超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

11 / 193
解呪!え?あんな方法でいいの?

 雷門ボールで試合再開。豪炎寺が尾刈斗中の動きがおかしいと思うも、染岡がボールを奪い単身特攻。

 

「待て染岡!奴らは何かがおかしい!まずは動きをみるんだ!」

 

 豪炎寺の声掛けにも反応せず、キーパーと1対1。ん?キーパーの手の動きがおかしい気がするんだけど……気のせい?遠くからじゃよく分かんないや。

 

「ドラゴンクラッシュ!」

「ゆがむ空間」

 

 染岡のドラゴンクラッシュは相手キーパーの手元に。あれ?今何かがおかしかったような……?何だろう。必殺技は大概おかしい気がするけど、それとは違うこの違和感。

 

「何だ?」

「これぞゆがむ空間。どんなシュートもこの技には無力」

 

 そう言ってパントキックをする相手キーパー。ん?どんなシュートも……無力?何だ。妙にこの言い方が引っかかる。

 ボールは前線の相手キャプテンに……って、まずくね!?

 

「皆!戻れ!」

「無駄だ。お前たちは既に俺たちの呪いにかかっている。ゴーストロック!」

 

 再び発動するゴーストロック。やはり、雷門イレブンの動きが止まる。

 

「うーん。何でオレには効かないのだろうか」

「まさか、動ける奴が居るとはな」

 

 相手選手も驚くことなの?マジで?

 

「だが、このシュートは止められない!ファントムシュート!」

 

 再び放たれる6つのボール。クッ……また六分の一かよ……。

 

「これだ!」

 

 1つのボールに狙いを定めて蹴る……が。

 

「外れだ」

 

 蹴ったのは偽物。本物は既にゴールの中だった。くっ、2対2の同点……!

 そして、まただ。向こうが点を決めると皆動けるようになる。何でだ?どうしてだ?

 

「呪いだと!そんなのまやかしだ!」

 

 雷門ボールで試合再開。染岡の再び特攻。

 

「それはどうかな。ゴーストロック!」

 

 再び足が止められる雷門の10人。くっ……どうなってるんだ本当に?

 

「次こそ止める!」

「無理だな。ファントムシュート!」

 

 4度目のファントムシュート。おそらく、1つを選んでもどうせ空振る。なら、どうする?このまま見逃すか?……いや、1つを選んで止められないなら、

 

「当たりを引くまで止めるだけだ!」

 

 おそらくこんな無茶はこの世界だからできることだろう。

 

 ピー!

 

『ふぁぁあ~呼んだ?』

「ああ呼んだよ!行くぞあの必殺技っぽいやつ!」

『えぇ?あれ未完成じゃん』

「んなの何とかするしかないじゃん!」

『仕方ないなぁ』

 

 ペラー(呼び出した子供ペンギンの名前)は腹を地面につけ少し大きくなる。オレはその背に立ち、そのまま宙に浮く。

 

「ライド・ザ・ペンギン!」

 

 ネーミングがそのままなのは仕方ない。そういうのは置いといて、

 

「ペラー。行けるか!」

『やるしかないんでしょ』

 

 そのままペラーはボールに向かって飛ぶ。1つ、2つ、3つとボールを上に弾いていき、

 

『あれ、残ったよ』

「オーケー!」

 

 4つ目にして本物を引き当てた。そして、そのボールを空中で確保。地面に降り立つ。

 

『じゃあね』

 

 そのまま消えるペラー。

 え?この技がどういう仕組みかって?実はオレにもよくわかってない!

 ただ、本当はドリブル用の技?として出来そうな感じがしたんだけどなぁ……まぁいいか。

 

「何ぃ!?」

 

 危ない。相手キャプテンがちょっと遠くから打ってくれたおかげで間に合った。あのまま5つ目はギリギリだったし、6つ目に関しては手遅れだっただろうし。

 

「すげぇな十六夜!」

 

 後ろで関心する円堂。しかし、足は動かないままだ。

 

「……えーっと、こりゃあ……」

 

 ここで取られるとシュートを打たれ終わる。外に出しても解決するとは限らない。前半終了間際であることを考えると……

 

「ドリブルしか選択肢が残ってないか」

 

 そのままドリブルを始める。10人抜きとかやったことないなぁ……って、思ったが今更だけどこの状況ってある意味では帝国戦と変わんなくね?

