練習試合当日となりました。
豪炎寺が正式に加入してくれた……までは良かったが、染岡が『雷門のストライカーは俺1人で充分』とか言って豪炎寺と反発。対して豪炎寺は気にも止めない様子で軽くあしらうと、その態度に染岡はさらに怒った。……いやねぇ染岡君。大人になりましょうよ?ね?
その後、マネージャー組が尾刈斗中学の情報を入手、試合の映像を見ることにしたが、尾刈斗中の相手チームの動きがおかしかった。相手チームは一切動かず尾刈斗中の好き放題にされていた。聞くとこれは尾刈斗中の呪いだそうだ。いや、必殺技があって呪いもあるとかサッカーの域を越えてるだろ。だから、あの呪いとやらは科学的に証明出来るはずだ(理系っぽく言ってみた)。
『はい。いよいよこの日を迎えました。雷門中対尾刈斗中の練習試合。あの帝国学園と下した我が雷門サッカー部の勇姿を見ようと多くの観客が押し寄せております』
うーん。何で練習試合なのに実況が居るのだろうか?というか、そもそも彼将棋部だよね?サッカー関係ないよね?
雷門夏未曰く、この試合に勝つことさえできればフットボールフロンティアへの出場を認めてくれるらしいが……呪いを使うような奴らに勝てるのか?まぁでも負けたら廃部だしな……あ、引き分けたらどうするんだろう?あれ?これ前にも思わなかったか?
「来たぜ、円堂」
校門を見ると尾刈斗中がやって来た。
「……不気味だ」
「お前が言うなって」
なんだろうか。本当に人間?って人が混ざってるよ。ほら、目隠ししている人とか包帯ぐるぐる巻きとかあーロウソクを付けてる人もいる……もう意味不明だね。
そして皆で整列。すると向こうの監督が俺たちの……いや、豪炎寺の元にやって来る。
「君が豪炎寺君。帝国戦での君が撃ったシュート。見せてもらいましたよ。いやはや素晴らしかった今日はお手柔らかにお願いしますね」
「ちょっと待てよ!あんたたちの相手は豪炎寺じゃない!俺たち全員だ!」
苛立つ染岡から正論が出るが、相手の監督は気にしてない様子だ。
「はぁ?これは滑稽ですね。我々は豪炎寺君と戦ってみたいから練習試合を申し込んだのですよ?弱小チームの雷門など興味はありません」
なるほど。油断しているのかそれとも挑発しているのか。まぁ、勝てば関係ないか。
「やめろ染岡」
「せいぜい豪炎寺君の足を引っ張らないでくださいね」
本当にあの監督は豪炎寺以外眼中にないだろう。まぁ、そっちの方が好都合か。
「言ってくれるじゃねぇか」
「見せてやろうぜ。お前の必殺シュートを」
「ああ」
オレたちのフォーメーションは4-4-2。染岡、豪炎寺の2トップで、オレはセンターバック。影野と目金がベンチって感じだ。
ピー!
審判のホイッスルで試合開始。相手チームからのキックオフで始まったが、そのまま10番が上がっていき壁山を抜いて円堂と1対1に。
「喰らえ!ファントムシュート!」
ボールと共に軽く飛び上がってシュートを……ちょっと待て!何か紫色の炎の球が六つぐらいに見えるんだけど!?ファントム……ってことは幻影か!?つまり6つのうち5つが偽物!?いやいやどうやって本物を見分けるんだ!?てか止めようがなくないかあんなの!
「何の!ゴッドハンド!」
……あれ?ゴッドハンドの中央だけにしかボールが行ってない?ん?どうなった?残りの幻影のボールは何処に消えた?まさか……オレだけにしか見えていなかったのか!?
「ものにしたんだな円堂!」
風丸!?違うよね?というか、今のファントムシュートに対する驚きは無いのか!?
「まぁな」
軽く返してボールを風丸に。風丸が上がって少林にボールが渡る。豪炎寺にパスを出そうとしたが、豪炎寺には3人のディフェンスがついている。
「こっちだ!」
そのためか染岡が完全なフリー。ボールは少林から染岡に。
「見せてやるぜ俺の必殺シュート!ドラゴンクラッシュ!」
……やっぱりあのシュートおかしいよね?ドラゴンは何処から来たの?何処に消えたの?もう何が何だかわかんないけど、とりあえず、相手キーパーが染岡のシュートに反応できずにゴールを許したのは分かった。これで1対0っと。
「何ですって!?」
これには相手監督も驚きを隠せないご様子だ。
「ドラゴンクラッシュ?」
「そうか!あのシュートの名前か!」
違うよね?名前に疑問を持つところじゃないよね絶対。
後から聞くとこれは目金が名付けたらしい。もう君必殺技名付け担当ね。
「やったな染岡!俺たちが先取点取ったんだぜ!」
「ああ!」
喜ぶ円堂と染岡。確かに試合の流れを掴むと言う点では先取点は大事だが……何だ?この拭い切れない違和感は。
尾刈斗からのキックオフで試合再開。勢いに乗った雷門はボールを奪い再び染岡に。そのままドラゴンクラッシュが相手ゴールに刺さってスコアは2対0。あまりに呆気なくシュートが決まるせいか。皆勝てるという空気と、油断が混ざった何とも危険な状態になっていた。オレと豪炎寺を除いては。
「これは行けるんじゃないか!十六夜!」
「…………」
「十六夜?」
「あーそうかもな」
再び尾刈斗のキックオフ。
「まさか豪炎寺君以外にあんなストライカーがいたなんて予想外でしたよ雷門中の皆さん!いつまでも雑魚が調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
おいおい何だ向こうの監督。雰囲気がガラッと変わったぞ。
「始まったか」
「テメェら!そいつらに地獄を見せてやれ!」
始まる?地獄?
「マーレマーレマレトマレマーレマーレマレトマレ」
何だ?向こうの監督は頭でもおかしくなったのか?まぁ、どうでもいいか。
「何やってるんだお前ら!」
フィールドでは相手選手をマークに行った少林とマックスが何故か味方である半田と宍戸を押さえていた。うーん。どうしたんだろう。ボールは相手キャプテンが持っている。
「皆!落ち着いて相手の動きを見るんだ」
落ち着く……ねぇ。
「無駄だ。ゴーストロック!」
ゴーストロック?なにそれ?
「足が……!動かないっス!」
「これがゴーストロックだ」
え?こんなアリ?というか、
「オレ普通に動けるんだけど」
「ファントムシュート!」
って何かオレ以外の雷門のみんなの足によく分からないものが纏わりついてる……って円堂もかよ!キーパーを封じるとかアリかよ!?
クソッ!そんなこと思っていても状況は変わんねぇ……!六分の一の確率だ……!
「これだ!」
しかし、選んだボールは幻影。本物のボールはゴールに刺さっていた。スコアは2対1。
ゴールを決めたことによりゴーストロックとやらは一時的に解除されたみたいだが……え?あんなの使う連中にどうやって勝てと?え?もう卑怯とか通り越して無理ゲーですよね?だって、キーパーの動きを封じられたらシュート止められないじゃん。