超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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世界トップレベル

 あれから2日後……オレたちはミーティングをしていた。

 昨日は夜にFFI世界大会の開会式があり、本戦出場を果たした10チームがタイタニックスタジアムに集結した。その中にはアメリカ代表として一ノ瀬や土門の姿もあり再会を喜んでいた。

 

「まずはルールの確認をします」

 

 世界大会のルールは本戦に勝ち上がった10チームを、5チームずつのグループに分ける。グループ毎に総当たり戦を行い、それぞれの試合で勝利チームには3点、引き分けは両チームに1点、負けたチームには0点の勝ち点が与えられ、最終的に勝ち点が高い上位2チームが決勝トーナメントに出場できるというもの。

 

「イナズマジャパンはグループA。他には、イタリア、アルゼンチン、イギリス、アメリカが同じグループです」

「……っ!」

 

 イタリア……!フィディオたちと戦えるってことか……!

 

「初戦は2日後。対戦相手はイギリス代表ナイツオブクイーンだ」

「エドガー・バルチナスが相手か……いいねぇ。おもしれぇ」

「え?知ってるのか?」

 

 何人かが誰だそいつは?的な感じで首を傾げる。

 

「おいおいお前らなぁ……出場国の注目プレイヤーくらい気にしておけよな。イギリス代表にしてキャプテンのエドガー・バルチナスは今大会中でもトップクラスの選手。『静かなる闘将』と呼ばれているらしいな」

「おぉ……」

「他にもオレたちが当たる国だと、アルゼンチンには『アンデスの不落の要塞』と呼ばれる今大会最強DFと評判のテレス・トルーエが居る」

「最強のディフェンダー……」

「って、十六夜さん以上でヤンスか!?」

「正直、向こうの方がオレよりも強固なDFだろうな。そして、イタリアにはイタリアの白い流星、フィディオ・アルデナが居る。華麗なテクニックとスピード、フィールド全体を見渡すような視野の広さを持っている。彼も間違いなく世界トップレベルのプレイヤーだ」

「テクニックにスピード……!」

「アメリカ代表ならマーク・クルーガーとディラン・キースのコンビが注目されている。恐らくこの大会で最も完成されているコンビだ。1人でも十分強く厄介な上、彼らのコンビプレイを止めないと間違いなく勝てねぇ。ああ、お前らの多くも知ってると思うが、アメリカ代表になった一ノ瀬も彼らと共に頭角を現している」

「す、すげぇ……あれ?日本は?」

「日本だと十六夜くんですね。FFI予選の試合で全ポジションで出場し、日本の勝利に貢献したユーティリティ・プレイヤーとして名をあげていますね」

「そう言えば、昨日の開会式でも日本の注目選手として呼ばれていたな」

「予選では単独で通算4得点を挙げ、加えてアシストや連携必殺技でも何得点か。また、相手の必殺タクティクスを破りつつ、ディフェンスやキーパーとして失点を防いだんだ。攻守ともに高い水準にある万能選手ってのが大きいだろう」

 

 あはは……なんだか褒められると照れくさいな……まぁ、凄いと言うより奇抜って意味合いが強そうだけど。GKが攻め上がって得点するとかそう多くはないだろうし。

 

「よぉし!初戦に向けて特訓だぁ!」

「「「おぉ!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 練習は、ようやくと言うべきだろうか、皆と一緒にやることになりました。個別メニューからは解放らしい。……よく考えると今まで皆と一緒に練習したことあったっけ?……なかったな、うん。

 で、今は木野が全員を招集して、少し休憩になった。一体なんだろうか?

 

「えぇ!?パーティー!?」

 

 円堂が驚いているように、どうやら、イギリス代表、ナイツオブクイーンからパーティーの招待状が届いたようだ。

 

「初戦の相手として親睦を深めたいんだって。今日の夕方、イギリス街に正装で来てくださいって」

「…………げっ」

「どうした十六夜?」

「……いや、何でもない」

 

 今日の夕方……え?マジで?

