金田一少女の事件簿~元祖高校生探偵と小さくなった名探偵~   作:ミカヅキ

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お待たせしました?
元祖高校生探偵ネタ更新です。
以外と好評だったようなので、シリーズとしてネタが降ってきた時のみ、チミチミ更新させていただきます。
今回も中途半端に始まり、中途半端に終わりますが、それでも良いという方のみどうぞ。たぶん、次回に続きます。


※人によっては厳しめととられる表現があります。苦手な方はご注意ください。


西と東の対決? File1

 都内のファミレスチェーン店“Danny's(ダニーズ)”。

 はじめは()()にいた。

「いや~、悪いな金田一。またファミレスで…。」

「お寿司は~~~?」

 馴染みの警部‐剣持(けんもち)に捜査協力する代わりに寿司を(おご)ってもらう約束だったのだが、例によって例の如く、金欠の剣持(けんもち)によってグレードを下げられたのだ。

「すまん。今月は何かと出費が(かさ)んでな…。小遣いも下げられてるんだ。」

「だったらせめて回転寿司位さ~…。」

「ほら!ここのカレーは絶品って評判なんだぞ?ここの料理は全部安くてウマいって有名でな!な!ほら、デザートも付けて良いから!」

 今日は寿司の気分だったのに、と不満たらたらなはじめを今回はここで許せ、と剣持(けんもち)がメニュー片手に全力で宥めにかかる。

「ちぇ~…。」

 渋々メニューを受け取り、妥協の姿勢を見せたはじめに剣持(けんもち)がホッと息を()いた時だった。

「人が死んでる!警察を呼んでください!!」

「「!?」」

 ガタタッ!

 突然上がった叫びに、2人同時に立ち上がり、声の発生源‐店のトイレへと走った。

「誰もトイレには入らないで!警察が来るまで誰も店から出ないでください!」

 トイレの前で叫んでいるのは、日本語がペラペラだが外国人らしい、人相の悪い男。

「捜査一課の剣持(けんもち)だ!何があった?」

 剣持(けんもち)が警察手帳を掲げ、外国人らしい男に話を聞いている間、はじめが110番通報し、店員に店内の客を誰も外に出さないように頼んだ。

 最初はどう見ても高校生位の子どもに頼まれ、困惑していた店員たちだったものの、その後、状況を把握した剣持(けんもち)が店側に再度状況を説明した事で、それを了承した。

 誰も店に入れず、且つ出られない状況が完成したところでパトカーが到着する。

「え?!剣持(けんもち)警部?!」

「何故あなたがここに?」

 到着した高木と目暮が、剣持(けんもち)の姿に驚きの声を上げた。

「いや、今日は非番でな…。たまたま来ていたんだ。」

「お、お1人でファミレスですか…?」

 偶然居合わせた、と言う剣持(けんもち)にひょっとして触れてはいけない事かと恐る恐る高木が尋ねる。

「いや、そこにいる金田一にメシを(おご)る約束をしていてな…。」

「あれ?!金田一さん!?」

 ちょうど第一発見者である外国人らしい男の影に隠れて見えなかったらしく、はじめの姿を見付けた高木が()頓狂(とんきょう)な声を上げた。

「どーも…。」

「なんだ、お前ら知り合いだったのか?」

 ペコッと頭を軽く下げたはじめに、剣持(けんもち)が不思議そうな顔で尋ねる。

「この前、ちょっとね…。」

 そう言葉を濁すはじめに、また何か事件に出くわしたのか、と剣持(けんもち)もその場での追及はしなかった。後で高木を問い詰めよう、と考えはしたが。

 そして、目暮たちを交え、改めて第一発見者の外国人から状況を聴取していた時の事である。高校生位の男女3人と中年の男、どうみても小学生の子どもが連れ立ってどやどやとファミレスに入ってきたのは。

