鈴木悟の異世界支配録   作:ぐれんひゅーず

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18話 拉致

「すごかったですよモモンさん」

「見ててスカっとしたわ」

「お疲れ様でした」

「────本当に凄かった」

 

 モモンは対戦を終え、“フォーサイト”の居る貴賓室に戻ってきていた。

 新たな武技を知れたことである程度満足感がある。

 

「コレはモモンさんの賭け金と配当金です。VIP待遇なだけあって運営側の方から持って来てくれました」

 

 ヘッケランが示したテーブルの上にはモモンが渡した金貨袋。その横にもう一つの袋があった。

 手数料で少し引かれているが、ほぼ倍になったようなものだった。

 

「それと、俺達も勝ち馬に乗らせてもらいました」 

 

 ニカっと爽やかな笑顔で金貨袋を掲げて見せてくる。

 

 “フォーサイト”の四人は手持ちの全額を賭けていた。

 今まで賭けをすることは無かったが、モモンの自信、モモンの強さを直接見た自分達の目を信じての行動だった。下種なエルヤーがやられるのを期待していたのもあった。

 

「…………あ、あの」

 

 モモンの背中から戸惑いがちに声がかかる。

 

 森妖精(エルフ)だった。

 エルヤーが負けた瞬間から、賭けの対象だった奴隷森妖精(エルフ)三人の所有権がモモンに移ったのだ。

 鬱憤を晴らすように気絶したエルヤーを顔の形が分からなくなるほど蹴りつけていた。

 かなり長い時間蹴っていたが、いい加減これ以上は死んでしまうと判断した進行係が止めに入り、新たな主人の後に付いてここまで来ていた。

 貴賓室でそれを見ていた“フォーサイト”、主にイミーナが「やれ!そこだ!よし鼻折れたな!目玉えぐれ!」などなど、森妖精(エルフ)達に過激な応援をしていた。その熱の入りようは、モモンが戦っていた時以上だった。ハーフとはいえ、やはり同族が受けていた仕打ちが許せなかったのだろう。

 

「ねえモモンさん、彼女達をどうするの?」

 

 イミーナは変わらず奴隷のままの森妖精(エルフ)を心配しての発言だった。

 

「そうですね…………ロバーデイクさん、彼女達にこれを使用して下さい」

 

 モモンが取り出したのは一枚の巻物(スクロール)

 

「これは?」

「第六位階魔法、大治癒(ヒール)が込められています」

「だ、第六位階!?」

 

 帝国どころか、人類圏で行使出来るとされる最高位の魔法が第六位階。それを行えるフールーダでも魔力系に限ったことで、信仰系はそこまで到ってはいない。

 <大治癒(ヒール)>が込められた<巻物(スクロール)>一つでどれだけの価値があるか計り知れない。

 そんな高価な物を平然と使用するモモンに、「本当に良いのですか?」と確認をとるロバーデイクは当然といえた。

 

「ええ、勿論」

「分かりました。では…………<大治癒(ヒール)>」

 

 即答するモモンにこれ以上の質問は無礼と判断したロバーデイクが<巻物(スクロール)>を森妖精(エルフ)達に向けて使用する。

 

「えっ!?…………うそ!?」

 

 高位の治癒魔法により、半ばで切られていた森妖精(エルフ)の象徴、長い耳が元通りになっていく。

 三人は信じられないように恐る恐るお互いの耳を見て、触り合い、確かめ合う。

 本当に元通りになっているのを理解し、身を寄せ合い。────

 

「「う、う、うわあああああん!」」

   

 子供のように泣き出した姿にイミーナも思わず貰い泣きしてしまう。

 

「お前まで泣くなよ」

「泣いてないわよ!」

 

 ヘッケランが優しくイミーナの頭を撫でていた。

 

 森妖精(エルフ)達が落ち着きだした頃を見計らい、モモンが告げる。

 

「これでお前達は自由だ。国へ帰るなり好きにするといい」

 

 そう言い、金貨百枚ほどを金貨袋に入れて森妖精(エルフ)に渡す。

 

「この金で冒険者でも雇うといい、残った分でも数年は不自由しないだろう」

 

 まるで御伽噺に出てくる英雄そのもののような在り方に、“フォーサイト”は憧れにも似た眼差しを向ける。

 森妖精(エルフ)がモモンを見る目は、神を見るように輝いていた。

  

