超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

113 / 254
雷門VSザ・ジェネシス ~仲間の力~

 新必殺技、クロスファイアによって同点に追いついたオレたち。

 

「やったな!」

「うん!」

 

 豪炎寺と吹雪が堅い握手を交わす。

 

「豪炎寺!吹雪!」

「これは、皆で取った一点だね!」

 

 全員で頷くオレたち。

 

「これが円堂君のサッカーなのか……」

 

 この得点にはジェネシスも驚きを隠せなかったようだ。

 双方ポジションについて、ジェネシスのキックオフで試合再開。

 

「最強なのはジェネシスの!」

「父さんのサッカ-だ!」

 

 ウルビダとグランの二人が、ボールを持ち駆け上がる。解除されたその力に慣れてきたのか、動きは先ほどよりも洗練され、そのスピードにオレたちは追いつくことが出来なかった。

 

『なんとグランとウルビダに全員躱されてしまったぁ!』

 

 そこにウィーズが合流する。そして、3人はシュート体勢に入って……

 

『スペースペンギン!』

 

 ジェネシス最強のシュートを放った。

 

「ムゲン・ザ・ハンドG3!」

 

 8本の手がシュートに向かう。だが、先程と同じように徐々に破られようとしていた。

 

「立向居!」

「止めてみせる……!もう1点も……やるわけには……行かないんだ!」

 

 立向居の気迫。更に増えた手がペンギンたちを上から押しつぶし、ボールを止めた。

 

『な、なんと立向居!スペースペンギンを止めた!』

「グレード4!」

 

 ここに来て更なる進化を遂げたムゲン・ザ・ハンド。この試合だけでも大きな成長を遂げたそれは、遂にジェネシスの最強の必殺技を止めるまでになっていた。

 

「ジェネシスの最強のシュートが……!」

「なぜ決まらない……!」

 

 この光景に再び驚きに包まれるジェネシス、並びに吉良星二郎。

 

「綱海さん!」

 

 投げられたボールは綱海の下へ。

 

「壁山!」

 

 そして、壁山に繋がる。

 

「土門さん!」

 

 そのまま、土門へと繋がり、

 

「一ノ瀬!」

 

 一ノ瀬まで繋がる。

 

「アフロディ!」

 

 アフロディへとパスが出て、

 

「鬼道君!」

 

 鬼道に繋がった。そして、

 

「十六夜!」

 

 オレへとパスが来る。

 このボールには全員の思いが込められている。だから、オレはこれをアイツに繋げる。繋がってきたボールをアイツらへと託す。

 

「円堂!」

 

 ボールは円堂へと繋がった。円堂がドリブルをするが、何かに気付いた様子だった、近くを走っていた豪炎寺と吹雪も何かに気付く。

 そしてボールをセンターマークに置き、ボールを中心に正三角形の頂点に立つ円堂、豪炎寺、吹雪の三人。彼らを囲うようにして青いオーラの円ができ、さらにその外側に8つの光が正八角形の頂点に現れる。光からパワーが中心にいる円堂たちに送られる。

 その光が溜まった瞬間、円堂、豪炎寺、吹雪の三人がボールと共に跳び上がる。ボールは空中で大きなエネルギーの塊のようになる。その塊に向け、円堂、豪炎寺、吹雪の三人が矢のように突き刺さる。ボールはいくつかの光に分かれた後に一つの大きな光となり、ゴールへと向かっていく。

 ジェネシスのディフェンス4人、そしてネロの合わせて5人がかりで止めようと試みるも全員吹き飛ばされる。

 

「グラン!」

「ああ!」

 

 ゴールに決まる直前、ウルビダとグランの2人がボールを蹴り返そうと試みる。

 

「お父様のために!」

「負けるわけには行かない!」

 

 彼女たちが吉良星二郎の為に力を振り絞る。

 僅かな拮抗。

 しかし、シュートは光を増して、二人を弾き飛ばした。

 

「そうか……これが!」

 

 そのままボールはゴールに突き刺さった。

 

『ゴォォール!雷門逆転!勝ち越しだぁ!』

 

「円堂君……皆……!」

 

 ピ、ピー!

