超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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雷門VSネオ・カオス ~敵か味方か~

 突如現れた十六夜。

 しかし、反応は言うなら豪炎寺の帰ってきたときより、アフロディの参戦の時の方に近かった。

 いくら元々仲間だった十六夜綾人と言っても、つい先日敵チームとして戦ったばかりの雷門にとっては受け入れることは容易ではない。

 

「おかえり……と言いたいとこだが十六夜。俺たちはお前が何を考えているかは分からない。だからプレーで示してみろ」

 

 鬼道は十六夜に対してこう伝えた。それに対して十六夜は、

 

「分かってるさ」

 

 どこか笑みを浮かべながら答える十六夜。

 ネオ・カオス側もざわつきが起きながらではあるが雷門のキックオフで試合が再開する。

 ボールはゴッカのフローズンスティールによって奪われて、

 

「どういうつもりだ!ムーン!」

 

 バーンへと繋がる。そして十六夜に向かって叫びながらドリブルでぶつかっていこうとする。

 

「どういうつもり……ねぇ」

 

 そんなバーンからボールを奪い去った十六夜は、

 

「こういうつもりだよ!」

 

 ピ──!

 

 10匹のペンギンを呼び出しシュートモーションに入る。

 

「皇帝ペンギンO改!」

 

 そしてそのままシュートを放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 立向居の守るゴールに向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「なっ……!」」」

 

 あまりのプレーに驚きの声が上がる。

 それもそうだ。なぜなら十六夜は、本来自身の守るはずのゴールへとシュートを放ったのだから。

 

「お前!」

 

 そのプレーに綱海が声を上げようとする。だが、その間にもボールはゴールへと迫っていく。

 

(ダメだ……!ここで必殺技を使ったらハンドになる!でも、このシュートはどうやって止めれば……!)

 

 味方の放ったシュートをどうすればいいか分からない立向居。

 

(…………あれ?このシュート……見えた。…………聞こえた。え?どうして……?)

 

 そんな中、ムゲン・ザ・ハンドの特訓のお陰かボールが見え、ボールの纏う空気の音が聞こえた立向居はそのシュートに疑問に思う。

 そして、その疑問に思った時、ボールは立向居の頭上を通過し、

 

 ガンッ!

 

 ゴールバーに激突する。

 ボールは跳ね返って空高く飛んでいく。

 そしてその跳ね返ったシュートに対して、

 

 ピ──!

 

「行くぞ!オーバーヘッドペンギン!」

 

 走り込んでいた十六夜がシュートを合わせる。空中で呼び出した6匹のペンギン。先程の10匹に加えた計16匹のペンギンがネオ・カオス陣地へと向かい飛んでいく。

 あまりのプレーにネオ・カオス、雷門、そして観戦している帝国の選手は一切反応ができていなかった…………ただ()()を除いては。

 

「行ったぞ!豪炎寺!」

「分かってるさ」

 

 ネオ・カオス陣地へと走り込んでいくのは豪炎寺と鬼道。

 十六夜のプレーにより固まっていたネオ・カオスのディフェンス陣を抜くのは容易かった。

 

「……っ!ディフェンス!その二人を止めろ!」

 

 ようやく我に返ったガゼルが素早く指示を出す……が一手遅かった。既に豪炎寺が空に向かって跳んでいたのだ。

 シュートもセンターラインを超えた辺りから空へと軌道を変える。

 

「そいつだけでも抑えろ!」

 

 続いてバーンが鬼道だけでも抑えるよう指示を出す。現状、豪炎寺を止めることは不可能。ならば、前回の失点であるツインブーストを警戒しての判断だった。

 

「ファイアトルネード!」

 

 十六夜のシュートに合わせた豪炎寺。16匹のペンギンはその姿を炎へと変え、ペンギンの形をした炎が()()()()()()()()()()()()()()()

 

「行けっ!」

 

 鬼道に警戒していたばかりに、シュートコースにはディフェンス陣はいない。シュートは誰にも邪魔されることなくグレントの元へと向かう。

 

「バーンアウト!」

 

 迎え撃つグレントはその両手に炎を宿す……が、あまりにも炎そのものの規模が違いすぎた。

 

「ぐああああああ」

 

 グレントと弾き飛ばしてボールはゴールへと刺さる。

 

『ご、ゴール!十六夜と豪炎寺、鬼道の三人による奇襲が成功!雷門!一点を返しました』

 

