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試合前日の夕方。綱海、円堂、豪炎寺、鬼道の四人は鉄塔広場に集まっていた。
綱海と豪炎寺の二人が木に吊してあるタイヤで特訓(?)している中、その様子を見ながら円堂と鬼道の二人は話していた。
「なぁ円堂。グランのことだが」
「グラン?ヒロトのことか……」
「お前はアイツのことどう思う?」
「どう思うって…………分からない」
「そうか……」
「ただ…………いや、分からない」
珍しく歯切れが悪そうに答える円堂。その様子を見て鬼道は次の質問をする。
「なら十六夜のことはどう思う?」
「…………」
少しの沈黙の後、円堂は答えた。
「……アイツさ。ずっと一緒にサッカー部でやってきてたんだよ。今年からじゃなくて去年からずっと。フットボールフロンティアでもさ。アイツにはずっと支えられてきて、一緒に楽しく、熱いサッカーをして、結果的に勝つことができた。中学からだったけどサッカーをやってきて……アイツのことは分かっているつもりだった」
夕陽を見ながら話す円堂。
「何かさ、エイリア学園が来てからアイツのことが分からなくなったんだよ。最初に離脱するし。そう思えば敵として現れるし。全然分からないよ」
ははっ、と少し笑ってから続けた。
「そりゃあ福岡であんな形で再会したときはすげぇ落ち込んだよ。今までずっと一緒だったやつが敵で、もしかしたら、今までずーっと騙されてきたんじゃないかって。そう思うと余計に苦しくなった」
「円堂……」
「でもさ。俺は信じることにしたんだ。アイツ自身というか、アイツとやって来た今までのサッカーを。この前のカオス戦すげぇ楽しかった。十六夜もすげぇ楽しそうだった。きっとアイツのしたかったサッカーができていたからだと思う。だから、俺はアイツを、アイツのサッカーを信じる」
「それが敵として戦うことになってもか?」
「ああ。例え敵として戦うことになっても、アイツは何かアイツなりの考えを持ってやっている。間違ってもエイリア学園に操られているわけじゃない。だったら俺はアイツと正面からぶつかってやる」
「……なぁ円堂。アイツはおそらく──」
「おい!なぁにそこでゴチャゴチャやってるんだよ!お前らも来いって!」
と、ここでタイヤの上に乗りながら綱海が二人に声をかける。
「よぉし!俺もやるぞ!なぁ!鬼道!」
「……あぁ」
(アイツのサッカーを信じる……か)
そして試合当日。雷門中メンバーはグラウンドでウォーミングアップをしていた。
帝国学園の選手たちは観客席から見守ることにしたようだ。
円堂、鬼道、土門はデスゾーン2をチャンスがあれば打とうと気合いを入れる。
キーパーを任された立向居は緊張しているようだが綱海の声かけで少しはほぐれた様子。
そんな中、帝国学園スタジアムの中央付近に空から赤と青の混ざったボールが落ちてくる。
「来たな」
煙が晴れたときそこにはネオ・カオスの11人が立っていた。
「円堂守!宇宙最強のチームの挑戦を受けたことを後悔させてやる!」
「前と同じチームと思うなよ?コテンパンにしてやるからな」
ガゼルとバーンの二人の言葉に対し円堂も負けじと声を上げる。
「負けるもんか!俺にはこの地上最強の仲間たちがいるんだ!」
「勝負だ!」
バーンの言葉を受け、両チームポジションについた。
『さぁお待たせしました!本日はここ帝国学園スタジアムより雷門VSネオ・カオスの一戦をお送りします!ネオ・カオスは前回戦ったカオスの本命のチーム。キャプテンのバーン、副キャプテンのガゼルを除く9人の選手が入れ替わっています。対して雷門は円堂がリベロに上がり、立向居がキーパーに入って初めての試合。これは期待が高まります!』
相変わらず実況席には角間が居るがそこには慣れたようで皆スルーをしている。
ピ──!
