と戦い続けてきたという超常黎明期のヒーローの一人。

 その後、仮面ライダーについて調べたオール・フォー・ワンはその存在に興味を惹かれ、ある結論に辿り着く。

 

「無個性の人間を僕の手で改造する。そして、仮面ライダーを作りだす。ヒーローの中には覚えている者もいるだろうね、なんせ、彼は有名だったのだから」

 

「それで死神をクスリやら使って改造したのか?」

 

「そうさ。脳無も仮面ライダーのようなモノを目指し、ドクターと作り出した。だけど、何かが足りなかったんだ。決定的な何かが」

 

 正解、と愛弟子の回答にオール・フォー・ワンは正しく教え子の師らしく答えた。

 生物兵器ともいえる人間を改造し、生み出した脳無は彼らの戦力の一つでもある。

 そして、死神こと穂波から見れば、同じ()から生まれた兄弟のようなものだ。

 

「ワシと先生は考えたよ。仮面ライダーを作りだすには、何が足りなかったのか。だけど、それがかえって楽しくもあったんじゃ」

 

「そうだね。仮面ライダーを造る、ということはヒーローにとって最もダメージを与える行為となる」

 

 ドクターと呼ばれた、白衣を纏う白髪の老人はオール・フォー・ワンの言葉に強く肯定した。

 彼もまた仮面ライダーを造りだす意義を知っていたからだ。

 

「僕の作った、彼がヒーローになって行く。面白いだろう?弔」

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