 そんなことを考えながら1人、また1人と突破していく。あれ?帝国DFより弱いぞ?これなら、まだ何とかなりそう。

 そして、ついにキーパーと1対1。

 

「無駄だ。ゆがむ空間」

 

 奇妙な手の動きとともに胸の前あたりに現れる謎の空間。なんかおかしなものが見え始めたけど、あのキーパーの手を見てるとなんだか足がふらつくんだけど……まさかそういう必殺技か?だとしたら、あれは幻覚?なら、あの手は見ちゃだめだ。

 

「いけぇ!」

 

 目を閉じてシュートを打つ。当然その前にふらふらになっていたりしたので、ボールは逸れてゴールバーを大きく超えたそうだ。

 

 ピ、ピー!

 

『ここで前半終了!』

 

 将棋部の実況の声とともに足が動けるようになる雷門イレブン。くっ……いったい何なんだあれは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハーフタイム。部室に雷門サッカー部は集まっていた。

 

「くそ、どうなってるんだ」

「急に足が動かなくなるなんて」

「やっぱり呪いじゃぁ……」

 

 うーん。考えていたんだけど、オレたちフィールドに出ていた人しか喰らってないんだよねアレ。というか、そもそもオレは何ともないし。

 

「皆、何ビビってるんだよ。まだ前半が終わったばかりじゃないか」

「いやッス!俺これ以上怖くていやッス!」

「落ち着け壁山」

「呪いなんてあるわけないだろう」

 

 壁山が恐怖を訴え、それを宍戸と風丸が止める。だが、

 

「じゃあ何で足が動かなくなるんッスか!」

 

 そうなんだよ。そこなんだよなぁ……

 

「分からない。でも何か秘密があるはずだ……そう言えば尾刈斗中の監督が呪文を呟き始めてからだよな。尾刈斗中が変な動きをし始めたのは」

 

 変な動き?なんか変な動きなんてしてたっけ?

 

「言われてみたら確かに」

「じゃあ、あの呪文に秘密が?」

「答えはフィールドで見つけるしかないな。ボールを取ったらすぐにフォワードにまわすんだ。十六夜のおかげで同点なんだ。まだまだ行ける」

 

 うーん。あの必殺技?での対抗も、シュート位置がもっと近くなると意味ないんだよなぁ。というかあのシュート。ゴール手前ぐらいには幻影が消えてなかったか?

 

「頼んだぞ。染岡。豪炎寺」

「ああ。今度こそ決めてやる」

 

 そして、もうすぐハーフタイムも終了なのでフィールドに戻ろうとするオレたち。

 

「なぁ、十六夜」

「なに?豪炎寺」

 

 しかし、オレは豪炎寺に呼び止められた。

 

「お前の最後に放ったシュート。何であんな風に飛んでいったんだ?」

 

 そっか、周りから見たらオレのシュートは近いのに外した、ノーコンって思われてるわけか。

 

「うーん。なんかキーパーの手を見てたらさ、ふらつくって言えばいいのかな?何か平衡感覚がなくなった気がして、目を閉じて打ったらあんな感じに」

「平衡感覚が……なくなる?」

「まぁ、自分でも言ってる意味が分かんないけどさ」

「そうか……」

 

 何かを考え込む豪炎寺。うーん。不思議だけど……ここのサッカーはツッコミ所満載だからなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雷門ボールで後半開始。豪炎寺は少林にバックパスをする。

 

「何でファイアトルネードを撃ちに行かないんだよ!豪炎寺!」

 

 やはりそういうことか。豪炎寺が撃ちに行かないのは、今撃っても無駄なんだ。

 

「ッチ。腰抜けめ!少林来い!」

 

 しかし、染岡にはマークがつく。豪炎寺が撃たないと思ってか、それとも得点を許したからか。少林は半田にボールを渡し、半田は無理やり染岡にパスを出す。だが、当然染岡をマークしている奴にカットされる。

 

「完全に空気が悪い」

 

 豪炎寺を信じる1年生組と、豪炎寺が使い物にならないと思ってる染岡と半田。完全に衝突しているな。挙句には豪炎寺がドリブルをしているところから、染岡は無理やりボールを奪って、

 

「ドラゴンクラッシュ!」

 

 シュートを放つも、相手キーパーのゆがむ空間の前に完全に止められてしまう。

 

「てめぇら!ゴーストロックだ!」

 

 相手監督が何か叫ぶが、このままではゴーストロックがあろうがなかろうが負ける。よくて引き分けだ。1つは染岡が自分が点を取ろうとしすぎること。もう1つはあのゆがむ空間のトリック。あれは恐らく単純に強い必殺技じゃない。あのキーパーはどんなシュートも無力といった。それが何を示すかが分かればいいが……

 

「ゴーストロック!」

 

 再び発動するゴーストロック。ッチ。面倒くせぇ必殺技(?)だなおい。

 

「今度は決めさせてもらう!」

「そうは行くかよ」

 

 後ろで円堂がぶつぶつ呟いているが、こっちはこっちでマズイ。何がマズイって相手との距離が近すぎる。このまま撃たれたらペラーをだす余裕がない。

 

「そうか!そうだったのか!」

 

 何かに気付いた円堂。

 

「ゴロゴロゴロ!ドッカァアアーン!」

「うるせぇ円堂!いきなり後ろで大声を出すな!」

 

 オレはあまりのことに後ろを振り返ろうとしてしまう。だが、

 

「隙アリだ!ファントムシュート!」

 

 その一瞬を突かれ放たれるシュート。ヤバい!あれはオレには止められない!

