あれから、八神考案の意味不明な特訓のお陰かライド・ザ・ペンギンの精度も上がった今日この頃。
「皆!分かってるなぁー!」
「「「おぉー!」」」
我らが円堂キャプテンが部活の皆を盛り上げてる。わー。
「とうとうフットボールフロンティアが始まるんだ!」
「「「おぉー!」」」
そっか。もう始まるのか。対戦校も決まったし。
「で?相手は?」
「相手は──」
まぁ、キャプテンだから知ってるに決まってるか。
「──知らない」
「……はぁ。野生中だよ」
野生中と書いて『のせちゅう』と読む。まさか、尾刈斗中がお化け関連だったから野生中は動物とか……ってないない。さすがにそれはないない。
「十六夜君の言う通り。初戦の相手は野生中ですよ」
と、入って来たのは我らが顧問冬海先生。
「確か野生中は昨年の地区予選決勝で帝国と戦っています」
え?それって、この地区でもかなりの強豪じゃん。
「初戦大差で敗退っていうのは勘弁してほしいですね」
なんかこの人。嫌だなぁ。
「ああ、それから」
「チーッス。俺、土門飛鳥。一応ディフェンス希望ね」
あ、新入部員だ。
「君もモノ好きですね。わざわざ弱小クラブに入部だなんて」
去っていく先生。なんかなーやっぱ、あの人嫌だなー
「土門君」
すると木野が土門に話しかける。
「あれ?秋じゃないか?」
「何だ?知り合いか?」
「うん。昔ね」
へぇ。凄い偶然もあるもんだなぁ。
「歓迎するよ土門!フットボールフロンティアに向けて、一緒に頑張ろー!」
円堂張り切ってるなぁ……
「でも相手野生中だろ?大丈夫かな?」
「何だよ、新入りが偉そーに」
「まぁまぁ、染岡。で、土門。それは純粋に相手が強いと言う意味?」
そりゃ去年は決勝まで行ったチーム。弱いわけがない。
「簡単にはそうだね。俺、前の中学で戦ったことあるからねぇ。機動力、瞬発力共に大会屈指だ。特に高さ勝負にはめっぽう強いのが特徴だ」
サッカー……高さ勝負……強い……?あれ?そこまで高さで勝負する機会あるっけ?
「高さなら大丈夫だ。俺たちには……ファイアトルネード、ドラゴンクラッシュ、ドラゴントルネード。強力なシュートが3つもあるんだぜ」
「円堂。それ、結局ファイアトルネードしか高さ関係ないよね?」
彼は何を根拠に大丈夫と言ってるのだろうか。
「どうかな?あいつらのジャンプ力、半端ないよ?ドラゴントルネードだって、上から抑え込まれちゃうかも?」
今何て言った?あんだけ高い位置から打つファイアトルネードを上から抑え込む?……無理無理。
「そんなわけないだろ」
「土門の言う通りだ。俺も奴らと戦ったことがある。空中戦だけなら、帝国をも凌ぐ。あのジャンプ力で上を取られた」
……え?そいつら人間?あ、でもペラーで飛べば行けるか。
その情報に皆が暗くなる中、円堂は声をあげた。
「新・必殺技だぁ!新しい必殺技を生み出すんだよぉ!空を制するんだぁ!」
サッカー。空を制する。意味不明。
そして、特訓開始。円堂ははしご車の上のかごの部分からボールを……
「ちょっと待て円堂!そのはしご車どっから持ってきたぁ!」
「え?古株さんから借りた」
古株さんって誰だよ!てか何者だよ!
「そんなことは何でもいい!次!十六夜!」
「…………はいはい」
ピー
『呼んだ?』
「行くぞ」
『はいはい』
「ライド・ザ・ペンギン」
そして円堂が投げ降ろしたボールをトラップで止めて、円堂のところまで行って返す。
「お、おう……って空中戦の特訓でペンギンだしてどうすんだよ!」
「はぁ!?逆に何で出したらダメなんだよ!」
何故何でもアリのサッカーの特訓なのに必殺技を使ってはならないのだろう。というかこの特訓無茶苦茶だからな?な?
そして休憩時間。その円堂がはしご車を借りてきた古株さんから話を聞いた。
40年前にこの雷門中には無茶苦茶強い伝説のサッカー部があったそうだ。で、そいつらなら世界も相手に出来たそう。……いや、世界ってレベルが違いすぎるだろ。彼ら……通称『イナズマイレブン』を率いた監督が今は、亡き円堂の祖父だそうだ。
でも、何かあった空気は出してるけどそれ以上は何も語ってくれない。本当に何かあったのか?
そして次の日の河川敷での部活練習。皆、新必殺技を編みだそうとしている。
『ジャンピングサンダー!』
栗松と少林が何かやってる。だけど失敗して身体を打ってる。
「シャドーヘアー!」
宍戸のアフロが凄い成長していた。宍戸が走ると頭から2つのボールが……よく入ったな。アフロの中に。これには呆れるしかない。
「必殺!壁山スピーン!」
壁山はボールを前にしてくるくる回ってるだけ。……こんなんで大丈夫?
時は流れ夜になる。恒例の八神との特訓である。
「…………」
「どうした八神。そんな考え込むような顔をして」
「いや、お前のライド・ザ・ペンギンは完成した」
「そう?ありがとう」
「だから、それを別の必殺技に繋げられないものかと思ってはいるのだが……」
なるほど。確かに既成の技を昇華、進化、発展させた方がやりやすいか…………オレのイメージ的にも。ということは……ペンギン技?
「問題は十六夜がペラー1匹しか召喚できないことだ。複数召喚出来れば幅が広がると言うのに」
「酷い言われようだ」
そもそも1匹召喚出来るだけでおかしいからな?
「何匹か召喚できないのか?」
「えぇー」
「ちょっとやってみろ」
「はいはい」
ピー
『呼んだ?』
ピー
『いや、もう居るでしょ?』
ピー
『いやいや、増えるわけないじゃん』
よし。
「無理であります軍曹殿!ペンギンは量産できません!」
「そうか……」
考え始める八神。あ、このパターンって。
「おいペラー。分身しろ」
ほらね。阿保なこと言い出したよ。
『ご主人様~この人頭おかしいんじゃないの?』
羽を八神に指してオレに聞いてくる。いや、コイツが頭おかしいの前からでしょ。
「ペラーも分身は無理だって」
『うん。あ、でもさすがに分身は無理でも仲間を増やすことは出来るよ』
「でも、ペンギンを増やすことは可能……え?」
今、ペラー何て言った?
「そうか。ペラー。仲間を呼んでくれ」
『はーい』
そう言うとどっからかほら貝?を出すペラー。……え?お前今どっから出した?四次元ポケットか?
ウォォォオオオン
響く貝の音。そして、
ザッザッザッザッ
ペンギンが現れた。
「なるほどな。ペラー。もっと増やせるか?」
『はーい』
ウォォォオオオン
ザッザッザッザッ
気づけば10匹以上のペンギンが。
「これは凄いな」
「……おっかっしいなぁ……ペンギンが増えた」
どうしよう。ペンギン軍団が現れたけどこいつらどうしよう。
「よし、十六夜。こういうのはどうだ」
そして、八神の目がオレにとって嫌な風に輝き始めたけどどうしよう。
そして翌日。円堂が「秘伝書がこの学校に眠ってる!」とか言い始めたけど本当にどうしよう。