「宇宙人が侵略の第一歩として、ひたすら穴を掘っている。さっさと追い出すなり殺すなりしてくれ」などという心無い通報を聞いた進吾は、その子の元へと訪ねた。
そこで進吾は、河川敷の上で金山くんを見つめるパン屋のおばあさんや、絆創膏を渡そうとしていた保育園の園長に話を聞く。
何故、あの子は穴を掘り続けるのか?と。
その2人は口を揃えて、1人の男性の名前を口にする。
その男性の名は、『佐久間 良』…。
注:今回のお話は、ウルトラマンジャック 第33話『怪獣使いと少年』および、ウルトラマンメビウス 第32話『怪獣使いの遺産』の話を軸にしております。
一応、世界観はウルトラマンビズファスの世界観ですが、メビウスまでのM78ワールドの世界観的な部分を入れております。マックスの『狙われない街』のような感覚でご覧下さい。
『小説版ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では、良少年は行方不明に、パンを売ってくれたお姉さんは他界した設定になっていますが、このお話では、良少年が47年の月日を経て、中年男性になっていたり、パンを売ってくれたお姉さんがおばあさんになっていたりしています。
完全に世界観が同じというわけでもないので、あしからず。
巨大魚怪獣 ムルチ
宇宙調査員 メイツ星人ビオ
宇宙ビジネスマン ヴァルカヌス星人
オイル怪獣 タッコング
ヘドロ怪獣 ザザーン
謎の男
蛾超獣 ドラゴリー登場
〜前回のあらすじ〜
とあるアパートの大家を務めていたメトロン星人は50年前、ウルトラセブンことモロボシ・ダンの言葉により、地球を侵略する事を諦めていた。
元々居たところとは別世界のこの地球に飛ばされたメトロン星人は、他にも悪事を働き、ウルトラマンに懲らしめられてこの世界の地球にやって来た宇宙人達に、全うに生きるように諭してきたのだった。
現れた3体の怪獣を倒したウルトラマンビズファスこと早田進吾を、メトロン星人と善良な宇宙人達は認め、メトロン星人も50年ぶりに、別世界であるこの世界の地球にやって来たモロボシ・ダンと微笑ましく談笑しあったのだった。
少年「おじさん」
男性「何だい?」
少年「おじさんは、何でいつも穴を掘ってるの?」男性「僕は円盤を探してるんだよ」少年「円盤?」男性「あぁ。人間と宇宙人の架け橋としてね。見つけれたら、メイツ星ってところに行くんだ。僕の恩人を知ってる人たちに…謝らないといけないからね」少年「…僕も掘る!」
男性「お、そうか!君、親は?」少年「いない」男性「そうか…。昔の僕を見てるようだよ。名前は?」少年「金山!」男性「え?」少年「金山って言うんだ!良い名前でしょ?」男性「あぁ…良い名だ…。うん…」少年「ん?おじさん…何で泣いてるの?ねぇ、おじさん。おじさんってば!おじさん!?」
〜〜ガランとしている「ERIKA」日本支部のオペレーションルーム〜〜
それもそのはず、進吾1人しか居ないのだから。
隊長は、今日は野暮用がある。とだけ言い残してどこかへ。
夢日は、新たに設立された「ERIKA」オーストラリア支部の現場視察へ。
高宮は、日夜研究を続けていた最新防衛プログラム『マケット怪獣』の調整へ。蓮加はハネジローと共に、月に一度の『多々良島』の保護怪獣の健康診断に行っていた。進吾「暇だなぁ…。怪獣観察をしようにも、保護区内に居る怪獣達は健康診断用の施設に行ってて一頭も居ないし…」
その時、通報用の電話が鳴った。進吾「はい!こちら、「ERIKA」日本支部です!」
「あぁ!「ERIKA」の人!助けてくれ!俺は無流ムル町に住んでるんだがよ!」
電話越しなので詳しくは分からないが、40後半ぐらいの男性だった因みに声は清水紘治風の男であった
