超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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最近は何をしていても院での研究が頭から離れない……そんな院生です。

ちなみに【推しの子】にはまりました。
いやぁ……1話見るごとにどんどん沼へ沈み込む感覚がしますね。沈み込んで行ってこの前【推しの子】を11巻まで全部購入しましたが。……あれは書店バイトの友人が再版が来ることとすぐになくなるだろうってことを教えてくれたおかげですね。そのお陰で見かけて数分で購入を決めましたが。

では、ナイツオブクイーン戦……何も問題が起きないといいですが。


VSナイツオブクイーン ~戦場(ステージ)の差~

『あぁっと!強烈なシュートを正面から受けた壁山!立ち上がることが出来ません!』

『大丈夫でしょうか?エドガー選手の必殺シュートを真正面から喰らっていますからね……』

 

「壁山!大丈夫か!?」

 

 駆け寄るオレたち。オレと円堂が起き上がらせるが、立つことは出来ない……相当のダメージをもらってしまったようだ。

 

「マジで助かった。お前の粘りがなきゃ、決められていた」

「根性あるな、お前」

「イナズマジャパンの失点は俺たちだけの失点じゃないッスから……!」

「……っ」

 

 その言葉はエドガーに触発されたのだろう。あの言葉が響いたのはオレだけじゃなかったようだ。…………最も、響き方は違うだろうが。

 

「選手交代だ」

 

 久遠監督が選手交代を指示する。怪我をした壁山、そして綱海を下げ、代わりに入るのは染岡と栗松か。

 

「ゆっくり休んでろ、壁山。お前の働き、無駄にしねぇよ」

「お願いするッス、十六夜さん」

「俺の分も頼むぜ!十六夜!」

「任せろ」

 

 綱海と共に壁山に肩を貸してなんとかベンチまで運ぶ。

 

「十六夜」

「はい」

「ポジションを無視していい。やるべきことをやれ」

「分かりました」

 

 ベンチに行くと監督に声をかけられる。エドガーのシュートレンジ……相手ゴール前から撃たれるヤツにディフェンダーのオレが釣り出されるわけにはいかない……そうやっているとさっきみたいな相手ゴール前からのシュートに反応が遅れる。だから、監督はポジションを無視してもいいって言ったんだろう。

 

「染岡……お前って点取る自信あるか?」

「ああ!もちろんだ!」

「良い返事だストライカー。豪炎寺もちょっといいか?」

 

 鬼道が栗松と風丸を呼んで話している中、オレは染岡と豪炎寺と話をする。

 

「行けるか?」

「お前は突拍子もないことを言うな……」

「オレの頭と技術がありゃ行けるはずだ」

「上等じゃねぇか!やろうぜ、十六夜!」

「まぁ、使わずに済むかもな」

「済めばそれでいいんだよ」

 

 そのまま話が終わると円堂の方へ向かう。

 

「円堂ーこっから相手のシュート増えるけど頼むわ」

「おう……」

「どうした?」

「エドガーのシュート……どうやったら止められるのかな……って」

「分からん」

「えぇ!?は、早くないか?もう少しこう考えたりとか……」

「悪いけど、必殺シュートを止める方法なんてよく分からない。真正面からパワーで対抗ぐらいしか出てこねぇしな」

「でも……アイツのシュートのパワーに正面からは……」

「オレに出来ることは出来る限りアイツに撃たせないようにすること。そして、撃たれてもほんの少しパワーを削り、時間を稼ぐことだけだ」

「な、なるほど……」

「思い切りやってくれよ、キャプテン。失敗して、失点したとしてもオレたちが取り返す。それがお前の言うチームってヤツなんだろ?全力でやったヤツの失敗を責める人間なんていねぇ……それがお前の率いるチームだろ?」

「思い切り……分かった。任せたぞ、十六夜」

「背中は預けたわ」

 

 ポジションにつき、試合が再開する。ボールは鬼道が持っていた。それを見て相手は陣形を変え、アブソリュートナイツの体勢に入った。

 

「風丸!栗松!」

「おう!」

「はいでヤンス!」

 

 鬼道は2人を呼ぶ。すると、前から鬼道、風丸、栗松と一直線に並んで攻めていく。……なんだあの布陣は?