 

『ここで試合終了!5ー4で雷門の勝利!遂に……遂に!エイリア学園を倒しました!』

 

「やったぁ!」

「よっしゃぁ!」

 

 勝利に沸き立つオレたち。対称的にジェネシスの面々は落ち込みを見せていた。

 

「勝ちたかった……!お父様のために……!」

 

 涙を零すウルビダ。彼女の思いを考えれば当然のことだろう。

 今すぐ声を掛けに行きたいような衝動に駆られる。だが、それはしてはいけないはずだ。彼女の中で取り巻く思い。オレはそれを知っていた上で、彼女らを倒すためにここにいたのだから。

 

「円堂君……」

「ヒロト……」

 

 そんな中、グランが円堂へと声をかける。すると、少し笑顔になって、

 

「仲間って凄いんだね」

「そうさ!ヒロトにもそのことが分かってもらえて嬉しいよ!」

 

 円堂もその言葉に笑顔になって答える。そして彼に向けて手を差し出す。

 グランもその意図を組み、円堂の手を握る。

 

「ヒロト……」

「姉さんが伝えたかったこと。これだったんだね?」

 

 瞳子監督も笑顔を向ける。どうやら、正しくグランに伝わっているようだ。

 

「……ヒロト」

 

 と、そんな中、先ほどまで上で見ていたはずの吉良星二郎が、オレたちの前に現れる。

 

「お前たちを苦しめて、すまなかった……」

「…………父さん……」

「瞳子。私はあの、エイリア石に取り憑かれていた」

 

 吉良星二郎はそう言って、申し訳なさそうに俯く。

 

「お前の……いや、お前のチームのおかげで、ようやく分かった」

「お父さん……!」

「そう……ジェネシス計画そのものが、間違っていたのだ……」

「…………っ!」

 

 吉良星二郎の今までの行いが間違っていた、と言うことを認める発言。その発言はこの計画を止めようとしていたオレたちにとっては、よかったと思えるものだった。

 だが、たった一人。オレたちが安堵したような、そんな空気になる中、その一人の空気が明らかに変わったように思えた。そいつの……彼女の方を振り向くとそこには── 

 

「……ふざ、けるな……!」

 

 ──憎しみや怒りなどが含まれた低くドスの利いた声。その声の主であるウルビダは、ボールを片手に持ったまま、吉良星二郎を睨みつけていた。

 

「これほど愛し、尽くしてきた私たちを!よりによって貴方が否定するなぁああっ!」 

 

 彼女の心からの叫び声。その声と共に、ウルビダは手に持っていたボールを地面に落とし、蹴り飛ばす。その狙いは……彼女がこれまでお父様と呼んで慕っていた吉良星二郎が。

 

「なっ!」

「お父さん!」

 

 対する吉良星二郎は、自分に向かって跳んでくるボールを正面から見て立っているだけだった。

 動く素振りは一切ない。きっと、彼女の怒りが込められたボールを受け止めるつもりなのだろう。

 だが……そんなの……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ドォッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 衝突した音がスタジアム中に響き渡る。誰もがそのボールの当たった先を見る。

 そこには、吉良星二郎をかばって立っていたグランが。しかし、そのグランにボールが届くことはなかった。なぜか?

 そう、グランの前にもう一人、立っていた男がいたからである。

 

「ムーン!?」

「十六夜……」

「…………くっ」

 

 ボールは彼の胸のところで回転を止め、静かに落ちる。一度ウルビダの方を見た十六夜。しかし、そのまま倒れ込んでしまう。

 彼女の怒りによって強化されたそのシュートに、十六夜は耐えることが出来なかった。弾かれることはなかったが、倒れたまま起き上がってこない。

 

「十六夜!?しっかりしろ!十六夜!」

「ムーン!何で君が……!」

 

 そんな光景に、グラウンドに居たメンバーは唖然としてしまう。いち早く我を取り戻した円堂とグランが駆け寄り彼に呼びかける。

 しかし、その声に十六夜は応えることが出来なかった。

世界編について

  • 原作ルート
  • 変更ルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。