相当焦っているようだ。進吾「どうされましたか!?」
清水紘治風の声の男「僕は散歩するのが日課なんだけどよ、最近になって良くわからねぇガキが1人で、河川敷に勝手に穴を掘ってるんだ!注意しても止めやがらねぇから、さっきキレて、穴をスコップで埋めてやったんだよ!そうしたら、ガキの後ろに鮭みたいなデケェ怪獣が居やがったんだ!」進吾「か…怪獣?」清水紘治風の声の男「あぁ!そのガキは宇宙人で、怪獣を使って人間を抹殺する気なんだよ!そうしか考えられねぇ!あんた、「ERIKA」の隊員だろ!?怪獣なんてすぐぶっ殺してくれよ!あの侵略宇宙人の野郎を追い出すなり、殺すなりしてくれよ!俺らの町が宇宙人のせいで壊されてもいいのかよ!?」進吾「あ…でも…。上層部に報告したり、その怪獣が温厚な怪獣なのか調べたりしないと…。それにその子が宇宙人なのかも分かりませんし…」男「あんだと!?使えねぇな!宇宙人なんて、ロクなのが居ないんだよ!さっさとそのガキ殺せよ!」そう言うと、男性は乱暴に電話を切った。
宇宙人にそんな偏見を持たれているとは…進吾は悲しくなってきた。ついこの間、善良な宇宙人達に遭遇した矢先だったので余計にだ。現に、自分も宇宙人であるビズファスと融合している身である。らちが明かないので、男性が言っていた無流ムル町の調査に行く事にした。どうせ此処に居ても何も無い。外の空気でも吸っておこうと思った。何せ、ここ最近は働き詰めだったからだ。目も痛いし、肩も凝って来ている。
メトロン星人に教えられた『ちょっと強めに揉んでくれるマッサージ屋』にでも行こうとも思ってきた。〜無流ムル町〜 噂には聞いて居たが、お世辞にも「空気が綺麗」とは言えない。川を挟んだ奥には、コンビナート地帯が広がっている。汚さそうなガスが、煙突からモクモク出ている。何でもここ一帯は有名な酸性雨地帯のようだ。
(ザッ…ザッ…)川に沿って少し歩くと、砂利と砂利が擦れ合う音が聞こえて来た。
進吾「うわぁ…。こんなに大きな穴を…?」進吾が見た光景は、圧巻の一言だった。
隕石でも落ちてきたのかと疑うぐらいの大穴が空いていた。おおよそ50mはありそうだ。まず、最近来た子供が掘れそうな深さでは無い。
かなり深いので、下の方はさぞ暗いんだろうと思ってのぞいて見たが、ランプなどが付けられていて意外と明るかった。
ランプに照らされながら小学校低学年くらいの少年が、ひたすら一心不乱にシャベルを動かしていた。
この状態で喋りかけるのは、いささかどうかとも思ったので、近くの人に話を聞くだけにする事にした。
河川敷の上で穴をじっと見つめていたおばあさんが居たので話を聞く事にした。進吾「あの…すいません…」
おばさん「はい。どうしたんだい?」進吾「穴を掘ってるあの子とはお知り合いですか?」おばさん「ふふっ…。あの子の名前は穴掘り少年じゃないよ。金山くん と言うんだ。ちなみに私は、パン屋をやっておる」進吾「金山くん…ですか?」パン屋のおばさん「うんうん。あの子を宇宙人だなんて言う人がいるみたいだがね、芯が強い子だよ。あのおじいさんと同じ名前だしね」進吾「おじいさん…?」パン屋のおばさん「あ、こちらの話さ。気にしないで下さい」進吾「あ…はい。あの…金山くんが穴を掘る理由って、知ってたりしますか?」パン屋のおばさん「それを聞くんなら、佐久間くんに聞きなさい」進吾「佐久間くん?」パン屋のおばさん「あの子の親代わりになってる人だよ。あの子は両親を早くに亡くしてね。佐久間くんが面倒を見ていたんだ」進吾「あの…その佐久間さんと言う方は何処にいらっしゃいますか?」パン屋のおばさん「今日は居ないみたいだよ。いつもは金山くんと一緒になって穴を掘ってたんだがね」変だ。と、進吾は思った。
