超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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スパイ教室アニメ2期……!これは今から7月が待ち遠しい……!
英語が得意な人が羨ましい……そんなことを思う今日この頃です。

Q. 何故1話に纏めたんですか?
A. どんどん長くなったんです……


再会と進化と秘密と

「来たわね、十六夜くん」

「来たんではなく、連れてこられたんですが……」

 

 何処かのグラウンドにて、瞳子監督のもとで練習を重ねるネオジャパンの面々のところに連れて来られた。

 

「八神、用件は聞いてるのか?」

「いいや、何も」

 

 連れて来た張本人である八神もよく分かってないそうで……一体どういう用件だろうか?

 

「全員集合」

 

 監督の掛け声で集まる選手たち……よく見ると……

 

「あれ?お前らも?こんなところでどうした?」

「どうした?はねぇだろ、みたいな」

「じゃ、久し振り。元気だった?」

「そうじゃねぇよ!みたいな!」

 

 武方の青色と目金の弟とシャドウの3人もそこには居た。ネオジャパンの選手16人に加え、彼ら3人……計19人がそこにはいたが……

 

「……で?どうしたんだよお前ら」

「ここは僕から説明しましょう。我々3人は瞳子監督から、ネオジャパン戦の後にこのチームにスカウトされたんです」

「ほう」

「……何だか既視感(デジャヴ)を感じるやり取りだな」

「ほんとにな」

 

 佐久間と染岡が居ないが……なんとも懐かしさを感じるやり取りだな。

 

「そこからは私が説明します。本戦でも代表入れ替え制度は存在しています。ここから世界大会本戦……イナズマジャパンの戦いはますます激しく、そして厳しいものになるでしょう」

「そうですね」

「私たちはお前たちに……いや、正確にはお前を除くイナズマジャパンのメンバーに試合を申し込んで負けた」

 

 ファイアードラゴン戦の前の出来事……イナズマジャパンとネオジャパンの代表を賭けた一戦で……まぁ、オレは終始ベンチだったんだが、多少は関わったので記憶にも残っている。

 

「ま、まさか……リベンジを……?」

「私たちもそこまで愚かじゃない。何度も何度も挑んで、お前たちの貴重な時間を奪うつもりはない。時間を奪い、それで日本代表が負けるようなことに繋がれば本末転倒だ」

「なるほど」

 

 彼らも確かに自分たちが世界の舞台で戦いたいという気持ちはあるのだろう。だが、日本代表に勝って欲しい気持ちもある。自分たちが戦いたいという気持ちが、日本代表の邪魔になってしまうわけにはいかない……と。

 

「私たちはあの敗北から更に自分たちを磨き上げた。先のアジア予選の決勝戦は全員で見させてもらった。十六夜をキーパーで起用する、円堂をベンチに置くという大胆な策にはじまり……」

 

 オサームが韓国戦で感じた熱い思いをぶつけてくる。時にはダメ出しを、時には良い点を言ってくれるが……如何せん長い。せめて、こういうのはもっと纏めてから言ってくれ?

 

「……あのオーバーサイクロンPには私の心を震わせ……」

「ごめん、そろそろ話進めてくれない?」

「す、すまない……つい熱くなっていたようだ」

 

 ……むしろ10分以上黙って聞いていたのを褒めて欲しい。

 

「とりあえず、日本代表の座を、チーム単位ではなく個人として狙っているメンバーが集まっている認識で大丈夫?」

「そう思ってもらって構いません。ファイアードラゴン戦で怪我をした選手たちの代わりに、久遠監督から招集を受けた染岡くんと佐久間くんもつい先日まで一緒に鍛えていましたからね」

 

 つい先日、代表交代を行うことが告げられたらしい。交代したのは吹雪と緑川……特に吹雪は怪我が治ることがなく、ここで離脱する形になったのだ。2人の代わりに入ると紹介されたのは染岡と佐久間。彼らの努力はデザートライオン戦の前も知っているが……なるほど。このメンバーの中で鍛えられたのならあの時から更にパワーアップしているだろう。そして、その努力が報われた形になる。まだ直接会っていないため、その実力が分からないが……今から楽しみだ。

 ちなみにオレ自身は監督が代表交代を発表する場には直接は居なくて、病院に居た。なんとなくだが、そこで治ってないと言われたらオレもこいつらの誰かと入れ替わっていたのだろう。

 