「なんだ、お前らは?!勝手に入ってくるな!!」

 店に入るなり、レジ付近にいた高校生らしい少女が彼らに駆け寄り、事件について話しているのを剣持(けんもち)が怒鳴り付けた。

「あ、いや、わたしたちは……。」

「あ、あなたは剣持(けんもち)警部殿?!」

 弁明しようとしたらしい黒髪の少女の言葉を遮る形で、一緒に入ってきた中年のチョビヒゲの男が素っ頓狂(とんきょう)な声を上げた。

「ん?お前、毛利か?昔一課にいた…。」

「は!毛利小五郎であります!!」

 それまでのだらけたような態度を一変させ、ビシッと敬礼をして見せた父親に、娘の蘭が驚いたように尋ねる。

「お、お父さん、その人知り合いなの?」

「ば、バカ!こちらは警視庁の剣持(けんもち)警部殿だ!オレが刑事に成りたての頃に捜査のイロハを教えてくれた人だ!!」

 慌てて剣持(けんもち)を紹介する小五郎にならい、蘭も焦って頭を下げる。

「し、失礼しました…!父がお世話になりまして……!!」

「娘の蘭です。」

 小五郎もまた、剣持(けんもち)に蘭を紹介する。

「君がそうか…!?いや、大きくなったな…。君がまだ幼稚園位の時に1度会ってるんだが、まぁ覚えて無いだろうな。」

 かつての部下と、その娘の成長に剣持(けんもち)が過ぎ去った年月の長さを再確認している間に、はじめは小五郎以外に唯一面識のある相手へと歩み寄った。

 以前、ラーメン小倉の事件でかち合った少年‐江戸川コナンに。

「や!この間ぶり。」

「お姉さん…!確か、はじめさんだっけ?」

 剣持(けんもち)と小五郎らのやり取りを半ば呆然とした様子で見ていたコナンたちだったが、歩み寄ってきたはじめによってハッと意識を戻す。

 どうやら知り合いらしい、とコナンらと共にこのファミレスに来た連れ‐服部平次と世良真純、そして元々このファミレスにいた遠山和葉が2人のやり取りを見守る。

「良く名前覚えてんね――――…。少年は確か江戸川だっけ?」

「コナンで良いよ、はじめ姉ちゃん。ところで、何ではじめ姉ちゃんがこんな所にいるの?」

 わざわざコナンと目線を合わせる為に屈むはじめに、コナンが驚いたように問いかけるが、逆にはじめがコナンに問い返した。

「いや、それはこっちの台詞(せりふ)だけど…。関係者以外出入り出来ないようにしてもらったのに、何でコナンたちは堂々と規制線の中に入って来てる訳?」

「あ、あたしが呼んだんや!」

 急に話に入ってきた関西弁に、はじめが屈んだまま声の方を振り返る。

 セミロングの髪をポニーテールにした高校生位の少女‐遠山和葉がはじめを見詰めていた。

「あんたは?」

 立ち上がりながらはじめが少女に問いかける。

「あ、あたしは遠山和葉や…!」

「いや、名前じゃなくて、何の権限があってここに部外者入れたのかって聞いてるんだけど…。」

 決して責めるような口調では無く、純粋な疑問による質問だったものの、取り付く島もない、結果的に少女の自己紹介を無視した形となった問いかけに反応したのは、隣にいた色黒の少年‐服部平次だった。

「なんや、その言い方。事件が起こったって聞いたから和葉はオレらを呼んだんや。この西の高校生探偵、服部平次をのォ……!」

 何故か誇らしげに言い切る少年の名前には、確か覚えがあった。

「服部平次って確か…。関西方面の事件に次々首突っ込んで現場荒らしてるっていう、素人探偵?」

「し、素人探偵やとォ?!」

「?あ、ゴメン。探偵業の許可ちゃんととってんの?無許可の“自称探偵”って聞いたからさ…。」

 いきり立つ平次に、キョトンとした様子ではじめが返す。

 傍から見ればはじめが平次にケンカを売っているようにしか見えないが、別に本人にその意識は全く無かった。はじめ自身、止む無く事件に関わった際には良く“素人探偵”扱いされる上に、彼女に服部平次の情報について教えた人物から、“何の権限も無いただの自称”と聞いていたが故である。