 

  

 もうすぐ日が沈む夕刻頃。闘技場を後にして、帝都の通りを散策しているモモンと“フォーサイト”一行。

 

(どうしよう)

 

 モモンを悩ませている存在。

 

 後ろを歩く、深くフードを被った三人の森妖精(エルフ)

 帝都内で森妖精(エルフ)が長い耳を街の人間に見られた場合、望まぬ騒ぎを起こしかねない。

 あの後、モモンがオスクと話し、フード付きマントを用立ててもらっていた。

 新たな主人であるモモンから自由を与えられた彼女達が選んだのは、モモンに付き従うことだった。

 

(国に帰りたくないと言い出すし、冒険者チームに入れる訳にもいかないしな)

 

 冒険者が人員の入れ替えをするのは普通によくある。

 なんらかの事情で引退する者、実力が釣り合わなくなり別のチームに移籍する者、理由は色々あるがモモンのチームとして活動するには彼女達の能力では全く釣り合わない。

 ナザリックのこともあり、冒険者活動に支障が出るのはほぼ確実だった。

 

(いっそ全てを教えておくべきか?それかカルネ村に住んでもらうのも良いな。森妖精(エルフ)はカルネ村にいないことだし)

 

 異種族共存。それを目指すテストケースでもあるカルネ村に住んでもらうのはなかなかの良策に思えた。

 アインズ・ウール・ゴウンが支援し、モモンも個人的に懇意にしている村。

 村の住人も他種族への嫌悪感は特になく、森妖精(エルフ)達もモモンが言い聞かせれば村人達とも仲良くやれるだろう。

 

 

 

 色々考え事をしているモモンの後ろを歩くアルシェ。

 彼女は前を歩く大きな背中を熱い眼差しで見つめていた。

 先日からの出来事、モモンに助けられ、依頼と称した異常とも言える報酬、闘技場での森妖精(エルフ)を救った行動と言動。モモンに賭けて得た金貨。

 

 アルシェの手元には帝都案内という依頼報酬を四人で割った金貨125枚。

 先日ジャイムスに渡した解雇手当で貯えは殆ど無くなってしまったが、全額を賭けて得た分、手数料を引かれた合計が金貨約250枚。

 

 妹達を連れて家を出ても、最初はかなり困窮した生活を覚悟していたが、これだけあれば両親の借金を3分の2払ったとしても十分に暮らしていける。

 

 お金に関することばかりで、恩人に対してなんとなく申し訳ない思いがあるが、彼への感謝の気持ちは他の誰よりも深い。あれほど感激していた森妖精(エルフ)にも負けないほどだった。

 

「────あ、あのモモンさん。案内の依頼中ですが、私が一度家に寄らしてもらうのを許してもらえませんか?そ、その…………」 

 

 「妹を連れ出したいんです」とは言えない。仲間達にも家の恥だからずっと言えなかったのに。モモンに自分の家の恥を晒し、情け無いところを見せたくなかった。

 アルシェが言い出しにくいことを悟ったヘッケランが助け舟をだす。

 

「モモンさん。俺達がアルシェの分も働きますから許可してもらえませんか?お願いします」

 

 イミーナもロバーデイクもモモンにお願いする。モモンは「構いませんよ」と快く了承してくれる。

 

「ありがとうございます」

 

 丁寧にお礼を言い、後で『歌う林檎亭』で落ち合うと約束して駆け出す。

 早く可愛い双子の妹に会いたい気持ちからその足は速かった。

 

 

 

 静かな高級住宅街。

 アルシェは自分の家の玄関に勢い良く入る。

 

「お、お嬢様!?」

 

 執事のジャイムスがアルシェを初めに迎える。その顔には驚きと、心底困った表情が浮き出ていた。

 

「────ただいま、なにかあったの?」

「そ、それが…………」

 

 とても言い難そうにしている、何があったのだろうか。

 

「帰ったかアルシェ」

 

 応接室から出てきたのはアルシェの父。最後の挨拶をしていくつもりだったから丁度いいとアルシェが告げる。

 

「────ただいまお父様、前に言ったように妹を連れて出て行きます。お父様と話すのも…………」

 