「で?用件は?合同練習……にしてはイナズマジャパンのメンバーがオレしか居ないんだが」

「久遠監督には十六夜くんのリハビリを兼ねてちょうど良いのでは?という結論になっています。……一番は、ここに居るメンバーの強化です。あなたは全ポジションを熟せ、日本でトップレベルの実力を持っていますので」

「……なるほど。要するに……お前らの特訓相手として、リハビリを兼ねて一緒に鍛えろってことか。いいな、おい。さっそくやろうぜ、砂木沼」

「話が早くて助かるわ。まずは軽くミニゲーム形式で行きましょう」

 

 ということでメンバー発表……うんまぁ、

 

「……知ってた。ネオジャパンのスタメンとその他って構図になることくらい」

「その他って言うんじゃねぇ!みたいな!」

「ごめんごめん」

 

 イナズマジャパンと戦った時の11人と残り……人数差はあるけど気にならない程か。

 

「悪いけど、最初のボールもらうわ。今出せる本気出してみる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーバーサイクロンP!」

『真無限の壁!』

 

 十六夜のシュートと無限の壁が激突する……が、抵抗する壁は呆気なく砕け散り、ボールがゴールへと突き刺さった。

 

「イナズマジャパンとの代表戦……彼が居なくて本当によかったわ」

「姉さん……練習になってるか?コレ」

 

 思わず姉さんに聞いてしまう。誰がどう見ても虐殺……それ以上でもそれ以下でもないのだ。

 

「いいのよ玲名。ネオジャパンの……いいえ、日本代表の座を狙っている彼らに、日本最強格の選手のレベルと自分たちとの実力差を感じさせることが目的だもの」

 

 そう言われて改めて他の19人を見る……が、その実力差に絶望はしていない。初めから分かっていた……だが、諦めもない。必死に喰らいつこうとしている。

 

「たった1人でネオジャパンのディフェンスを突破し、敢えて無限の壁を撃たせるように時間を稼ぎ、その上で叩き潰している。十六夜くんも徐々に分かっているようね……これは正式な試合じゃないからこそ、彼も本気を出しつつ、手を抜いてくれている」

「矛盾しているように聞こえるけど……手を抜くというか、先んじて潰すんじゃなくて、全部引き出させた上で潰しているから……こっちの方が堪えるんじゃ……?」

 

 その気になれば、パスカットも出来るだろうし、相手のキックオフと同時に詰めて終わりだろう。ドリブルも最初の1回こそ1人でキーパー含む11人抜きをやってのけたが、その後は味方を使うようになっている。1人で制圧できるのにそうしない。相手の取る未来が見えているのに、未来を潰さないどころかその行動を引き出している。……まぁ、引き出した上で潰しているんだが。……悪魔かアイツは。

 

「……あと、あのバカ最初に『大体7割くらいか……調子取り戻さないとな』とか呟いていたし」

 

 3週間の療養生活は流石に堪えたらしい。一応、サッカーボールは毎日触れていたが、それでもやれることには限りがあった。まぁ、7割でアレなら10割出すことが出来ていたならもっと悲惨だったんだろうな。というかそもそも……

 

「ネオジャパンのメンバーの使用する必殺技の特徴は、有用な他者の必殺技を使えるようにすること。……でも、それは十六夜には通用しない。一度分析した必殺技はヤツには通用しない」

「えぇ、知ってるわ。……だからこそ、彼らには進化が求められる」

 

 そう言って改めて見ると、必殺技を使いながら何かを試行錯誤している。きっと、十六夜に通用させる……一矢報いるために何かをやっているのだろう。

 

「行くぞ、十六夜!コレを止めてみろ!」

 

 と、そんな中で十六夜にシュートを放つようだ。……いや、それだけ聞くとアレだが、きっとディフェンダーである十六夜にブロックできるかと試そうとしているのだろう。……そうだと信じたい。

 

『トライアングルZ!』

 

 砂木沼たちがトライアングルZを放つ……が、今まで見てきたものとモーションが異なる。具体的には3人が同時に上空へと蹴り出して……ゴールとは全然違うところへと向かっていく。ボールの軌道にはトライアングルがいくつも出来ているが……

 

「ファイアトルネード!」

 

 そのボールの軌道上に出来たトライアングルの中を、ファイアトルネードをしながら駆け上がっていく改という選手。トライアングルは炎に包まれ巨大な炎の渦が生まれる。

 

「ミサイルペンギンV2!」

 

 それに向けて十六夜はミサイルペンギンを放つ……が、

 

「……っ!」

 

 そのシュートの軌道はまるで読めない……何だあの軌道……!?

