超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

124 / 254
あ、あれ?き、気付いたら開始から4年経って5年目突入……?


代表選手選考試合 ~試合開始と前半~

 選考試合当日は雷門中に大勢の観客がやって来ていた。

 少し前にオレたちは日本代表のユニフォームが配られた。Aチームには青色を、Bチームには白色を基調としたユニフォームだ。一応、青の方がメイン、ホーム用で、白の方がサブ、アウェイ用となるらしい。そのユニフォームを身にまといながら、外に出ると待っていたのは大勢の観客……

 

「いやーすげぇ数だな」

「だな!くぅ……!燃えてきたぁ!」

 

 流石は日本代表を決める大事な1戦。会場がスタジアムではなく中学校だと言うのに、すごい数を集めたものだ。改めて見ると、多いな……うん。

 探すと、昔みたいに木に寄り添って、試合を見守っている八神の姿が……堂々と見ればいいのに。やましいことなんて昔みたいにないんだから。

 

「そう言えば十六夜。良かったのか?」

「ん?何が?」

「お前のポジションって本当はDFだろ?でも、この試合はMFとして出るって……」

「バランス的にな。まぁ、気にすんなよ」

「そうか?」

「そんなことより、そろそろ試合が始まるぞ。切り替えていこうぜ、キャプテン」

「おう!じゃあ、皆!円陣組もうぜ!」

 

 そう言って円堂がAチームの面々を招集する。そして……

 

「行くぞ!悔いのないゲームにしようぜ!」

「「「おう!」」」

 

 鬼道率いるBチームも円陣を済ませて、準備万端のようだ。

 

「よし!試合開始だ!」

 

 響木監督の合図で両チームのメンバーがポジションにつく。今回はAチームのポジションは4-3-3。こっちにDFとFWが多かったため、オレと三つ子の青いのと佐久間はMFとして試合に出ることになった。よく思い返せば本職がMFってヤツ、こっちのチームに居なかったような……まぁ、あくまで3ヶ月以上前の記憶だからアレだけど。コンバートしていたら知らん。

 

『さぁ!お待たせしました!』

 

 ……なんだろう。3ヶ月ぶりに見たけど……え?角間、お前ってこの試合も実況するの?なんというか……ここまで来るとお前も凄いな。何だかんだで、日本代表を選ぶ大切な1戦の実況が出来るように成長しただなんて……ある意味感激だよ。

 

「……この試合(ここ)は始まりの1歩……待ってろよ、フィディオ。必ずオレもそこに行くからな」

 

 アイツと再び相見えるためには、この試合……いや、これからの試合もオレは出場し、日本として勝たなければならない。だから、この1戦は最初の1歩であり、大事な通過点……さぁ、行こうか。

 

『さぁ、いよいよAチームのキックオフで試合が始まります!』

 

 ピーー!

 

 審判の笛、染岡が吹雪にボールを渡して試合が始まった。吹雪からヒロト、そして再び染岡へとパスが通る。染岡の前に立ち塞がったのは不動だ。

 

「……あの動き」

 

 染岡を抜かせまいと不動がついて行く……が、逆をつかれて抜かれてしまう。不動を抜いて、そのまま攻めていきたい染岡。

 

「そこだ!」

 

 だが、カバーに来ていた風丸によってボールを容易く奪われてしまう。

 不動のヤツ……あえて抜かせたか。面白いことするじゃん。

 そこからボールは鬼道へ。そして、豪炎寺へと渡った。豪炎寺は土方を抜いて、円堂と1対1に。

 

「ファイアトルネード改!」

 

 前に見たときよりもパワーが上がっているファイアトルネードがゴールへと向かっていく。

 

「真ゴッドハンド!」

 

 それに対し、こちらも前よりもパワーが上がったゴッドハンドで対抗する。

 

「よぉし!」

 

 ボールは円堂の手の中におさまる。

 

『いきなりの円堂と豪炎寺の対決!まずは挨拶代わりかぁ!』

 

 雷門のエースストライカーとキャプテンの激突に観客が沸く。

 

「さぁ、反撃だ!十六夜!」

「おう!」

 

 投げられたボールはオレの下へと辿り着く。

 

「さぁ、見せてみろ。修行の成果を」

「はっ、いいぜ。乗った!」

 

