超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

166 / 254
 この話はわりとこの作品独自の設定が多いです。もし、過去の話と矛盾していたら教えてください。
 そして、久々に1万字超えましたね。


評価と証明

 メハトと別れ、買い物をしてからイナズマジャパンの宿舎に帰る。円堂との勝負をして、夕食を食べたところで久遠監督に呼び出された。

 

「何でしょうか?」

「お前にお客だ」

 

 若い男の人がスーツを着て会釈をする。……えっと……誰?どちら様?

 

「イザヨイアヤト選手をスカウトしに来ました」

「…………はい?」

 

 スカウト?え?どういうこと?そう久遠監督に目線を向けると……

 

「すみませんが、彼にも最初から説明をした方がよろしいかと」

「おっと、すみません」

 

 どうぞ、と言って向かい合うようにソファに腰掛ける。

 

「彼はヨーロッパのとある国の人だ。……早い話、その国のプロリーグからスカウトが来たわけだ」

「ワタシの国も、日本同様このFFIに参加しました……が予選敗退。本戦には出られなかったんです」

「ヨーロッパ……イギリス、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ……10カ国中5カ国がヨーロッパの国々ですよね。……枠が多い分、世界で見れば強豪揃いだったと」

 

 というか、枠が多過ぎじゃね?確かに国の数もそこそこあるけど……それにしてはアジアが1に対して多いような……まぁ、参加した国がそもそも多いのだろう。アジア予選なんて8ヶ国だけだったし。それに全体的なレベルも高いんだろうな。

 

「えぇ……ワタシの国のチームはイギリスとあたり、完敗しました。特にエドガー選手には一切手も足も出ませんでしたね。ワタシの国でもサッカーは人気スポーツの1つでしてね。このFFIには国民も期待したんですが……結果は予選敗退。せめて、自分たちを降したイギリスが優勝してもらおう……応援するつもりであなたたち日本との試合を見させてもらいました」

「なるほど……じゃあ、日本が勝って残念だったんじゃ?」

「もちろん、そういう声も少なくありません。ですが、それ以上に我々が勝てなかったイギリスを降したあなたたちを賞賛する声が多かったですよ。ワタシもその内の1人です。特に、イザヨイ選手……あなたのプレーには私も目を奪われました。エドガー選手と1対1でも渡り合うだけの実力を持っていて……」

「それは言い過ぎですよ。まだまだエドガーには及びません」

「あなたはそう思っているかもしれません。ですが、あの試合を見た者からすれば、あなたとエドガー選手は互角……同等だと思います」

 

 なんというか……まぁ、よくあることか。自分の評価と他者の評価の食い違いは。

 

「もし可能ならワタシはあなたをスカウトしたい。そう考えております」

「つまり、あなたの国でサッカーする……と?」

「正確に言うなら、FFI終了後……あなたが中学校を卒業と同時に、ワタシのチームに正式に所属していただき、選手として活躍してもらいたいと考えています」

「……なるほど」

「ワタシのクラブのオーナーも先の試合はご覧になりました。是非、ワタシのクラブに力を貸して欲しい……と」

 

 現実味がない話……何処かそう感じてしまっている自分がいる。前世ではこんなこと想像できただろうか?将来の夢がプロになる……そう思った矢先にスカウトされるなんて出来事……

 

「と、あまり前のめりに話しても仕方ないですね。そうですね……イザヨイ選手なりに、エドガー選手との差は何だと思いますか?エドガー選手には及ばないとおっしゃっていましたが」

「そうですね……いくつかありますが、一番はポジショニングですかね」

「と言いますと?」

「もちろん、エドガーの最大の武器は長距離から放つシュート……文字通り、フィールド全体が彼にとってはシュートレンジになっています」

「そうですね……確かに彼の必殺技であるエクスカリバー……距離が離れれば離れるほど威力の上がるシュートは強力です。彼ほどのシュートレンジを持つ選手はプロでも珍しいでしょう」

「えぇ、だから彼を相手するチームは、彼にボールを持たせない立ち回りを強いられます。実際、マンツーマンでマークし、何度もマッチアップして分かりますが……彼の動きは守備も攻撃も、味方や相手の位置を常に把握している。そして、上手く立ち回っている」

