ザ・ジェネシス、エイリア学園との戦いは終わった。
オレたちはザ・ジェネシスのメンバーが保護され送られていくのを見送り、雷門中へと帰還していた。道中でも、キャラバンのエンジントラブルがあったりしたが、もうすぐこの中の何人かは地元へと帰らないといけない。
別れが来る。そんなことを考えつつも、とりあえず一つ大きな事が終わったというのが今ある事実か。
「この先どうしようか……」
キャラバンの外を見ながら思いに耽る。前はフットボールフロンティア優勝や、打倒エイリア学園みたいな大きな目標があったけど、今はその目標がない。
「アフロディ。お前も戻るのか?」
「そうだね。僕も世宇子中に帰るつもり。まぁ、他の皆に比べたら近いけどね」
「なるほどなぁ……」
「でも、君たちとサッカーをして改めて思ったよ。あの時、僕たちを倒してくれてよかったってね」
「……そうなのか?」
「まぁ、今回のエイリア学園のこともだけど。人間って強すぎる力を手に入れると、それは身を滅ぼしかねないからね。もし、あの時勝っていたのが雷門じゃなくて僕らだったらって思うと……」
「エイリア学園に世宇子……二つの脅威が襲い来るとか……放棄したくなるな」
「そうだね。でも、エイリア学園の人たちも目が醒めてくれてよかったって思うよ」
「そうだな。なぁ、お前は今後なんかするとか決めているか?」
「うーん……もう少し落ち着いてからゆっくり考えるよ」
「オレも、そうするか」
キャラバンはやがて雷門中へと到着する。しかし、そこの漂う空気は何かが違った。
今にも雨が降りそうな黒い空。霧がかかってうっすらとしか先が見えない。一言で言えば気味が悪かった。
カツカツ
そこに足音が響き渡る。その足音は段々と近づいてきてやがて止まった。そこに居たのは……
「お待ちしていましたよ……雷門の皆さん」
「研崎……!何でお前が!」
「これはこれは十六夜君。お久しぶりですね」
「……何しに来た」
「そうですね……皆さんにはまだ最後の戦いが残っています」
そう言うと研崎の後ろには11人のフードを深く被った奴らが現れる。
そしてその内の一人がこちらに向かって歩いてきて……
「風丸!?」
フードを取る。その正体は……雷門の仲間である風丸だった。
次々と明らかになる正体。染岡、影野、半田、栗松、少林寺、マックス……ほとんどが雷門のメンバーで、このエイリア学園との戦いで離脱していった者だった。
そして、風丸があるものを見せる。オレにとっては見慣れたもので、本来なら風丸が持つはずのないもの……
「エイリア学園のボール……何でお前が?」
「どうして……風丸君?」
「再会の挨拶代わりだ」
そう言うと円堂に向かってシュートを放つ。辛うじて弾いた円堂だが……その衝撃は計り知れない。
「風丸……お前に一体何があったんだ!?」
「円堂、人には限界がある。でも、自分の限界を知るのはつらい……だから俺は強くなったんだよ。誰よりも強く、大いなる力を手に入れたんだ!」
そして風丸が取り出したのはエイリア石だった。
「エイリア石の力を使って強くなるなんて……そんなの間違ってる!」
「だったら証明してくれないか?オレたちの納得のいくようにな!」
「証明……だと?」
「ああ、人の力でどこまでやれるか。オレたちに示してみろ!サッカーでオレたちを負かしてみろ!」
「染岡君……本気で言ってるの?」
「そ、そうか!お前たち操られているんだな!待ってろ、すぐに助けてやるからな!」
「……何か勘違いしていないですか?」
「勘違い……だと?」
「オレたちはオレたちの意志でここにいる」
「……っ!」
その目には一切の迷いがなかった。アイツら……本気で言っている。だが、アイツらがそんなことをいきなり言うわけがない。そうなると原因は……
「おい研崎……!テメェ!何しやがった!」