 

「ということで、時間までに準備してね」

 

 そのまま流れ解散になるオレたち。パーティーかぁ……まぁ、1人減ってもバレないでしょ。うんうん、バレないバレない……

 

「アヤト、少し遅かったようだけど……大丈夫?」

「悪い待たせたな。練習終わりに少しミーティングがあってな」

 

 ということで、セントラルエリアで待ち合わせをしていたフィディオと合流する。

 

「確か、アヤトたち日本はAグループの初戦だったね。相手はイギリスでしょ?」

「よく知ってるな……もう情報が出ているのか?」

「まぁねっと」

 

 持っていたボールを軽くこちらに蹴ってくる。

 

「流石FFI本戦、情報が早いなっと!」

 

 こちらも受け止めて、パスを出す。

 

「そうだね。ここまで大掛かりだし、観客も集めたいんじゃないかな?」

「ははっ、そりゃそうか」

「でも、日本と同じグループでよかったよ。確実に君と戦えるからね。それと、エンドウとも」

「同感だ。お前らと正面から戦えるなんて、運がいいみたいだ」

「ははっ、アヤトらしいね」

 

 そのまま雑談をしながら、互いにリフティングとパスをしながら歩いて行く。

 

「そういや同じグループの面々見たか?」

「ああ、やっぱり本戦は違うね。どのチームにも世界トップレベルのプレイヤーがいる。一筋縄じゃいかない相手ばかりだ」

「だな。お前らと戦うのも楽しみだけど、他の奴らにも負けてられない」

「やっぱりそうだよね。世界一を決めるなんてワクワクする……」

 

 そう言ったフィディオの視線が何処か一点を見ていた。アレは……円堂か。

 

「誘うか?円堂も」

「いいのかい?」

「ああ、もちろんだ」

 

 タイヤ特訓をしている円堂のもとへ2人で行く。……ところで、アイツはここにタイヤつけてるけど許可は取ったのだろうか?……まぁいいか。

 

「おーい、円堂!」

「あ、十六夜!それにフィディオも!あれ?2人がどうして一緒に?」

「久し振りにアヤトとサッカーしようと思ってね」

「よかったらお前も一緒にやらねぇか?」

「えぇっ!?いいのか!」

「もちろんだよ」

「よし!じゃあ、ジャパンエリアに行こうぜ!ここじゃなくて、グラウンドでやろう!」

「確かにな。ここにはゴールもねぇし」

「うん、お邪魔させてもらうよ」

 

 ということでジャパンエリアのグラウンドに移動する。オレは円堂、フィディオの2人共とサッカーをしたことがあるため、最初は見学。フィディオがシュートを打って、円堂が止めることに。

 

「はぇー……やっぱ、アイツのシュートはすげぇな……」

 

 何度も見慣れていたつもりだったが、改めて見るとフィディオのプレーは次元が違うな。他の選手たちよりも繊細で……

 

「あれ?アイツは……」

 

 と、フィディオが打ったシュートを割り込んできたヤツがトラップする。

 

「探したぜ、フィディオ」

「テレス・トルーエ!」

 

 アルゼンチン代表キャプテン、テレスだった。……おっと、予想以上の乱入者だな。

 

「知り合いなのか?」

 

 ズコッ

 

 円堂……お前、説明しただろ……何で忘れてるんだよ……と、オレがあきれているのをよそに、フィディオがテレスの説明をする。……予選を失点0でおさえたアルゼンチン。そのディフェンスの要となっている選手……

 

「俺、イナズマジャパンの円堂守!よろしくな!」

 

 と、円堂がテレスに自己紹介する……が、無視される。まぁなんというか……日本だと円堂はサッカーやっていれば誰でも知っているくらいの有名人だけど、海外から見たらコイツ誰だ?だからな……昨日の開会式も思ったが、日本はそこまで注目されていないようだし。恐らく分析もされていないから、本当にコイツ誰だ状態だろうな。

 

「なぁ、フィディオ。俺と勝負しないか?お前が俺のディフェンスを抜くことが出来るかどうか。まぁ、ほんのお遊びさ」

「悪いが、今は彼らと……」

「俺なら構わないさ!それに俺も見てみたいしな!世界レベルのすげーディフェンスをさ!な、お前もそうだろ!十六夜!」

「イザヨイアヤトか……おいアヤト、お前も混ざれよ」

 

 ボールをこちらに蹴ってくる。軽くトラップをして……

 

「え?十六夜のこと知ってるのか?」

「開会式で紹介されてただろ。それにコイツからは俺たちと近い空気を感じる。……で?どうなんだ?」

「覚えていてくれて光栄だな。いいぜ、その挑発受けてやるよ、テレス」

「決まりだな」

「それならミーたちもいれてよね」

 

 と、更に現れたのはアメリカ代表のユニフォームを着た2人。……おいおい、マジかよ……

 

「ディラン、マーク」

「よっ」

「???」

「あー円堂……」

 

 現れた2人が誰か分からないようで、疑問符を浮かべている円堂に補足説明をする。一応、名前だけは出したんだが……多分、こいつにとってはアメリカイコール一ノ瀬と土門の居るチームって認識なんだろうな。

 

「何でお前らまで?」

「ちょっと、エンドウマモルとイザヨイアヤトをね」

「俺たちを?」

「エンドウは凄いってカズヤが褒めてたからな。それにイザヨイ、キミもね」

 