 

「……あーそういうこと」

 

 アブソリュートナイツが発動し、次々とプレスに来る……が、3人は、相手選手が来たらすぐ横へパスを出している。そして、パスを出したヤツは最後尾に移動して……

 

「アブソリュートナイツの連続プレスに対抗して、こっちもボールを持っているやつをその場その場で変えている……パスでの突破を基本としているってことか」

 

 それなら高い技術を必要としない。個人技での突破ではなく、連携で突破していく……これなら取られるリスクも少ない。

 

「流石は鬼道だな。同じ必殺タクティクスでも、視点が違うと破る手段が違うか」

「まぼろしドリブル!」

 

 栗松の必殺技で最後のディフェンスを突破し……

 

「イザヨイ以外にも破れた……か。少々イナズマジャパンを過小評価していたようだ」

「あぁっ!?」

 

 そのディフェンスの陰から現れたエドガーによって、ボールを奪われてしまった。 

 

「なるほどねぇ。オレも同じ潰し方を思い描いていたよ」

「幻の4人目……というわけですか」

「お前こそ幻の6人目してたろ。相手の必殺タクティクスを破ったと思う、油断が襲ってくる瞬間を狩る。オレが単独で破ったから警戒していたか?」

「無策で突っ込む愚者はいないと思って、念の為警戒していただけだよ」

「ディフェンス!十六夜が時間を稼いでいる間に戻れ!」

 

 鬼道の指示で、守備へと切り替えている。その間に……

 

「やっぱ、すげぇなおい」

「キミこそ、中々の守備力だ」

 

 エドガーとのマッチアップ。さぁ、()り合おうじゃねぇか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?十六夜さん、いつの間に……?」

 

 アブソリュートナイツを崩したタイミングでのエドガーの乱入……そして、エドガーに取られたのも束の間、十六夜がブロックに行っていた。

 

「よく見ているねぇ、あのペンギンは」

「どういうことですか?」

「十六夜は鬼道クンがアブソリュートナイツを破る手を打ったのは分かってた。アブソリュートナイツを破ろうとする鬼道クンたち……フィールドの選手は彼らに釘付けになった。そんな中、エドガーはただ1人、鬼道クンたちがアブソリュートナイツを破ると考え、破られた時のフォローに走り、その動きを見ていた十六夜がエドガーに取られる未来を読んで、走り出していた」

「つまり……突破されることを読んでいたエドガーと、そのエドガーに奪われることを読んでいたから一瞬で追いついたと……」

 

 そんな不動の解説を聞きながら、エドガーとの1対1を見る……が、

 

「い、十六夜さんが……まだ奪えてないッス……!」

 

 余裕がない……いつもとは違って、エドガーのプレーに紙一重でついて行っている状況。エドガーのドリブル技術はかなり高い……今までの相手とは格が違う。

 

「レベルが高過ぎる……!」

 

 アジアの猛者ですら、純粋な技術のみで十六夜をここまで追い詰めることはなかった。必殺技を使わない技術も優れている……これが、本物の世界トップレベル。

 十六夜綾人という選手は間違いなく日本トップクラス。それなのに世界を見れば、そのレベルを超える者は何人も居る……か。

 

「だが、十六夜は仕事を果たしている」

「確かにな。アレならエクスカリバーを撃つ隙はねぇ」

 

 紙一重でついて行っている……余裕はないが振り切られていない。十六夜自身もそういう守備に切り替えたのだろう。奪いに行くのではなく、突破させないことに重きを置いている。シュートを撃つ隙を与えない守備……か。

 

「支えるでヤンス!」

 

 そんな勝負……十六夜を助けるために栗松が割って入ろうとする。

 

「……この程度か」

「クソッ!」

 

 エドガーがすかさず栗松の前へと移動する。十六夜もついて行くが、エドガーとの間に栗松が挟まれている状態になる。そして、エドガーはそのまま大きくバックパスを出した。

 

「遅らせろ!」

 