豪炎寺のキックオフで試合開始。ボールはアフロディから豪炎寺、一ノ瀬、塔子へと繋がった。
「行かせない!」
塔子へマークするのはドロル。塔子がキープしていたボールをスライディングして奪取した。
「「「なっ!」」」
あっさり取られると思っていなかった雷門陣営は声を思わず上げてしまう。
そのまま攻め上がるドロル。
「土門!」
土門がマークしに行くも突破され、立ち塞がった壁山も突破される。
「ちょっと!前のカオスと全然違うじゃないですか!」
「本命のチーム……前回、ベンチメンバー中心だったというのは本当のようね」
彼らは知らないが、エイリア石を使わなくても個々のレベルは前回のメンバーよりも高い。その上でエイリア石による強化がされている以上、カオスより遙かにパワーアップされている。
「行かせるかっ!」
綱海がブロックしに行く……が。
「ガゼル様!」
ドロルの隣を走っていたガゼルにパス。そして、
「ノーザンインパクト!」
必殺技を放つ。前回よりもパワーがさらに上がったノーザンインパクトは立向居の守るゴールへと向かう。
「マジン・ザ・ハンド!」
立向居は完成できていないムゲン・ザ・ハンドではなく、マジン・ザ・ハンドで応戦しようとするが呆気なく敗れ去った。
『おぉっと!ネオ・カオスの鮮やかなカウンター攻撃に雷門!先制点を許してしまった!』
1ー0。先制点はカオスが取った。
雷門のキックオフで試合再開。ボールはアフロディへ渡った。
「行かせねぇ!」
ブロックしに行くのはネッパー。
「ヘブンズタイム!」
そんな彼に、アフロディはヘブンズタイムを放つ。
「付いてこられるかな?」
アフロディは動きが止まって見えるネッパーの隣をドリブルして突破する。……そう、突破するはず
「ふん!」
なんとネッパーがヘブンズタイムを打ち破りアフロディからボールを奪い去った。
「ヘブンズタイムが破られた!?」
「そんなことが十六夜以外にできるなんて!?」
ヘブンズタイムが破られたことにより衝撃が走る。
それもそうだ。ヘブンズタイムは破る方法が限られた必殺技。無敵に近いその技が破られた衝撃は計り知れない。
「ヒート!」
「リオーネ!」
「バーン様!」
ネッパーから素早くパスが繋がりボールはバーンの元へ。
「行くぜ!アトミックフレア!」
そしてそのままアトミックフレアを放つ。こちらも前回よりもパワーアップされたもの。
「マジン・ザ・ハンド!」
対して再びマジン・ザ・ハンドを繰り出すも呆気なく破れてしまった。
その後もアフロディのヘブンズタイムはネッパーに通じず、豪炎寺を中心に攻めようもフローズンスティールとイグナイトスティールのコンボにより、点を決めるどころかシュートまで持ち込めない。
守備もガゼルとバーンを中心とした連携に翻弄され突破されてしまう。更に二人の必殺シュートに対して、立向居のマジン・ザ・ハンドでは力不足だった。
『あぁっと!これは一方的な試合になってきたぞ!』
「うわぁあああ!」
『ネオ・カオスの追加点!なんとスコアは既に10ー0!』
前半もまだ半分。一方的な試合展開になってしまった。
「くそっ……!」
思わず声が漏れ出している。
「選手交代!」
そんな中、響き渡るのは瞳子監督の言葉だった。
「財前さん交代よ」
「私がですか?でも一体誰と──」
カツン、カツン
グラウンドの方に向かっている足音。観客や選手も含めた全員がやって来る選手に注目する。
そして、その男はベンチのところに立った。
「「「なっ……!」」」
「16番十六夜綾人が入ります!」
円堂に預けていた雷門の16番のユニフォームを着た男。
『な、なんと!十六夜が雷門のユニフォームを着て現れたぞ!これは──』
「い、十六夜……!」
塔子と交代しフィールドへと入っていく十六夜。雷門のメンバーの顔を見渡して、
「どうしたお前ら!まだ試合は終わってねぇぞ!」
「「「…………っ!」」」
感動の再会的なのを全てすっ飛ばして渇を入れる。
「さぁ、勝ちに行くぞ!」
笑顔で宣言する十六夜。
得点差は10点。前半も半分が過ぎたこの状況。
絶望的なこの状況を打開することは果たしてできるのだろうか?