その佐久間と言う人が、金山くんと毎日一緒に穴を掘っていると言うのなら、あの電話の男の言っていた事と矛盾している。あの電話の男は確かに、最近来た子供が1人で穴を掘っていると言っていた。しかも、スコップなんかでは埋めれなさそうな大穴だ。
あの男は嘘をついてる…。進吾はそう思った。しかし…何故…?何故、あの男は…嘘を…?パン屋のおばさん「大丈夫かい?」進吾「あっ…すいません…。少し考え事を…」
パン屋のおばさん「ほれ、あんたが考え込んでいる間に来よったよ」おばあさんが指差した先には、穴へと入って行く女性の姿があった。
おばあさんによると、この近くにある保育園の園長らしい。やがて、ちょっとしょげながら穴から出てきた。
進吾は、保育園の園長にも話を聞く事にした 進吾「すいません。お話よろしいでしょうか?」園長「あ、はい。何か?」進吾「金山くんについてなんですが…。あなたは何をしようとしたんですか?」園長「あぁ!私はあの子に絆創膏をあげようとしたんですよ」進吾「絆創膏ですか…?」園長「ええ。あの子、泥だらけでも擦り傷だらけでも穴を掘るからね。いつも痛々しく思って絆創膏をあげようとしてるんだけど、拒否されまして。やっぱり佐久間さんの絆創膏が良いのかしら…ふふっ…」進吾「あっ…佐久間さんって…金山くんと一緒に穴を掘っていると言う?」園長「ええ。私が子供の頃からずっと1人で穴を掘り続けていましたから。最近になってあの子も掘り始めて、作業が楽になったって言っていました」進吾「佐久間さんは…ご職業か何かをやられていらっしゃる方ですか?」園長「いえ、職にはついていないと仰っていました。いつも黒い和服みたいな服を着ていて、白い首かけタオルを巻いています。さっきあの子に言われたんですけど、今日はお墓まいりに行ってるんですって」進吾「お墓まいり?」園長「ええ。何でも、佐久間さんの育ての親同然の人らしくて。47年前に亡くなられたらしいですけど」進吾「あ…。其の御方の御墓がある墓地はどこでしょうか?」園長「無流ムル墓地と言う所です」進吾「はい!ご協力、ありがとうございました!」進吾は早速、佐久間さんと言う方に会うことにした。「おや、進吾さんじゃないですか」
緑のローブを纏った男が、話しかけてきた。
宇宙ビジネスマン ヴァルカヌス星人こと、羽屋 丈二だ。
進吾「羽屋さん!また誰かにお届けものですか?」丈ニ「あぁいや、仲間の宇宙人の命日でね。お墓まいりに行ってたんだよ。大家さんや店長も来てたんだが、みんな別方向に帰ったよ」進吾「仲間の宇宙人…?」丈ニ「うん。47年前、人間の集団心理っていう怖い感情で命を落としたメイツ星人って言うんだ。進吾さんはまだ生まれてなかったから知らないと思うがね」進吾「47年前にそんなことが…」丈ニ「あぁ。全宇宙に波紋を呼んだよ。衝撃的な事件だったからね。だけど、良少年も元気にしていたし何よりさ」進吾「良少年って…?」丈ニ「嗚呼!御免ね!佐久間 良!この辺で47年間、休む事なく穴を掘っている人だよ」進吾「佐久間さん!ちょうど僕も其の御方に会おうと思ってたんですよ!」丈ニ「そうだったのかい!あ、そうだ!進吾さんに耳寄りな情報をあげるよ!」進吾「え?耳寄りな情報?」丈ニ「うん!地球防衛の役に立つと思うからね!」進吾「あ…ありがとうございます…」丈ニ「今朝、大家さんが言ってたんだけど、この世界の地球にヤプールって奴が来たらしいんだ」進吾「ヤプール?」丈ニ「ヤプールは、宇宙全土を悪に染めようとする邪悪な異次元人なのさ。あのアパートの住人達に比べても、改心する気は無さそうだ。って大家さんは言ってたよ。後、ヤプールは怪獣よりも強い『超獣』を使うんだ。進吾さんも十分に気をつけてね!」進吾「忠告、有難う御座います!」丈ニ「では、僕はこれで。頑張ってね!ウルトラマンビズファス!」〜無流ムル墓地〜メイツ星人の墓とみられるお墓の前で、ひたすら手を合わせている中年男性が居た。
