金田一少女の事件簿~元祖高校生探偵と小さくなった名探偵~ 作:ミカヅキ
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バッ………!!!
深紅に染まった視界に、
だが、その直後驚愕に目を見開いた。それは、
「「「「「!!!!?」」」」」
―――――ヒラリ…
「…?え……?」
手のひらを
ハラリ…
「バ……、バラ…?」
いつの間にか握っていたナイフは消え失せ、代わりに手にしていたのはいくつものバラの花。
「ど…、どうしてこんなものが……?」
当事者である
「やれやれ…。この程度の事で死を選ぶとは…。
誰もが状況を理解出来ない中、不意に響いた艶やかな声に、はじめと白馬、そして
「ローゼスさん…?!まさかあなたが………?」
「ええ…。―――――私は約束は守る主義でしてね。殺すと言った獲物は、たとえどんな障害があっても必ず仕留める…。その逆もまた
“スカーレット・ローゼス”のその言葉に引っかかるものを感じる間も無く、ゆっくりと外された仮面の下から現れたその素顔に、真っ先に気付いた
「あっ!あんたは指名手配中の殺人犯!」
「そ、そうだ…!その顔ニュースで見た事がある……!!」
「嘘でしょ…。“地獄の傀儡師”、
「な、何であの“地獄の傀儡師”がこんな所に……!?」
「はじめちゃん!もしかして最初から気付いて…?!ううん、それよりももしかして
「え?!それって“逃走
はじめと最も因縁深い連続殺人犯の登場に、佐木と美雪の疑問が
「……いや、厳密に言えば“逃走
「…
佐木の言葉で周囲の者たちが
嘘は言わず、出会った時期のみを伝える事で巧みに周囲の意識を逸らしたのは、
実際、
その
以前、真犯人の計略に嵌められて重要参考人として警察に追われた事があり、その時に友人知人に全面的に逃亡を手助けしてもらった際、はじめなりに色々と調べた結果である。
「まぁ、それはともかくとして金田一さん!これで“約束”は果たしました…。私はここでお
「何を…?!」
そう言って暖炉に飛び乗り、その上の窓を開け放つ
「はじめさん……?」
「追うな。―――――それが、今回の“約束”だからね…。」
眉を
「そう…。これ以上誰も死なせないように全面的に協力する事に代わり、私の逃亡を黙って見送り以後24時間は警察に通報しない。これが、今回私たちが交わした“約束”です。―――――覚えていてくださって嬉しいですよ、金田一さん?」
「……お前相手に口先だけの誤魔化しは意味が無い。みすみす寿命を縮めるのと一緒だからね。“約束”は守るさ。だが、今度会ったらその時こそ逃がしはしない……!!!」
「やはり、あなたこそが私の唯一…。ただ1人認めた“平行線”だ。私の事を良く理解してくださっているようですね――――――…。」
はじめの強い決意が宿った眼差しに、ニィと
その2人のやり取りに、見守るしかない周囲が思わず息を呑む。
特に、間近で
(
危うい。何と危うい関係性か。
間近にいるからこそ感じる緊張感に、ツ…、と白馬の頬を汗が伝う。
「――――
呆然と座り込んでいた
「探偵にちょっと追い詰められたくらいで簡単に死を選ぶようなあなたでは、冷徹な犯罪者には到底なり得ません。あなたはたった今、1度死んだ。生まれ変わる気があるなら、次はもう少し自分のあるべき姿を見詰め直してみる事ですね……。」
その言葉に、
ピッ…!
「――――さて、私は夜明けの美しい湖に浮かぶ壮麗なロシア建築でも眺めながら、空の旅と
その言葉と同時に、窓の外から浮かび上がってきたのは巨大なアドバルーン。
「「「「「「!!」」」」」」
予想外の物体の登場に驚くはじめたちを尻目に、
「それでは皆さん、また会うその日まで―――――。
言うや否や、窓際からアドバルーンに飛び移った
「う……、うう………。」
他の者たちも、ほぼ同時に気付き振り返った。
「うっ…、うっ……。うあ…、ああああああ―――――――!!!」
耐え切れぬ
「―――
「はじめさん…?」
「あなたのお父さん、白井雄一郎さんが書いたこの“
「っ……?!」
はじめの予想外のその言葉に、
呆然とはじめが掲げる原稿を見上げる
「…この原稿は全て読ませてもらいました。トリックは勿論、伏線や登場人物の
「「「「「「!!!」」」」」」
はじめの最後の一言に、
「これまで、他人のアイデアとトリックを盗用し続けてきた偽りの作家に、
「ち、父に、栄誉、を返す……?」
しゃくり上げながらも、
「これまで山之内が築いた財産を
「……そんな事が、本当に出来る、っていうの……?」
はじめの断言に、わずかに希望を見出した
「あたしの知り合いに、顔が広いルポライターがいます。彼の
「いいえ!あの男から父の栄誉を取り戻す事が出来るのなら、あたしの事は何て書いたって構わないわ………!!全てを明らかにしてちょうだい!!これ以上、あんな男にお父さんが得る
「……分かりました。そこまで言うのであれば、知り合いに記事を書いてもらえるように本格的に頼んでみます。」
山之内への怒りと憎しみで、再び
彼女が、もう死を選ぶ気は無い事を見届け、はじめはこの一件の全てをいつきに頼んで記事にしてもらおうと心に決めた。
(これ以上、あの
――――――その後、警察に通報出来る
部屋には風呂場とトイレが備え付けられている為、数日なら生活するのも苦では無いだろう、とはじめと白馬もそれが最善と判断したのだ。
水と、一先ず1日分は
田代の入れてくれたコーヒーを飲みながら、いつ殺されるかも分からない緊張感から解放された反動か、皆先程までの驚愕からも徐々に冷め、口数が戻ってきている。
そんな中、梅園が言い辛そうに口を開いた。
「ねぇ、ちょっと…。この場合遺産ってどうなるワケ…?」
「梅園先生!こんな時に…!」
ぎょっとしたように振り返る犬飼に、梅園もバツの悪そうな表情を浮かべた。
「分かってるわよ…。でも、あたしにはお金が必要なのよ……!あんただってそうでしょう?!」
「っ…、それは……。」
率直な梅園の言葉に、犬飼が咄嗟に言葉に詰まった。
「山之内先生が書き遺された遺書には、第2の遺書の
「ああ、やっぱり…?」
言いにくそうに口を開いた
「――――――仮に暗号を解読していたとしても、山之内が素直に遺産を譲ったかどうかは分からないけど。」
遺産が手に入らなかった以上、今後の金の工面をどうやっていくか、と弁護士である
「?それは一体どういう……?」
「いや、何でも無い…。」
聞き返す白馬から目を逸らし、はじめはそれ以上は口を開かなかった。
――――――――そして、それから26時間後、駆け付けた地元警察によって
※エピローグあります。