「おい峰、どこだ?」
太陽が沈み切って暗くなった学園島の公園で俺は人を待っていた。峰理子、探偵科Aランク、人物調査なら彼女に勝る人物はいない。
「めぐ君、お待たせ~」
フリフリの良く分からない制服を着ている峰は俺を見るなり飛び付いてきた。コイツ・・・あざといな。
「ちょ、おい峰。引っ付いてくるんじゃねぇよ・・・」
「え~いいじゃ~ん、私とカップルごっこしよ?」
そういって峰は俺の腕に抱きついた。
「何がごっこだ。早く結果を渡せよ」
「もぉ~めぐ君、冗談通じないんだから」
彼女はは胸の谷間からUSBメモリを取り出した。何なんだコイツ・・・
俺はUSBメモリをつまんで受け取り、Suefaceに差し込んだ。
PDFファイルを開いて目を通す。内容は彼女の家族関係や経歴、それにプライベートまで事細かに記されていた。一体どうやって調べているのやら。
「京香ちゃんとツルんでるなんてめぐ君も変わってるね~」
「一回協力を仰いだだけだ。ツルんでなんかねぇよ」
「でも、こうやって調査を頼むってことは気になってるって事だよね?」
否定はできない自分が悔しい・・・
横からのガヤを無視して続きを読む。
過去の解決記録は膨大なものだった。武偵局長賞を貰ったものもある。やはり凄腕なのは間違いないようだ。
「父親が警視庁の刑事。観察力、推理力は遺伝って事か・・・」
父親は国家公務員Ⅰ種持ちのエリート、元警視庁捜査二課の刑事で活躍していた経歴を持っている。
その血を継ぐ彼女は警察庁や各部治安維持機関からの注目も浴びているらしい、この有能な人材を手に入れようと裏で色々やってるらしいな。
その反面、縄張りを荒らすはみ出し者という評価を下す人間もいる。彼女の存在をよく思わない人間もいるのか。
そりゃぁ後ろめたい事がある人間にとっては害悪でしかないわな・・・
「ん・・・まてよ?」
俺は高天原先生の言葉を思い出した。
『出る杭は打たれるっていう諺、しってる?』
これってまさか、な・・・
「あれ、遠山、時計の時間ズレてるぞ」
俺は自分のスマホを見ながら彼に言った。
「あ、ホントだ。サンキュー」
新年度のゴタゴタから解放されたある日、俺は同級生の遠山キンジの部屋に居た。
雑談の内容は主に転校生の神崎アリアについて。彼女の事は俺達のクラスでも話題になっている。
「それは、ご苦労な事だったな」
「他人事だと思って笑いやがって・・・」
ロンドンの武偵高から転校してきたという神崎はイギリス人と日本人のクオーターらしい。その所為かクラスでもかなり浮いた存在になっているんだそうな。
リビングに放置されているピンク色の旅行鞄を見る。彼女はここに居座るつもりだと遠山は言っていた。
「なんでそのお嬢様(笑)はわざわざ東京まで来たんだ?」
「武偵殺しの捜査だってさ」
「また物騒な名前が出て来たな・・・」
武偵殺し、少し前に世間を騒がせていた武偵のみを狙う連続殺人犯だ。最近犯人が逮捕されたというが模倣犯が出現しているとの噂もある。事実キンジは新年度早々その武偵殺しの模倣犯に襲われていた。
「それで、その武偵殺しの捜査をして―――――」
「あら、キンジ貴方に友達がいるなんて思わなかったわ」
噂をすれば何とやら、いつの間にか神崎が立っていた。
「うるせー」
とキンジは面白くなさそうに返す。
「2年A組に転校してきた神崎アリアよ」
神崎が俺に自己紹介した。
「C組の神沢だ。キンジの数少ない友人の一人で・・・イテッ」
キンジに軽く頭を叩かれた。事実なのに・・・
「ま、俺は帰るわ・・・あとは二人でごゆっくりどうぞ」
なんとなく俺はここから退散した方が良いような気がした。
引き留めようとするキンジを無視して俺は「じゃぁな」と言い残して外に出る。
帰り際、キンジの家によく出入りしている超能力研究科の星伽白雪とすれ違った。
イヤな予感、的中したな・・・