超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

128 / 254
VSビッグウェイブス ~必殺タクティクス~

 アジア予選の開会式……観客は満員でとてもじゃないが、フットボールフロンティアの時の開会式と比べると熱量がまるで違う。それに他のチームの顔つきも……たった8チームしかいないが、その8チームそれぞれが背負っている重みを感じる。しかも、副キャプテンという肩書きのせいか、円堂と共に先頭を歩いているため……うん。改めて、この役職荷が重いなぁと感じ始めた。

 そして各国のチーム紹介や選手宣誓など、開会式は順調に進んでいき……

 

「では最後に、日本の財前総理にFFIアジア地区予選の開会宣言を行っていただきます」

 

 ……総理が開会宣言……確かに地区予選とは言ったが、あくまで世界規模の大会って意味だ。そりゃ、総理が開会宣言もするか……あの人もサッカー好きだったし。

 

「少年たちの祭典!世界最強のサッカーチームはどこなのか?それを決める夢の大会、フットボールフロンティアインターナショナル!それぞれの国の威信をかけた熱く燃える試合、素晴らしいプレーを期待しています」

 

 湧き上がる観客の声を背に帰って行く総理……今更だけど、オレたちの多くが総理と面識あるってマジ?エイリア学園の件で面識があるとか……今更だがヤバいな。

 そして、1回戦を戦うイナズマジャパンとビッグウェイブスの選手たちだけがフィールドに残る。代わりに、それぞれの監督やマネージャーたちがグラウンドに降りてきて、準備を始めることに。アップや何故か写真撮影を挟みつつ……

 

「これよりスターティングイレブンを発表する」

 

 久遠監督の指示でベンチ前に集合し、遂にスタメンの発表である。……どうしようか。オレの記憶が正しければ、オレだけ監督の前で練習をしていないんだよな……いや、サボりとかじゃなくて、監督の指示だけどさ。

 

「FW、豪炎寺、吹雪、十六夜」

 

 …………はい?

 

「MF、鬼道、緑川、基山」

 

 ……え?聞き間違いだよな?

 

「DF、壁山、綱海、土方、風丸。そして、GK兼ゲームキャプテン、円堂」

 

 ……聞き間違いじゃなかったんだろう。…………え?オレFWなの?

 そう思いつつ、呼ばれた11人は相手チームとの挨拶を済ませると、自分のポジションにつく……

 

「オレ、本当にFWなの?」

「みたいだな。……でも、十六夜をFWにする……何かあるのか?」

「ないと困るよ?オレの本職、DFなんだけど?」

「今更だろう」

 

 い、今更……確かに言われてみれば今更なんだけど……日本に帰ってからDFとして何もしてないし……選考試合はMFとして出たし……あれ?

 

「オレって本当にDFなのか……?もしかして、オレはDFじゃないのか……?」

「…………」

 

 実はDFじゃなくて、FWとして代表に選ばれていたとか?久遠監督って……オレがDFであることを知らないとか?(迷推理)

 

「ただ……」

「ただ?」

「いや、何でもない」

「ないのかよ」

 

(オーストラリアは守備が堅いチームと言っていた。確かに、十六夜の攻撃力をフルで使えるFWという選択はなくはない。だが、このチームの連携はまだまだ足りていない。ならば、十六夜の守備力を活かし、失点のリスクをゼロにする方が無難にも思えるが……)

 

 鬼道が考え込んだので、思考を切り換える。とにかく、FWとして出る以上、点を取りに行くだけ。仕事を果たすだけだな、うん。……オレが何処のポジションを想定して呼ばれたかは今度考えよう。

 

 ピーー!

 

『キックオフ!試合開始です!』

 

 イナズマジャパンボールで試合開始。ボールは鬼道が持っている。

 豪炎寺、吹雪が前線へと攻め上がっていくので、オレも遅れずに攻め上がっていく。

 そして、次の瞬間だった。ボールを持っている鬼道に対して、ビッグウェイブスの4人の選手が鬼道を囲うようにしてブロックする。

 

「なんだあれ?」

 

 その4人の選手は鬼道へと絶えずプレッシャーをかけ続ける。外側から見ても、鬼道が動こうと陣形は崩れていないように見える。

 

「……っ!?」

 

 その上、鬼道からのパスコースも、前線へのパスだけでなくバックパスのコースも主に4人が防いでる。特に前線のオレや吹雪には別の選手がついていて、かなり警戒されているようだ。

 

「ボックスロック・ディフェンス!」

 

 ……何それ?アイツらの必殺技?4人がかりの必殺技って結構大掛かりだな……

 

『出たぁ!ビッグウェイブスのボックスロック・ディフェンス!一度囲まれると二度と抜け出せない必殺タクティクスだぁ!』

 

 え?必殺タクティクス?必殺技じゃないの?必ず殺す戦術……物騒だなぁ。

 そんなことを思ってる中、健闘空しく鬼道はボールを取られてしまう。流石に初見での対処は厳しいだろうな……

 

 ドンッ!

