で、現在。部室にいるのはオレと豪炎寺だけです。皆?何か理事長室の金庫の中に秘伝書があるという情報の元、理事長室へ潜入していったよ。
「アイツらは隠密行動する気があるのか?」
「さぁな」
もし、隠密行動する気があるなら、何であんな大所帯で行ったんだろうか。とてもじゃないけど理解に苦しむ。いやねぇ、アレだとどうぞ見つけて下さいって言ってるようなもんじゃん。
「でも、何で理事長室の金庫の中に円堂のじいさんの秘伝書が?」
「俺には分からん。ただ、響木さんっていうラーメン屋の親父がそう言ったのは事実だ」
どうやら、風丸、円堂、豪炎寺の3人が響木さんから聞いた情報らしい。
響木さんと、円堂のじいさん。そして、理事長……何か関係があるのか?
そうやって悩んだりすること十数分。円堂たち探索組が戻ってきた。……1冊のノートを持って。
「え?お前ら。マジで盗んできたの?」
これって、バレたら廃部じゃすまなくね?
「いや、夏未がくれたんだ」
話を聞くと、金庫の前で悪戦苦闘しているところを見つかり、先に回収していた雷門……まぁ、あのお嬢様が秘伝書をくれたらしい。ただ、
「暗号で書かれてるんじゃ……」
「外国の文字ですかね……」
「いや、恐ろしく汚い文字なんだ」
はっきり言おう。一瞬見たが図と、汚い字で何書いてあるのか読めねぇ、と。
「汚いんですか」
「誰も読めないんじゃ……」
「誰も使えねぇよ……円堂!」
あまりのことに怒る染岡以下数名。しかし、円堂は、
「すげぇ!ゴッドハンドの極意だって!」
「「「読めるのかよ!」」」
どうやら読めるらしい。何か、聞くと円堂が持っている練習ノート?的な奴も、恐ろしく汚い字で書かれている。それを幼い頃から読んでいて、分かるようになったらしい。いや、らしいって……。
で、読み進める円堂解読班(ただしメンバーは円堂のみ)。すると、高さに対抗する必殺技を見つけたらしい。
「うん。相手の高さに勝つのはこれだ。『イナズマ落とし』」
イナズマ落とし?雷でも落とすのか?無理無理。
「読むぞ。いいか?『1人がビョーンって飛ぶ。その上でもう1人がバーンってなって、グルってなってズバーン。これぞイナズマ落としの極意』……え?」
おい。擬音語ばっかじゃねぇか。色んな意味でふざけんなよ。
「でもさ、じいちゃんは嘘はつかねぇよ。ここには本当にイナズマ落としの極意が書かれているんだ。後は特訓さえすればいいんだよ」
ちょっと待て。今のをどうやって技にするつもりだ?特訓しようがなくね?
そして移動。何か染岡さんが木にロープを掛け、そのロープにタイヤを括りつけた……まぁ、要するにタイヤを持っている。
「本日のメインイベントはこれ。敵の凄技を受ける特訓だ」
なるほど。つまり、オレたちに向けそのタイヤをぶつけると。
1名を除き一瞬で察したオレたち。その1名を残して、サイドにさーっと移動する。
「行くぞ!」
そして取り残された
ちょっと待て。こんな特訓したら幾つ命があっても足りないんですけど。よし、逃げよう。
「いいねぇ。特訓だねぇ」
円堂の元へ逃げたオレ。文字通り飛んでいく皆を見て円堂が一言。
そんな円堂にオレは言いたい。この特訓は命が幾つあっても足りないと。
「円堂……それに十六夜も。ちょっといいか?さっきの秘伝書のことで」
すると、豪炎寺が話しかけてきた。
「アレってこう言うことじゃないのか?」
そう言って豪炎寺が地面に図を書きながら説明してくれた。オレと円堂はそれを皆の「うわぁー!」とか言う悲鳴をバックに聞いていた。
豪炎寺の説明によると、まず1人が高く飛ぶ。もう1人がそいつを踏み台にして高さを稼いで、十分な高さのところで、オーバーヘッドキック。ふむふむ。
「いやいや、豪炎寺。そんなわけ──」
「豪炎寺……そうだよ!多分その通りだよ。凄いなお前!」
「おいおい円堂冗談も……」
あ、凄い目を輝かせている。コレ、ガチでそう確信した時の顔だ。…………え?嘘だろ?
「そんな不安定な足場からオーバーヘッドキックを出せるのは豪炎寺。お前しかいない!」
……え?そういう問題?
「そしてお前の踏み台になれる奴は……」
すると、壁山が空を飛んでいるのが見える…………あれ?あの壁山を吹き飛ばすほどの威力なの?あのタイヤ。
「壁山か……よし!」
何がよし!?何も良くねぇよ!?というか壁山が空を飛んでるのはスルーですか!?
「よし、十六夜!お前も特訓だ!」
「…………はぁ?」
で、何かタイヤを2個ほど巻きつけられている。巻きつけられてるというか、タイヤの丁度真ん中の部分にすっぽり入って、ロープで固定されてる。
「ジャンプ力をつける特訓だ!」
は?いや、無茶苦茶……
「はいッス」
あの……だから、
「よし行くぞ!壁山!十六夜!」
……何だこの特訓。
そして、跳び続けてもう日が暮れた。着地が上手く取れなかったりで全身ボロボロのオレたち3人組。息も上がって、全員倒れている。
「もうやめなよ!壁山君1人に苦しい思いをさせたくないからって、円堂君と十六夜君までそんなことする必要ないじゃない!」
円堂……お前の優しさは良くわかった。
「キャプテン!十六夜さん!そうだったんすか?……でも、俺もうダメッス……」
ただな、円堂。
「人間……もうダメだって思う時こそ。本当の力が出て来るもんさぁ!」
跳び起きる円堂。
「さぁ、もう1回だ!」
そして、もう1回と言う。はっはっはっ。
「ざけんじゃねぇぞ円堂!巻き込みやがって!」
オレは怒りを力に変えて飛ぶ。何が特訓だざけんじゃねぇ!
「ぎゃぁぁぁああああああ!」
隣から聞こえる悲鳴。見ると壁山が空高く跳躍していた。……は?
「デンデン虫!うわっ!うわぁ!うわぁああ!」
ゴンッ!
2、3度跳ねた後、木に激突する壁山。
「凄いじゃないか!壁山!今の感じだよ」
……マジで?
「よぉし!皆!野生中との試合までもう一踏ん張りだぁ!」
「「「おぉ!」」」
そして、ある重大なことが発覚した。
なんと!壁山が極度の高所恐怖症だったのだ!
…………え?大丈夫?これ。いや、大丈夫だろうけど。根拠?特にない。