残り時間もそうない。三点差という絶望的な状況。そんな状況に対してオレは笑っていた。
「おもしれぇ……!」
ネオ・カオスのキックオフで試合再開。ガゼルとバーンを中心に攻め込んでくる。
「一ノ瀬!土門!」
「おう!」
「止めてやる!」
鬼道の指示でボールを奪いに行く二人。
ガゼルとバーンはボールを後ろにいたネッパーに渡す。
「フレイムダンス!」
そんなネッパーに対し、一ノ瀬の必殺技が炸裂する。しかし、これは躱されてしまう。
「ボルケイノカット!」
躱した先には土門が必殺技で待ち受けている。
「リオーネ!」
ドリブルで突破しようとして止められた反省からか、パスを選択するネッパー。
「通さない!ザ・タワー!」
「ウォーターベール!」
塔子が止めに行くも、リオーネの必殺技の前にタワーは崩され突破されてしまう。
「ドロル!」
そこからドロルへとパスが繋がった。
「行かせないッス!ザ・ウォール!」
「ウォーターベール!」
壁山が必殺技を発動するも壁は水圧によって崩されてしまう。
「バーン様!ガゼル様!」
先ほど、三人がかりで止めてシュートに繋げたファイアブリザード。だが、さっき止めたうちの二人が突破され、シュートブロックに間に合わない以上、打たれたら終わる。そう、打たれたらの話だが。
「綱海!」
「おうよ!」
綱海がボールに向かって跳んでいき、バーンとガゼルが打つ前にボールをカット。
「円堂!」
「十六夜!」
「鬼道!」
そこから円堂へとパスを出し、円堂からオレ、そしてダイレクトで鬼道へと繋げる。
「行かせない!」
そこへヒートがマークしに行く。
「十六夜!」
「おう!」
鬼道がフェイントで躱すと見せかけ、走り込んでいたオレへとパスを繋げる。
「アフロディ!」
そしてアフロディへとパスを出す。
「イグナイトスティール!」
バーラはイグナイトスティールで止めにかかる。だが、
「ヘブンズタイム!」
次の瞬間にはアフロディはスライディングをするバーラの後ろにいた。なるほど……時を止めてしまえば突破は容易って訳か……つくづく思うが、あの技って最強というかチート級というか(人のこと言えない)。
「豪炎寺君!」
そして豪炎寺へとパスが繋がる。
「フローズンスティール!」
そこへゴッカのフローズンスティールが炸裂。それを跳んで躱して、
「イグナイトスティール!」
ボンバのイグナイトスティールが炸裂するタイミングで、
「十六夜!」
「ああ!」
前線へと駆け上がっていたオレへとパスが繋がる。この試合何度目かのオレとクララの1対1。
オレはボールを蹴り上げ、目を閉じて一旦落ち着く。そして、
「今度こそ……絶対決めてやる!」
ピ──!
目を見開くと同時にペンギンを呼び出す。上空に浮かぶ満月から10の光がボールに注がれる。
「ムーンフォース──」
オレは今までより光り輝くそれを思い切り蹴りつける。
「──V2!」
光は11に分かれる。輝くボールを囲うようにして5つの光のペンギンが、さらにその回りを5つの光のペンギンが囲うようにして位置し、突き進む。
「アイスブロックV2」
クララが止めようと必殺技を繰り出す。徐々に氷によって浸食され凍らされていくボールとペンギンたち。
「…………っ!」
だが、呑み込まれる刹那。ボールとペンギンたちは一層輝きを増し、そのパワーで氷を打ち砕く。
「よしっ!」
アイスブロックV2は破った。後はこのままゴールに刺さるだけ。
誰もが得点すると思ったその時。一人の男が執念を見せた。
「まだだ!」
グレントである。
ボールとゴールの間に滑り込むようにして割って入る。
「うぉおおおおおおおお!」
勢いに一瞬押されそうに見えたが踏みとどまっている。
そしてボールは彼の胸のところで回転を止め、遂にボールは止まった。
「止められた……?」
「嘘だろ……?」
『試合終了だよ』
グレントが止めた直後、響き渡る声。そして空から白く光るボールが落ちてきた。
ボールが地面に落ち砂煙が巻き起こる。そしてその煙が晴れたとき、そこには……
「皆楽しそうだな」
「ヒロト!」
グランとその横には……
「ウルビダ……」
目を閉じては居るが静かな怒りを感じるウルビダがいた。
「十六夜……貴様。我々を裏切るのか」
静かに圧を込めて言ってくる。だがその圧に呑み込まれる訳にはいかない。
「ああ。そうだ」
「そうか……」
次の瞬間、オレに向かってシュートが来た。
「……次会うときは、敵としてだ」
そのシュート、殺すつもりというより宣戦布告のつもりだろう。いつもより力をセーブされているように感じた。
ただ、その目は完全に敵として認識し殺すつもりであるが。
「……ああ。ウルビダ……それにグラン」
オレも受け取ったボールをウルビダに向かってシュートする気で打つ。
「お前らジェネシスはオレたちがぶっ倒す。覚悟しておけ」
そのシュートはウルビダに止められた。
「じゃあね円堂君。ああ、彼らは回収していくから」
そしてネオ・カオスとグラン、ウルビダは白き光に包まれた。
その光がやんだときそこには誰もいなかった。
そして夕方。オレたちは帝国学園から雷門中へと戻ってきた。
道中オレは寝ていたため知らないが、何かオレにいろいろと聞きたかったらしい。ただ、あまりにも爆睡してた為聞けなかったと、運転手の古株さんが教えてくれた。……いやマジで寝過ごしたよ。というか皆置いてったの?マジで?