 ボールを持ったオレに立ち塞がったのは鬼道。ここでこうして相手チームとして向き合うと……最初に出会った時のことを思い出しそうだ。そう思いながら……

 

「……っ!」

 

 シザースで軽くフェイントを入れつつ、足を一歩前に出して、ヒールリフトで鬼道の上を通していく。そして、抜いたタイミングでヒロトへとパスを出す。

 

「フェイントのキレが数段増しているな」

「向こうで散々鍛えたからな。まだまだこんなもんじゃねぇよ」

「ふっ、面白い」

 

 ボールは吹雪へと渡り、染岡に。染岡はボールを高く蹴り上げると……

 

「ワイバーンクラッシュV2!」

 

 進化したワイバーンクラッシュが立向居の守るゴールへと向かう。

 

「ムゲン・ザ・ハンドG4!」

 

 それを立向居は完璧に止めてみせた。やはりというか、皆の必殺技も見ないうちに成長している。油断していたら足下を掬われるな。

 

「鬼道さん!」

 

 ボールは鬼道へと渡った。

 

「行かせねぇよ」

 

 相手チームの中枢をフリーにさせておくほど、舐め腐ったことはしない。すぐにブロックしに行き、時間を稼ぐ。DFではなくMFなんだし、無理に取る必要はない。

 

「考え事してる場合か?」

「くっ!」

 

 ……そう思っていたが、鬼道の思考に乱れが入った。プレーに集中できていないところがあるなら、そこをつくまでということで、ボールを奪おうとプレスをかける。

 だが、鬼道も考えている場合じゃないと悟ったのか、ボールを出す。その出した先には不動……いや、鬼道と不動って……そこまで拗れているのか。想像以上なんだけど……というか、響木監督はそれを分かって同じチームにしたのか……?

 不動に渡ったボールを佐久間がスライディングをして奪い、染岡に渡す。

 

「どうだ!」

 

 佐久間が不動に声をかけるが、不動は落ち着いた様子でいる。おっと、鬼道と不動だけじゃなく、佐久間と不動もあれなのか。不動と2人って感じで何かギスギスしているなぁ……

 

「これは勝つための試合じゃねぇ。決めるところだけ決めればいいんだよ」

 

 ……いやぁ……確かに、今までみたいな勝つか負けるかの試合というより、実力を見せる側面が強い試合だけど……言い方が……ねぇ?火に油を注ぐってこういうことではないだろうか?

 

「これだけは言っとくぜ?今日は自分のことしか考えてねぇよ」

 

 そう言い残して、自分たちのチームの方へと戻っていく不動。

 彼の言ってることは、ある意味正しいというか……今は便宜上こうやって2つのチームに分かれていて、そのチームで試合をしているが、最後の選ばれる時はどっちのチームに居たかなんて関係ないだろうからなぁ……

 

「気にするな。試合に集中だ」

「ああ、そうだな」

 

 その言葉を聞いた後、切り替えようとする2人。なんというか心配にはなるが、心配していてもしょうがない。アイツらの問題と今は割り切るか。

 ボールは染岡からヒロトへと渡り、ヒロトが木暮を抜いて……

 

「流星ブレード!」

 

 必殺技を放つ。その軌道にいた栗松はそのシュートをしゃがんで避けて……え?そのせいで反応が遅れた立向居が飛び込もうとするもゴールへと突き刺さった。

 

『ゴール!先取点は円堂チームだぁ!』

 

 いや……え?あそこで避けたら流石にダメでしょ?

 

「くぅ……俺だって本当はFWなんだ!MFなんて納得いかねぇ!みたいな!」

「まぁまぁ、FW4人ってバランス悪いし、諦めろ、みたいな?」

「諦められるか!というか、真似するな!クソォ……俺だって点を取ってやるから!みたいな!」

「へいへい、無茶苦茶はやるなよ」

 

 今回の試合は何人か、本来のポジションとは違うところで出場している。だから、そういう不満も出てくるか……共感は出来ないけど。DFが一番本領を発揮できるけど、そこじゃなくても、ある程度動けるからよく分かんない。

 そんな中、Bチームのキックオフで試合再開。シャドウがドリブルで攻めてきたところを奪って、ドリブルをしようとする。

 

「……ん?」

 

 BチームのDFである木暮と風丸がさっきよりラインをあげている?鬼道の指示か?まぁいいや、ドリブルで攻めるか。

 