 カズヤ……一ノ瀬のことか。やっぱり、チーム内でも上の方に居るか……FFやエイリア学園からどこまで成長したんだか。

 

「なぁ、これだけ揃ったんだし、5人で勝負と行かないか?誰が先にシュートを決めるか」

「うん」

「望むところだ」

「やろうか」

「いいよ」

「んじゃ、円堂。ゴールはよろしく……と言っても味方じゃないけど」

「ああ!」

 

 ということで、円堂がゴール前に立つ。じゃんけんの結果、最初のオフェンスはテレスで、オレたちはボールを取ったヤツがオフェンスで、残りがディフェンス。ボールを取ったヤツはハーフラインまで戻ってから攻撃開始。それを繰り返し、点を決めたら勝ちの変則的な1対4をやることになった。

 

「へぇ……やるなぁ」

 

 テレスがマーク、ディランを抜いてオレの前にやってくる。軽く揺さぶりをかけて……

 

「遅い!」

「ハッ!想定内!」

 

 ボールを奪うことに成功する。

 

「やられたか」

「簡単には抜かせねぇよ」

 

(すごい……あのテレスのフェイントからボールを奪った……十六夜のヤツ。やっぱすげぇ……それに、いつもより生き生きしているし)

 

「行くぜ」

 

 ハーフラインまで進んで反転。そこから攻め上がることにする。

 

「……へぇ、思ったよりやるね」

「そりゃどうも」

 

 マークを抜くことには成功する……が、

 

「今回はミーの勝ちだね!」

「くっ、やるなぁ……!」

 

 ディランにボールを奪われてしまう。

 

「まだまだここからだっての……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「円堂くーん!十六夜くーん!」

 

 日が沈みそうになり、気付けば夕焼けが美しく見える時間帯になっていた。そんな中、オレたちの戦っているフィールドに響く木野の声。

 

「なんだ?アイツ、こんなところにドレスなんて来てくるなんて」

 

 思わずオレたちも足を止めることに……ん?何で木野のやつ、ドレスなんて着ているんだ?何かあったのか?

 

「もう、パーティー始まってるよ!」

「パーティー?」

「あぁ!」

 

 いまいちピンと来なかったが、円堂には心当たりがあったらしい。

 

「円堂?何か思い当たる節でもあったのか?」

「パーティーだよ十六夜!ほら、イギリス代表から誘われてただろ?」

「……あー……そんなのあったな……うん。面倒だし、パスで」

「えぇっ!?」

「悪いな。向こうには謝っといてくれ」

「わ、分かった……ゴメン!じゃあ、またな!楽しかったぜ!」

 

 そう言って木野のもとにダッシュする円堂。

 

「……楽しかった?アイツ、何かしたか?」

 

 とテレスが言うのも仕方がない。オレたち5人の勝負が始まってからここまで、誰もシュートを打てていない……要は、この長い時間、円堂はただ立っていただけなのだ。

 

「まぁ、ああいうヤツなんだよ」

「というか、お前はいいのかよ。行かなくても」

「こっちの方がパーティーより数倍楽しいだろ」

「ヒューいいね、まだまだ盛り上がって行くよ!」

「じゃあ、再開しようか。フィディオからのボールでいいよな?」

「そうだね……さぁ、やろうか」

「「「おう!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………遅い」

「まぁまぁ、八神。落ち着いてよ」

 

 パーティーが始まったが、十六夜が来ないことに苛立ちを見せる八神。

 

「……アイツは何をしているんだ?」

「あはは……まぁ、円堂くんも来てないし……」

「まったく……」

「イラだってもしょうがないって……」

「イラだってなどいない。私はいつも通りだろうが、ヒロト」

「……とてもそうは見えないんだけど……」

「まったく……ただ、少しイラだっていることがあるとすれば、エドガーだな。友好的と見せかけて、内心では見下している感じを受けた」

「まぁまぁ……十六夜くんが来ないからって八つ当たりを……」

「すみません!遅れました!」

 

 と、響き渡ったのは円堂の声。呼びに行った木野も一緒のようだ。しかし……

 

「あはは……円堂くん、ユニフォームのままだね……」

「正装って言われていただろうに……」

「でも、あれだね。十六夜くんの姿は見えないね」

「……てっきり、円堂と居ると思ったが違うらしいな。ということは……」

「心当たりが?」

「……なくはない」

 

 残った可能性を考え、頭を抱える八神。

 