 

「どうだ十六夜!見たか!」

 

 読めない軌道……十六夜の読みを超えたソレは、ペンギンたちで迎撃することが出来ず、そのままゴールへと突き刺さった……

 

「なるほど……一直線じゃなくて、複雑な軌道を経てゴールへと辿り着くシュートか……。しかも、分析しても次も同じ軌道で来るとは限らない……シュートブロックが実質出来ない一撃か……。既存の必殺技を組み合わせて面白いものを作ったな……おい」

 

 十六夜が笑みを浮かべた。きっと、自分の想像を超える面白いものを見られたからだろう。必殺技を破ることだけが正しいわけではない。必殺技を出させない、当てさせないことに重きを置くシュート……か。

 

「お前たちばかりズルい、みたいな!俺たちだって十六夜の度肝を抜く新必殺技があるっての!」

「……ああ」

「何だか面白そうだな……監督。見てみたいんですけど、いいですか?」

「好きにしなさい」

 

 気付けば、十六夜がゴール前に立ってシュートを受ける感じに変わっていた。いいのかっと思ったが、さっきの練習形式だと彼らの成長を見ることは難しかったからいいか。

 

「十六夜!お前からゴールを奪ってやる!みたいな!」

「こいよ、武方勝。見せてみろ」

 

 そう言うと体を捩じり、その反動を利用して体を捻りながらボールと共にジャンプする武方。ある程度上空に出たらボールより上に跳び上がり……

 

「爆裂ジャイロ!」

 

 捻りの回転を維持したまま伸身宙返りも織り交ぜて踵落としでボールを打ち出す。バックトルネードを進化させた……というのか?

 

「いいね……ペンギン・ザ・ハンド!」

 

 いつの間にかキーパーグロ-ブをつけていた十六夜の必殺技が発動する……

 

「……なんて回転だおい……正直、驚きが隠せねぇ」

 

 僅かにだが十六夜は押し込まれたのだろう。見ると、十六夜の足下は抉れていた。

 

「くっそぉ!アフロディが破れたその技を破れなかった!みたいな!」

「いや……充分だろ。感触的に豪炎寺の爆熱スクリューと同等か?」

「次だ次!シャドウ!お前の技を見せてやれ!みたいな!」

「……おう」

 

 ボールはシャドウの下へ行く。すると、ボールと共にジャンプして最高地点に到達した。その後は、彼の必殺技であったダークトルネードと同じように体を捻り、回転しながらボールと一緒に落ちていく。中間地点に到達したところで闇のオーラがシャドウとボールを球状に覆った。

 

「アビスフォール!」

 

 その球状のオーラからゴールへと向かう一筋の闇……ダークトルネードを進化させたってことなのだろう。

 

「ペンギン・ザ・ハンド!」

 

 それを正面から受け止める十六夜……先ほどと同じく、少し押し込まれたところで止められた。

 

「……お前もすげぇな……おい。なんて新必殺技だよ」

「……まだまだだ」

「よっしゃシャドウ!あの技をやって十六夜を真正面からゴールを奪うぞ!みたいな!」

「……分かった」

 

 今度は2人で撃つつもりなのだろうか?ボールを蹴り上げると、シャドウがダークトルネードを、武方がバックトルネードをするために、そのまま上空へと跳んでいく。

 

『トルネード・デュオ!』

 

 2人が同時にそれぞれの必殺技をボールにぶつける。タイミングは完璧……息の合ったシュートだ。そして、黒と青の炎を猛々しく噴き出しながらゴールへと向かう。

 

「ペンギン・ザ・ハンド!……っ!?」

 

 十六夜の必殺技とシュートがぶつかる。ぶつかった瞬間に十六夜は苦悶の表情を浮かべ、左手で支えることにした。

 

「……マジか……何て勢いだよ」

 

 そのまま十六夜の必殺技を破り、ゴールへと突き刺さった。

 

「どうだ!これが俺たちの必殺技だ!」

「すげぇなおい。2人の息が完璧に合っていないと出来ない技だろ」

「……これが特訓の成果だ。俺たちの世界へ通用させる一撃だ」

「いいなおい……マジで最高だよ、お前ら」

「め、珍しく素直に褒めてる……みたいな」

「……フッ」

 

 デザートライオン戦の前の合宿……あの時よりも確実に進化している。十六夜に褒められて、何処か照れ臭い表情を浮かべる武方とシャドウ。

 

「そこまで。一回休憩を挟みます」

 

