超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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代表選手選考試合 ~後半と選考結果~

 ハーフタイムに突入し、休みつつ前半での展開を思い返す。

 豪炎寺が点を取った後の展開は一進一退と言えるものだった。互いに点を取ろうと攻め合い、ディフェンダーが阻止する……そんな中で、染岡が進化したワイバーンクラッシュV2で点を取り、2-1とAチームがリードした状態で前半を終えた。

 そんな中で気になったことは……

 

「十六夜」

「ん?」

 

 何かが投げられたのでキャッチする。投げられたものはドリンク……?投げてきた相手は……

 

「八神か……どうした?」

「私の仕事だ」

「はい?」

 

 理解が、追いつかなかった。仕事?どういうこと?

 

「言ってなかったか?戦術アドバイザーとして、日本代表に同行することになったって」

「聞いてないけど?初耳だけど?……え?マジで?」

「マジだ」

「はぁ……で、戦術アドバイザーってどういうこと?」

「要するにマネージャーになった」

「なるほど」

 

 なんて分かりやすく纏めてくれたんだ……そう思っていると別のヤツが声を掛けてくる。

 

「フッフッフッ……ちなみに!この目金も彼女と同じく、戦術アドバイザーとして日本代表に同行することになりましたので!」

「ん?お前、Bチームじゃ……」

「それは弟!アドバイザーになったのは兄の方です!」

「ふーん……?あれ?戦術アドバイザーって2人も要るのか?」

「こっちは記録担当だ」

「うぐっ……せめて、情報収集担当にしてください……」

 

 よく分からないが仕事は違うようだ。……いや、本当によく分かっていないけど。というか、いつの間にそんな大層な役職にうちの彼女は就いたんだ?……え?本当に一切知らなかったんだけど?

 

「それより十六夜。私が戦術アドバイザーになった意味……分かるよな?」

「微塵も、これっぽちも、一切分かりません」

「……もし、お前が選ばれなければ……」

「……悲しい?」

「私が戦術アドバイザーになった意味が()()なくなる」

「いやいや、全てって。それは言い過ぎでは……」

「後半は死ぬ気でやれ。()()()?」

「Yes, boss.」

 

 心なしか背筋が伸びた。ヤバい、選ばれなければ詰む。前半もそこまで手を抜いていたわけではないが、後半もこれはやらなきゃ死ぬ……そんな気がする。

 八神が立ち去るのを敬礼して見送る……って、そのせいで考えがまとまってない。とりあえず、相手チームで気になった選手……虎丸のことを注意深く見ておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後半は前半よりも白熱していた。雷門中や元地上最強イレブンの面々も栗松を始めとして、新必殺技や進化した必殺技を披露する。互いのFW陣のシュートを円堂と立向居がセーブし、点を取らせない。

 そんな攻防の中……遂に後半終了間際、状況が大きく動く。鬼道がボールを持ち込み、豪炎寺と2人で攻め上がる。壁山と土方は豪炎寺をマークして、点を取らせないようにする……が、鬼道がゴールを狙ってシュートを打った。そのシュートに円堂が反応し、辛うじて弾くも、弾いたボールに真っ先に反応したのは不動。ディフェンスが来る前に、ダイレクトでシュートを放った。体勢を崩したままの円堂……そして、シュートに走り込んだのは飛鷹。

 

「くっそぉ~~!」

 

 シュートを前に体勢を崩してしまう飛鷹。半ばヤケクソ気味に声を荒げ、ボールを蹴ろうとするも、大きくからぶってしまう。そのままゴールへ向かうシュート……しかし、飛鷹の蹴った跡に紫色の謎の空間が現れて、それがシュートとぶつかる。

 

「なんだ……今の?」

 

 ボールはゴール前で転がり、それを円堂が危なげなくキャッチしたが……今のは必殺技?シュートが急に失速……完全に止まったわけじゃなく、何かに弾かれたようにも見えた。

 

「遠目じゃ分からねぇけど……」

 

 少なくとも狙ってやったものではないだろう。飛鷹自身もどこか困惑し、それが隠せていない。なら一体……?

