「気合い入ってるなぁ……」
ネオジャパン戦は最終的には2-1のスコアでイナズマジャパンが勝利し、無事乗っ取られずにすんだらしい。らしいと言うのは後半に当たる時間及びその後の時間を、他チームの分析に費やしていたためである。そもそも、前半の最後しかリアルタイムで見てないからアレだけど。
一応、八神が撮っていた試合映像を見させてもらったが……うんまぁ、トライアングルZが出てきたときは驚いたなぁ。……というか、あの武方三つ子じゃねぇんだから、最後の決めポーズいらなくね?
と、そんな他人事のように何を見ているかと……
「8対8のミニゲーム形式の練習……いや、急に呼ばれて何でベンチなのだろうか?」
「知らん」
八神と一緒に体育館でフィジカルトレーニングをやっていたら、冬花に呼ばれて、ベンチで練習を眺めている。監督が呼んだのはいいんだけど……
「十六夜」
「何でしょう?」
「10分休憩を挟んだ後、お前も混ざってもらう」
「え?いいんですか?」
今まではこれでもかと隔離されていたのに……
「ただし、条件がある」
「条件?」
「本気を出せ。お前の本気のプレーをするんだ」
「……いいんですか?」
「周りに合わせる必要は無い」
チーム練習で本気を出すのか……しかも、合わせるなって……まぁ、いっか。何か考えがあるんでしょ。どうなっても知らないけど。
「ただし、円堂とお前は必殺技の使用を禁止する」
「円堂も?とりあえず、分かりました」
「それと……」
あることを頼まれたので了承する。そんな感じで、約10分後……
「何かおかしくね?」
円堂たちの休憩を挟んだ後、チーム分けを変えると言うことで、監督が分けたのはいいんだが……
「何でこっち5人なの?向こうは11人なのに。というか不動ベンチなの?」
こっちの面子はオレ、ヒロト、立向居、緑川、栗松。残り全員相手……いや、バランス悪すぎでしょ。せめて、誰かもう1人くらい欲しいんですけど?というか不動君ベンチにいないでこっちにおいで。え?監督の指示でダメだと?
「休憩終わり!再開するぞ」
「アンバランスなチーム分けだな」
「ですね……円堂君、豪炎寺君、鬼道君、吹雪君と……主力を固めた上で人数が6人も違いますから」
十六夜に本気を出せと言っていたが……明らかに不公平過ぎるな。偏りが酷すぎる。というか……
「…………」
何で不動はベンチなんだ?せめて、十六夜側で出せばいいのに……それでも5人足りないと言うのに。
「こっちのボールで試合スタートだし……やりますか」
ボールは十六夜が持って始まった。
「取らせてもらいますよ、十六夜さん!」
「人数差は同情するけど、取らせてもらうよ」
「取れるならいいぞ」
「「……っ!?」」
宇都宮と吹雪がプレスを仕掛けた……が、軽い言葉とは裏腹に……
「は、速いです……!」
「ちょっ、どうなってるんですか!?今まで見たものよりもずっと速いですって……!?」
シザースフェイント、フェイントの中ではそこまで難しくない部類に入るだろう。しかも、前へと進まずその場で使うなら、初心者でもそんなに習得まで時間はかからないくらいのものだが……
「次元が違いすぎるだろ……」
十六夜のそのフェイントは、ボールを跨ぐのが速過ぎる。そのせいか、右か左かの二択どころか、いつ突破を仕掛けるのかすら読めない……
「こっちの足下見過ぎ。そんな棒立ちじゃこっちの行動に反応できないって」
と、言葉をかけながらあっさりと宇都宮と吹雪の2人の間を通り抜けた。
「……お前……それが本気か?」
「どうだろうな」
「……くっ!?」
ブロックに来た鬼道。ブロックに来たものの、十六夜が左足を右足の後ろを通しつつ、爪先で彼の股を通すようにボールを蹴って突破する。そのまま走り抜けるも……
「俺がついてる!」
「ナイスだ!挟むぞ風丸!」
「挟む?なにそれ」
「嘘だろ……!?」
一瞬ストップする十六夜。それに伴って、風丸も足を止めてしまったが、その隙をつき一気に加速して突破する。ストップアンドゴー……一瞬でスピードを殺して、そこから爆発的な加速でトップスピードへと持って行く……なんてアジリティだ。トップスピードは風丸や吹雪に劣るもののそれでも充分だろう。