 エドガーの動き出しが見えず、2歩も3歩も遅れてしまう十六夜。しかも、栗松を避けるために、更に遅れてしまう。

 ボールは相手のキーパーの足下に収まる。そこに迷わず走り込むエドガーと遅れて走り出す十六夜。

 

「ッチ……!邪魔……!」

 

 しかも、最短ルートで走り込もうにも他の選手が立ちはだかる。走行妨害……その選手を避けるための1歩が、回り込むその1秒が更にエドガーとの差を拡げる。

 

「エクスカリバー!」

 

 そして、エドガーがいち早く自身のゴール前へと辿り着く。そのままキーパーからボールを受け取るとシュートを放つ。

 

「皇帝ペンギン1号!」

 

 シュートを撃たせないことは不可能だと悟り、シュートコースに割って入る……が、それでもアイギス・ペンギンを放つ余裕はなく皇帝ペンギン1号でブロックするも、吹き飛ばされてしまう。

 

「うぉおおおおお!真空魔!」

「スーパーしこふみ!」

 

 飛鷹と土方がシュートブロックを試みるも止められない。

 

「いかりのてっつい!」

 

 円堂のいかりのてっついが炸裂。だが……

 

『エドガーが追加点を決めたぁ!これで2-0!ナイツオブクイーン!イナズマジャパンを突き放す1点を決めたぞぉ!』

 

 ボールはゴールへと刺さり、点が決まってしまった。

 

「イザヨイアヤト。キミの技術は素晴らしい。私に啖呵を切るだけのことはある……だからこそ、残念だよ。いや、哀れとも言うべきか……キミは仲間に恵まれていないようだね」

「うるせぇ。テメェとの1対1(サシ)での勝負、邪魔される可能性を考慮出来なかったオレが悪い。次はねぇよ」

「……フフッ。そうですか。……まぁ、キミの言うお仲間は足を引っ張った事実にさえ気付かないでしょうね。キミが私に負けた……残るのはそれだけでしょう」

「…………どうにも、オレをキレさせたいようだな……テメェは」

「そんな狙いはありませんよ。でも、こんな雑談で熱くなってるようじゃまだまだですね」

「雑談?トラッシュトークの間違いだろ?」

「いいえ、雑談ですよ。だって、()()をお伝えしているだけですから」

「……そうかよ」

 

 十六夜とエドガーが何かを話しているようだが、よくは聞こえなかった。十六夜は豪炎寺と染岡のもとへ行くと、一言二言話してポジションにつく。

 

「まさか、あの十六夜くんがやられて点を取られるとは……」

「ハッ、お前は何を見ていたんだよ」

「で、でも、十六夜くんが()()()()誰かと協力していれば……」

「お前は選手(プレイヤー)じゃねぇからそんなことが言えるんだよ……お前の言う協力は十六夜からすりゃ足を引っ張る行為以外の何でもねぇんだよ」

「なっ……!」

「……格が違う……立っている、戦っている戦場が違うことを理解出来ていないヤツとは協力もクソもねぇよ」

 

 イナズマジャパンボールで試合再開。ボールは鬼道から風丸に渡り……

 

「虎丸!」

 

 虎丸へとパスが出る。だが、そのインターセプトしようと割って入る陰が……

 

「こんなパスじゃ通ら……なっ!?」

 

 相手選手がパスカットをしようと割って入った……が、その前に割って入った陰が1つ。

 

「反応しろよ、ストライカー共?」

 

 足を振り抜き、ボールに強烈な縦回転を加えながら、ボールは割って入った相手ディフェンスと虎丸の頭上を駆け上っていく。独断でのパスルートの変更……そんなことをされては、パスをカットされなかっただけで、誰にも取れない……

 

「流石だ十六夜」

「だろ?豪炎寺」

 

 そのパスに反応したのは豪炎寺だった。跳び上がって、そのままシュート体勢に入る。……しかし、

 

「面白い……ですが、これで突破できたと思ってもらっては困ります」

「エドガーだと!?」

 

 同時に跳び上がっていたのはエドガー……まさか、十六夜の動き出しを見て読んでいたというのか?これでは折角の奇策も無意味に……

 