 

「十六夜!」

「はいよ」

 

 円堂からボールが飛んでくる。彼が何をしたか、その答えを考えるのは試合の後でいい。それに今なら、鬼道も不動も自陣にいない……カウンターチャンスだな。

 

「上がれAチーム!カウンターだ!」

 

 佐久間にパスを出し前線へと駆け上がる。

 

「ディフェンス!時間を稼いでくれ!」

 

 鬼道の指示により、佐久間に目金弟がマークにつく。現状、こっちの攻めの人数の方が多いため、時間を稼ごうとする……が。

 

「佐久間!」

「ああ、十六夜!」

 

 佐久間からボールをもらい、そのままヒロトへダイレクトでパスを出す。

 

「ナイスパスだよ、十六夜くん」

「栗松!」

「行かせないでヤンス!」

 

 すぐさま栗松がチェックにつく。それを見たヒロトは吹雪へとパスを出す……が。

 

「通させるか!」

 

 そのパスコースに割って入ろうとするのは風丸。心なしか風を纏っており、今日一で動きが速く見える。その俊足を持って、パスカットに成功する。

 

「こっちだ!」

「ああ、鬼道!」

 

 そのまま鬼道にパスを出す……が。

 

「カウンター失敗……だけど、まだこっちの攻撃は終わらせねぇよ」

「十六夜……読んでいたか……!」

 

 風丸がパスカットをするために走った辺りから、鬼道へのパス一点読みで走っていたが正解だったようだ。トラップした瞬間を狙って、ボールを奪い去る。

 

「行かせませんよ」

「虎丸か……よくフォローに来た……けど、押し通る」

 

 カウンター攻撃はスピード命。相手の体制が整う前に攻めるのが基本……だが、既に失敗し、向こうの守備も整ってきた以上、早く攻める必要はなくなった。だから……

 

「…………っ!?」

「言ったろ?じゃ、通らせてもらう」

「木暮!来るぞ!」

「わ、分かってる!」

 

 フェイントで虎丸を躱し、そのままの勢いで後ろに来ていた緑川を躱す。正面突破でゴールを目指す方針に切り換える。

 

「シュートコースを潰してるな……」

 

 木暮と風丸の2人が立ちはだかる。隙あればシュートを打つことはバレているためか、シュートコースを潰しにかかっている。その上、栗松や目金がヒロト、染岡、吹雪へのパスコースを塞ぎ、対応できる位置でスタンバイしている。

 

「じゃ、突破させてもらうわ」

 

 そうなれば取る選択肢は突破一択。木暮と風丸の連携の隙をついて躱す。

 

「構えろ立向居!」

「分かってます!」

 

 ただ、風丸のスピードはオレのドリブルより速い。そのせいで、抜いたはずなのにまだ付いてきている。風丸が付いてきているせいで必殺技を打つ余裕はない。打とうとすればその隙に奪われる……だから。

 

「追い付くだろ?吹雪!」

 

 一瞬止まり、足裏で後ろにボールを流す。人間は急には止まれないし、走っていたのを一瞬で逆方向に向きを変えるなんて芸当は普通出来ない。風丸が急ブレーキをかけ、前のめりになったタイミングで、右サイドへ大きくパスを出す。

 

「ナイスパスだよ。十六夜君」

 

 足下ではなく空いたスペースへのパス。栗松を追い抜き、そのパスに追いつく吹雪。そのままシュート体勢に入った。

 

「ウルフレジェンド!」

 

 そして、必殺技を放つ。ゴール目がけて進んでいくシュート。

 

「ムゲン・ザ・ハンドG4!」

 

 立向居も反応し、必殺技を放つ……が、抵抗空しく、そのままボールはゴールに入った。

 

『ゴール!円堂チームに追加点だぁっ!』

 

 ピ、ピー

 

『ここで試合終了!選考試合は円堂チームの勝利だぁ!』

 

 点が決まった直後に鳴り響く試合終了のホイッスル。周りを見るとほとんどの奴らが緊張と疲れからか息を切らし、膝を突いたり倒れたりしている。

 

「お前たちよくやったな」

「監督……!」

 

 すると響木監督がグラウンドの方にやって来た。

 

「さて、いよいよ運命の選択をしなきゃならん」

 

 そう言い残すと、グラウンドから去って行く……

 

「そっか。今から選考するのか……」

 

 すっかり忘れていたが、この試合の後に話し合いとかで決めるのだろう。当たり前な話だが、試合終了後すぐに分かるわけじゃないか。

 

「八神ー暇だし練習に付き合ってくれ」

「ああ、分かった」

 

 流石に数分とかで日本代表は決まらないだろう。そんな早く決まるんだったら選考試合の意味を聞きたくなるし……1時間くらいは余裕あるだろ。

 

「じゃ、円堂、鬼道。適当な所で練習しに行くからなんかあったら教えてくれー」

「おう!……って今から練習するのか!?」

「お前……疲れてないのか?」

「まだまだ行けるかな?んじゃ、よろしくー」

 