「ディフェンス!止めてくれ!」
「スーパーしこふみ!」
「あぁ、ここまでね」
「避けられたぁ!?」
「ここは僕が!アイスグランド!」
「はいはい、こっちと」
「……っ!?」
「旋風陣!」
「ダメだって。既に分析済みだからさ」
「うわぁっ!?」
「うぉおおおお!」
「おりゃぁああああ!」
「必殺技は通じないけど、その突撃はもっと通じないぞ」
「つ、強すぎだろっ!?」
「……っ!」
土方のスーパーしこふみを、落ちてくる足に踏みつけられないよう避け、ディフェンスに戻ってきた吹雪のアイスグランドを、軽くジャンプし、地面が凍ったのをみてスケートをするかのように逆サイドへと移動し、木暮の旋風陣をあっさり躱し、飛鷹と綱海の猪突猛進のタックルを自身がタックルすることで跳ね返す。……あっという間の5人抜き。
「止めるッス!」
「ペナルティーエリア侵入完了っと」
「あぁ……」
自身の前に立ちはだかった壁山をヒールリフトで突破する。円堂との1対1……だが、
「来い!」
「…………」
何故かシュートを打たず、円堂の元へドリブル続行。たまらず円堂は前に出ようと……
「ほいっと」
「あ……!」
そのタイミングでシュートを放つ。円堂が前へと一歩を踏み出したタイミングで足を振り抜いて点を決めた。あのタイミングでは円堂も反応できない……
「……あ、ヒロト、緑川ごめんな。動いてくれてるのは見えてたけど、パス出さずに決めちゃったわ。次からはパス出すからよろしく」
「あ、うん……」
「わ、分かった……」
必殺技禁止……久遠監督の言う通り、十六夜は必殺技を使う素振りすら見せずに完封した。たった1人で11人を圧倒した……正確には豪炎寺は躱していないんだが……そんなのは些細な違いだろう。というか……あの距離まで詰められたら円堂も出せる必殺技に限りがある。……これが世界レベル……なのか?十六夜はこれ以上を目指しているのか?
「お前……代表選考の時、本気だったか?」
「んー言わなかったっけ?まだまだこんなもんじゃねぇ的なこと……まぁ、身体能力は監督のお陰で鍛えられたから、その分更に良くなっただろうけど」
「……やっぱり、5人だって油断できないな。次はこっちの攻めだ!」
鬼道が声をかける。人数差はあれど、改めて油断できないと悟ったらしい。円堂たちのキックオフで再開。豪炎寺から宇都宮、そこから鬼道へと渡った。
「ところでさ、覚えてる?オレって本職はDF……突破するより止める方が得意だってこと」
「……っ!」
鬼道がフェイントを仕掛けるも、余裕でついていく十六夜。
(右……左……いや、ダメだ。後ろへのパスは自由にさせてくれているが、ドリブルでの突破と致命的なパスコースは全て塞がれている……!それに何だこのプレッシャー……ボックスロック・ディフェンスの比じゃない……!)
そして……
「そこ」
「……っ!」
手をまるで槍のように鬼道の前へと突き刺すと、身体を鬼道とボールの間に入れる。そして、ボールを踵で軽く蹴って、流れるように鬼道を躱し……
「はい」
そのままボールを蹴った。その先にはヒロトがいる。
「っ!?」
だが、受け手であるヒロトはボールに追いつけなかった。ボールはそのままラインを割る。
「あ、悪い」
「こっちこそゴメン。タイミングがズレたみたい」
と、フィールドで声をかけているが……鬼道との1対1をさっきまでしていたのに、一瞬で切り替えていた。……いつからヒロトの位置を把握していたんだ?
「鬼道!」
「ああ、虎丸!」
風丸のスローインでボールを受け取ったのは鬼道。そこから宇都宮へとパスを出す……が。
「そこ来ると思ってた」
「えっ……?」
宇都宮がトラップし前を向こうとした瞬間、すれ違うようにしてボールを奪った十六夜。
「鬼道君から虎丸君にパスが出ることを読んで……」
「あんなに呆気なく奪われるなんて……」
そのままドリブルで攻め上がる……ん?