「あーストライカー共って言わなかったっけ?」

 

 そんなことを言いながら十六夜は走り出していた……豪炎寺たちとは逆サイドへと。このままではエドガーに取られるかもしれないと言うのに……

 

「……っ!?」

「もう遅い……決めろ!染岡!」

 

 豪炎寺から中央へと走る染岡へとパスを出した。豪炎寺がエドガーを引きつけ、残りのディフェンスを十六夜が引き受ける……それぞれがサイドへと引きつけ、中央には隙が生まれていた。そして、その隙に気付いたとき……誰もが両サイドばかりを見ていた中、ただ1人中央を走っていた男がボールを受け取り、キーパーと1対1になっていた。

 

「ドラゴンスレイヤー!」

 

 染岡の後ろに現れたドラゴンは、彼の必殺技であるワイバーンクラッシュの時のドラゴンよりも強そうな見た目をしている。そのドラゴンのブレスがボールと共にゴールへ向かっていく。

 

「あぁ……!」

 

 キーパーは豪炎寺と十六夜を警戒していたために、そのシュートに反応できない。手を伸ばそうとするも、ボールに触れることは出来ず、ゴールへと刺さった。

 

『ゴール!イナズマジャパン!リスタートと同時に、十六夜と豪炎寺のサポートを受け、染岡が決めました!2-1です!』

『この試合から参戦した染岡選手ですが、素晴らしい必殺シュートを持っていますね』

 

「よっしゃあああああ!」

 

 1-2……ゴールをこじ開けた染岡。フィールドでは彼が喜びを表し、吼えている。

 

「アレが染岡の新しい必殺技か……!」

「ああ!アイツの諦めない心が実を結んだんだ!」

「すげぇなおい!」

 

 喜びを表す面々の中、十六夜は豪炎寺、鬼道と話していた。

 

「敵を騙すにはまず味方から……お前への警戒を利用したのか」

「まぁな。ナイツオブクイーンがパスコースを読めていても、オレが勝手に変えてしまえば関係ない。その先に居た豪炎寺が撃てればよし。読まれていて、エドガーが引っかかればよしの二段構えの戦略だ」

「よく反応できたな、豪炎寺」

「事前に聞かされていたからな。コイツなら見えていただろうって思ってな」

「いい動き出しだった。お陰で完全に騙せた」

「お礼なら染岡にもな。アイツのシュート力がなければ成立しなかったんだ」

「って十六夜さん!俺もストライカーですよ!これじゃあ、イナズマジャパンのストライカーが豪炎寺さんと染岡さんみたいじゃないですか」

「忘れてねぇって。1人止められたら2人目、3人目……向こうと違って、点を決める手段はいくらでもある」

「よし、前半残り僅かだ。気を引き締めるぞ」

 

 得点を決めたイナズマジャパンに対し、ナイツオブクイーンは5人の選手を一気に交代する。それに合わせてフォーメーションも見たことのないような、中央に人数を集めるものになっていた。わざわざこのタイミングで仕掛けて来た……おそらく、前半最後に何かをするつもりなのだろう。

 ナイツオブクイーンのキックオフで試合再開。そして、恐れていた事態はすぐに起きてしまった。

 

「無敵の槍!」

 

 ボールを持つエドガー。そんな彼の前に1人。斜め後ろにそれぞれ1人の3人の選手が彼を守るようにして突き進んでくる。

 

「止めるんだ!」

 

 プレスに行った鬼道と土方を吹き飛ばす。……槍……圧倒的な貫通力で、無理やりゴールまでの道をこじ開けるつもりか?

 

「いかせねぇ!アイギス・ペンギンV2!」

 

 栗松、飛鷹も吹き飛ばされてしまった中、普通のブロックじゃ止められないと判断し、十六夜は必殺技を使って対抗する。

 

「クッ……だが勢いはこれで……!」

 

 盾にはヒビが入っていく。だが、向こうの貫通力も徐々に収まっていった。

 

「これなら止められます!」

 

 このまま止められる……私たちがそう思ったとき、

 

「構えろ円堂!来るぞ!」

 

 十六夜の焦った声が響く。来るだと?一体……

 

「よく気付いた!だが遅い!」

 

 無敵の槍……その中央に居たエドガーが十六夜の頭上を飛び越し通過する。そうか……!十六夜が止めているのは槍の先端……ボール保持者じゃない……!