 何が起きたかイマイチつかみ切れていない面々を置いてけぼりにして、十六夜は、豪炎寺、鬼道の二人とハイタッチをした。

 

「よく合わせたな」

「お前が皇帝ペンギンO改を打つ前に一瞬、俺と鬼道の方を見ていたからな」

「相手の度肝を抜く事が好きなお前なら何かやると思った」

「別に度肝を抜く事が好きって訳じゃないけどな」

 

 一瞬のアイコンタクトだけで、力を合わせた三人。

 

「そもそも鬼道。お前が言ったじゃないか。今の状況ではオレを他のメンバーが信じ切れていない。だからプレーで信じさせる。そのために協力するって」

「ふっ。アフロディの時の二の舞になっては逆転なんて出来ないだろう。俺はお前のプレーに答えるだけだ」

「しっかりと伝わっていたようで何よりだ。あそこまで分かりやすいプレーだったから俺たちも合わせやすかった」

 

 そう。最初にわざわざ鬼道が伝えた理由はこれだったのだ。

 本来なら言わなくていいことを敢えて言った。理由はその言葉の裏の意味を察してほしいために。

 そして見事にそれを察した十六夜と豪炎寺の二人。オウンゴールを……というのはやり過ぎたかもしれないが結果オーライだからいいかと笑って済まそうとする十六夜。

 

「やってくれるじゃねぇか……!」

「ごめんね。オレはこいつらとお前たちを倒すと決めたから」

「その選択。後悔させてやる」

 

 今のプレーでわずかばかりに残っていた仲間意識を捨てるネオ・カオスのメンバー。

 

「おかえり十六夜!」

「おかえりなさいッス!」

「たく。そういうことなら言えってんだよ!」

「本当だよ。凄いヒヤヒヤしたよ」

 

 上から円堂、壁山、土門、一ノ瀬と順に声をかけていく。

 

「悪い悪い。豪炎寺や鬼道に伝わるようなわかりやすいプレーがあれくらいしか思いつかなくてさ」

 

 口ではそう言っているが悪いと一切思っていないであろう十六夜。敵を騙すためにワザと自分のゴールを狙った。敵を騙すにはまず味方からという言葉もあるが……一歩間違えれば完全に裏切り者だっただろう。

 

「よぉし!反撃だ!」

「「「おう!」」」

 

 円堂の言葉によって活気づいた雷門。対してネオ・カオスは多少冷静さを取り戻していた。

 

「行くぞ」

「ああ」

 

 そしてネオ・カオスのキックオフで試合が再開した。

 

『な、なんと!試合再開と同時にネオ・カオス、ガゼルとバーンによる速攻!速い!これには雷門側追いつけない!』

 

 再開と同時に二人が猛スピードで攻めている。

 

「一点取られたら取り返すだけだ!」

「貴様が戻ったところで勝ち目はない!」

 

 雷門のミットフィルダー陣を突破し、ディフェンス陣をも鮮やかかつ素早い連携で突破する。そして、

 

「行くぜ!」

 

 バーンがボールを蹴り上げシュート体制に入った。

 

「アトミックフレア!」

「マジン・ザ・ハンド!」

 

 放たれた必殺技に対して立向居は円堂とは色違いのマジンを呼び出す。

 しかし、あまりのパワーの違いにマジンは呆気なく破れてしまう。

 

「うわぁあああ!」

 

 ボールはそのままゴールへ……

 

「させねぇよ!」

 

 ……そこに割り込んだのは十六夜。シュートに対し右脚を合わせることにより蹴り返そうと試みる。

 

「おらぁっ!」

 

 そしてボールは飛んでいきラインを割った。

 

「…………ッチ」

 

 しかし、そのシュートは予想よりも強く、彼の狙い通りに飛んでいかなかった。

 

「あ、ありがとうございます」

「何を恐れている。立向居」

「……え?」

 

 止めてくれた事に感謝する立向居に対して、問いかける十六夜。

 あまりにも唐突な質問に、一瞬理解が止まる立向居。

 

「失敗を恐れているんじゃねぇよ。そんなんじゃ止められるわけがねぇだろ」

「失敗って……でも、俺が止められなかったらゴールが……」

「んなの点を取られたら取り返すだけだろうが!それに失点したってそれはお前だけのせいじゃねぇ。シュートを打たせたオレたちにも非はある。だからな、失点はお前だけのせいじゃない。オレたち全員のせいだ!」

