超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VSビッグウェイブス ~海の男~

「うぐっ……!」

 

 ハーフタイム、ベンチから聞こえるのは鬼道の呻き声だった。

 

「この試合は無理です」

「これくらい大丈夫だ」

「鬼道、気持ちは分かる。だけど、無理はするな」

「円堂……!」

「鬼道、交代だ」

 

 やはりと言うべきか、鬼道の怪我では試合続行は不可能……か。

 

「後半頭から行くぞ。虎丸」

「は、はい!皆さんに迷惑がかからないプレーを心がけます!」

 

 鬼道に替えて虎丸を投入か……どんな策があるのか。

 

「後半の指示を伝える。吹雪、お前は中盤の底に下がって、攻撃の芽を摘め」

「はい」

「十六夜、お前のお陰で前半を同点で終えられた。よくやった」

「ありがとうございます」

「前半のプレーで後半は、お前への警戒は一層強くなるだろう。その状況を使え、いいな?」

「分かりました」

 

 使え……ねぇ。まぁ、警戒がこっちに向いてくれれば他が動きやすいよな。……というか吹雪のポジションを下げるってことはオレと豪炎寺の2トップですか?いや、吹雪はDF出来るけど……マジですか?

 

「虎丸はそのまま鬼道のポジションに入れ」

「いいんですか?俺で……」

「お前がやるんだ」

「はい!」

 

 確かに鬼道のポジションは攻撃の要となっていたところ……荷が重く感じるのも無理はないか。

 

「まぁ、気楽にやれって。後ろには俺たちが付いてるからよ」

「それから綱海」

「えっ……俺にも何か指示が……?」

「綱海。お前は俺の指示を聞かず、外に出て特訓していたようだな?」

 

 あ、バレてるわ。まぁ、バレる可能性も考慮して、出なくて正解だったわ。綱海も顔を真っ青にしているし……

 

「お前には責任を取ってもらう。点を取れ。新しい必殺技でな」

 

 な、なんて責任の取らせ方だ……

 

「新しい必殺技!?まさかお前も十六夜みたいに隠して……?」

「別に隠してねぇよ。披露する機会がなかっただけだっての」

「いやいや、そんなんじゃねぇーって。……けど、あれはまだ全然できてなくてよ」

「ヤツらを倒すにはどんな技が必要か。イメージを描くんだ。お前には分かるはずだ」

 

 イメージか……イメージねぇ……確かに、あの技も完成したイメージがわいていないしな……もしかしたら、それが原因かもな。

 

「ヒントはあのフィールドにある」

「フィールドに……?」

「誰にだって自分のステージがある。海はお前のものだと証明しろ!」

「よく分かんねぇけど分かった!」

 

 ……何だろう。綱海がやる気になったからいっか。とりあえず、綱海や他の奴らが動きやすいフィールドを作ることに専念するか。

 

「十六夜」

 

 監督の指示を一通り聞いて、後半の動きをイメージしていると、八神から声をかけられる。

 

「よくやった。必殺タクティクスを破り、シュートを決めたな」

「ありがとな」

「まぁ、それが監督の狙いだったのかもな」

「というと?」

「あの必殺タクティクスを破るには、ボール保持力に長けたFWかMFが必要だった。お前をFWに置いた理由は、そうだったかもな。もし、監督のヒントより早い段階で捕まっていても、お前なら取られないと踏んでいたかもな」

「なるほどな……」

「他にもありそうだが、後半も頑張れよ」

「任せろ」

 

 なるほど……オレがFWに居る意味……か。確かに、発表されたときに疑問に思った後は何も考えていなかったな。もしかしたら、オレが一番必殺タクティクスを破る可能性が高かったことを見越して……まぁ、他の奴らでも、やり方さえ分かれば突破出来ただろうけど。だから、向こうも戦術を変えたわけだし。

 

(データ上、十六夜の動きは格段に良くなっている。それに、あの必殺タクティクスを破った動き……タックルを受けても、体幹がぶれていなかった。練習禁止される前のトレーニングの成果か?でも、何故十六夜だけ別メニューだったんだ……アイツと他のメンバーは何が違うんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、綱海?何してるんだ?」

 

 解説が虎丸に関し出場経験ゼロで実力が未知数……みたいなことを言ってる中、フィールドに耳をつけてる綱海の所に行く。

 

「フィールドにヒントって言うから何かねぇかと……」

 

 だからって何も聞こえねぇだろ。そう思ったが言わないでおこう。

 

「なぁ、十六夜。お前はどうやって点を取ったんだ?何かイメージしたことでもあるのか?」

「ん?あー、アイツの技ってオレのペンギンと相性良さそうだなーって思った。後は、海の中に入ったとしても、加速させれば破れるだろってことで、スピード重視の技を放った」

「そっかぁ……破るために……。アイツの技もよく見てみるか……」

「綱海さん!十六夜さん!もう試合が始まるッス!」

「じゃ、戻るわ」

「おう!」

 

 そして、ポジションにつく。

 

 ピー!