 

「パラディンストライク!」

 

 ボールに対し、つま先でシュートをするエドガー。エクスカリバーは距離があればあるほど威力の上がる技。近距離で打つには向いていない……ここまで近距離から打てるシュートを隠していたというのか……!

 

「いかりのてっつい!」

 

 いかりのてっついでシュートを止めようとする……だが、それでは止まらず、円堂を吹き飛ばしてボールはゴールの中に刺さった。

 

「無敵の槍を止めるとは恐れ入ったよ、イザヨイ」

「お前を止められなかった時点で意味ねぇだろ、エドガー」

「勝利は私たちのものだ」

「気が早過ぎだろ。最後に勝つのはオレたちだ」

 

 ピ、ピー

 

 前半終了のホイッスルが鳴り響く……1-3で2点ビハインドでの折り返し……か。

 

『ここで前半終了!ナイツオブクイーンの必殺タクティクス、無敵の槍からのエドガーのシュートが刺さった!3-1!前半終了間際に重い1点が入りました!』

『しかも、これでエドガー選手がハットトリック達成ですね。後半も彼のプレーには注目したいところ。そして、再び2点差に拡げられたイナズマジャパン、十六夜選手の反撃も楽しみにしたいですね』

『では、前半の振り返りをしていきましょう』

 

 そのままベンチへと戻ってくるイナズマジャパンの面々。その表情は暗かった。ハーフタイムは控え室へと移動すると言うことで移動していく……

 

「悪い、無敵の槍を止められなかった」

「気にするな」

「次は止める……任せろ」

「策はあるのか?」

「一応な」

「そうか……頼りにしているぞ」

 

 鬼道と話を終えて、こちらへとやってくる十六夜。

 

「ほら、ドリンクだ」

「ありがと」

 

 十六夜にドリンクを受け渡す。

 

「どうだ?世界は」

「やっぱ、凄ぇわ……でも、負けていられねぇよ」

「目は死んでないようだな」

「ああ、次は勝つ」

 

 ドリンクを返してきたので受け取る。

 

「……悪い。ちょっと考えたいから外出る」

「そうか」

 

 そのまま控室ではなく、外へと出て行く十六夜。

 

「ミーティングを始める」

 

 遅れてやってきた円堂も揃い、十六夜以外が揃ったタイミングで監督は声をかける。十六夜がいないのを気にしない様子だが、一言断ってから行ったのだろう……多分。

 

「これ以上の失点は許されない。後半はボールをキープし、常に動かし続けろ。分かったな?」

「え?そんなこと出来るんですか?」

「出来るかではない、やるんだ。鬼道、そして不動。お前たちがコントロールしろ。後半はお前たち2人が司令塔だ。同時にピッチに居る意味を考えてプレーしろ」

 

 2人の司令塔によって……か。確かに、十六夜は司令塔ではないからな。

 

「後半はメンバーを入れ替える……」

 

 飛鷹、土方、風丸の3人をベンチに下げ、不動、佐久間、木暮を投入する。ナイツオブクイーンもイナズマジャパンも既に交代枠を5枠も消費している……全員で勝ちに行くということだろうか。

 

「監督、エドガーはどうするんですか?」

 

 3失点は全てエドガーによるもの。エドガーをどうにかすれば、失点は防げるだろう。

 

「ナイツオブクイーンの中で一番脅威的なのはエドガー……彼をどうするか、それが守備でのカギになるね」

「で、でも十六夜さんでも勝てない相手ッスよ……?」

「じゃあ、エドガーに2人マークをつけるとか?」

 

 ただ、エドガーをどうするか……具体的な策が思いつかない。彼を封じればいいが、他を無視することも出来ないし、人数も多くは割けない。

 

「ただいま、戻りました」

 

 そんな中、十六夜が戻ってくる。

 

「監督、エドガーの相手はオレ1人にやらせてください」

 