 

『ああっとイナズマジャパン!連携がうまく行っていない!』

 

 ボールを取りに行こうとした綱海と土方が衝突する。ポジショニングが上手く噛み合っていない。そのままこぼれたボールは相手の11番に渡った。

 そして、11番の選手の足下には海が現れて……

 

「メガロドン!」

 

 シュートを放つ。そのシュートの下の海に巨大な陰が現れ、サメ……メガロドンが現れた。おいおいマジかよ……メガロドンを放つからメガロドンか……安直だな……じゃない。

 そのシュートは誰にも邪魔されることなく、円堂のところに向かっていく。

 

「正義の鉄拳G2!」

 

 円堂の正義の鉄拳とサメがぶつかる。僅かな拮抗の後、正義の鉄拳は砕かれ、ボールがゴールに入った。

 開始2分。オーストラリア代表の1点先取……か。あまりにも呆気なく点を決められたな。そこに至る過程で連携不足とかもあったが、円堂の技が通用しなかったのがデカいな……

 

「凄いな!こんなすごい奴らとやれるなんて、燃えてきた!」

 

 ……ははっ。流石円堂だ。こんなに呆気なく点を取られても、折れていないな。

 

「皆!試合は始まったばかりだ!まずは1点追いつこうぜ!」

「「「おう!」」」

 

 点を取りに行くには、あのボックスロック・ディフェンスを何とかしないといけない。あれを攻略する……いや、まだ情報が足りないか……

 再びイナズマジャパンのキックオフで試合再開。豪炎寺がボールを持ち込む……が、

 

「ボックスロック・ディフェンスだ!」

 

 今度は豪炎寺がボックスロック・ディフェンスの中に囚われてしまう。相手キャプテンがカギ……?いや、そうとは限らないか。

 

「……っ!」

 

 地上はダメだと判断したのか、上から突破することを試みる……が、それを読んで跳躍していた相手キャプテンにボールを奪われた。

 相手キャプテンから10番にボールが渡り、シュートを放つ……が、これを円堂がしっかり反応し、キャッチする。そして、今度は吹雪にボールが渡った。

 

「ボックスロック・ディフェンス!」

 

 が、また4人の選手が吹雪を囲う。一瞬の隙を見つけ、パスを出そうにも、パスカットをされ奪われる。そして、攻められこちらのゴール前まで運ばれる。

 ……一度でも囲まれたら終わり……か。ならば……

 

「円堂!」

「分かった!頼むぞ十六夜!」

 

 相手のシュートをキャッチした円堂からボールを受け取る。そのまま、ドリブルをして切り込んでいく。

 

「無駄だ!ボックスロック・ディフェ……」

「ヒロト!ダイレクトで前線へ大きく!」

 

 4人の選手に囲まれる前に、ヒロトへパスを出す。

 

「頼むよ!十六夜くん!」

 

 そして、ヒロトが要望通り、前線へと大きくパスを出した。

 

「そうか!囲まれなければボックスロック・ディフェンスは発動しません!」

「だが、甘い!それぐらい想定内だ!」

 

 ベンチに居る目金の大きな声……確かにその通りだが、どうやらその程度は想定内らしい。

 相手のキャプテンが進路を塞ぎ、もう1人がパスカットをしようと試みる。なるほど……4人で囲む以上、オレの前には2人のディフェンダーがいる。片方がこっちを妨害し、もう片方がパスを取りに行く……か。しかも、別の選手にパスを出せば、パススピードが相手の反応できないくらいのものじゃないと、そいつがボックスロック・ディフェンスの餌食になると……考えられているな……。

 

「……じゃ、これは想定内か?」

「何!?」

 

 オレは急ブレーキをかけ、走る方向を90度変える。ボールの落下地点へと走るのではなく、空中にあるボールを取りに行く。

 

「これで!」

 

 跳躍し、身体の向きを反転させ、オーバヘッドキックの要領で空中にあるボールを更に高く蹴り上げる。

 

「空中戦なら勝てると思ったか!」

 

 相手キャプテンが地上でスタンバイしているのを横目に見つつ、オレは……

 

 ピー!

 

「誰が地面に落とすかよ。ライド・ザ・ペンギン!」

『じゃ、行くよ!』

 

 空中でペラーに乗り、そのまま空へと飛んでいく。

 

『ああっと!流石は変幻自在のペンギン使い、十六夜綾人!ペンギンとともに、ボックスロック・ディフェンスの届かない空へと飛んでいった!』

 

 さて、ここまで飛べば誰も到達できないだろ……で、

 

「ペラー、いつもより速くね?」

『だって、綾人のバランス力が上がってきているからね。それに世界相手ならこれぐらいでいいでしょ』

「本音は?」

『最近暇だったから頑張ってみた』

「そうか……」

 

 もう少し働かせないとダメかもな……そう思いながら、そのままボールに追いつき、ボールを通り越した後で急降下。そのまま上空から相手ゴールに向けて、シュートを放つ。はるか上空から放ったシュート。そのスピードは徐々に上がっていく。

 

「グレートバリアリーフ!」

 

 しかし、相手キーパーの必殺技、グレートバリアリーフが発動する。キーパーの前に現れた海……そこに入るとシュートは減速し、威力を失って、相手キーパーに容易くキャッチされた。

 

「何だよあの技……」

 

 ペラーに乗って地上に帰還する。ゴール全域を覆われたら、コースで……とか考えても無駄じゃないか。

 

「でも、海か……」

 

 相手の技が海に関することなら……相性はいいかもな。ペンギンと海……でも、

 

「オーストラリアの海って冷たかったっけ?」

 

 オレはどうでもいいことを考えながら守備へと意識を切り替えるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。