「何処を……?」
首を振って周りを確認している。なんというか……ボールを見る時間が少ないな。
「そこだ!」
と、そこに風丸がスライディングを仕掛ける。それをボールと共に跳び上がったかと思うと……
「そこ」
空中でパスを出す。だが……
「……っ!」
ボールは緑川よりも手前のスペースに。そのまま、ラインを割った。
「あ、ゴメン」
再びパスミスをする十六夜。その後も、十六夜がボールを奪ってパスを出すも、全て繋がらない。
「十六夜先輩……調子が悪いんでしょうか?」
「それはないと思いますよ。だって、あの人数差で未だ円堂君たちのシュート数は0……ネオジャパン以上のディフェンス力を1人で見せているんですから」
「そもそも既に1人で1点取ってるしな」
「うーん……一緒に練習していないから、皆さんのことが分かってないのかな?」
「それもないんじゃないかな。だって、試合だとパスミスをしないし……一体、どうしちゃったんだろう」
「パスミスしているのは十六夜のせいじゃない」
「響木監督?どういう事ですか?」
と、ベンチでの会話に混ざってきたのは響木さんだった。
「そうですよ。十六夜先輩からのパスだけ全部ミスしているんですよ?」
「それは久遠が十六夜に本気を出させたからだろうな」
「お父さんが……?それに本気を出したから……?」
「ああ。十六夜のプレーのスピードに、他のメンバーが追いつけていないんだ」
「そっか……十六夜はアイツの考えるベストなところに、アイツの考える最良のタイミングで出している」
「確かに……十六夜君のパスする先は相手が警戒していなく、味方が走っている位置……相手にとっては出されたら嫌な位置ばかりです」
「そのタイミングで、そこに走り込んでいて欲しい……それが十六夜の思うプレー。……ただ、もし十六夜側に問題点があるとすれば……」
何度目かのパスミスをする十六夜。何度目かのスローインで再開する……
「基本的にノールック……パスする先を見ていない。その上、パスするモーションもほとんどなく、誰もいつパスを出すか分かっていない。……だから、十六夜のパスは相手に自分と同じレベルを要求する、相手に合わせるパスじゃなく相手に取ってこいと言う傲慢なパス。今まで受けてきたパスとは根本的な性質が違うものだ」
「ですが、現時点でそれを問題点と感じているのは十六夜を含めた我々以外の話です。十六夜には周りを気にするなと伝えてありますので……これが、十六夜の求める理想のプレーというわけですね」
十六夜の求める理想……パスミスをしても、常に味方の2,3歩……下手すればもっと先に出している。つまり、その差の分だけ味方に早く動いて欲しい……か。
「……っ!」
「あっ!ヒロトさんがパスを取れましたよ!」
「と言ってもギリギリだがな」
何とか足を伸ばして、パスを受け取るヒロト。ただ、本当にギリギリだったようで体勢を崩してしまっているが。
「十六夜くん!……っ!?」
だが、その様子を一切見ていない十六夜。誰もがボールを見ていたのに、パスを出した本人はボールを一切見ていなかった。
「もうちょっと先がよかったかな……」
足を止め、足を後ろに伸ばすことでパスを受け取る十六夜。……なるほど、十六夜が求めていたのはもっと先だったわけか……しかも、そのロスのせいで綱海と土方のブロックがつく。
今のも十六夜の走る先に出していれば、2人に挟まれる前に突破できた……
「十六夜の本気……いや、考える理想のプレーは相当高いな」
と、そんな十六夜のプレーを見て、鬼道が何やら思考をしている。大方、十六夜のプレーを分析しているのだろうか?
(今までのパス……そして、今のパスを受け取ったこと。もし同じチームだったら、十六夜の場合、指示を出すよりワンテンポ早く……正確には、俺が指示を出すポイントを見つけた時には既にその行動を実行している。つまり……他のメンバーにとっては十六夜のプレースピードは早すぎる……!)
