プロローグ・桜色の魔導師へ
気がつけば自分は形容しがたい空間に佇んでいた。
頭のなかに直接語りかけるような声が聞こえる。
「はい……いつまでもぼけっとしてないで! あたくしの話を聞きなさい! いいわね!?」
その声はなんというか、とても落ち着けるような声ではなかった。そして物凄く通る声だ。
「あんたはこれから『魔法少女リリカルなのは』の世界に転生するの」
「は……はい?」
「だーかーらーっ、“転生”って日本語知ってる!? 英語にしてなんて言わないでよね」
「それは、日本語で一応……」
「そう。そこまでバカじゃなくてよかったわ。あんたはこれから二次創作によくある“転生”をするの。それで、あたくしはあんたの転生をサポートする女神」
「あ……あの、お名前は?」
女神様、とはなんとなく呼びたくないので名前が知りたい。
「あんたねー、先に自分の名前名乗りなさいよ! っあ……そっかあんたまだ誰に転生するか知らないのよね」
「はい」
「あんたのこれからの名前は“高町なのは”、8歳。あたくしは“エクレール”、さっき言った通りあんたの転生及び転生後のサポート担当。……別にあんたのためとかちっともないわよ! これが仕事なだけよ!」
「クレさんでいいですか?」
「すきに呼べばいいじゃない」
「わたし、新高町なのはです。クレさん宜しくお願いします」
「そんなことわかって――って『名乗れ』言ったのはあたくしだったかしら」
「あはははー」
「笑うんじゃないわよ! あーえと、今から転生の説明をするわ! よーく聞いてなさいよ」
クレさんいわくこの転生では、私が能力をカスタマイズしていいらしい。といっても原作が壊れ過ぎない程度にらしいけど。
「で、なにがお望みなのかしら? 好きに言ってくれて構わないわ。大きすぎる力には、それ相応の対価をもらうかもしれないけれど」
た、対価? うーん……考えちゃうなぁ……
「けど、だからって付けなさ過ぎるのも勿体ないとあたくしは思うわ」
「それじゃあ魔力をもっと多くしてもらえませんか?」
「他には?」
「魔力資質の遠隔発生がほしいです」
「まだまだ余裕でかなえられるわよ。次」
「運動神経もっとよくしてくだざい」
「あんたのカスタマイズって夢がないわね。次」
「他に転生者さんっているんですか?」
「あぁ……いるわよ。この世界じゃないけれど。無茶な要望されたって嘆いてたあたくしの同類がいるわよ」
「じゃあもっとその、天才にしてください!」
「次。そんくらいの願いならあと2個は許容範囲よ」
「召喚魔法も使えるようにお願いします」
「ふーん。なのは、あんた……なのはって呼んでいいわよね?」
「はい!」
「で? どうすんのカスタマイズは」
「あと最後に、もっとかわいくなりたいです。それでお願いします」
「フン。じゃあ旧なのはとの違いは」
クレさんが紙にサラサラと書きだす。
・魔力が旧なのはより大きい
・魔力資質『遠隔発生』所有者
・運動神経が良い
・天才
・召喚魔法使用者
・旧なのはよりかわいい
「ん、まぁこれなら代償のほうは心配しなくていいわよ!」
「本当ですか? でも6個も」
「無償で叶えられる範囲として『6』のスロットがあって、『1』の大きさの願いは6個までが無償で叶えられるの」
「じゃあ私の願いは全部……」
「そう、『1』の大きさ。『2』になると希少技能だの、変換資質『凍結』なんかがあてはまるわ。それ以上はそうね……、自分でオリジナルの能力を作っちゃったりとかいう、見本がないもの」
「え」
「それから強制的に『6』を超えるのは世界規模に影響が出てしまうものね」
「なるほどです。だって原作が崩壊しますもんね」
「えぇ。じゃあ転生始めるわよ! 高町なのは!!」
クレさんのそう言う声が聞こえて……、私の意識は深い闇に落ちて行った。
はたして、高町なのは はどんな“天才”になるのやら。
・魔力が旧なのはより大きい
・魔力資質『遠隔発生』所有者
・運動神経が良い
・天才
・召喚魔法使用者
・旧なのはよりかわいい
新高町なのは、8歳。
転生生活開始!