 とりあえず着替えに行く。流石に代表になったわけでもないのに、このユニフォームで練習するわけにはいかないし。

 

「アイツは何というか……やっぱり自由人だな。3ヶ月で自由人に磨きがかかったな」

「ああ。それに、選考試合の後に練習するだけの気力と体力に余裕があるとは……」

 

 そう豪炎寺と鬼道が言っていたらしいが、当然聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは日本代表最終選考通過者を発表する」

 

 練習に一区切りをつけ、呼ばれたので雷門中のグラウンドに戻ってきた。試合の時には溢れそうなくらい観客がいたのに今はゼロ……日本代表はどこかのタイミングで大々的にお披露目って感じなのか?

 グラウンドに立つ響木監督……その前に整列するA,Bそれぞれのチームとして出場していた22人。横にはマネージャーと戦術アドバイザー(?)たちが並ぶ。

 

「と、その前にお前たちに日本代表監督を紹介する」

「「「えぇっ!?」」」

 

 一部のメンバーが驚きを隠せない中、1人の男の人が響木監督の隣に立つ。

 

「……ふゆっぺの……お父さん?」

 

 円堂が呟くが……ふゆっぺって誰?お前の知り合いなの?お前の知り合いのお父さんが、日本代表チームの監督なの?

 

「わたしが日本代表監督の久遠道也だ。よろしく頼む」

 

 ……久遠……道也?聞き覚えがないし、会った覚えもない。円堂たちの様子を見る限り、この世界で有名な人ってわけでもなさそうだが……

 

「どうして、響木監督が日本代表の監督じゃないんですか?」

 

 円堂が疑問を口にするが……その疑問って、捉えようによっては失礼に当たるんじゃ……

 

「久遠ならお前たちの力を今まで以上に引き出してくれる」

 

 ……そう言われて納得する円堂……まぁ、瞳子監督の時みたいに何か思惑があるのか?

 

「ではこれより、代表メンバーを発表する。鬼道有人」

「はい!」

「豪炎寺修也」

「はい!」

「基山ヒロト、吹雪士郎」

「「はい!」」

「風丸一郎太、木暮夕弥、綱海条介」

「「「はい(おう)!」」」

「土方雷電、立向居勇気、緑川リュウジ」

「「「はい(ウォッス)!」」」

 

 ……何だろう……沖縄出身の2人の返事が違うような……って気付けば半分以上呼ばれてた件について。というか円堂は?いや、オレも呼ばれてないけど……

 

「不動明王」

「……へっ」

「宇都宮虎丸、飛鷹征矢」

「はいっ!」

「……はい!」

「壁山塀吾郎」

「は、はいッス!」

「おめでとうでやんす!壁山!」

 

 壁山が呼ばれたと同時に祝福を贈る栗松……ノータイムで友人のことを祝えるあたりいいやつだな。

 

「栗松鉄平」

「え?お、俺でやんすか?」

 

 そして、そのまま呼ばれる栗松……ん?後何人だっけ呼ばれてないの?そろそろ、やばくない?

 

「副キャプテン、十六夜綾人」

「はい!……はい?」

 

 ヤバい……と思った次の瞬間に呼ばれたけど……え?何か名前の前に付いてなかった?副キャプテンって聞こえたけど、気のせいだよな?それって鬼道とか別のヤツの役目じゃ……

 

「……最後に、キャプテン、円堂守!」

「はい!」

 

 ……いや、オレが副キャプテンとして呼ばれた時点で、円堂がキャプテンじゃなかったらどうしようかと考えたものだが……え?オレ副キャプテンなの?マジですか?悪いけどチームを纏めることは向いてないですよ?

 

「以上、17名」

 

 呼ばれなかった者は悔しさを表したり、選ばれた者を祝福したりしている……けど、自分で言うのも何だけど、そういう副キャプテンみたいなものにふさわしくないと思うんだけど……

 

「選ばれた者は選ばれなかった者の想いを背負うのだ!」

「「「はい!」」」

 

 ……まさかの副キャプテン抜擢……でもまぁ、それだけ期待されているって言うなら応えようじゃないか。

 

「今日からお前たちはイナズマジャパンだ。世界への道は険しいぞ。……覚悟はいいな?」

「「「はい!」」」

 

 覚悟なら既に出来ている。世界の険しさも知っている。だけど、このメンバーでオレたちは勝ち進む……そして……

 

「絶対に……頂点まで行ってやる」

 

 各々の思いを胸に、イナズマジャパンの物語が始まるのだった。

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