「勝手に指示を出すな!」

 

 って怒られた先には不動……こっちが攻めようとする中で最終ラインをあげる……

 

『おおっ!?武方が突然前線に上がっていくぞ!』

「はぁ?」

 

 思わず声が出てしまった……のは置いておいて、武方を探すと……あぁ、前線に走っているわ。そして、その奥を走っているのは不動……

 

「風丸!十六夜にあたれ!」

 

 不動の指示通り、ブロックに来る風丸。そんな中で、武方の前に立ちはだかる不動。

 

「パスだ!パスを寄越せ、みたいな!」

 

 武方からのパス要求。彼にボールを渡すべく、パスするためにボールを蹴る……

 

「……まぁ、無視でいいや」

 

 ……ことはせず、キックフェイントをいれて、そのままスピードを上げて突き進む。

 

「何してるんだよ!パスをしろ、みたいな!」

 

 未だにゴール前で何か言っている武方の方を見ると……予想通り、不動が場所を移動していた。そのせいで、彼はBチームの最終ラインより奥にいる……いや、いい加減気づけよ。

 

「はぁああああ!」

「よっと、ナイススライディング」

 

 風丸のスライディングをジャンプして躱す……おっと、

 

「パスが出来ない相手から奪いに来た?」

「あーあ、仕掛ける相手を間違えた」

「まぁ、武方を使うまではよかったでしょ。ボールを持っていた相手が悪かっただけでさ」

 

 躱した先に居たのは不動。進ませないように進路を妨害する……時間を稼ぐディフェンスだな。ボールを奪う気をそんなに感じない。木暮や躱した風丸がブロックに来ると厄介だな……

 

「じゃ、打つか」

 

 パスは出せないし、強引に抜くのは悪手……少し距離はあるけど、打つか。幸い空中で放てる技ならブロックとか関係なさそうだし。

 そう思って、ボールを空高く蹴り上げ、跳び上がる。

 

「オーバーヘッドペンギンV2!」

 

 元々の技より6匹から12匹に増えたペンギンが、蹴り出されたボールと共に突き進んでいく。

 

「ムゲン・ザ・ハンドG4!」

 

 だが、立向居の必殺技により、ボールは止められてしまう。というか、ボールと共にペンギンが潰されたように見えたけど……え?今更だけど死んでないよね?

 

『止めたぁ!十六夜の進化した必殺技を立向居が受け止めました!』

 

「ナイスセーブだな、立向居」

「はい!俺も負けていられないですから!」

 

 立向居がボールを蹴って前線へとボールを渡す。さて、自陣に戻るか……

 

「何で、パスを出さなかった!俺に出しておけば決められた、みたいな!」

 

 と思ったところ柄の悪い兄ちゃん……もとい武方に絡まれる。

 

「……え?何言ってんだよ」

「本職がDFのお前より、FWである俺が打った方が……」

「いやいやそうじゃなくて……え?お前本当に気付いてないの?」

「何をだ、みたいな!」

「オフサイドトラップ……不動の仕掛けた罠にお前、まんまと嵌まっていたぞ?」

「う、嘘だろ……?」

 

 ショックを受けた武方を置いて(無視して)、試合に戻る。ボールは綱海がクリアして外に出た。……それにしても、飛鷹……彼は何故この場に選ばれたのだろうか?昨日の練習でも思ったが動きが初心者……さっきも、円堂の指示に戸惑い、綱海がギリギリのところをフォローしてくれていたが……

 Bチームのスローインで試合再開。ボールを持った豪炎寺は、すぐにシュート体勢に入った。

 

「爆熱ストーム!」

 

 炎を纏ったシュートは円堂の守るゴールへと迫っていく。

 

「正義の鉄拳G2!」

 

 そして、シュートと円堂の必殺技が激突する。少しの拮抗の後、正義の鉄拳は砕け、ボールはゴールへと刺さった。

 1-1の同点。互角の戦いと言っても差し支えない状況……さて、どうしたものか。




前の話では誤字報告をしてくださり、ありがとうございます。もし誤字がありましたら気軽に報告してください。

後、オーバーヘッドペンギンがV進化かは知らないです(記憶が正しければ、どういう進化か分からなかった気がするし)……もし、違ったら教えてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。