 と、姉さんの声で選手たちの一部が休憩に入る。……これが選ばれなかった者の力……きっと、一緒にやってきた染岡と佐久間が評価されたことで腐らず、更なる熱が入ったのだろう。イナズマジャパンのメンバーも熱が入っていたが……

 

「凄まじいな……」

 

 今はまだ十六夜が最強だろうが、もしかしたらこの中にコイツを追い抜く存在が現れる……そんな予感を感じさせる熱だ。そして、それはアイツ自身も感じている……韓国戦前の冷めた様子は既に消えて、アイツの中にも炎が灯っている。

 

「ならば、私も……」

 

 今はこの熱に身を委ねてみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「十六夜、ちょっといいか?」

「どうした?源田」

 

 休憩……と言われたのに、ネオジャパンのメンバーのほとんどは練習を続けている。さっきの手合わせで思うところがあったのだろうか、声を掛け合いながら練習をしていた。熱が入った様子……その業火にあてられたのかうちの彼女(八神)も気付けば練習に参加していた。

 そんな様子を眺めていると源田が声をかけてくる。

 

「お前のシュートは凄まじかった。まさか無限の壁を容易く破るとはな……」

「そりゃどうも」

「……もっと強くなるために俺はどうしたらいいと思う?」

「へ?」

 

 いきなりの質問に驚きを隠せない。

 

「監督のやり方に不満があるわけではないんだ。ただ、お前のシュートを受けて感じたのは……少なくとも日本のゴールキーパーの必殺技ではお前を、世界トップレベルのシュートを受けられない」

「いや、オレは別にトップレベルではないけど……」

「それなら尚更だ。仮に円堂や立向居の座る席を奪えたとしても、今の俺じゃゴールを満足に守れないんだ」

「……まぁ、確かにな。今の源田が使える最強のキーパー技は無限の壁。でも、無限の壁は3人技で2人のディフェンダーが戻っている必要がある」

「そんな隙を世界レベルのプレイヤーたちが見逃すわけがないだろう。何かしらの対策で封じられてしまう可能性が高い。現にお前は無限の壁を発動させないことも出来たはずだ。違うか?」

「そりゃな……となると、1人で止める必要がある……か。お前が目指しているのは?」

「この前の決勝戦で円堂が使ったいかりのてっつい……アレを超える技だ」

「おぉ、現時点で日本のゴールキーパーの中の最強を超えるか……」

「ああ。あの技では、お前のオーバーサイクロンPは止められない……そんな気がする」

 

 あはは……まぁ、昨日勝負して、勝ったんだが……なるほど。それを見抜くとは中々の感覚だな。

 

「と言っても、漠然と超えると言っても具体的な策がないとな。例えば、今使える必殺技を世界レベルまで進化させるとか、色んな人の必殺技を組み合わせるとか……それか、全くの新必殺技を思いつくか」

「ふむ……」

 

 考え込む様子を見せる源田。オレだってあの技はフィディオを超えるためにペラーと意見を出し合って試行錯誤を重ねた結果だからな……しかも、ここで方針を決めないともうすぐ日本を離れるからアドバイス出来ないし、多分している余裕はない。

 

「1つ思いついた」

 

 少し経った後、何かを思いついたらしい。

 

「ほう」

「お前の使ったペンギン・ザ・ハンド。あれは皇帝ペンギン1号のキーパー技……禁断の必殺技とも言うべき技だろ?」

「あー鬼道や不動にも言われた。というか、禁断の必殺技認定された」

「気になったのは……お前がノーリスクで禁断の必殺技を使っていた点」

 

 そこってそんなに重要か……と思ったけど、大きな代償を支払う代わりに強大な力が手に入るのが普通の人。だが、オレはその代償を支払わず大きな力を手に入れた……まぁ、昨日の検証で本当にノーリスクだと再確認したわけだが。

 

「もし、俺もノーリスクで禁断の必殺技……ビーストファングを使えれば、何かの取っ掛かりになると思ってな。どうだ?」

「なるほど……禁断の必殺技を……か」

「ああ。あの時の俺はエイリア石の力に飲まれ、力を求めるためにその技を習得した。……封印しているが、今の俺も使えないことはない」

「だったらさ。ただノーリスクで使えるだけじゃ面白くないじゃん。だから、その技を進化させたらどうだ?」

「進化……?」

「禁断の必殺技の原理とかどうして負担がデカいのかとかさっぱりだけど、あれって影山が作った技なんだろ?それに、その必殺技は知らんけど、今のままじゃ通用しねぇ」

「……確かに。禁断の必殺技であるお前の技も、武方勝とシャドウの連携必殺技で破られた……アフロディ単独にもか」

「だから、それをお前の技に進化させるんだよ。影山の必殺技を越え、源田の必殺技にするんだよ」

「俺の……必殺技に」

「どうだ?面白そうだろ?」

「そうだな……影山の作った技を踏み台に俺の必殺技へと昇華させる。俺が、世界にも通用するような必殺技へと進化させる……」

 

