超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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現れる挑戦者

 デザートライオン戦翌日の朝……

 

「次はいよいよ決勝戦だ!」

「「「おう!」」」

 

 食堂にて、イナズマジャパンのメンバーは盛り上がっていた。というのも昨日の勝利と、決勝まで駒を進めたという事実がやる気を底上げするみたいだ。

 

「これに勝てば世界ッスね!」

「決勝大会……どんな奴らがいるんだろうな」

 

 練習前の食事はいつもより賑やかだった。……が、浮かない顔をしているメンバーも中にはいた。気にはなるが……うん。気にしすぎても仕方ないところはあるだろう。

 

「そこで1つ提案がある」

「どうした?鬼道?」

「これまでの2試合で皆も分かっただろうが、予選を勝ち抜き決勝大会に出るためには、より強力な必殺技が必要だ」

 

 何か……予想通りだな。でもまぁ、必殺技と必殺技のぶつかり合いになった時とか、もっと強力なシュート、キーパー技はあっても困らないのは間違いないと思う。もちろん、ドリブルやブロックに関しても同じ事が言えるだろうが。

 ……ただ、必殺技より大事なことがありそうだと思うけど、それは言わないようにしよう。このいい感じの空気をぶち壊しかねないからな。

 

「風丸、お前が日本代表の紅白戦でパスカットをしたときの動き……覚えているか?」

「パスカット……?」

「あーあの時ね。疾風ダッシュとは違った加速で、風を纏うって言ったらアレだけど、そんな感じじゃなかったか?」

「そうだ。あの風を使いこなすことが出来れば、お前にとって強力な武器の1つとなるはずだ。久遠監督に自主練習の許可は取ってある」

「分かった。やってみるよ」

 

 強力な武器……か。風を使う……一体、どんな感じになるんだろうか。

 

「それから土方と吹雪に連携の必殺シュートを身に付けてもらいたい」

「連携の必殺技ってこと?」

「安定したボディバランスとパワーの土方、スピードの吹雪の2人なら攻撃の幅も広がるはずだ」

「なるほど……よっしゃ!やってみようぜ、吹雪!」

「うん!」

 

 なるほど……中々面白そうな話だ。

 

「連携必殺技かぁ……なんか面白そうだな!俺たちもやってみるか!」

 

 そう言って綱海が声をかけたのは壁山だった。

 

「うっ!?お、俺ッスか!?」

「なんだよ。嫌なのか?」

「い、いやってわけじゃないんッスけど……」

「じゃ、決まりだな!いいだろ?」

「綱海と壁山か……なるほど、面白いコンビだな」

「よっしゃ!すげぇ必殺技を完成させような!」

 

 ……まぁ、タイプが違う2人だからこそ生まれる必殺技もあるかもしれないな……とりあえず、壁山ドンマイ。

 そう思いながら、グラウンドに集合する。久遠監督から今日の練習メニューを聞こうとしたタイミングで、円堂のもとにシュートが飛んでくる。

 

「誰だ!」

「また会えたな、円堂」

「お前は……まさかデザームか!?」

「その名前はもう捨てた。私の本当の名は砂木沼(さぎぬま)(おさむ)だ」

「えぇっ!?……そうだったの?」

 

 まぁ、デザームは仮の名前だっただろうし……本名は今知ったけど。なるほど……デザームあらためおさーむになったと。

 

「円堂!私はお前と決着をつけるために再び戻ってきたのだ!」

 

 そう思ってると15人の選手がデザームの後ろから現れた。その面々は見覚えのある顔ばかりで……と思っていると、選手たちの後ろから前に出てきた人が。

 

「久しぶりね。円堂くん」

「えっ!?えぇっ!?なんで瞳子監督がここに!?」

「あら?このメンバーを見てもまだ分からない?」

 

 いや、分からないんですけど?

 

「私たちはイナズマジャパンに挑戦します!真の日本代表の座をかけて!」

「…………はい?」

 

 その宣言を聞いてもやっぱり意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況がうまく飲み込めなかったが、話を要約するとデザーム(砂木沼)率いるネオジャパンと、円堂率いるイナズマジャパンの試合をさせて欲しいと。そして、ネオジャパンが勝った暁には日本代表の座を頂くと。で、その勝負に久遠監督は了承、試合は明日行うことになったのだった。いやー……そんな無茶苦茶な話、よく通ったな。まぁ、強い方のチームが代表の座につくって考えればいいんだけど……ねぇ?

