IS 第三次世界大戦   作:Red_stone

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第74話 晴れときどき吸血鬼

「――くそ! なぜ我々の出撃が許可されない!?」

 

犬みたいに吠えているのは日本の代表候補。

もっとも学生ではないが。

周りにも大人の女性たちがたむろっている。

いわゆる格納庫。

そこで彼女は足止めを食っていた。

 

「そうは言っても、日本政府の許可がなければISの出撃は認められませんよ」

 

女性技術士官が言う。

やれやれといった感じで、いかにも感じが悪い。

 

「だが、この現状を見てみろ。このような状況に至ってもなお出撃命令を出さん腰抜けなど首を切ってしまえばいい」

 

もちろん実際に斬るという意味ではないだろう。

しかし、この殺気は誤解してしまいそうなほど怖い。

 

「何を言ってるんですか? そんなことが出来るわけがないでしょう」

「はん――あんな腰抜けども、テロリストにでも殺されてしまえばいいのさ」

 

「それ、本気で言っているんですか? 代表者ともあろうものが」

「だから歯がゆいのだ! なぜ我々が奴らに守られなければならない。我らには己を守る力すらないというのか!?」

 

「あなたのISにはどれだけのお金がかかっていると思っているのです? それに、あなたが無茶をして死なれたら、それはこちらの責任問題になります」

「それが本音か? 責任さえ逃れられたらそれでいいか……! この国を守る気概のかけらすらも失ったか」

 

「どうとでも言ってください。絶対に、あなたには出撃許可は下りませんから」

「なんだと……!」

 

「欧州でミレニアムを殲滅した吸血鬼の手腕があれば、あなたごときは必要ない」

「貴様ら、吸血鬼を自分の思いどおりにできると思っているのか」

 

「当然です。こちらはEUに多額の謝礼金を支払うことになっていますから」

「それで――それで日本人と言えるのか。他国に頼り切り、金だけで全てを済ませる? そんなこと、許されるわけがない」

 

「それ以外に選択肢はありませんよ」

「選んではいけない選択肢というのもあるだろうが。ミレニアムの次の敵は吸血鬼かしれないのだぞ」

 

「いくらゴネても無駄ですよ。あなたの出撃許可には正式な許可が必要です。今更間に合いはしませんよ」

「くそが…...!」

 

 

 

「それでは蹂躙を始めよう」

 

とあるビルの屋上で影がささやく。

吸血鬼アーカードの姿がそこにあった。

 

「限定拘束解除――第0号」

 

影が広がる。

町を飲み込むほどに。

むろん、避難指令など出ているわけがない。

そういうことに関してはやたら遅いのがこの国の悪いところだ。

それに、そういう事態は想定外だから責任を取らされる人間がいないのも拍車をかける。

 

つまるところ、住人は影に飲み込まれた。

 

「さて、遊ぼうか」

 

影から戦闘機が発進していく。

現代の技術を戦争という一点のみにおいてはるかに上回るテクノロジーの結晶が、戦火の申し子に牙をむく。

 

 

 

ISと戦闘機。

どちらが勝つか尋ねたら、それはISに決まっている。

専門家であろうと、素人であろうと口を合わせてそう言うに決まっている。

 

だとするなら、ここは異世界に他ならない。

常識が通用しない世界――それを異世界と呼ばずになんと呼ぼう。

 

戦闘機は一直線に飛ぶ。

急には曲がれないし、その必要はない。

ただ速く飛べればそれでいい。

 

戦闘機は88mmの機銃を吐き出す。

そのすさまじい威力はISごと体を持っていく。

それでも当たり所さえよければ即死はしない。

だからこそミサイルで追撃する。

――相手が死んでいようともかまわずに。

 

 

 

「あっはっは。たまやー、というところかな? これは。ああ、汚いからこそよく映える花火だ。もっともっと、命の消える光を見せてくれ」

 

戦闘機が無限に湧き出し続ける。

 

花火はISが砕けるものだけではない。

機銃の掃射――その規模、その威力のものこそ想像したことすらないが、ミレニアムであれば機関銃に追いかけられた経験くらいは持っている。

だからこそ、かわして反撃できる。

最初の一撃さえかわしてしまえば、あとは自在な動きで戦闘機を追い詰めることができる。

それこそがISの特性。

 

だが、それはただそうであるというだけ。

反撃はできる。

できるが、それがどうした?

2機目、3機目――いつかは殺される運命にある。

 

無限の殺戮劇が繰り返される。

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