超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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砂浜での再会

「何読んでいるの?フィディオ」

「あの人から届いた日本の雑誌。日本代表の集合写真が写っているんだよ」

「ははっ、アヤトもしっかり写っているんじゃねぇか」

「そうだねブラージ。まぁ、彼が選ばれないとは考えにくかったけどね」

「でも、キャプテンマークをつけているのアヤトじゃなくて、バンダナの人だね」

「だな、アンジェロ。でも、性格的にアイツにはキャプテンは向いていないだろ」

「キーパーでキャプテン……もしかして、アヤトがよく言っていたエンドウって人かな?」

「誰でもいいが、次会えるとしたら世界大会本戦……日本は勝ち上がってくると思うか?」

「分からないかな。アヤトは俺たちと渡り合うレベルまで成長した。でも、サッカーは11人でやるスポーツ……アヤト1人で勝ち上がれるほどアジアのレベルは低くないと思う」

「けどさぁ、アイツレベルの選手って今のアジアに居たか?少なくとも個人技でアイツを止められるヤツはアジアにいねぇだろ」

「そうだよね~最初会った時とは比べものにならない進化を遂げてるし。それにシュートもいくつか編み出してるからね……本職DFだけど」

「あっ……そういやそうだったな。アイツ、FWでもMFでもなかったわ」

「あそこまで全ポジションを高いレベルで熟せる選手は世界中探してもそうそう居ないよね」

「それに次会う時は、間違いなく前より成長していると思う。イギリスのエドガーやアルゼンチンのテレス、アメリカのディラン、マークたち同様、警戒すべき選手になっていると思うよ」

「ははっ、そうじゃなくちゃ面白くねぇ。それに、アイツがあの技を完成させていたなら、一度やり合ってみたいしな」

「まぁ、アヤトがあっさり負けちゃうと特にフィディオの面目に関わるよね?毎日のように練習していたんだからさ」

「どちらにせよ、俺たちが勝ち上がらないと意味はない。それに、レベルアップしたのは彼だけじゃないって見せ付けないと」

「そうだね!僕らも負けていられないよ!」

「さぁ、次の試合に向けて練習開始だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビッグウェイブス戦から日は流れ、オレたちイナズマジャパンは食堂に集められていた。

 

「FFIアジア予選、第2試合の対戦相手が決まった」

 

 初戦であるオーストラリア戦を制したオレたち。トーナメントである以上、次の対戦相手は、別の試合の勝った方……確か、タイかカタールのどちらか勝った方が当たると思うが、どちらになったのだろうか。

 

「カタール代表、デザートライオンだ」

「カタールは砂漠に囲まれた中東の国です。ずっと砂の上でサッカーをしてきた選手たちの体力と足腰の強さは並じゃないそうです」

 

 ……なるほど。ビッグウェイブスが海で鍛えたチームなら、デザートライオンは砂漠で鍛えたチームというわけか。

 

「彼らと戦うためには、基礎体力と身体能力の強化が必要だ。カタール戦までにこの二点を徹底的に鍛えること。いいな?」

「「「はい!」」」

 

 ……とは言え、その二点の強化って……何だか最近やってた気がするなぁ……気のせいかなぁ……?

 

「……あ、監督。オレっていつまであのメニューなんですか?」

 

 ビッグウェイブス戦後も、チームメイトと練習をせず、ずっと筋トレの日々……そろそろボールを使った練習がしたい。というか、いい加減チーム練習に混ざらなくていいのか?まぁ、監督の意図が何かあるならいいけどさ。

 

「今日から違うメニューになる」

「あ、そうなんですか?」

「……じゃあ、十六夜。付いてきてくれ」

 

 現れたのは……古株さん?一体、どこに連れて行かれるのやら……というか、絶対チーム練習じゃねぇだろ。明らかにオレだけどっかに連行されるだろ。

 

 

 

 

 

「また、十六夜さんだけ別メニューッスね……」

「確かにな。アイツとは連携の確認をしておきたいが……何かしらの考えがあってのことだろう」

「そうだな!それより、どんな特訓をすればいいんだ?」

「そんなの走り込むしかねぇだろ!走って走って強い足腰を身につけりゃいいんだ!」

「単純だがそれが一番か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古株さんに連れられ、そのまま車に乗り、連れて来られた場所は……

 

「…………砂浜?」

「久遠監督の指示で、試合当日の朝までお前さんはここで練習じゃ」

「……マジですか?」

 

 そう説明を受けるが……うぇ?マジで?遂に合宿所追放ですか?