 そう言いながら手を見る源田。

 

「ありがとう十六夜。お陰で見えてきた……もし、その技が出来たら、お前相手に試させてくれ」

「おう、期待している」

「というわけで、早速付き合ってくれ」

「いいぜ、やろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほぉーい、ワシじゃ。どうじゃ、今の世界には大分慣れたかのう?』

「いや、慣れたけど……急にどうしたんだよ。神様」

 

 その日の夜。あれから、ネオジャパンの面々との練習は遅くまで続き、日本を離れる前日までは一緒に練習することに決めた。久遠監督からもオッケーが出たため、彼らの合宿先にお邪魔している。

 外を散歩していると、久しぶりに神様から電話がかかってきた。本当に久しぶり過ぎて一瞬誰だっけこの爺さんと思ったが、オレは悪くないと思う。

 

『遂に受かったんじゃ』

「何に?」

『資格じゃよ資格。あれ言っていなかったか?』

「あー……興味が無くて忘れてた」

『お主……それが神に対する接し方か?』

「いや、知らねぇよ。……で、合格の報告貰ったから祝えばいいのか?おめでとー」

『そうじゃなくてのぅ……実は、受かって喜び、盛大な宴会をして、酒を飲んでちょっと酔っ払った拍子にお前さんの世界をほんのすこーし弄ってしまったんじゃ』

「…………は?」

 

 今何て言ったこの爺さん?というか、何をどうしたらそうなるんだこの爺さん?

 

『いやーお酒が入りすぎてのう。酔った拍子にやってしまったんじゃ。まぁ、酔っ払った爺さんの行いと言うことで大目に見てほしいのじゃ』

「……いや、それで済むなら警察はいらないんだけど?」

『ということでよろしくの』

「いや、何をどう弄ったが教えろよ爺さん」

『えぇーお主は原作知識持って無双するタイプの少年じゃなくて、原作よく知らないけど異世界に転生してしまったからなんとかするかってタイプの少年じゃろ?そんな少年にここがこうで~とか言っても伝わらんじゃろ?』

「まぁ、確かにそうだな」

 

 よくよく思い出すとこの世界ってアレだったな。ゲームとかが基になっているとか何とか言ってた気がしなくもないが、よく知らないから次に何が起こるか知らねぇわ。というか、知ってたらここまでの諸々苦労してない。知っていたなら、最初に八神と関わった段階で彼女の問題を解決しようと躍起になってたと思うし……というか、必殺技で胃が死にかけることは無かったと思うし。

 

『一言で表すと、大変になったじゃな。ゲームで言うなら勝手にノーマルモードからルナティックモードに変わったレベルじゃが……まぁ、頑張っての。では、健闘を祈るぞ。ふぉふぉふぉ』

「っておい、何が大変になったんだよ……」

『秘密じゃ』

「…………」

 

 というか、よく考えるとノーマルからルナティックって、ハードモード飛ばしてね?いや、ゲームによってそういうの違うから別にいっか。どうせ、ノーマルもハードもルナティックも、オレには一切分からねぇし。

 

「……まぁいいや。丁度良い機会だし、アンタに聞きたいことがある。オレの身体についてだ」

『ほう』

「……オレの身体……能力は元の世界じゃ出来ないことが出来るようになっている。間違いないな?」

『そうじゃな。元居たお主の世界では足から炎を出せる人間は居ないじゃろ?』

「……そこで聞きたい。この身体、限界はあるのか?」

『限界?』

「記憶が正しければ、アンタはこの身体をこの世界に合わせ、改造して送り込んだんだろ?だから、前の世界で出来ないことも出来る。だったら、オレのイメージするある種の超人的なプレーも出来るようになるんじゃないのか?具体的には――」

 

 オレはあることを伝える。それに対して帰ってきた返答は……

 