 「これで最後」、決心していたが、いざ別れの時が来ると悲しい想いが湧き上がってくる。

 しかし、そんなアルシェの想いを裏切る言葉が父の口から告げられる。

 

「ふん、クーデリカとウレイリカならもうこの家には居ない」

「なっ!?」

「お、お嬢様。一昨日お嬢様が出られた日に金貸しの男達が現れ、クーデリカ様とウレイリカ様を連れて行ってしまったのです」

 

 何故借金取りが?アルシェが疑問に思い父を見ると、いつも金貸しが父に渡していた金貨袋を持っているのに気付く。

 

「それは!?…………ま、まさかクーデとウレイを売ったの!?」

「売ったなどと人聞きの悪いことを言うな!二人は預けただけだ、代わりに得たこの金で権威を取り戻せばすぐにでも帰ってくる。お前が金を入れず出て行くなどと言うからだ」

 

 一気に顔が青褪める。

 

「どこ!?二人はどこにいるの!?」

「そんなことお前が知る必要はない!」

 

 怒りに支配され、父を殴り倒す。魔法詠唱者(マジック・キャスター)とはいえ、ワーカーとして鍛えられたアルシェの拳は一般人のそれより強力であり、体を鍛えたこともない者にとっては痛打に過ぎた。

 殴られた頬を抑え、親に手を上げた娘に何か言おうとするが、アルシェの怒りの瞳に見据えられ何も言い出せず口を閉ざす。

 

「私も御二人の居場所を聞いたのですが、旦那様も分かっておられないのです。今日も先ほどまで探しておりましたが足取りは…………」

 

 アルシェは家を飛び出す。

  

 ジャイムスも当たったであろう金貸しのところに向かうが、建物の中には誰も居なかった。

 不法侵入などと言っていられない。魔法で扉を壊し中に入り手掛かりを探す。

 しかし、何も見つからなかった。

 

(どこ?二人共どこにいるの?)

 

 奴隷市場など思い当たる場所を全て当たっていくが一向に手がかりが見つからない。

 息も切れ切れに涙で頬を濡らしながら走り続ける。

 

「うぅ…………クーデ、ウレイ」

 

 

 

 モモンは“フォーサイト”と森妖精(エルフ)達と『歌う林檎亭』に来ていた。

 

 七人で一つのテーブルを囲むことは出来ず、森妖精(エルフ)達は別のテーブルを動かしてモモンの近くに座っている。

 店主の目を気にしてフードを深く被ったまま、モモンが注文した果実水を大人しく飲んでいた。 

 

 “フォーサイト”の三人と話しているのは帝国の歴史から始まり、魔法省や魔法学園など、王国には無い施設の話。専門というわけでもなく、ワーカーとして暮らしてきた中で得た知識なため、一般人よりは知っている程度ではあったが。

 モモンとしては、そこで暮らす者からの視点の情報で十分だった。

 

 デミウルゴス命名の『Gネットワーク』。恐怖公の眷属を使った情報収集、他にも影の悪魔(シャドウ・デーモン)や高位の隠密が可能な僕では表面上のことは分かっても、こういった人々の細かい心情などは調べにくい。  

 “フォーサイト”の体験談を交えた会話をしていると、入り口の扉が荒々しく開け放たれる。

 

 何事かと全員の視線が扉に向かうと、そこには汗だくになったアルシェがいた。 

 

「ど、どうしたんだ!?」

「はあ、はあ、…………お願い、手を貸して。妹が、居なくなったの!」

 

 

 

 とりあえず落ち着かせるためにロバーデイクが冷たい水をアルシェに渡し、詳しい内容を聞いたモモン達。店主は厄介な話を聞いてしまうだけでトラブルに巻き込まれる可能性があるため、店の奥に引っ込んでいた。

 

「自分の娘を売るなんて!何を考えてんだ!」

「信じらんない」

「本人的には売ったのではなく、一時的に預けたつもりなんでしょうが、本当に貴族位を取り戻せるのか。実際のところその辺はどうなんですか?」

「────ありえない。フルト家は帝国に必要が無いと判断された、今更再興されるとは到底思えない」

「ちっ!俺達も手伝うさ、手分けして探せば────」

「落ち着け」

 

 急いで探そうと外へ向かおうとする“フォーサイト”の四人をモモンの静かな声が止める。

 

