超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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雷門VSネオ・カオス ~打ち破るために~

 雷門のキックオフで試合再開。ネオ・カオス側もシュートを止め、その上で決めたことにより勢いに乗る。

 拮抗した試合展開の中、豪炎寺が飛び出して、

 

「爆熱ストーム!」

 

 必殺技を放った。だが、

 

「アイスブロックV2」

 

 クララの必殺技を破ることはなかった。炎は氷によって包まれてボールは地面に落ちる。…………いやウチのエースストライカーが止められたんですけど?え?どんだけ強いのアイツ?

 …………落ち着け。おそらく連携技なら破れる可能性がある。デスゾーン2とか……だが、ネオ・カオス側は連携技を打たせないような立ち回りに変えている。

 

「やっぱり火力か……」

 

 アフロディ、豪炎寺が止められた以上単独で決めるのはほぼ無理。だが……

 

「円堂。鬼道。オレが行く」

「十六夜……!」

「分かった。頼んだ」

「ああ」

 

 それでもやるしかねぇ。あのバケモノを生み出した以上、責任を持ってバケモノ狩りをするしかねぇ。

 

「こっちだ!」

 

 ボールは一ノ瀬が確保する。

 

 ピ──!

 

「行くぞっ!」

 

 ペラーを呼び出し、ペラーが肩に乗る。その手にはスコープが握られており、

 

『照準セット!クリア!』

 

 するとオレの目には、ペラーが定めた狙い──ゴール右上の隅にターゲットマーク──が見える。

 

「行けっ!スナイプ・ザ・ペンギン!」

 

 オレはボールを軽く上げ、そのまま蹴る。すると一匹のペンギンが現れボールに嘴を刺して押していく。

 この技は正確さがずば抜けている。どれだけ距離があっても、どんな位置からでも絶対に狙い通りの場所にシュートを打てる。威力重視ではなくコントロール重視。そしてコントロール面では最強と言えるだろう。

 クララは確かにキャッチ力はある。だが、正面ではなく隅を狙ったシュート。正面ではないからアイツは必殺技を使えない。これならアイツは弾けるはずが……!

 

「アイスブロックV2」

「はぁっ!?」

 

 現実は非情だった。

 彼女は移動しながら跳び上がり、ボールに対し正面ではなく側面から殴り付けた。ボールとペンギンは凍らされその重さで地面に落ちる。

 っておいおいおい!?練習でもそんなことしなかっただろうが!?それにベルガだってそんな使い方してねぇだろ!?

 

「何か出来た」

 

 嘘だろおい!?確かコイツ、何でアイスブロック使えるの?って聞いたら見たらできたとか言ってたな……おいおい。まさかコースを狙っても決められないとか……弱点なしかよ!結局正面から破るしかないのかよ!

 後、今のを見たらベルガ泣くぞおい!

 

「ゴッカ」

 

 ボールはゴッカに渡る。ゴッカからヒート、ネッパー、リオーネへと渡っていく。

 

「行かせない!フレイムダンス!」

 

 そこに一ノ瀬が走り込んでいき、ボールをカット。

 

「円堂!」

「土門!」

「十六夜!」

 

 そしてボールは再びオレの元に渡る。

 ボールを持ち駆け上がっていく。ゴッカとボンバを個人技だけで躱して、

 

「ムーンフォース!」

 

 オレの今の最大火力の必殺技を放つ。

 

「アイスブロックV2」

 

 だが、そのシュートは止められてしまった。……くっ。進化する前だったら決まっていたのに進化してからは決まらない……!何なんだよこの堅さは……!