 

「こんなことになるなんてね……」

「しかも、代表の座をかけての勝負とは……」

「集合!」

 

 色々と思うところがある中、久遠監督が号令をかける。

 

「明日はネオジャパンとの試合になった。今日の練習後は、念入りにクールダウンを行い、疲れを残さないようにするんだ」

「「「はい!」」」

「では、指示を出していく」

 

 ということで、指示が出される。……で、オレの指示は……

 

「まさか、知っていたとは……恐ろしい人だ」

 

 午前中は風丸や一部のメンバー同様、必殺技を完成させるために練習することだった。まぁ、午後からは相変わらずのフィジカルトレーニング……筋トレなんですけどね。

 

「でも、あの技はかなり完成してきただろ?」

「ああ。でも、そのかなりって言うのがやっぱり問題だ。完成度は8、9割って言ったところ……それじゃまだ実戦で打つわけにはいかない」

「……そうだな。今のままじゃ、まだ世界の強豪には通用しないな」

「と言っても、これ以上どうしたものか……」

 

 デザートライオン戦に向け行われた強化合宿で、かなり完成に近づけた。だが、デザートライオン戦で打たなかったように、まだ完成したわけではない。

 

「そうだな……やはり精度向上じゃないか?今の状態だと成功するかどうかはギャンブルになってしまっている」

「確かにな……」

 

 あれからの改良で、ゴールに勢いを保ったまま行くこともあった。だが、あくまで狙った場所から外れなくなっただけであって、途中で勢いが消えてしまうこともある。……だからこそのギャンブル。どんな威力でゴールに辿り着くか、打った本人ですら分かっていないのだ。

 

「それに、問題は威力……今まで打てた中での最大でも、どこまで通用するか分からない。最大威力で通用しないなら、ゴールを奪えることなんて夢のまた夢だろう」

「そうだな。威力に関しては、最小の時と最大の時の両方がもっと上がれば使い道はあるんだがな」

「と言うと?」

「全く同じモーションで、使用者も同じ必殺技。それなのに、打つ度威力が変わる……そんなことがあったら面白そうだと思ってな」

「まぁ、威力より軌道とかコースがランダムならもっと面白そうだが……オレが求めているのはギャンブル性じゃなくて安定性。だから、威力向上は一旦置いておいて、威力を安定させることだな。もう一度確認するか……」

「そうだな」

 

 ここ最近は必殺技を放つ様子を撮影、録画してもらっている。分析していくしかないか……

 

 

 

 

 

「ダメだぁ。……よく分からねぇ」

「そうだな……」

 

 あれから練習は終わり夜になる。教室のプロジェクターを借り、午前中の練習の様子を映像を流して見るも……

 

「この時とこの時が顕著だ。ほぼ同じモーションで打っている。それなのに、こっちはゴールまで勢いを保つのに、こっちは切れてしかもバーに直撃して外した」

「出てきているペンギンたちもほぼ同じ……いよいよギャンブルってところか?」

 

 ハイレベルな動画での間違い探しと言ったところか?しかも、自分の感覚では同じように打っているから映像も同じに見えてしまう。

 

「……ふむ。他の者の力を借りるか」

「他?」

「私たちはこの技を見過ぎている。だから、些細な違いがあっても、無意識のうちにスルーしているかもしれないだろ?」

「なるほど。それに先入観もあるかもな……何かを抜かしているってことか」

「ああ。そういうのにうってつけなのは……」

「あれ?十六夜くんたちだったんだ」

 

 そう思っていると教室の入口に立っていたのは……

 

「ヒロト?それに緑川か」

「どうしたんだお前たち」

「外で練習していたら、この部屋だけカーテンが閉まっていてね。気になったから休むついでに緑川と見に行こうってなってね」

「誰も使っていないはずの部屋だったからね……ま、まぁ幽霊ではないと思ってたけど!」

「怖いからやめようって言ってたのは何処の誰だったか……」

「う、うるさいなぁ……で、何見てるの?」

「あー……まぁ、2人ならいっか。ホラー映画」

「ひぃぃいい!?」

「冗談は程々にしておけ……このバカの新必殺技」

「新必殺技?」

「まぁ……実はかれこれ何ヶ月か練習しているんだけどな」

「何ヶ月って……日本代表になる前からか?」

「そうなるな」

「ふぅん……それでどれくらい出来たの?」

「9割だと私たちは思っている」

「9割?残りの1割は?」

「威力が安定しないんだ……見てもらった方が早いな」

 