 

「円堂!」

「熱血パンチ!」

 

 ゴッドハンドを出す余裕がなかったのか円堂は別の必殺技で対抗する。……って、お前それただのパンチだよね?痛そうだけどオレでも出来そう。

 ボールは円堂の手元に。シュートを止めた円堂に、オレと風丸、壁山は駆け寄る。

 

「へへっ、見たか俺の熱血パンチ」

「あぁ!じゃなくてどうして動けたんだよ!」

「風丸さんも動けてるっス」

「ちなみに壁山。お前もな」

「分かったんだよ。ゴーストロックの秘密が」

 

 円堂とベンチにいた目金曰く、ゴーストロックというのは一種の催眠術。コロコロと変わる敵のフォーメーションで、混乱するオレたちの頭に相手監督がトマレという暗示を刷り込んだらしい。視覚と聴覚の両方に訴えかけてできるもの。だから、円堂は聴覚の方を打ち消すために大声を出した、と。ちなみに、オレに効かなかった理由は、単純に視覚を混乱させられていなかったから、というのが目金の見解だ。

 確かに冷静に見極められたもんなぁ。しかも、それに気付かせないための相手監督の挑発もさらっと受け流したし。

 

「ハッハッハッ!やっと気付きやがったか!」

 

 いや、監督がそこまで介入していいの?まぁ、オレたちが勝てば練習試合だしいいんだけどさ。でも、これで分かった。恐らく相手キーパーの使う技の正体も催眠術だ。

 

「フォワードにボールを回すんだ!」

 

 円堂から少林にボールが渡る。

 

「でもキャプテン!染岡さんのシュートじゃ……」

「あいつを信じろ!少林!あの監督の言う通り俺たちはまだまだ弱小チームだ。だから、1人1人の力を合わせなきゃ強くなれない。俺たちが守り、お前らが繋ぎ、あいつらが点を取る!俺たちで取る1点は全員で取る1点だ!」

 

 すげぇ。たまにはカッコイイこと言うなぁ。

 

「さぁ行こうぜ!」

 

 全員攻撃。ゆがむ空間の正体は分かった。おそらく、豪炎寺も分かったはずだ。少林から染岡にボールが渡り、染岡がドリブルで上がる。

 

「ゆがむ空間」

 

 既に相手キーパーは技を発動している。そんな中、豪炎寺が染岡と並走して、

 

「奴の手を見るな!あれも催眠術だ!」

 

 やはり気付いてたか。

 

「平衡感覚を失い。シュートが弱くなるぞ」

 

 尾刈斗中。蓋を開ければ呪いではなく催眠術を使うチームだったわけだ。……いやいや、サッカーで催眠術って……ねぇ?何かがおかしくない?

 

「お前……ずっとそれを探っていたのか!」

 

 染岡の前に2人のディフェンスが立ちはだかる。

 

「豪炎寺!」

 

 染岡が豪炎寺の名を呼んで、

 

「ドラゴンクラッシュ!」

 

 ドラゴンクラッシュを放った。しかし、ボールの向かう先はゴールでは無く空だった。

 

「どこ狙ってんだ染岡!」

 

 そんな中、1人跳び上がる豪炎寺。

 

「違う!アレはシュートじゃない!パスだ!」

「ファイアトルネード!」

 

 ……ドラゴンクラッシュの青色のドラゴンがオレンジに染まった。え?青色のドラゴンが炎を纏うなら分かるけど、何故にオレンジに染まったし?もう何か色々ありすぎて頭の処理が追いつかない。あ、今ならゴーストロックにかかる自信あるわ。

 目金はドラゴンクラッシュとファイアトルネードの合体技はドラゴントルネードと名付け、そのドラゴントルネードによりもう1点取って、最終的に4対2でオレたちは尾刈斗中を下した。




オリジナル技

ライド・ザ・ペンギン
ドリブル技(一応)
3の技、エアライドのボールがペンギンに変わった感じの技。
本人はどういう原理でペンギンが空を飛ぶのか全く分かってない。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。