 一般的に、探偵を名乗るには“探偵業届出証明書”が必要となる。“探偵業開始届出書”という書類に必要事項を全て記載し、必要書類と共に警察署を経由して公安委員会へ提出して発行してもらわなくてはいけない。

 はじめの祖父‐金田一耕助ももちろん持っていた。

 この証明書が無いと探偵業務を行う事は許されない。厳密に言えば、勝手に依頼を受けて報酬を得てはいけないのである。

「きょ、許可はまだもろてへんけど、いずれは独立するつもりなんや!依頼料も交通費以外はもろてへんから、商売しとる訳やない!!」

 はじめの疑問に痛いところを突かれた、と言わんばかりに平次が一瞬言葉に詰まる。

 因みに、その場にいた他の探偵2名(世良真純‐会話に入るタイミングを損なったとコナン)も一瞬、ウッとした顔をしたが、生憎誰も気が付かなかった。

「?つまりボランティアって訳?」

「そうや!」

 報酬は受け取っていないからセーフ!と言い切る平次に一先ず納得したはじめだったが、すかさず突っ込む。

「でも、あんた自分が巻き込まれた訳でも、依頼された訳でも無い事件に良く首突っ込んで現場荒らして鑑識の人困らしてるって聞いたけど……。」

「な?!誰がそんな事言うてん?!!」

 はじめの言葉に、平次よりも先に和葉が目くじらを立てる。

「明智さん、警視庁捜査一課の警視さんだけど…。」

「け、警視…?!」

 思ったよりも大物が出てきた事に平次の声が思わずひっくり返る。

「現場にズカズカ入り込むから、犯人の足跡や毛髪と選別するのが大変だって鑑識の人が溢してるから、あたしも気を付けるようにって言われたんだよ。」

 まぁ、はじめの場合巻き込まれる事件が大抵陸の孤島状態だったり、本物の離れ小島だったりで警察の到着が事件解決後になってしまう事も多く、不可抗力としてある程度大目に見られているところもあるのだが。

 その分、警察がすぐに駆け付けられる場合には、生死確認などの止むを得ない場合を除いて現場に足を踏み入れないようにしている。

 例外として、鑑識が全て調べ終わった後で剣持(けんもち)や明智の許可を得て同伴の下、現場に入る事もあるにはあるが。

 

 閑話休題(かんわきゅうだい)

 

 一方、平次を始めとする高校生探偵トリオはちょっとした衝撃を受けていた。

 これまで、事件解決を第一に動いていたつもりだったが、それが迷惑になっている場合には気付いていなかった事に。いや、より正確に言えば自分では気を付けていたつもりでも現場を荒らしてしまっていた事にである。

 しかも、平次は以前父親である大阪府警本部長‐服部平蔵にこの事について叱責を受けていた事も同時に思い出した。その時は頭に血が上っていた上、その後の事件解決によって自分の中で何となくうやむやにしてしまっていたのだが…。父親故の説教とばかり思っていたが、現実問題として迷惑をかけていたとは…。

 元々は持ち前の正義感で探偵を目指していた3人である。

 実際に問題点を提示されれば、それを素直に理解し受け入れられるだけの度量はあった。

 心無しか顔色が青くなっている3人に、はじめも何となく心情を悟った。

 それ以上突っ込む事はせず、ただ一言「現場入りたいなら鑑識さんが調べ終わってから、刑事さんに許可もらって同行してもらいなよ。」とだけ呟く。

 3人の高校生探偵は、やや青い顔のまま、重々しく呟いた。

 

 

 

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