 そう言ってさっき見比べた2つの映像を流す。

 

「なるほど……緑川。何か気付いた?」

「あんまりかな……ヒロトは?」

「そうだね……2つの映像を同時に流せる?」

「同時って……」

「うん……時間差じゃなくて同時に見比べたい」

「いいだろう」

 

 ヒロトの指示で2つの映像を同時に流すことに……

 

「やっぱり……」

「やっぱりって?」

「成功した方と失敗した方……地面へ蹴り込む角度と地中から出てくるときの角度が違うね」

「え?マジで?」

 

 そう思って流すと……

 

「確かに……地面へ上から打ち込むときと斜め上から打ち込むときって感じで僅かに違うな……これが安定しない原因か?」

「いや……それだけじゃ無いと思う」

「どういうことだ、緑川」

「風……竜巻の出来る時も僅かに違う気がする」

「出来る時……蹴る時か」

 

 ということで、もう一回流すが……

 

「右足で蹴る時に違いはない……ように思えるけど……」

「そうだな……ここは何回も確認したな」

「灯台下暗し……じゃないけど、蹴っている右足じゃなくて、蹴っていない左足じゃないか?」

「左だと?」

 

 ということで、もう一回流すと……

 

「本当だ……左足の動きが違うな……」

「ああ。繊細な技だからこそ、一挙手一投足が重要になる。回転をかける右足に意識が行き過ぎて、左足の動きが適当になっているな」

「適当というか……いや適当か。右で回転をかける時に邪魔にならない位置に左足はあるって感じだし」

「ならさ、左足でも回転をかけたらどうだい?」

「左でも?」

「右で回転をかけて、両足で押し出すのを、右で回転をかけ、左でも回転をかけてから両足で押し出す」

「……でも回転のかけ方では、相殺されねぇか?」

「じゃあ、同じ向きに回転を……いや、ダメか。これ以上回転させたら、コースが安定しなくなる……威力は解決しても、コースがダメならゴールへ向かわない……か」

「ならさ、右足で回転をかける前に左足で……」

 

 この後、2人も交えた4人での議論でおおまかな方向性が見えてきた。いくつか案をもらったので、今後実験をしていくことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日……ネオジャパンとの代表をかけた試合当日である。既にお相手は準備済みだ。……なんというか……うん、前までに会ったことのあるメンバーばかりだけど、前とは面構えが違う感じがするな。

 

「スターティングメンバーを発表する」

 

 今までの試合同様、久遠監督からスタメンが発表される。

 

「FW、豪炎寺、吹雪。MF、基山、宇都宮、鬼道、緑川。DF、木暮、壁山、土方、綱海」

 

 ……おっと?呼ばれなかったぞ?ということはベンチスタートか?

 

「ゲームキャプテン兼GK、円堂。以上だ」

 

 いやーベンチスタートか……アレを試合の中で試す絶好の機会って意味ではフルで出たかったなぁ……まぁ、久遠監督の指示だし従うか。

 

「そして、お前たちに言っておくことがある」

 

 ……何だろう?もしかして、試合に勝ったとしてもネオジャパンにいい選手が居たら、代表を交代するとかか?チームまるごとではなく、個別に入れ替えるとか?だから、気を抜かずに行けという――

 

「この試合、十六夜を出すつもりはない」

「――――――はい?」

「「「えぇぇぇぇぇぇっ!?」」」

 

 悲報、監督からこの試合に出させてもらえないことが判明した。

 あれ、おかしいな?この試合って、ただの練習試合じゃなくて日本代表をかけた大事な試合だと認識しているんですが?え?試合がどうなるか分からないのに、始まる前に言われたんだけど……え?どういうことですか?オレ、何かやっちゃいました?何かのペナルティですか?




えぇーネオジャパン戦をどうするかという話ですが、この終わりからお察しを……!
理由は何となく分かると思いますが、次回の後書きにて。

ところで、今更気付いたけど、仮に監督たちが十六夜を本戦から起用しようと考えて、敢えて予選の時に、呼ばないor落としていたら、海外の代表チームで出て来た可能性があるな……と。本戦で呼ぼうとしたら海外の代表チームに所属しているからって断られそうだな……
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