「十六夜君。大人への口の利き方がなってないですよ」
「んなことどうでもいい!さっさと答えろ!」
「……私の野望ですよ。あのお方……吉良は何も分かっていなかった。どれだけこのエイリア石が素晴らしいものなのか。あの人の計画は穴だらけだった。ジェネシスがハイソルジャー?そんなことはない……だから、私が作ったんですよ。究極のハイソルジャーをね。まぁ、君たちには感謝していますよ。お陰であの男を消すことができた……基地ごとね」
「基地の爆発はテメェがやったのか!」
「その通りですよ。もう用済みですから」
「テメェ……!」
「本当は君にもこのチームに入ってもらう予定でした。十六夜君。だから君にエイリア石を与えた……なのに残念です。君はその力を拒み、剰え触れたエイリア石を無力化させてしまうとは」
「知るかよ。だが、オレが無力化させれば解決だろ?」
「果たして、本当にそうですか?」
「……なんだと?」
「私は彼らに与えただけに過ぎない。受け取ったのは彼らの意志です。力を求めたのは彼ら自身。その力を無理矢理奪う……果たして、それは本当に彼らの救いになるんでしょうかね?君たちのような持つものが持たざるものから強引に奪う……果たしてそれはどうなんでしょうかね?」
「…………っ!」
確かに……そうかもしれない。無理矢理エイリア石を無力化しても、力がなくなるだけ。アイツらの心は何も変わらないし変われない……クソ……嫌な言い方をしてくる……!
「オレたちと戦え。円堂」
「……嫌だ」
円堂が断った。アイツがサッカーをすることを拒んだ。
「こんな状態のお前たちと試合だなんて……!」
その意見に反対する者はオレたちの中には居なかった。
「我々との試合を断ればどうなるか……お教えしましょう」
そう言うと染岡の足下にエイリアボールが。
「まず手始めに……雷門中を破壊します」
「ダメだ!やめろ染岡!」
「お分かりですか?あなた方には選択肢がないんですよ」
……この野郎……!
「…………分かった。勝負しよう」
互いのチームがベンチに入る。研崎によると、日本中のテレビなどのマスメディアをジャックしたらしく、ここから全部中継されているようだ。
狙いとしては、ダークエンペラーズの圧倒的な強さを見せつけるってとこだろうが……クソ、どこまでも人を……!
「……皆……忘れちゃったんですかね……」
壁山が、サッカー部と書かれた木の板を見ながらそう呟く。ただの木の板ではなく、これは前の部室に飾ってあった看板……オレたち初期のメンバーからすれば大切なものである。
「いいや、皆、あんなに頑張ってやってきたんだ……だから。エイリア石なんかに潰されるはずがない!仲間はいつまでも仲間なんだ!」
「取り戻そう。本当の皆を」
「ああ。アイツらを絶対に救い出そう」
「アイツらはサッカ-を諦めかけたとき、傍に居てくれた仲間だ。今度は俺たちが!」
「ああ」
「ウチも協力するで!」
そう言ってきたのは浦部。そして、その後ろには今回の戦いで加わってきた仲間たち。
「俺たちも雷門イレブンだからな」
「ああ。もちろんだよ」
「俺もやります!」
「俺だって!」
「彼らも僕の道を正してくれた……だから、今度は僕が彼らの道を正す」
「お前たち、準備はいいか?」
「響木監督……」
「見せてやれ!お前たちのサッカーを!」
「「「はい!」」」
オレたちは輪になり、手を差し出す。全員が手を重ね、最後に円堂が重ねる。
「さぁ、行くぞ!皆!」
「「「おう!」」」
そしてポジションに着く。今回の雷門のメンバーとポジションはこんな感じだ。
FW 吹雪 豪炎寺
MF 土門 円堂 鬼道 アフロディ 一ノ瀬
DF 綱海 十六夜 壁山
GK 立向居
実況は(いつの間にか居た安定の)角間、審判は古株さんが務めることに。
ピ──!
雷門のキックオフで今、試合が始まった。