男性は、とても痩せていた。和服のような服を着て、白い首かけタオルを巻いている。彼が佐久間さんと言う方だろう。手を合わせるのを終えた佐久間に、進吾は話しかけてみた。進吾「佐久間さん…ですか?」佐久間良「はい。佐久間ですが…何か?」進吾「金山くんについてなんですが、貴方はあの子と、いつも穴を?」良「ええ。私は47年間、ずっと掘っていますが、金山くんとはまだ3ヶ月ぐらいしか掘ってませんよ」進吾「後…、何故宇宙人のお墓まいりを…?」良「…あの宇宙人、いや、金山のおじさんは…私の命の恩人なんです。家も家族も失った私に、手を差し伸べてくれたのが…金山のおじさんだったんです」進吾「金山って…」良「ええ。あの子と同じ名です。何かの偶然か…」進吾「金山さんと言う方は…優しい人だったんですね…」良「はい。大好きでした。けど…ひたすら穴を掘っていた私は、宇宙人の疑いをかけられ、暴徒と化した住民達に殺されそうになった私を庇って…おじさんは…命を散らしました…立派な最後でした…」進吾「そうでしたか…」良「私が穴を掘っているのは、おじさんが埋めた円盤を掘り出すためなんです。掘り出して、メイツ星に行って…おじさんを知っている人に謝罪したいんです…。まだ…掘り出せてはいないんですがね…」帰りしなに進吾は、金山の墓に手を合わせた。謝罪の気持ちが溢れ出る。
「ありがとうございます。おじさんも、喜んでいるはずです」
その時だった。河川敷がある川の方に、巨大な怪獣が現れた。
大きな目を持ち、緑色の体色をしている。蛾のようだった。
蛾のような怪獣は、何故か河川敷へと向かって行く。あのまま行けば、金山少年が穴を掘っている所だ。
良「金山くん…!」
進吾「あっ!佐久間さん!危ないですよ!佐久間さん!」
佐久間を止めようと、追いかける進吾。
そんな時、羽屋がやって来た。丈ニ「進吾さん!」進吾「あっ!羽屋さん!あの怪獣は!?」丈ニ「いや、怪獣じゃない。あいつは超獣、ドラゴリーだ」
進吾「あれが…超獣…」丈ニ「遂にヤプールが動き始めた!十分に注意してくれたまえ!僕はみんなと合流して、住民の避難を!」「ありがとうございます!僕は佐久間さんを追わないと…!」金山少年は、ドラゴリーの進行方向が自分である事を察し、足元がすくんで動けなくなっていた。
佐久間が助けに入る。「金山くん!大丈夫かい!?」
「あ…おじさん!怖いよ…」
「大丈夫だ!君とこの穴は…私が守る!」その時だった。河川敷沿いを流れる川の水が光り、ドラゴリーの前に2体の怪獣が現れ、立ち塞がった。オイル怪獣 タッコングと、ヘドロ怪獣 ザザーンだ。まるで、佐久間と金山少年を守るかのように、2体の怪獣はドラゴリーに挑んでいく。タッコングがドラゴリーの手に噛み付くと、ザザーンがドラゴリーに体当たりを食らわせる。よろめくドラゴリー。しかし相手は、怪獣よりも強い”超獣”。徐々に、タッコングとザザーンを圧倒していく。ドラゴリー自慢の怪力で、タッコングの右腕がもぎ取られた。雄叫びを上げるタッコング。
「あっ…!くそっ!」
「おじさん!危ないよ!おじさん!」佐久間が3体の元へと飛び出した。敵わないのは分かっている。だけど、勇気を出して立ち向かわなければならないと、佐久間は思ったのだ。自分を助けてくれた…金山のように、今度は自分が…彼と同じ名の金山少年を救う時だと。その時、ザザーンを押しのけて、ドラゴリーが両手からミサイルを発射した。
ミサイルは、佐久間の目の前で着弾し、佐久間は爆炎の中に消えて行った。金山「おじさぁぁぁぁぁぁん!!!」