 

『後半開始!1-1の同点!先に点を取るのはイナズマジャパンか!それともビッグウェイブスか!』

 

 ビッグウェイブスのキックオフで試合開始。ボールは11番が持っていた。ディフェンスに行くのは虎丸。それを見て11番は10番とのワンツーで抜こうとするが……

 

「いい動きじゃねぇか」

 

 10番から11番にボールが戻るタイミングで、パスカットをし、ボールを奪った。そしてドリブルをして駆け上がる虎丸、フリーだった豪炎寺へとパスを出した。

 

「爆熱ストーム!」

「グレートバリアリーフ!」

 

 だが、豪炎寺の必殺技は相手キーパーの前に止められてしまう。

 そして、キーパーからボールが飛んでいきカウンター……次の1点は、こっちが取っておきたいな。前半からだが、お互いシュート数の割に1点ずつしか取ることが出来ていない。ここで1点取られると、こちらの士気にも関わってくるから何としても1点欲しい……ただ、相手も同じ事を考えているようで、攻撃の時はオレをフリーにはさせてくれない。まぁ、監督が言ってたように警戒しているのが丸わかりだ。

 時間だけが過ぎていく……そんな中、試合が動こうとしていた。

 

「俺に回せ!」

 

 何かに気付いたのか、DFである綱海がボールを要求する。シュートを打つためにどんどん前へと攻め上がる。

 

「はい!」

 

 ボールを持っていた虎丸はその要求に応えてパスを出す。跳び上がった綱海。巨大な波の中、ボールをサーフボードのようにしてその波を乗りこなす。そして、ツナミブーストと同じ要領で、オーバーヘッドキックで打ち出した。……最後の方のモーションは、ツナミブーストと同じだったが、技の出始めが違ったように見えるその技……だが、

 

「グレートバリアリーフ!」

 

 相手キーパーの必殺技の海を前に、ボールを回転させることで抵抗を見せた……が、その抵抗も徐々に弱まり、海の中に入ってしまう。そして、ボールはキーパーの手の中に収まった。

 

「その程度で乗りこなせると思うか?」

 

 という相手キーパーの言葉から、ボールは相手キャプテンに渡り、そのまま前線の10番へ。10番は土方のディフェンスを躱すと11番へとパスを出す。

 

「メガロドン!」

 

 11番の必殺技が放たれる。1点目を取られたときと全く同じシチュエーション。

 

「この技は一度見た!」

 

 しかし、円堂はシュートを前に目を閉じるという驚きの行動に走る。意味は分からないが、アイツが捨てたとも思えない。きっと、何かあるんだろう。だったら……

 

「綱海!前線に残ってろ!」

「おう!」

 

 ダッシュで円堂の方へと走っていく。新必殺技でキャッチするにしても、正義の鉄拳で弾くにしても、次のボールを取って、何か感覚を掴み始めている綱海に賭けたい。そのためにはここは奪われるわけにはいかない。

 そして、目を見開く円堂。そのまま左足を高く上げて振り下ろし……

 

「正義の鉄拳G3!」

 

 正義の鉄拳を進化させた。進化した正義の鉄拳がメガロドンを完璧に弾いてみせた。

 

「ナイス円堂!」

 

 相手選手に取られる前に空中でボールを確保する。そして、

 

「綱海!」

「任せとけ!」

 

 そのままゴール前へと走る綱海へとパスを出す。

 

「俺に乗れねぇ波はねぇ!」

 

 そして、綱海は跳び上がる。そこには巨大な渦を巻く波が現れた。その中で、ボールをサーフボードのようにして波を乗りこなす綱海。その渦の中央のところで、跳び上がり、両足の裏でボールを蹴り出した。

 

「グレートバリアリーフ!」

 

 綱海のシュートと海の壁が衝突する。

 

「海は俺のもんだぁっ!」

 

 綱海のシュートの回転は衰えるどころか増していき、遂にグレートバリアリーフの海の壁に、大穴を空けることに成功する。空けた穴を通り、そのまま相手ゴールに刺さった。

 

「ザ・タイフーン!」

 

 ゴールに入ると同時に目金が名前を付ける。……相変わらずお前は必殺技命名担当なんだな……

 

『ゴール!イナズマジャパン!綱海の新必殺技で1点リード!大きな1点が入ったぞ!』

 

「よっしゃぁ!」

 

 両手を掲げてガッツポーズをする綱海。

 後半も折り返した段階で2-1とリードしている展開。

 予選第1回戦の決着は間もなく……

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