「……たく。ふぁぁあああ。よく寝た」
「眠そうだね。十六夜」
バスを一人降りたオレに誰かが声をかけてきた。
「ん?あーグランか……何しに来たんだよ。さっきの今で」
「ちょっと姉さんに挨拶しにね」
「あー瞳子監督に会いに来たか……」
「……やっぱり知ってるんだね」
「まぁな。舐めんなよ」
「実に惜しい。なぁ、十六夜。ジェネシスと共に戦わないかい?そうすれば円堂君と戦えるよ」
手を差し伸べてくるグラン。
「ははっ。冗談にしては面白くねぇよ」
「そうかい。本当に残念だ」
そのまま去って行こうとするグラン。オレも他の場所に移動しようと歩きはじめる。
「その選択。後悔するよ」
「お前らを救うためにお前らを倒す。それだけだ」
「じゃあね。ムーン」
「さよならだ。キャプテン」
「「次はフィールドで会おう」」
それを機にオレたちはお互いに言葉を発しなかった。
そしてオレは目的地に着く。そこはオレ以外の奴らが初めて瞳子監督と出会った場所。
「十六夜綾人。ただいま戻りました」
「おぉ。無事に帰ったか十六夜君」
「はい。雷門理事長」
そこには理事長と鬼瓦刑事がいた。
「潜入調査。ご苦労だったな」
「いえいえ。これからですよ……最後の戦いは」
「ああ、そうだったな」
「君の報告通りなら残るチームはザ・ジェネシスただ一つ」
「誠に勝手ながら最終戦の宣戦布告はさせていただきましたが」
「君から見てザ・ジェネシスに雷門は勝てると思うのかね?」
「正直に言って分かりません。雷門というチームは戦いの中で成長していく。そしてザ・ジェネシスの本気をオレは見たことがない。完全に未知数です」
今までの試合もそうだった。試合の中での成長をしていくのがこの雷門というチームだ。無論、その成長を前提にするなんて甘いことを考えてはいない。だがそれを差し引いても未知数としか言い様がない。
「十六夜君だったかな。君には助けられた。ありがとう」
すると画面に一人の男性とその背後に黒服が見える……ああ、ボディーガードの人か。
「いいえ。鬼瓦刑事と連絡を取りながら進めていただけです。財前総理が無事で何よりでした」
「こちらも彼のおかげで動きは取りやすかった。感謝している」
「お褒めに預かり光栄です」
…………あれ?オレってまさか……今、この国で一番偉い人と話している?え?マジで?
「失礼します……あら?」
丁寧なお辞儀とともに入って来たのは、
「貴方、こんなところに居たのね」
「お嬢様か。何かあったのか?」
「ええ。今さっきね」
雷門の話によると、どうやらグランと瞳子監督の話を女子マネージャープラス浦部が目撃。そこで瞳子監督がグランに姉さんと呼ばれていることが発覚し、つい先ほど雷門サッカー部と監督でお話し合いが行われていたそうだ。
ちなみに、サッカー部が集まっていく過程でオレとグランのやり取りも聞かれたらしいが……まぁ、問題はないか。で、瞳子監督が明日富士山へ行くと。そこで話すと。出発は朝の8時。行く覚悟があるやつが行くって雰囲気になったらしいが……え?オレその場に居なくて良かったの?というか瞳子監督には悪いが……大抵のことならオレが知ってるんだけど?明日富士山に向かう途中で絶対質問攻めにあうじゃん。
「富士山山麓……あぁ、エイリア学園の本拠地があるとこか」
「やはり……貴方は知っているようね」
「まぁな。ずっとそこにいたし。というか理事長たちも知ってるぞ。そんなこと」
「そう……一つ聞かせて。貴方は一体何をしていたの?」
「あぁ……どうせ明日も話すから明日じゃダメか?」
「話すにしても、誰か一人くらい味方がいた方が都合がいいでしょう?」
なるほどな。瞳子監督が擁護すると逆効果な気がするからな。お嬢様ならアイツらを黙らせることができるだろ。保険としてはありか。
「話してもいいですよね。理事長」
「ああ。我々もいくつか聞きたいことがあるからな」
「じゃあ、一つ一つ行きますか……」
こうしてオレはすべて話すことにした。……まぁ、明日も話すんだけどね。
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