「…………っ!」

「オレは円堂がキーパーと認めたお前を信じる。だから、失敗してもいい。本気で、今出せる全力で真正面からぶつかっていけ!いいな!」

「は、はいっ!」

 

 十六夜は返事を聞くとガゼルやバーンへのチェックへと向かう。

 

「アイツ。すげぇいいこと言うな」

「味方になるとここまで頼もしいなんて……」

「俺もあの後ろ姿にはどれだけ救われたか」

「やっぱり心強いッス!」

「よぉし!俺たちも負けていられねぇぞ!」

「「「おうっ!」」」

 

 ディフェンス陣にも火が灯る。

 スローインからボールを貰ったのはドロル。そのまま攻め上がってくるが、

 

「行かせるかっ!」

 

 円堂がすぐさまスライディングして、ボールを奪う。そして、

 

「十六夜!」

「オッケー!」

 

 ボールは十六夜へと渡った。

 

「通さない!」

「ここで止める!」

 

 前に立ち塞がるのはネッパーとヒート。

 

「いいや、通させてもらう!」

 

 そのまま二人の間へと強引に走って通ろうとする十六夜。ヒートがスライディングを、ネッパーがそれを避けたところを奪おうと試みる……が、

 

「一ノ瀬!」

 

 ()()()()()()()()()()()一ノ瀬へとバックパスをする。

 

「鬼道!」

 

 十六夜の後ろに走り込んでいた一ノ瀬。そのまま流れるように鬼道へとパスを出す。

 

「十六夜!」

 

 ディフェンスに来た二人を突破した十六夜は、鬼道からボールを貰い再び突撃をする。

 

「通させるか!イグナイトスティール!」

 

 ボンバのイグナイトスティールが炸裂する。これを飛んで躱し……

 

「フローズンスティール!」

 

 ゴッカのフローズンスティールが着地した瞬間を狙いに来るも、

 

 ピ──!

 

「ライド・ザ・ペンギン!」

 

 ペラーに乗ることでそれを回避し、着地に成功する。

 

「それは通用しない」

「打たせるわけにはいかない」

 

 しかし、残ったクララとバーラがシュートコースを塞ぐようにして立つ。

 さらに、後ろからはボンバやリオーネが迫るが……

 

「いいや、打たせてもらうよ」

 

 特に気にせずボールを蹴り上げ、

 

 ピ──!

 

 ペンギンを10匹呼び出した。

 

「皇帝ペンギンO改!」

 

 そしてそのままシュートを放つ。ゴールまでは距離があり、二人のディフェンダーがシュートの威力を落とすため立ち塞がるが、

 

「……え?」

 

 シュートは二人のディフェンダーの前で大きく曲がり、左サイド側の上空へと飛んでいく。

 

「ナイスパスだよ。十六夜君」

「ああ、決めろ。アフロディ」

 

 そこには既に純白の羽を生やしてシュート体制に入っていたアフロディの姿が。

 

「ゴッドノウズ!」

 

 アフロディの右足へと吸い込まれるように十六夜のシュートは行く。

 ダイレクトでそれを蹴り出すと、ペンギンたちは白い光となり、翼が天使の羽のように、またペンギンたちの頭にはリングが。さながら、天使となったペンギンたちがシュートと共にグレントの守るゴールへと向かった。

 

「バーンアウト!」

 

 バーンアウトとシュートが激突する……がそのパワーにグレントの炎がかなうことはなくゴールへと突き刺さった。

 

『ゴール!素晴らしい連携です!雷門追加点だ!』

 

 これにて雷門は二点目だ。

 

「神の力を纏ったペンギンのシュート……皇帝ペンギンG(god)!」

「いや、ペンギンなんかゴッドなんかはっきりせんかいな」

「はっ!少し閃いてしまいました!」

「そんなのドブにでも捨ててこいや」

「なっ!人の閃きをそんな雑に……!」

 

 と、ベンチでやっているが完全にフィールドプレイヤーたちには聞こえていない模様。

 2ー10。点差は絶望的だが十六夜参戦から数分で二得点をあげている雷門。勝負の行方はまだ分からない。




皇帝ペンギン(god)
シュート技
パートナー アフロディ
皇帝ペンギンOとゴッドノウズの合体技。
なお、ゴッドノウズに合わせるとペンギンは白い天使のペンギンになるらしい。

目金がこの技を見て何かを閃いていたが……まぁ、察しのいい人はすぐに分かるでしょう。
これで一日おき投稿は終了ですかね。次回は……いつだろう。
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