次の日。何か新聞部の音無春奈が、今日からサッカー部のマネージャーをやることになったそうだ。半田とマックスが音無がやかましの間違いじゃないか?と言っていたが……うん。正直それオレも思った。
というわけで、今日も今日とで河川敷で練習。染岡が既にシュート練習をしていたが、そのシュートに青色のオーラが纏ってるように見えたのは気のせいだと信じたい。というかどうせアレだ。染岡も必殺技使うようになるんだろ?ほら、展開的に。まぁ、豪炎寺に対抗して青い炎とか、そういうのを纏ったシュートになるのだろう。言っとくが、オレはその程度じゃ驚かないぞ。…………多分。
「染岡。頑張ってるな」
「円堂……へっ、上手くいかねーよ……。なんかいけそうなのに、全然ゴールが決まらねぇ。これじゃストライカー失格だな」
1つ純粋に思ったこと。この世界におけるストライカーの基準って何ですか?
「無理すんなよ染岡。今故障されちゃかなわないからな」
風丸指揮の下、オレ、円堂、染岡以外は練習を、オレたちは土手に座って話をしていた。
「そうそう。怪我されたら溜まったもんじゃないよ」
「タイヤで無茶な特訓している円堂には言われたくねーよ」
あーそう言えば円堂ってタイヤで特訓してるんだっけ……何かこの時点でおかしくね?いや、気のせいだろ。うん。気のせい気のせい。
「ははっ。俺、こないだ皆で試合出来てすっげー嬉しかったんだ。やっとサッカーらしくなってきたって思ったんだ」
「まぁ、それまで人数も足りず、試合なんてやったことなかったけど。でも色んな意味で面白かった。染岡はどう?」
「羨ましかったんだよ。俺」
「何が?」
察してやれよ円堂。
「豪炎寺だよ。あいつ、出て来ただけでオーラが違った。1年生があいつ呼んでくれってのも分かる。あいつがシュートを決めた時、あれが俺だったらなって思ったんだ」
「そっかぁ……」
「……豪炎寺には負けたくない。俺もあんなシュート撃てるようになりたいんだ」
いい話のところ一つ言っていい?いや、豪炎寺みたいなシュートって、アレは普通無理だから。努力とか根性とか精神論とかって次元越えてるから。
「よし!お前のシュート、完成させようぜ!そいつで尾刈斗中に勝つんだ!」
おかしいな。円堂。染岡のシュートを完成させるってアレか?無回転シュートとかそういう系か?
「無理だよ……試合まであと何日だと思ってるんだ……」
え?日数の問題?絶対違うよね?何か重要なところが違ってるよね?
「だから頑張るんじゃないか!」
まさかの根性論!?
「豪炎寺になろうとするなよ。お前は染岡竜吾だ。お前には、お前のサッカーがあるだろ?もっと自分に自信を持てよ!」
「まぁ、オレも染岡竜吾は豪炎寺修也になる必要はないと思う。お前はお前だ染岡。自分なりのサッカー。自分なりのシュートを身につける方がいい」
そう。だから、足から炎を出さなくてもいいし、あんなに高くジャンプして回転しなくてもいい。普通に普通のシュートを撃ってくれればいいんだ。
「俺のサッカーか……。よぉし!やってやろうじゃねぇか!俺のサッカー!俺のシュート!」
その日の練習後。オレはあるところに電話をかけていた。
『ほーい。ワシじゃ。何か用かの?』
神様である。
「おい神様。何かペンギンが呼びだせるようになったんだけど」
『ほうほう。よかったではないか』
「良くねぇよ!?ついに人間やめちまったじゃねぇか!」
ペンギンを呼び出せる人間はきっと普通の人間ではないだろう。ちなみに今日かけている理由は、昨日電話をしようとして寝てしまったからだ。
『前からじゃろ?』
「ふざけるなよ?オレは人間でいたかったんだ」
『はてはて。お主の元の世界ではペンギンを呼べる人間はおらぬが、この世界には割と居るぞ?』
「いやダメだろ!?居ちゃダメだからな!」
『それにしても、そのペンギンと会話出来る人間はワシは見たことない。新種じゃな!』
「新種!?ちょっと待て!普通は話せるわけないのか!?」
『何を言っておるんじゃお主は。常識で考えて動物とテレパシーで話せる人間がいるわけないじゃろ。そんなの特殊な人間だけじゃ』
「この世界に来てからオレの常識は既に粉々だよ畜生!」
もう何が常識で何が非常識かさっぱりわからない。
『ほんで?要件はそれだけかのう?』
「あーオレの呼び出せたペンギンってどっから来てんだ?」
『ワシも知らん』
「知らん!?それ1番ダメな奴だからな!」
『全く、あ、今度から電話かけても繋がらんかもしれんぞ?』
「何でだ?」
『ワシも今度試験があるのじゃ』
「そうか。堕ちろ」
『じゃあの。楽しめよ少年』
切られたよ。というか……オレってどうなってんの?あ、転生者ってやつか。
それから数日が経っただろうか。オレは八神のもとで頑張って練習を重ねていました。時にはペンギンと喧嘩し、時にはペンギンと仲直りし、時にはぶっとばされながらも頑張りました……そしてついにこの日。事件は起きました。
「ぐぉおおお!てやぁぁぁああ!」
染岡の放ったシュート。何と後ろから青いドラゴンが出て来たのだ。…………ん?んん?青い…………ドラ……ゴ……ン?
「ドラゴォンッッ!?」
円堂はそのシュートに反応できず、ボールはゴールへ……ちょっと待てっ!
「ドラゴン!?今ドラゴンが出てきたんだけど!?」
あまりの事に発狂するオレ。でも、この衝撃は絶対他の人にも分かるはずだ。皆だって、あまりの事に言葉を失っているみたいだし。
「すっげぇ……」
「今までのシュートとまるで違う……」
「今ドラゴンが、ガァッって吠えたような」
「僕もそんな感じしましたよ」
部員たちの反応はこんな感じだ。ふむふむ。
「ち・ょ・っ・と・ま・て!」
「どうしたんだ?十六夜」
「いやいや反応薄ぎじゃねぇの!?ドラゴンが出たんだぞ!?色々とあり得ねぇだろ!」
「本当だよ!染岡!」
同調してくれる円堂。そうだよな。いくらお前でもこの異常さは理解してくれ──
「すっげぇシュートだったな!十六夜もあり得ないぐらい凄いシュートって興奮してるぞ!」
──てねぇ!?ちげぇよバカ!オレが言いたいのはもっと根本的なことだよ!
「これだ……これが俺のシュートだ!」
納得したぁ!?納得しちゃいけないよねぇ!?絶対納得しちゃいけないよねぇ!?
「あぁ!やったな!」
「よし!このシュートに名前付けようぜ!」
もう受け入れてるの!?高すぎるだろ!お前適応力が高すぎるだろ!
「竜吾シュート!」
「ドラゴンシュート」
「染岡スペシャル!」
「ドラゴン染岡!」
ってお前らもかよ!?オレだけか!オレだけがこの状況を受け入れられてないのかぁ!?
「あ、豪炎寺」
円堂が呟く。橋の方を見るとそこには豪炎寺が。
「何ぃ!?」
いや、染岡さん。その反応はおかしくないですか?
「円堂……俺やるよ」
「豪炎寺……」
「「「やったぁ!」」」
喜ぶ1年生を中心としたサッカー部部員たち。
こうして、豪炎寺を加えてオレたちは新たなスタートを切るのだった。
うちの主人公。化身、ミキシマックス、ソウルを見たらどんな反応をするのだろうか。