超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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雷門VSネオ・カオス ~想像を超える者~

 それは後半が始まって10分が経とうとした時だった。

 あれからアフロディとオレの時間停止下での連携によりネッパーを振り切り、マークに来たゴッカ、ボンバを逆サイドの豪炎寺にボールを渡すことによって突破。そのまま豪炎寺は爆熱ストームを打ちグレントのバーンアウトを破って6点目を決めた。

 

「ツナミブースト!」

 

 そして、先ほどネオ・カオスからボールを奪い、綱海にボールを渡した。それと同時に綱海がロングシュートを放つ。

 

「バーンアウト!」

 

 本日何度目かのバーンアウト。グレントの必殺技によりシュートは()()()()のだった。

 

「「「…………っ!??」」」

 

 ネオ・カオスのメンバーとオレに衝撃が走る。なぜならあの技は本来、ボールをその熱で焦がし灰にしてキャッチする技のはずだったからだ。……いや灰にしちゃダメだとは思うけどさ……。

 それがボールを弾いた……いや、どちらかと言うとボールをキャッチ出来なかった、()()()()()ように見える。

 だが、悲しきかな。雷門メンバーは、バーンアウトがシュートを止めたところを見たことがなかったため、オレとネオ・カオスの感じている違和感や衝撃に誰も気付けない。思わず足を止めているネオ・カオスのメンバーをよそに一ノ瀬がボールを確保して、

 

「ファイアトルネード!」

 

 そのまま空中にいた豪炎寺にパス。豪炎寺のファイアトルネードは、止めようと手を突き出したグレントの手を弾き、彼ごとゴールに突き刺さった。

 

「よっしゃあ!後3点!」

「残り時間もまだまだあります!」

「これは逆転勝利行けますよ!」

 

 

 

 ベンチ、フィールド問わずに喜ぶ雷門。

 だがそんな中で十六夜は一人、素直に喜べず違和感を覚えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じく違和感を感じたネオ・カオス。バーンとガゼルがキーパーのグレントの元に行く。

 

「グレント。今のは……」

「すみません……っ!」

 

 ボールを触れようとするグレント。だがその手がボールに触れると痛みで声をあげそうになる。

 

「おい。グローブを外して手を見せてみろ」

 

 ガゼルがそう提案(命令)するがグレントは渋り中々グローブをはずそうとしない。

 その姿に業を煮やしたバーンが無理やり手を取りグローブを外させると……

 

「お前……この手……!」

 

 そこには真っ赤に腫れた両手が。ガスマスク越しで表情が分かりにくいが相当の痛みがあるだろう。それだけじゃない。そのせいでまともにボールすら触れない状況だ。

 他のネオ・カオスのメンバーも集まり、その悲惨さを目の当たりにする。

 

「……どうする?」

 

 このまま続けても現状のグレントではシュートは止められない。しかも、雷門の様子を見る限り十六夜はこの異変に気付いている。あの男はロングシュートが打てる。

 

「……間違いなく雷門によるロングシュートの嵐が来るぞ」

 

 ここまで強力なシュートとぶつかり敗れてきた。その負荷は想定よりも大きなものだった。

 

「……ベルガを呼ぶか?」

「……だが、試合を中断して呼ぶことは出来ないだろう」

 

 ネオ・カオスのベンチには誰も座ってない。そもそもエイリア学園のチームは途中交代を一切考えていないから、当たり前と言えば当たり前なのだが。

 

「……どうする?」

 

 必死に考えて打開策を見いだそうとする。

 現状、グレントはキーパー続行不可能。ベルガを呼ぶこともできない。そして生半可な選手がゴールに立ったところでキーパーとしての能力が低いことは十六夜に知られる。

 守りを固めように彼らのシュート範囲はこのコートすべて。綱海や十六夜ならば相手ゴール前からでもシュートを打ててしまう。

 絶望的な状況下。ある選手が動き出したのだった。

 

「……ガゼル様。バーン様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おっと?ただいま入った情報によりますと、どうやらネオ・カオスはキーパーを交代するようです。負傷したキーパーのグレントとディフェンスのクララを入れ替えるようです』

 

 ……………………は?