 現在“フォーサイト”はモモンに雇われた形であり、依頼主の許可なく勝手に行動しようとしたのを咎められたのかと思ったが、そうではなかった。

 

「アルシェさんの様子を見るに、既に心当たりがある所は探したのでしょう。貴方達はどこを探そうと言うのですか?この広い帝都を虱潰しに探すつもりですか、この人数で」

 

 モモンの言うことは正論だった。この人数で闇雲に探しても見つかる可能性はほぼ無いだろう。だが、じっとしていられる訳が無かった。

 

「もっと確実な方法が有る。一度部屋に行きましょう」

 

 

 

 モモンが借りた二階にある部屋、『歌う林檎亭』で一番広く、値段もそれだけ高額な部屋に八人が集まる。

 

「────あの、確実な方法って?」

 

 アルシェは妹が心配で仕方がないのだろう、モモンは帝都の地図をテーブルに広げ本題に入る。

 

「これを使う」

 

 モモンがアルシェに渡したのは<巻物(スクロール)>。

 

「これには<生物発見(ロケート・ライフ)>の魔法が込められている。魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)の君なら問題なく使えるだろう」

 

 闘技場でのことが無かったら驚きであたふたしていただろうが、耐性が付いてきたのか戸惑うことはなかった。

 

 更にモモンは、<探知対策(カウンター・ディテクト)>などの対策魔法の<巻物(スクロール)>をいくつか出していく。

 性質の悪い金貸しが八本指のような犯罪組織と関わっていた場合を考え、ンフィーレアの件と同じぐらいの対策が必要と判断してのことだ。

 アルシェが教えられた通りに<巻物(スクロール)>を順番に開き、込められた魔法の名を唱える。

 無数の魔法防御によって守られたアルシェが<生物発見(ロケート・ライフ)>を発動させた。そして指で地図の一点を指す。

 

 アルシェが地図に指差し、示した場所。

 

「ここは…………確か墓地だったよな」

「なんだってそんなとこに?」

「まさか、二人は既に…………」

「そんな!」

 

 反応があったのが墓地なのはもう死んでいるのかもしれない。アルシェの表情が一気に青褪める。

 

「心配しなくていい、それは無い。この魔法は生物を探知するもので死体には反応しない。つまり生きているということだ。その前に現地の状況も見ておいた方が良い。アルシェさん、<千里眼(クレアボヤンス)>を。<水晶の画面(クリスタル・モニター)>も同時に発動させて、皆にも光景が見えるように」

 

 アルシェが再び<巻物(スクロール)>から魔法を使うと、空間に浮かべた画面には何十人もの人が映っていた。決して派手ではないが、明らかに上等な衣服を纏った者達が異様な雰囲気の中集まっていた。

 そして部屋の端に袋が二つ。小さな子供が丁度入りそうな大きさの皮の袋が転がされていた。

 

「あの中にクーデとウレイが!?」

「動いてる様子はないわね、もしかして眠らされてるんじゃ?」

「待って下さい。…………あの神官の男には見覚えがあります。あれは神殿に仕えている者です」

「おい、あそこに映ってるのはウィンブルグ公爵じゃないか?まさか、周りの奴らも全員貴族なのか?」

 

 公爵という上位貴族に神官の存在。拉致されたも同然なアルシェの妹達。

 あまりにもきな臭いために帝国軍にも報告した方が良いと判断したロバーデイクの案に乗り、提案者のロバーデイクが軍部に報告。残りの者で急ぎ現場に向かい奪還することとなった。

 三人の森妖精(エルフ)は碌な装備をしていないため留守を任せる。本人達は手伝いたかったようだが、モモンに言われたため大人しく従っている。    

 

 墓地へと走っている中、モモンはハンゾウに小声で指示を出す。

 

「状況は分かっているな。お前は先行し、罠や伏兵などがないか調べてこい」

「御意」

 

  

 

 

 

 

 

 帝都の地理に明るくないモモンが先導されて着いた先は霊廟であった。

 墓地には明かりが一切なく、辺りはすっかり暗くなってる。 

 

「────私に任せて。<闇視(ダークヴィジョン)>」

 

 アルシェの補助魔法で闇の中でも真昼のごとく見通すことができるようになる。そしてモモンが<静寂>(サイレンス)の効果のあるマジックアイテムを起動させる。これで霊廟の中が暗くても問題なく隠密行動がとれる。