絶叫する金山少年。進吾がやっと追いついたが、もう遅かった。進吾「佐久間さぁぁぁぁぁぁん!!!」金山「おじさん…おじさん…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」金山少年からとてつもない量の怒りの感情のオーラが発生し、そのオーラが川に次々と流れていく謎の男「ふっふっふ…。良いぞ…!」その様子を、ニヤニヤ笑いながら見ている謎の男が居た。川がドス黒く濁り、そこから悲鳴のような声が聞こえたかと思うと、巨大魚怪獣 ムルチが姿を現した。
辺りには、土砂降りの雨が降ってきた。ムルチに引き寄せられていく金山少年。良「ううっ…!あぁっ!やだ…!」謎の男「はっはっは!はっはっは!」謎の男がケラケラ笑う。…が。ムルチが雄叫びを上げて、ドラゴリーに体当たりを食らわせる。
吹っ飛ばされるドラゴリー。
謎の男が驚愕する。謎の男「なっ…なんだと…!?何故…あのガキは…ムルチと融合しないんだ…!?何故だ!何故…ドラゴリーを攻撃する…!?」⁇⁇「ムルチがあの子を、守ろうとしたのだよ。あの子の怒りが、乗り移っているからな」
謎の男に、突然現れた佐久間のような服を着た男が言う。
謎の男はフゥ…とため息をつく。謎の男「今回の作戦は…失敗か…」佐久間の様な服の男「あの通報をしたのもお前だろう…?この世界の地球でも、こんな事をするのか…?何故だ…?」謎の男「ふん…。貴様には分からんだろうな…。人間に…一度は絶望し、失望した者よ…」そう言うと、謎の男は空間にヒビを入れながら、どこかへと消えて行った。佐久間の様な服の男「ムルチか…父よ…」佐久間のような服を着た男は、雨の中呟いた。片腕をもがれながらも、金山少年を必死に守ろうとするタッコング。ドラゴリーが、弱ったタッコングに向けて火炎を噴射する。タッコングは雄叫びを上げながら燃えていく。やがて、体内のオイルに引火して大爆発を遂げた。ドラゴリーが発射したミサイルの直撃をもろに受けているザザーン。体内のヘドロをぶつけるなどしたが、ドラゴリーの敵ではなく、頭部を噛み砕かれて絶命した。金山少年から召喚されたムルチも、果敢にドラゴリーに立ち向かっていく。しかし、ドラゴリーのミサイルがムルチを襲う。そんな中、地面を叩きつける進吾。佐久間を守る事が出来なかった…そんな気持ちが自分への怒りをたぎらせる。進吾は雨の中、1人で河川敷に座り込んでいた。僧侶の姿をした秀行「進吾、あの子の努力の結晶が大変な事になっているんだぞ。」進吾「えっ…?」
進吾が顔を上げると、僧侶の姿をした隊長が佇んでいた。秀行「進吾、分からんのか!?」進吾「隊長…!くっ…!」進吾は走って行った。決意を固めた。確かに、佐久間を守れなかったのは悲しい。しかし、今。隊長が言った通り、金山少年の激しい怒りから生まれたムルチが、ドラゴリーに倒されそうになっている。
「ドラゴリー絶対に許さねぇ!!ビズファァァァ〜〜〜〜ス!」覚悟を決めた進吾は、メタモビジターを掲げ、ウルトラマンビズファスへと変身した。ビズファス「シュワッ!」ドラゴリーに先制のパンチを浴びせようとしたが、いとも容易く弾かれてしまった。ビズファス「ハッ!」
必殺光線の『ビズニウムショット』を浴びせるものの、あまりダメージを受けていないようだ。ムルチも、体当たりと火炎放射で援護をする。ドラゴリーが、尻尾攻撃をして来たムルチの尻尾を掴み、ぶん回し始めた。ビズファスも近づけない上、光線技を撃てばムルチに当たってしまう。
すると、ドラゴリーは掴んでいたムルチの尻尾を離し、ビズファスの方へとぶん投げた。ムルチと直撃してしまうビズファス。川辺まで吹き飛ばされてしまった。カラータイマーが点滅を始める。ドラゴリーは、倒れ込んでいるムルチの上顎を強引に引き裂こうとする。悲鳴のような叫び声を上げるムルチ。うっすらと涙を浮かべていて、とても痛々しい。ビズファス「ウオォォォ!デュワッ!」