 

「というか何するんですか?」

「そりゃ……」

「来たな、十六夜」

「八神か。……あれ?染岡に佐久間に……お前らどうした?」

 

 そう思っていると現れたのは八神と染岡、佐久間にシャドウ、青、目金弟の6人……八神以外は落選メンバーだな。というか八神さん、今朝から姿が見えなかったのは先にここに来てたからなのか……

 

「どうした?はねぇだろ、みたいな」

「じゃ、久し振り。元気だった?」

「そうじゃねぇよ!みたいな!」

「……で?どうしたんだよお前ら」

「ここは僕から説明しましょう。我々5人は久遠監督からの指示で、君の特訓相手に選ばれたんです」

「へぇ……」

「俺たちも代表入りを諦めたわけじゃない。それに、お前の特訓に付き合うことは、俺たちのレベルアップにも繋がる」

「……だから協力する」

 

 ……確か、代表メンバーは試合ごとに入れ替えることが出来るルールがあったな。円堂から軽くは聞いていたけど、彼らのような落選した人たちは、そこで立ち止まらず練習を続けているとかなんとか……

 

「ここでお前を倒せれば俺の株も上がる?みたいな」

「特訓の様子はお前の分だけじゃなくて、俺たちの分もマネージャーが監督に伝えてくれるらしい。だから、俺たちにとってはこの特訓は数少ないアピールポイントでもある」

「マネージャーではなくアドバイザーと呼べ。ちなみに練習メニューは既に貰っている。お前たち5人は、辞めたければ辞めていいからな」

「オレは?」

「拒否権があると思うか?代表チーム副キャプテン」

「ですよねー」

 

 ところで、副キャプテンがチームにほとんど関われていないのはよろしいのでしょうか?

 

「後、試合までは雷門中の合宿所ではなくこの近くで寝泊まりとなる。特訓の場所は主にこの砂浜だな」

「まぁ、一々移動するのも面倒だしな……」

 

 普段と違って地面が砂のところでの練習か……体力がいつもより奪われやすそうだな。

 ということで各自が軽く体操をした後……

 

「まずはあのコーンまでランニングで往復50本。そして、ドリブルで往復50本な。始め!」

「「え?」」

「何をボサッとしているんだ、おまえたち。他の者はもう走り始めているぞ」

 

 足下が砂のせいか、いつもと感覚がまるで違う。分かっていたことではあるが……体育館やグラウンドの方がマジで楽だな。

 

「遅いぞ十六夜!」

「分かってるっての!」

 

 闇雲に走ろうとしても、いつもと違って前に進めない。砂浜は走りづらい……無理やりはきかないな。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……とりあえず合計100本終了っと……」

 

 水分は端と端にセットしてあった為、こまめに取っていたが……マジでしんどいな。走る場所が変わるだけでここまでとは……

 

「次はラダーだな。そこに置いてある」

「残りの奴らは?」

「お前は待っていたいか?」

「いいや」

「だったら放っておけ。心配しなくとも個別に記録し、指示は出せる」

「ありがと。助かる」

 

 流石にアイツらに体力面で負けるほど柔じゃない……が。

 

「……アイツらの熱量やべぇな……」

 

 特に染岡と佐久間に関しては、ランニングの時は死に物狂いで付いてきていた。ドリブルも手こずってはいたが、極端に遅いわけではない。シャドウや武方、目金に関しても、必死になって付いてきている。……代表に選ばれた奴らも1回でも負けたら終わりの状況で必死だが、こいつらも選ばれるために必死なんだな。

 

「……なおさら、負けていられねぇな」

 

 ラダーでのメニューをこなしていると、ドリブルを終えたヤツがこちらのメニューに移ってくる。

 

「負けねぇぞ……!十六夜」

「染岡……いいぜ、ぶっ倒れるなよ」

「俺も忘れるなよ……!」

「…………俺もだ」

「ぜぇ……ぜぇ……まだまだ……みたいな!」

「はぁ……はぁ……僕も余裕ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

 