 そこから攻め込んでくればこっちのディフェンスやキーパーが奮闘し、こちらが攻めてシュートを打てばクララが止める。試合は膠着状態を迎えた。

 刻一刻と後半終了の時間が迫っていく中、リスクはあるが一点を取りに行く策を思い付く。

 

「鬼道。賭けだが一個策はある」

 

 鬼道にその策を伝える。

 

「……分かった。それに賭けよう」

「そのためにも……」

 

 オレは瞳子監督の方へと行き、あることを告げる。

 

「分かったわ」

 

 そしてボールを外に出し、一回試合を止める。

 

「木暮君。交代よ」

 

 木暮と塔子を入れ替える。まぁ、正式な試合じゃないし交代制限はないだろう。

 そして壁山、塔子、円堂に作戦を伝える。

 

「分かったッス!」

「分かった!」

「ああ、任せろ!」

 

 ネオ・カオスのスローインで試合再開。ボールはヒートに渡った。

 

「綱海!」

「おうよ!」

 

 綱海がマークに付く。

 

「こっちだ!」

「もう一点決めてやる!」

 

 そんな中、ガゼルとバーンが走ってきて、二人は同時に跳躍。

 

「バーン様!ガゼル様!」

 

 ヒートはボールを上げて、二人は再びファイアブリザードの体勢に。

 

「今だ!」

 

 その体勢に入ったのを見届けオレはセンターサークルに向けて走って行く。

 

『ファイアブリザード!』

 

 放たれるシュート。そのシュートが自身のゴールへと向かう中、前線めがけて走って行く。

 

『おぉっと!?十六夜!シュートを前にしてフォローしに行かない!どういうことだ!?シュートはそのまま立向居の守るゴールに向け……あぁ!シュートを前に三人のディフェンダーが!』

「行くぞっ!壁山!塔子!」

 

 立向居とシュートの間に円堂と壁山、塔子が入っている。

 

「ザ・ウォール!」

「ザ・タワー!」

 

 壁山と塔子のダブルブロック。二つの技によって少し威力は削られるもの、ボールはゴールへと突き進んでいく。

 

「メガトンヘッド!」

 

 壁とタワーが崩したそのボールに対し、円堂がメガトンヘッドをぶつける。思い出すのはカオス戦のこと。あの技は未完成の状態でオレとガゼルのシュートを弾いた。なら、完成した状態のあの技は、威力を削いだファイアブリザードをはじけるはず。

 そして賭けというのはまさにこれだ。メガトンヘッドがファイアブリザードをはじけなければ点が決まる可能性がある。頼むぞ……円堂……!

 

「いけぇっ!」

 

 数秒の拮抗の後、メガトンヘッドはシュートを弾き返す。

 

『なんと!円堂のメガトンヘッドがファイアブリザードを弾きそのままネオ・カオス側のゴールへと向かっている!カウンターシュートだ!』

 

 ファイアブリザードのパワーを逆に使えば威力の高いシュートが打てる。だが、当然、パワーは途中で落ちるし、精度もあるとは言えない。

 

「十六夜!」

「おう!」

 

 だからオレがそれを補う。まずは、飛んできたシュートに対し、上空へと蹴り上げる。

 

「豪炎寺!」

「ファイアトルネード!」

 

 既に跳んでいた豪炎寺がそのシュートに必殺技を放つ。落ちていた威力はそのパワーを取り戻しそのまま地上へと向かっていく。

 

「頼んだぞ!十六夜!」

「ああ!これでどうだぁっ!」

 

 そして落ちてきたシュートに対し蹴りつける。

 幾重にも力が重ねがけられたシュートはゴールへと向かって突き進む。

 

「……っ!アイスブロックV2」

 

 クララのアイスブロックV2が炸裂する。

 だが、ボールは氷で包まれることなく、そのままクララの手を弾きゴールへと突き刺さった。

 

『ゴール!素晴らしい連携です!遂に雷門がゴールをもぎ取った!これで8ー11です!』

 

「「「よっしゃぁっ!」」」

 

 喜ぶオレたち。

 だが、問題は時間が残っていないこととこの策は二度も通用しないことだろうか。

 後半も残りわずか。三点差と絶望的な状況は変わらない。




主人公習得技

スナイプ・ザ・ペンギン
シュート技
ペンギンがスコープを取り出して狙いを定めてそこに目掛けてシュートする技。ロングシュート可能。
花蕾様より案をいただきました。イメージと違う!こういうイメージだ!とありましたらお伝えください。描写の方を書き換えます。

ツインブーストF
シュート技
パートナー 豪炎寺(ファイアトルネード習得者)
特に本編では触れてないがその場の勢いでできるようになった。

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