「木野、ちょっといいか?」

「八神さん?」

「十六夜という名のバカのことだが……」

「あはは……十六夜くんね……」

「その様子だと知っているようだな」

「えーっと、円堂くんたちとサッカーをしていて……十六夜くんはサッカーを優先したみたいで……大きな声じゃ言えないけど、面倒だからパスって」

「まったく……円堂ですらパーティーを優先したというのに、あのバカは……」

「あはは……謝っといてくれって頼まれたって……」

「まぁまぁ……でも、十六夜くんがサッカーを優先するって相手がそんなに凄かったのかな?」

「そうなの!どの選手も海外の選手だったけど、もう凄いとしか言えなくて!1人1人のプレーの次元が違うと言うか……もうホント見たことないくらいのレベルだったの!そんな凄い選手が4人も居る中、十六夜くんも全然負けていなかったの!それで、円堂くんからの話も合わせるともう何時間もずっとやっているらしいのよ!」

「あはは……何時間ってことは、こっちがパーティーの準備とか着替えとかしている間もずっとやっていたのかな」

「何時間もやっていれば、来る気もうせるだろうな……」

 

 そう言って歩き出す八神。

 

「八神さん?」

「合宿所に戻る。流石に暗くなったし、終わってるだろう」

「あーうん、気をつけてね」

 

 手を軽く振ってそのまま去って行く八神。

 

「あはは……十六夜くんも自由だけど、八神もだいぶそれに毒されたみたいだね」

「うーん……本当にそうかな……?」

「まぁ、せっかくのドレス姿を十六夜くんに見てもらいたいってのもあるだろうね。なんたって付き合ってる2人だし」

「そうそう……ってえぇっ!?あの2人付き合ってたの!?」

「うん、日本代表の選考前には……ってあれ?知らなかった?」

「し、知らなかった……いつも一緒に居るなぁとは思ってたけど……」

「ああ見えて、八神は十六夜くんに相当惚れ込んでいるからね……」

 

(まぁ、代表に戦術アドバイザーとして同行したのも十六夜くんの近くに居るためだし……隠しているつもりだけど)

 

 そんな2人に見送られながら、宿舎に戻った八神。そこには……

 

「ん?もう終わったのか?早かったなー」

「…………」

 

 食堂で1人、ゆっくりしている十六夜の姿があった。

 

「……くつろいでいるな?」

「まぁな……いやーいい汗かいたし、風呂にも入ってさっぱりした。もう少ししたら今日は寝るわ」

「…………」

 

(なんて自由なんだこの男は……)

 

 あまりの自由さに呆れるしかない八神。

 

「ところで、何か言うことはないのか?」

「うぇ?……あ、ドレス似合ってるぞ、八神。すげぇ綺麗だ」

「…………」

「ちょっ、無言でつねらないでくれ!?何か答え方間違えたか!?」

「そうじゃなくてだな?木野が言うには、凄いレベルの海外選手4人と何時間もサッカーしてたって聞いたが?」

「あーフィディオに、テレス、ディラン、マークの4人だな」

「……全員が全員、今大会で注目されているメンバーじゃないか。何なら全員がAグループだし……よくそんな面子で集まったな」

「そうなんだよ!実際に一緒にプレーして凄かったんだよ!くぅ……こんな奴らと試合出来るとか楽しみで仕方ねぇ……!」

「……珍しくテンション高いな」

「そうか?」

 

 自覚はないが、基本冷静(ただし、ツッコミは除く)な男が、興奮気味に話していたんだ。テンションの差に驚くのも無理はない。

 

「……ん、よし!寝る!」

「そうか。私は着替えてくる」

「んじゃ、おやすみー……ん?」

 

 颯爽と部屋に戻ろうとする十六夜の袖を掴む八神。

 

「どうし…………」

 

 た、とは続くことはなかった。何故なら、十六夜の口は八神によって塞がれていたからである。

 

「お、おやすみ……」

「八神……顔真っ赤」

「う、うるさい!早く寝ろバカ!」

「はいはい」

 

 そう言って今度こそ歩き出す十六夜……

 

「好きだよ、八神」

 

 そして、食堂から出る直前にそう呟いた。

 

「~~~っ!」

 

 その言葉によって更に顔を紅く染める八神が残るのだった。

 

(平静を装ってたけど……オレも紅くなってるんだろうな……というかうちの彼女可愛過ぎないか?)

 

 この後、パーティーから帰ってきた円堂たちが、十六夜が既に就寝していることを聞かされ、あまりの自由さに頭を抱えることになるのだが、当然本人は知らない。




まさか、ナイツオブクイーンのパーティーを蹴る主人公が居るなんてな……円堂さんですら、サッカーをやめてパーティーに行ったんだぞ……!?

次回、『ペナルティーと約束』
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