 そして、戻ってきたと同時にそんなことを言ってのけた。

 

「…………」

「そ、そんな無謀でヤンスよ……!」

「そうですよ!1人じゃ勝てなかったんですよ!」

「2点目の失点を忘れたんですか!?」

「せめて、十六夜先輩と誰か……」

「……お前の意図を聞かせろ」

「現状、イナズマジャパンのメンバーでアイツを押さえる役としての適任は、オレしかいないと思っています。……だからオレ1人で相手する」

「それでも誰かと一緒なら……!」

「それしかないだろ」

「ああ、賛成だ」

 

 十六夜に賛同したのは鬼道と不動、豪炎寺も頷いて賛同の意を示す。

 

「でも、1人じゃ……」

「逆だろ。コイツは1人じゃないと意味がねぇ。俺たちじゃ足手纏いなんだよ」

「あ、足手纏いって……」

「不動の言う通りだ。十六夜ともう1人つけるって話だが、誰がついても、そいつが十六夜の足を引っ張って隙をつくってしまう。……イナズマジャパンの中に十六夜と肩を並べ、対等に組める選手はいない。だから十六夜1人の方が勝算がある」

「でも……それで前半失点して……」

「お前らが不安に感じる要素である2点目の失点。アレは十六夜のせいじゃねぇ。どう考えても栗松が悪い」

「お、俺……?」

「お前が十六夜がやられる隙を作った。助けるためにって思ってたんだろうが、少なくとも、あのタイミングでの割り込みは十六夜にとっての邪魔以外の何でもねぇ。自分たちと十六夜たちとの差を理解出来てないんだよ」

「不動、言い過ぎだ」

「へいへい」

 

 無自覚だからこそ、良かれと思ってやったからこそ、突き刺さるものがある。目に見えて落ち込んだ様子の栗松を1年生組が元気づける。

 

「過ぎたことを言っても仕方ねぇよ。とりあえず、いいですよね?監督」

「元よりそのつもりだ」

「ナイツオブクイーンは、良くも悪くもうちと近い……いや、うちよりひでぇ。ぶっ壊すカギはエドガーだ。アイツさえ潰せば、あのチームは機能停止に追い込める」

 

 そう言って、十六夜は身体動かしてくると言って出て行く。あの男は何というか、自由だな。ただまぁ……

 

「十六夜なりの覚悟……か。この試合のカギを握るのは俺たちのようだな」

「どういうことですか?」

「十六夜が1人でエドガーを止める。俺たちが動きやすいように、相手の猛者(エース)をウチの最強(エース)が潰すって宣言してるんだ。……立っている次元がちげぇんだよ。俺たちの立っている場所と、エドガーと十六夜の立っている場所は」

「だからこそ、十六夜はエドガーを封殺することに注力する。俺たち10人が3点以上取れるかどうか……それがカギだ」

「ある意味、ファイアードラゴン戦から考え方が成長したんだね。自分が点を取る役目に回って、エドガーを放置すれば、逆転することが出来ない……それが分かって、自分が点を取ることを捨てる選択を選んだ。もっとも、隙さえあれば撃つだろうけど」

 

 口調とか雰囲気とかはアレだが、チームが勝つために尽くそうとしているのは間違いないか。

 

「ハッ、そもそも点を取るのは俺たちストライカーの役目だっての。後半はガンガン点を取っていくぞ、豪炎寺」

「だーかーら!俺を忘れないで下さいよ!俺だって、染岡さんに負けない必殺技があるんですからね!」

「それから円堂。いくら十六夜がエドガーを押さえてくれても、ヤツのシュート全てを防げるとは限らない。それに、他の選手のシュート数も増えるだろう。ゴールを守れるかはお前にかかっているぞ」

「ああ……」

 

 エドガーの嫌なところ(武器の1つ)は相手ゴール前からでもシュートが撃てること……突破されなければいいって話じゃないことだ。どこでボールを貰ってもシュートを撃たれるリスクがある。

 ……十六夜が世界トップレベル相手にどう戦うか。そして、世界レベルのシュートに円堂がどう対抗するか……予選と本戦ではレベルがまるで違うな。

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