金田一少女の事件簿~元祖高校生探偵と小さくなった名探偵~ 作:ミカヅキ
露西亜人形殺人事件、更新です。
本来、目標としては10話以内で終わらせたかったんですが、だらだら長くてメリハリの無い文になってしまった為、後半の展開を一旦無かった事にしました(汗)
もう少々お付き合いください…!
最後になりましたが、お気に入り登録、感想、評価どうもありがとうございます。
「
はじめの言葉に、決定的な現場を抑えられ、もはや言い逃れの出来なくなった“侵入者”-
「でも、どうして
この部屋を割り当てられ、危うく3番目の
「
そして、以前から彼女と親しくしていた犬飼もまた、信じられない様子で続ける。
「……ええ、そうよ…!確かにあたしは
周囲からの“信じられない”という視線の中、
現場を抑えられた今夜の一件以外は自分ではない、と否認する彼女に、はじめがそれを否定した。
「…いや、違うね。あんたは遺産目的で
「い、遺産目的ったって、
梅園がはじめの推理の矛盾点を付くが、それにフォローを入れたのはいつの間にか入口から移動し、はじめの隣に立っていた白馬だった。
「いえ、それがそうとも言えないようなんです。これを見てください。」
白馬が内ポケットから取り出し、周囲に掲げて見せた封筒の宛名には、“遺書 山之内
「そ、それは…!?」
「まさか、暗号が解けたって言うの?!」
封筒の宛名を見たはじめと白馬、“スカーレット・ローゼス”以外の人間が驚愕に目を見開いた。
「ちょ、ちょっと見せてください…!」
驚愕のあまり
「ま、間違いありません…!山之内先生の本物の遺言書です!!白馬さん、これを一体どこで…?!」
「どうやって暗号を解いたんです!?」
「遺言書のあった場所を説明する為には、まずは暗号の解き方について解説する必要があります。この暗号を解く“鍵”は、5つの人形の大きさにあったんです。」
「大きさ、ですか?」
「そう、大きさ。」
「ただし、これはそのままの大きさでは意味を成しません。
「実際の人間の縮尺…?」
今度は
「あたしが最初にこの暗号で引っ掛かったのは“楽団は前から順に首を刈られた”の一文です。“2番の子の首を5番目の子の首の右に並べてみてごらん”の一文から察するに、この暗号は“前から順に”の通りに小さい人形の順に頭文字を取っていく、という方法で間違い無い
「そうよ!そこまではあたしも考えてたわ!」
はじめの推理に、梅園が声を上げる。
「ええ、皆さんここで引っ掛かったと思います。でも、
「え?あたし?」
予想外のところで名前を出され、驚きの声を上げた
「人形の大きさが大きなヒントとして機能する
「前置きは良いから早く教えてよ!なんなのよ、そのヒントって?!」
しびれを切らした梅園が叫ぶが、はじめの言葉で考え込むような
「まさか、楽器?!」
「その通り。」
昼間のはじめたちとのやり取りを思い出した
「楽器、ですか…?」
いまいちピンときていない田代が首を傾げるのを見て、はじめが説明した。
「昼間、
「それが一体どうだっていうのよ!?」
「あ、人形が持っている楽器は全部同じ大きさだ…!もしかして……?!」
梅園とは対照的に、犬飼が何かに感付く。
「そう、この暗号はそれぞれの人形が持っている楽器の大きさに合わせ、人形の身長を実際の人間の縮尺に戻す必要があるんです。このやり方で最も小さいイワンで考えると、イワンの身長も楽器も同じ20cmだから、イワンを本来のコントラバスの大きさである2mに直す事が出来る。」
「そっか…!それなら、人形の大きさが全く変わってくるわ……!」
梅園が納得いったらしい事を確認し、はじめが続ける。
「同じ法則で、チェロのエミールは180cm、ビオラのオリガは130cm、第2バイオリンのターニャは120cm、第1バイオリンのコンスタンチンは150cmという事が分かります。そして、この5つの人形を背の低い順に並べると、正しい順番はターニャ、オリガ、コンスタンチン、エミール、イワンとなる。その頭文字を拾えば、表れるのは“TOKEI”。」
「そ、そうか、“時計”!!」
「この屋敷にある時計は、塔の時計ただ1つだわ!」
「じゃ、じゃあ時計に遺言書が隠されていたって言うの?!」
犬飼と
「まさか…!この相続戦が始まる前に、正解な時間を把握する為に、田代さんに時計を合わせて頂いています…!あの時計はわずかな足場の他は巨大な文字盤と針しか無いんです、隠せるような場所なんて……!」
「そ、その通りでございます…!私が3日前に時計を合わせた時には、そのようなものはありませんでした…!」