 

「キーパーが女の子になったッス」

「どうやら僕らのシュートに手が限界を迎えたようだね」

 

 …………いやいや、それは分かる。というかさっきの違和感やっぱりそうだったかぁ……じゃねぇ。マズいマズい。

 

「だが、負傷交代ならあのキーパーはさっきのキーパーよりは強くないはずだ」

「よし!後3点!逆転していくぞ!」

「「「おう!」」」

 

 盛り上がりを見せる雷門メンバー。いや、違う。そうじゃない。そうじゃない……マズい。

 

「どうした十六夜?顔色が悪くなってるぞ?」

「…………どうする?どうやって点を取る?」

 

 そんなオレの葛藤をよそに試合は再開する。

 

「フレイムダンス!」

 

 一ノ瀬がリオーネからボールを奪い、

 

「鬼道!」

「豪炎寺!」

 

 豪炎寺へと渡る。

 

「フローズンスティール!」

 

 ゴッカのフローズンスティール。それを跳んで躱して、

 

「イグナイトスティール!」

 

 続いてやってきたボンバのイグナイトスティールを、

 

「アフロディ!」

 

 空中でパスすることによって躱した。ボールを受け取ったアフロディ。グレントを躱してクララと一対一に。

 

「決めさせてもらうよ。ゴットノウズ!」

 

 放たれたシュート。そのシュートに対しクララはゆっくりと片手を突き出して、

 

「……アイスブロックV2」

 

 ボールが彼女の手に触れた瞬間。ボールは凍り付き地面に落ちた。

 

「「「なっ……!」」」

「やっぱりかぁ……!」

 

 雷門メンバーとネオ・カオスのメンバーに広がる衝撃。オレの中に広がる絶望感。

 

「ふふっ……この程度のシュートで決まると思った?」

 

 そんなオレたちを見て何処か満足げに語るクララ。その一言にグレントが膝を付いている。きっとあのマスクの下は涙で溢れているに違いない。

 それはそうとはっきり言おう。クララはエイリア学園においてネロの次に強いキーパーだと。グレントやベルガ、そしてオレを超えていると。

 

「…………皆。すまん」

「え?」

 

 オレは謝罪しておく。多分これオレの責任だわ。完全にやらかしたわ。

 思い出すはカオス結成時。クララのキーパーとしての強さを知ったオレは、最終兵器として使えるなと思い、不測の事態が起きた時に使うため、彼女とキーパー練習をしていたのだ。……まさかその不測の事態が今起きるとは。え?前のカオス戦?いや、だってあの時、絶対ムーンがやればいいで終わってたからな。それに説得の時間がなかったし。

 …………で、気付いたときにはグレントとベルガを完全に超えていた。だが、彼らの名誉のために他の奴らに黙っていた。……そして現状アレである。オレでも単独で止められないアフロディのゴッドノウズを単独で止めてしまったのだ。

 すなわち、ヤバい。つまりヤバい。なるほど。まさか、想定よりレベルアップしていたとは。

 

「ネッパー」

 

 ボールはネッパーに。衝撃を受けている面々が多い中、衝撃を与えた張本人はこの機を逃さない。

 

「マズい!戻れ!」

 

 今のが決まると思っていた雷門メンバーは急いでディフェンスに切り替える。

 

「ガゼル様!バーン様!」

 

 だが、時既に遅し。ボールは跳んでいた二人の元に渡る。

 バーンは右足に炎を、ガゼルは左足に冷気を纏い、同時にボールを蹴る。

 

『ファイアブリザード!』

 

 炎と氷を纏ったシュートは立向居の守るゴールへと向かう。

 

「ムゲン・ザ・ハンド!」

 

 ボールを止めようと四本の手が押さえにかかる。だが、その手は粉々に砕かれ、ボールはゴールに刺さった。

 

『決まってしまったぁっ!ネオ・カオスのカウンター攻撃!バーンとガゼルのファイアブリザードが立向居のムゲン・ザ・ハンドを破った!得点は7ー11!この試合はどうなるのか予想が付かない!』

 

 ……こうなった以上あれだな。

 

「責任を持ってオレがアイツから点を取るしかねぇ……!」

「ふふっ」

 

 オレはゴール前で静かに笑う彼女に向け、宣言するのだった。

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