『イエス……と言うべきじゃな』

「そうか」

『何なら今からそれが出来るようにしてやろうか?』

「いいや……そんな強化の仕方はオレのやり方じゃねぇ。オレらしくやるよ」

『そうじゃな……お主ならそう言うと思っていた』

「……あと、ありがとな」

『ん?』

「こんな面白れぇ世界に連れて来てくれて」

『ほっほっほっ。お主が望んだことじゃ。ではの』

 

 切れる電話……ある意味で人智を越えた肉体……まだまだ眠っている潜在能力……そして、それを引き出せるかはオレ次第……か。

 

「さてと、こういう無茶苦茶なことは、八神さんにでも相談しますか」

 

 オレは知る由もなかった。実はこの神様がとんでもないことをしでかしたことに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……記憶の蓋が開き始めておる……か。封印した記憶を取り戻しつつある……やはり、中途半端に記憶を残したのは失敗じゃったか。……じゃが、ここまで来た以上、忘れたままというわけにも行くまい。……何れは思い出していたことじゃ』

 

 

 

 

 

『すまんな、十六夜綾人よ……お主には嘘を付いておる。……お主は……ワシが殺したも同然なんじゃ』




というわけで、久々の神様です。一体、何をやっちゃったんでしょうかね?
まぁ、原作知識皆無の十六夜くんは、どう足掻いても気付くことはないですが……
というか、十六夜くんは既にハードモードだったんだよなぁ……。だって、この男のせいで一部の敵が強化されているんだし……
それに加え、神様はどんな嘘を、どうして付いたんでしょうかね?


今更だが、自分の書く主人公たちの多くに当てはまる特徴が、マイペース、トラブルメーカー、重い過去持ち。……何故か、主人公たちの過去がどんどん重くなっていくんですよね……。十六夜くんは、こう見えて、彼女と付き合っていて、学校生活を送っている最中で死んでいる時点で重い気もするけど、まだ何故か重くなる要素を秘めているんですよね……まぁ、過去編やっているんで何処かで違和感を感じている人も居たでしょうし、過去編進めると感じるでしょうし……多分。


次回はついにライオコット島へ飛び立ちます。


必殺技紹介
・トライアングルZ+ファイアトルネード→爆熱ストーム
アレスで出て来たオーバーライド技。
なお、本編で爆熱ストームが出て来た為、本編では名付けるとしても違う名前が採用されるだろう。紹介するか悩んだが一応紹介。

・爆裂ジャイロ 
属性 風 成長タイプ 真 シュートチェイン可 
使用者 武方勝
日本代表の座を諦めない武方勝が猛特訓の末に編み出した、バックトルネードの正統進化形というべきシュート技。
飛び上がる前に体を捩じり、その反動を利用して体を捻りながらボールと共にジャンプする。ある程度上空に出たらボールより上に飛び上がり、捻りの回転を維持したまま伸身宙返りも織り交ぜて踵落としでボールを打ち出す。二種類の回転のタイミングが一致した瞬間に蹴り出されるボールの威力はバックトルネードを遥かに凌駕し、世界でも十分通用するレベルに仕上がっている。
技名は初めて成功した時にまるで爆発した様な手応えがあった事とシュート直前の回転軌道がまるでジャイロスコープの様に見えたという感想を聞いたのが由来。

・アビスフォール
属性 林 成長タイプ V シュートブロック可 
使用者 シャドウ
シャドウが世界への飛躍を志して編み出した、ダークトルネードの進化形というべきシュート技。
ボールと共にジャンプして最高地点に到達した後、ダークトルネードと同じように体を捻って回転しながらボールと一緒に落ちていく。中間地点に到達したところで闇のオーラがシャドウとボールを球状に覆い、その中でシャドウがダークトルネードと同じ様にシュートする。落下の勢いで回転スピードが加算されたシュートの威力はダークトルネードとは比べ物にならない程だが自分から撃つには手間がかかり、最も打ちやすいタイミングはシュートブロックの時である。
技の発想および名前については「自ら深淵に落ちる事で闇がより濃くなる」というシャドウの持論が由来。

・トルネード・デュオ 
属性 山 成長タイプ V シュートブロック可 
使用者 武方勝、シャドウ
ダークトルネードとバックトルネードを同時に放つ連携技。端的に言えば、ファイアトルネードをダークトルネードに置き換えたダブルトルネード。
シャドウと武方勝が日本代表を目指して共に練習していく中で「共に代表に選ばれた時にはこの技で世界を沸かせよう」と誓い合った友情の証でもある。

下3つのオリジナル必殺技はh995様よりいただきました。ありがとうございます。
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