「そこまで!全員集合!」
十六夜が2人を抜き去ろうとした瞬間に監督の声が響き渡る。
「今日の練習はここまでだ。各自、クールダウンを怠るな」
「「「ありがとうございました!」」」
「あ、監督ー終わりって事は、ここ来る前にスプリント50本残ってたんですけど、やらなくてもいいって事ですか?」
「スプリントは0からやり直しだ」
「ひでぇ!?中断したの監督のせいなのに!?」
「早く行け、倍に増やすぞ」
「うへぇ……」
肩を落としながら体育館へと戻っていく十六夜。私も戦術アドバイザーとしてついて行くことに。
(…………テクニックだけじゃない。スタミナ、フィジカル、アジリティ、体幹、戦術、視野の広さ、判断スピード……あらゆる
「お前は練習しないのか?」
「練習はしていただろ?なんならさっきまで走らされてただろ?」
「まだ日は落ちていないし、他のヤツらはやっているのにお前はどうなんだって話だ」
今日の練習が終わり自由時間に入っている……はずなのだが、チームメイトのほぼ全員が居残り練習をしている。次の決勝戦に向けて気合い十分ってとこらしい。
「次の相手は韓国代表ファイアードラゴンかサウジアラビア代表ザ・バラクーダ……闇雲に練習すれば勝てる……ってわけじゃねぇしな」
「確かにそうだな。世界大会レベルにもなれば、その予選であっても今までと規模が違う。対戦相手を分析することは必須と言っていいか」
「まぁな。練習が無駄とは言わないが、対戦相手の情報は集めておいて損はない」
「……それで、もう1つの準決勝……どちらが勝つと思う?」
「韓国代表ファイアードラゴンだな。あの攻撃力……最初の抽選でアジア最強と言われているのも頷ける。ビッグウェイブスが守備重視のチームとすれば、ファイアードラゴンはその守備すら破壊してくる攻撃的なチーム……前の2試合より点の取り合い合戦になるだろうな」
ファイアードラゴンが本当に相手だった場合、アフロディ、バーン、ガゼルの3人が主にシュートを打ってくる。アイツらの必殺技もそれぞれ進化を遂げていたし何より……何かを隠している気がする。その何かは分からないが……
「それにファイアードラゴンはボックスロック・ディフェンスなんて目じゃない守りの必殺タクティクス、パーフェクトゾーンプレスがある……初戦では1回しか使っていなかったが……アレを破る方法がさっぱりだ」
「攻撃力が最強……そして、破る方法が不明の必殺タクティクス……か」
「ああ……だから、攻撃だけじゃなく、守備もかなりのものだ。……それに、相手チームには鬼道と同等以上のゲームメーカーが居るし……ヤバいな。そう思うと、サウジアラビア代表が韓国代表に勝てるビジョンが見えてねぇ。日本代表もだけど」
「そこまで言わせるとは……な」
ファイアードラゴンとザ・バラクーダの試合はリアルで見に行った方がいいかもな……映像越しでは限界もあるだろうし。監督に交渉してみるか……
「十六夜!」
と、そんなことを話していると円堂が駆け寄ってくる。
「おー円堂、どうした?」
「俺にシュートを打ってくれ!」
…………はぁ?
「わざわざオレに頼まなくても、豪炎寺とかヒロトとか居るだろ?」
「お前に打ってもらいたいんだ!お前の本気を受けてみたい!」
「……たく、分かったよ。準備してくるから少し待ってろ」
そう言ってスパイクを取りに行く。全く……何でグラウンドで一緒に練習していたアイツらじゃなくて、わざわざオレに頼んだのかね。
そう思いながら準備をし、フィールドへ。ペナルティエリアの外に立って、ゴール前に立っている円堂に声をかける。
「本気って言ってたけど、いいんだな?」
「ああ、来い!」
そういや、練習は別だったし、円堂の守るゴールにシュートを打つのって久々だな……と思ったけどさっきの練習で打ったわ。うん、点を決めたわ。
とりあえず、目を閉じて考える……本気か……あの技はまだ出せないって考えるとアレしかないか。
「行くぞ」
ピーーー!
目を見開くと同時にボールを蹴り上げ、ペンギンを呼び出す。上空に浮かぶ満月から15の光がボールに注がれる。
「ムーンフォースV3!」
光り輝くそれ……暗闇を照らしている光の球を思い切り蹴る。すると、光は16個に分かれる。輝くボールを、5匹ずつ3層に分かれて覆うペンギンたち。
「正義の鉄拳G5!」
そのシュートに対して、円堂はネオジャパン戦で進化させた正義の鉄拳を放つ。虹色の光が拳から漏れていく……だが、
「……ぐっ……くぅ……!」
徐々に拳は押されていく。何とか踏ん張ろうとするも、円堂自身も地面にスパイクの跡を残しながら押し込まれていく。
バリンッ!