 

 石の扉を押し開ける。

 中から香の甘い匂いが漂い出す。モモンは秘かにハンゾウから伏兵がいない事と、この部屋の仕掛けを聞く。

奥に置かれた石の台座に近寄ると、石の台座の下の方にある意外に細かな彫刻を押し込んだ。

 

 壊れることなく、それは動くと何かが噛み合う感じがした。そして一拍後、ゆっくりと石の台座が動き出す。その下から姿を見せたのは地下へと続く階段である。

 

「仕掛けを見抜くマジックアイテムを使ったんですよ」

 

 何故知っているのか聞かれる前に、嘘の種仕掛けを明かす。こういう時にはマジックアイテムか特殊技能(スキル)と言っておけばだいたい納得してくれる。

 あまり悠長にしていられないための行動だった。

 

 途中で一度折れ曲がった階段の先には広い空洞が広がっていた。壁や床はむき出しの地面ではあったが、人の手が入っているために簡単に崩れたりしそうな雰囲気はない。

 

 空気もまた淀んではおらず、何処から取り入れてるかは不明ではあるが、新鮮なものだった。

 

 ただ、そこは決して墓場の一部ではない。もっと邪悪な何かであった。

 

 壁には奇怪なタペストリーが垂れ下がり、その下には真っ赤な蝋燭が幾本も立てられ、ボンヤリとした明かりを放っている。踊るように揺れる灯りが、無数の陰影を作る。微かに漂うのは血の臭いだ。

 

 モモン達が階段から異様な空間へと降りようとすると、突然木のドアが開く。

 

「隠れろ」

 

 モモンの小声に全員が身を伏せ下から見えないように位置取る。

 

 入ってきたのは男女交えて、総数二十人ほどだ。

 

 顔は骸骨を思わせる覆面を被っており、うかがい知ることは出来ない。問題はその下だ。上半身、下半身共に裸である。

 

 もしこれが若者のものであれば五歩ぐらい譲って、男の裸でもまだ我慢出来たかもしれない。鍛え抜かれた体であれば三歩ぐらいで済むだろう。

 

 しかし――違う。

 

 中年というより老人の皺だらけのものであり、弛んだぶよぶよとした皮のものだ。老人で無ければ、あるのは中年のだらしない肉体は油の詰まった肉袋だ。

 

 男がそうなのだ、女だってそうだ。第一の感想は干し柿である。

 

「うえっ、なんじゃこりゃ」

「見るに耐えないとはこのことよね」

 

 全くである。モモンは「新手のブラウザクラッシャーかよ」と見たくも無いものを見せられ、精神がゴッソリ削られたようだった。

 

「────これは酷い。…………あっ、あの男が担いでるのは」

 

 アルシェが見つけたのは担がれて運ばれる二つの皮袋。それが裸の連中の後方に置かれる。

 そして神官が祭壇と想われる場所へと歩き出す。

 

「連中が何を企んでいるのか分からないが碌でもない事なのは確かだ。奴らが行動を起こす前に片を付けようと思う」

 

 モモンの提案に真剣な顔つきで頷くアルシェ。ヘッケランとイミーナもいつでも行けると意気込む。

 

「まず私が奴らの前に飛び出し注目を集める。その間に三人でアルシェの妹を助けるんだ。無理に攻撃する必要はない、帝国に突き出す何人かは私が確保しよう。それで構わないか?」

「異議なし」

「二人は絶対に助ける」

 

 場に集まっている奴らはアレだが、それぞれ決意した目で頷く。

 

「よし、ではタイミングは合わせてくれ」

 

 モモンが場を見渡しタイミングを計っていると、木のドアから新たな人影が入って来た。

 

 その人物は黒いローブを身に纏い体を見ることは出来なかった。

 しかし、フードなどは被っておらず、顔を確認することは出来た。

 

 それは金髪のボブカット。ネコ科の動物を思わせる可愛らしい印象を与える女だった。

 

 

 

 

 

 




生物発見(ロケート・ライフ)>…………物体を探す魔法があるなら生物を探す魔法ぐらいはあるでしょう。

森妖精(エルフ)達の名前を付けようか悩みましたが付けない方向にします。途中気が変わって付けるかもしれませんがその時はご容赦下さい。

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