 砂浜で寝転がっていると、八神が声をかけてくる。

 1日も終わり、5人は疲れのあまりか、シャワーを浴びたら即爆睡した。オレもオーストラリア戦前後に地獄を見てなければ、即ダウンしていただろう。

 

「ハードと言えばハードだったな。……ただ、アイツらが居て良かったよ」

「ほぅ?」

「アイツらは全然諦めていない。代表の入替制度……代表として認めてもらえるように必死だ。打算で参加したやつや、自己研鑽のために参加したやつも居るだろうけど……それでも、アイツらは今日までサボっていたわけじゃない」

 

 終わらせる早さや程度の差はあるにせよ、全員がノルマをクリアしていた。

 

「だから、そういうヤツらが居るのにうかうかしていられない。間近でやってそう思ったよ」

 

 八神や古株さんは決してオレだけを贔屓はしていなかった。データや改善点は皆に等しく伝えられたし、最低限……ノルマの量も変わらなかった。

 

「八神、今から少し付き合ってくれ」

「まだ練習するのか?明日以降もあるぞ」

「知ってる。でも、まだ行けるから問題ない」

「そうか。お前がいいならいいけどな」

「それに、あの必殺技も早く完成させたいしな」

「じゃあ、軽くパスから行くぞ」

「おう!」

 

 軽くパス練習から始める。ただまぁ、下は砂なので転がらない。パス一つとっても色々と考える必要がある。

 

「なぁ、八神」

「何だ?」

「1つ頼んでいいか?」

「言ってみろ」

「――――――なんだけど、頼めるか?」

「その事か……分かった。明日中になんとかしてみよう」

「ありがと」

「気にするな。それも私の仕事だからな」

「それとさ。今はお互い忙しいけど、今度お互いに休みのとき……デートしないか?」

「なっ……!」

 

 そう言うと、珍しく八神がボールを蹴り損なって空振る。

 

「きゅ、急にどうしてそんな……」

「なんというか……付き合ってから、恋人らしいことしてないなぁ……って」

 

 例えば、この砂浜でもそうだろう。元の世界でも居たようなカップルは、きっと笑顔で追いかけっこしている。そうでなくても、せめて2人で何かしらのことで遊んでいるだろうが、オレたちはオレが走り、八神が走らせるという関係になってしまっている。なんと悲しいことだろうか。

 

「確かに付き合ってからお前が代表に選ばれて……一緒に居る時間は多いけど……」

「でも、彼氏彼女じゃなくて、選手とマネージャー……ああいや、アドバイザーだっけか。今もオレの練習に付き合ってくれるけど……正直、付き合う前も同じことしてたし。立場が違うだけで……な?」

「……そうだな……」

「だからなんというか……彼氏彼女って関係になったんだし、そういう恋人としての時間も過ごしたいなって」

「……その思いは嬉しい。……でも、私は今のままでもいい」

「というと?」

「私たちは世界と戦っているんだ。世界一を目指している途中なんだから、サッカー以外のことは考えなくていい」

 

 確かに、寄り道している時間も余裕もない……か。

 

「それに……私はこういう時間も好きだぞ。お前とサッカーをする時間、お前のプレーを見ている時間、お前が頑張っているのを支える時間……私の中には、そういう時間もいいものだって思えている自分がいるんだ。お前にとっては、この時間は昔の特訓してた時と同じかもしれない。でも、私にとっては、この2人だけの時間が居心地が良くて、とても好きなんだ。お前と過ごせる、一緒の景色を見れる時間が好きなんだよ」

「…………八神……聞いてて恥ずかしいことよくスラスラ言えるな……」

 

 何だろう。凄い顔が熱くなってきた……

 

「い、今のは忘れろ!よ、要するにだ!無理に恋人らしいことしなくていいってことだ!」

「分かったよ。でも、もし時間ができたら一緒に出掛ける。それでいいか?」

「……いいに決まっているだろう」

 

 どうしようか。うちの彼女が凄い可愛い。

 

「もうウォーミングアップは終わっただろう!ほら、あの技を完成させるんだろ!」

「ああ!」

 

 この後、かなり遅い時間まで練習したことを記す。

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