ビズファスは、渾身のドロップキックをドラゴリーに食らわせ、ドラゴリーは吹っ飛んだ。
解放されるムルチ。ビズファスにペコッとお辞儀をする。
よろめくドラゴリーの腹部に、ビズファスは渾身の左ストレートを打ち込む。ビズファスの拳は、ドラゴリーの腹部を貫通し、大きな風穴を開けた。苦しむドラゴリー。すかさず、ムルチも火炎放射で応戦する。そして、ビズファスは必殺の『ビズニウム光線』を浴びせた。風穴を開けられていても、必死に光線に耐えるドラゴリー。しかし、流石に耐え切れなかったようで、腹部に光線は直撃。ドラゴリーは爆発四散した。ドラゴリーを倒したビズファスはしばらくの間、空を呆然と眺めていたのだった。進吾に戻ったビズファスは、すぐに金山少年の様子を確認しに行ったが、そこに彼は居なかった。すると其処に、佐久間のような服を着た男が金山少年を抱え、佐久間をおぶさりながらやって来た。進吾「あっ!佐久間さん!金山くん!無事だったんだ…!良かった…!」進吾は涙を浮かべる。
佐久間の様な服の男「ミサイルの爆炎に巻き込まれる前に、救出したんだ。この子は河川敷沿いに倒れていたから保護したよ」佐久間のような服を着た男が言う。良「此の御方の御陰で助かったんです。本当に…有難う御座います!!あの…御名前は…?」
ビオ「ビオ…メイツ星人ビオと申します。あなたの事は知っていますよ、佐久間 良さん…。私の父を愛して下さり、助けて下さり、ありがとうございます…」良「おじさんの…お子さんでしたか…!ううっ…。こちらこそ…謝罪させて下さい…。私のせいで…あなたの父親を死なせてしまって…ううっ…本当に申し訳ございません…!」ビオ「良いのですよ…良さん…」彼らは熱い抱擁をして、47年越しの再会を果たした。いつの間にか雨は上がり、空には綺麗な虹がかかっていた。ムルチも、まるで役目を果たしたかのようにスーッと消えていった。ムルチがいた場所には、金山が埋めたという円盤があったのだった。金山の息子であるビオのおかげで、メイツ星に行ける事になった佐久間は、改めてメイツ星人達に謝罪し、彼の最後を同族達に語った。彼の47年越しの夢が叶ったのだ。金山少年は、児童養護施設に引き取られ、学校にも通い始めたそうだ。
ぶっきらぼうな性格だったらしいが、今では明るく元気に学校生活を送っているらしい。進吾「隊長…結局、野暮用って何だったんですか?僧侶みたいな服も着てましたし…秀行「嗚呼…野暮用というのは、空間のヒビの調査だよ。僧侶っていうのは…どういう意味だ?進吾。俺は2人も居ないぞ。はっはっは」進吾「ん?何だっだろう…?」
夜の街のとあるビルの屋上の空間にヒビが入ったかと思うと、音を立てて、まるでガラスのように空間が割れた。
割れた空間から、黒ずくめの服を着た男が現れた。
ビオと会話していたあの謎の男だ。
手には大量の超獣が描かれた風船を持っている。
「ふっふっふ…さっきはメイツ星人の小童に邪魔されたが儂は諦めた訳ではないぞ…。この世界の地球にも…絶望を味あわせてやる…!行け!超獣達よ!この久里虫太郎(くりむしたろう)…いや、異次元人 ヤプールに従うのだ!はっはっは…はっはっは!」
巨大気球船…古代魚の化石…空飛ぶ巨大バイオリン…光る雪だるま…街を駆け抜ける緑の影…デタラメな信号機…巨大な卵…怪獣の像…。
異常現象が大量に発生した時、異次元人 ヤプールが送り込んだ超獣軍団が、ビズファスに襲いかかる!
高宮さん!今こそ、開発した対怪獣・超獣システム『マケット怪獣』を使う時です!
そして、空を割って現れる一角超獣 バキシム!ビズファスとマケット怪獣達は、この超獣軍団に勝つ事が出来るのだろうか!?
次回、ウルトラマンビズファス
『空が割れた日』