ペンギンたちが力強く輝くと同時に拳が砕けた。そして、そのままボールはゴールに刺さった。
「円堂さんの進化した正義の鉄拳が……こんなにあっさり破られるなんて」
「十六夜さんのシュートも進化していたッス……」
「こんなシュートをまだ隠していたでヤンスか!?」
周りで自主練をしていた奴らも驚きを隠せない様子だ。……まぁ、よく思い返せば、代表選考を含める3試合(ネオジャパン戦は出番がなかった)を通して必殺シュートってオーバーヘッドペンギンとヴァルターペンギンしか見せてないからな……一部の面子以外。そりゃ、驚いてもしかたないか。
「大丈夫か、円堂。立てるか?」
「あ、ああ……」
尻餅をついて、自分の手を見つめている円堂に声をかける。
「なぁ、十六夜……」
「なんだ?」
「世界には……こんなシュートを打つやつがたくさん居るのか……?」
「…………」
ああ、そういうこと。オレをシュート相手に選んだのは、イナズマジャパンのメンバーの中で、唯一世界レベルを体感してきたヤツだから。そんなヤツから見て、自分の今出せる最高の必殺技が何処まで通用するか知りたかった……ってことか。
「まぁ、ぶっちゃけると――――この程度ならいくらでも居るだろうな」
「……っ!」
そう考えると下手に元気づけようと嘘をつくのは、ヤツの求めていることとは違うだろう。
そのままゴールに入ったボールを拾い上げ、リフティングを始める。
「今の技は、お前も見たことがあったよな?そこから向こうで修行して進化させたよ。……でも、向こうのキーパーの必殺技は破れなかった」
「そ、そうなのか!?」
「ああ。こっちに帰ってくるまで挑み続けたけど、1度も破れなかった。……そして、向こうにはそんなキーパーの必殺技を簡単に破ってしまうシュートを持っているヤツがいた」
「…………っ!」
「やぁーあのシュートは身を以て体験したけど……この必殺技とは比べ物にならない。使い手がすげぇってのもあるけど、あのシュートは越えられなかった……」
まぁ、オレの本職はディフェンダーだからシュート力で勝つ必要はないけど……それでも、まだ他の面でも追いつけていない。
さっきの練習も甘かっただろう。今にして思えば、もう少し早くパスコースを判断し、パスを出すことができたな。それに守備も結果的にはシュート数0だが、もっと周りを見て状況を判断していれば早く奪えた。まだ甘い……ドリブルもフェイントもイメージの動きと僅かにズレがあったし、ディフェンスはもっと周りを見て情報を得て、他の奴らの次の動き、やりたい動きを予測し、確実に潰すことがまだ出来ていない。1対1より多対1の方が動きが出来ていないし……まだまだ反省点はあるな。
「……で、いきなりどうしたんだよ」
「……今のままでは勝てないって久遠監督に言われた」
「……そうか」
「それは正義の鉄拳が、世界には通用しないってことなんじゃないかって思ったんだ」
「…………ん?」
「ありがとう十六夜!お前のおかげで実感した!うん……新しい必殺技か……」
「いや、そういうことじゃ――」
何か円堂が久遠監督の意図を違う風に受け取った気がして、否定しようとした。しかし、オレの目線の先にはこのやりとりを見ている久遠監督が居て、静かに首を振っていた。えっと……これ以上は何も言うなってことでよろしいですか?
「――あーちょっと用事あるから行くな」
「必殺技……正義の鉄拳を超える必殺技……」
って、聞こえてねぇし。まぁいいや。
ということで、円堂を置いて何処かに行こうとすると久遠監督が手招きをしている。えーっと、周りには人が居ない……あ、呼ばれてるのオレか。
「十六夜」
「監督……いいんですか?アイツのこと放っておいて」
「それより、決勝戦までの指示を伝える」
「えーっと……また、個別メニューですか?」
と、質問するが早いか渡されるのが早いか……いやいや、これって……
「グローブ……?」
「キーパーとしての練習をするんだ」
「…………え?何故に?」
「お前はこのチームにおいて、サブキーパーのサブ……3人目のキーパーだからな」
……マジで?いや、キーパーも出来なくはないけどさ……本気で言ってますか?
まぁ、このチームの主のキーパーが円堂、サブキーパーが立向居……でそのサブと。……確かに残った15人の中で、キーパー経験ありそうなのオレくらいだし、万が一2人が負傷して、キーパーとして出られなくなったら、オレにまわってきそうだけどさぁ……いや、何でこのタイミングで?前は新必殺技を完成させろって言ってみたり、今度はキーパーやれって……新必殺技がシュート技と知っていますよね?
ただ、何を言っても無駄な気がするので……
「……分かりました」
「練習は明日からだ」
「はい」
ところで、いつになったらオレは本格的にチーム練習に混ざることが出来るのだろうか?
後、気付いたらほとんどのヤツが自主練を切り上げて居なくなっていたことを記す。
「不動。お前にこれを渡しておく」
「へぇ……はぁ?」
「これが使えるかどうかはお前次第だ」
「なるほどねぇ……アンタがベンチで十六夜のプレーを見てろって言ったのは……」
「そこまで分かってるならいい」
というわけで、世界の壁を
ちなみに、十六夜くんはオルフェウスメンバー+久遠監督によってアホほど強化されていますが、いくつかの要素は留学前とほぼほぼ変化なし(下手すれば弱体化?)です。例えば、シュート技以外の必殺技のレパートリーは変わってないですね。
というか、約4ヶ月週1投稿が続いている……!気付けばアニメの1クール分超えたな……!さぁ、どこまで続くか……!