2人の主張に対して、説明を引き継いだのは白馬だった。
「田代さんが発見出来なかったのも無理はありませんよ…。この暗号で2番目に重要なのは、
「あ、
「それは一体…?」
「“さあお次は数合わせ。2番の子の首を5番目の子の首に並べてみてごらん。”この言葉通りに、オリガのOを5番目のイワンのIの隣に並べると、何が出てくるのか分かるかい?犬飼くん。」
白馬の質問に、一瞬面食らった犬飼だったが、彼自身もミステリーマニアであり、殺人事件を解決した事もある頭脳の持ち主である。すぐに答えは導き出された。
「そうか、数字の“10”……!!」
「その通り。」
「数字の“10”っていう事は、まさか10時に時計に行け、という事ですか?」
「そう。これを裏付けるのが暗号文の最後の一文、“楽しいリズムの始まり始まり”。つまりこの暗号は、10時の鐘が鳴っている中で時計の文字盤の前にいれば遺書が手に入る、そういう意味だったんだ。」
佐木の疑問に頷きながら、白馬が更に補足する。
「この遺書は、今夜…、まぁ日付的にはもう“昨日”ですけどね…。夜10時に文字盤まで降り、手に入れたものです。白馬と、“スカーレット・ローゼス”さんがその証人ですよ。」
はじめのその言葉に、それまではじめの推理を興味深そうに眺めていた“スカーレット・ローゼス”も頷いた。
「…そして、あたしの推理が正しければ
「え…?!」
「山之内先生の遺書に“動機”が…!?」
はじめの宣言にあからさまに顔色の変わった
「
「は、はい…!それでは読み上げます……!!」
白馬の言葉に、
「え~…。“私、山之内
そこまで読み上げたところで、
「“…ただし、暗号解読の期限になった時点でこれら5名の有資格者が1人も館にいなかった場合は―――、資格者に限らず暗号解読者本人に譲るものとする!”」
「なっ?!」
「なんですって…!?」
「それじゃ、もしあたしたちが全員死んだとしたら……!」
犬飼と梅園が息を呑み、
「そう…。5人の資格者が期限を迎えるまでに館内から全員存在しなくなった時点で、遺産の相続権はこの第2の遺書を見付けた者へと
鮮やかさを増したはじめの紅茶色の瞳が、まるで断罪するかのように
「しかし、運命の悪戯か、あんたにとっては不運にも“2つの偶然”が重なってしまったんだ。その“偶然”こそが、あたしに大きなヒントを与えてくれた。」
「“2つの偶然”、ですか…?」
「どういう事?はじめちゃん。」
佐木と美雪が尋ねるが、はじめは真っ直ぐに
「1つ目は雨。あんたが遺書を盗み見たのは、恐らくは5人の資格者たちが山之内
「っ…!」
はじめの推理に、
「そして、あんたはこの時にたった1つ、しかし重大なミスを犯してしまった。」
「ミス?」
「そう…。大時計への唯一の出入り口、人形の後ろの窓を開けっ放しにしてしまった事だ!」
佐木の問いかけに頷きながらも、はじめが続ける。
「時計の針を5分進めたものの、遺書を取り出して長い
「!そうか…!!あの“見立て”の理由は……!」
「そうだよ。
「な、なるほど…。あたかも暗号文になぞらえ、人形の背が低い順に殺人が行われているように錯覚していたけど、実際には小さい人形程早く服が乾き、乾いた人形のパートの人間が順に狙われていた…。それだけの理由だったんですね?」
はじめの推理に、佐木が納得したように頷く。
「そ、そうか…!だから、その日のうちに殺してしまった
「その通り。付け加えるなら、双子のように背の高さが同じオリガとターニャの場合は厚手の冬服を着てるターニャより、薄手の軽装のオリガの方が乾くのが早かった。今夜
犬飼の言葉に補足したはじめが、更に続ける。
「…そして、この時濡れてしまったものはもう1つある。」
「もう1つ…?人形の他に一体何が?」
白馬が驚いたようにはじめを振り返った。
「スタンドだよ。」
「スタンド…?」
その言葉に、
「佐木のビデオにしっかり映ってたよ…。最初にあたしたちが人形を見た時と、
「…いいえ。分かったわ…。全て認めてやるわよ…!ーーーそうよ、あたしが
はじめの問いかけに1つ溜め息を
「あら、何よ?その顔…。まさか、あたしがホントに純情な
あははは!と
「そ、
「たかが金!?ハッ!そんな事が言えるのは、あんたがこれまで苦労知らずの
しかし、そこに淡々とした様子で告げられたはじめの一言に、
「まぁ、気持ちは分からなくも無い…。共感は出来ないけどね…。山之内が築いた財産は、本来は
「!?あんた……?!」