「上手く……とは?」

「正確な表現ではないかもしれませんが……彼は消えるのが上手い。常に意識しないといけない相手なはずなのに、気付けば思いもよらぬ位置でボールをもらっている。或いは守備に貢献しています。……フィールドに居る選手は試合中、特定の選手だけを注目し続けるなんて不可能。ボール、味方、他の相手……見るべき対象は他にもある。……彼は、そう言った相手の視線や注意がどこに向けられているか理解し、それらが薄い場所にポジショニングしている。だから、彼にボールを持たせないようにするのが難しい」

「そうですね……イギリスの試合を見る限り、予選においても『エドガー選手にボールを持たせない』……そう掲げても、気付けばボールは彼の手に渡っている。言うなれば、彼は何処で貰っても打てる武器を最大限発揮するために、ポジショニングを常に意識している。彼の行動の1つ1つに意味がある」

「そして、時にはそれらを囮に、釣りにしてくる。あそこまでのポジショニングはオレには明確に出来ていない点ではありますね」

「なるほど……実に冷静な分析だと思います。どんなに得点能力に長けた選手でも、ポジショニング……その選手の位置や動きが悪ければボールを貰えず、得点は叶いません。それをしっかり理解している……だからこそ、イザヨイ選手は彼を見失わずに警戒できた。試合中にしっかり対応できていましたよ」

「そうですかね……」

「えぇ。それに、イザヨイ選手はエドガー選手との1対1でも遅れを取っていませんでした。試合の終盤になるにつれ、エドガー選手とイザヨイ選手の間に差は無かったように思えます」

「まぁなんて言うか……後半の途中から不思議な感覚があったんです。何というか、全体の動きがゆっくりに見えたというか……」

「……ほぅ?フロー……あるいはゾーンに入ったってことでしょうか」

「フロー?ゾーン?」

 

 何か聞き覚えのある単語だが……昔、何処かで聞いたっけ?うん……何か聞き覚えあるんだよな……

 

「簡単に言うと、最高に集中している状態がフロー。その上の極限の集中状態がゾーン……ってワタシは認識しています。まぁ、同じようなものだと思って構いませんよ」

「はぁ……必殺技みたいなものですか?」

「いいえ、違いますよ。その選手がその場に置いて、自身の最適な目標に向かい、雑念が一切無い集中できている状態のことです。自身のパフォーマンスを最大限発揮出来ている状態ですよ」

「……もう少し詳しく教えて欲しいですね。具体的に最適な目標とは何でしょうか?」

「そうですね……心理学においての話がありますが、簡潔にまとめるのであれば、挑戦……目標のレベルと、自身の持つスキルのレベルが双方高い状態にあることでしょうか?自分の持つスキルレベルから高過ぎず、低過ぎない目標を掲げているということですかね」

「自分の持っているものと、挑戦したいことのレベルの差……」

「えぇ。例えばイザヨイ選手。イザヨイ選手にとって、アジア予選はどうでしたか?昨日の試合の後、イナズマジャパンの予選の様子をクドウ監督に頼んでビデオでいただき、拝見させてもらいましたが……例えば、ビッグウェイブス戦やデザートライオン戦。君は退屈ではなかったですか?勝っても特に感動はなかったのではないですか?」

「そうですね」

「それは君のレベルに対し、彼らに勝つという目標が低すぎた為に起きたこと。イナズマジャパンにとっては最適な、高い目標でも、君にとっては低い目標……挑戦の難易度がイージーだった。逆に考えましょう。例えば次の試合……あなた方はアルゼンチン、ジ・エンパイアと当たります。彼らとの試合で君がハットトリックを決めるという目標を立てたとしましょう。どう思いますか?」

「……テレス・トルーエを相手に……ですか。率直に言って無理……そう思ってしまいますね」

「その感覚で正しいんです。挑戦したいことのレベルを高く設定しすぎると、今みたいに不安が勝る。心の底から、達成できると信じられる目標でなければ、フローには入れません」

「……つまり、挑戦の難易度をハードにするのがベスト……ということか。余裕には達成できない。でも、達成できると心から信じられる目標」

「えぇ。君にとってあの瞬間『エドガー選手に勝つ』というのがベストな目標設定で、それを心の底から願い、寧ろそれ以外には要らないとさえ思っていた。だから、フローに入れたんだと思います」

「……なるほど」

「えぇ。ですが、気を付けて欲しい点が1点。フロー、あるいはゾーンの感触に味を占めないことです」

「というと?」

「フローやゾーン状態においては、無敵とさえ思う感覚がある……入れるはずだ、入りさえすれば勝てる、あの素晴らしい感覚をもう一度……そういう邪なものは集中するための妨げになるんです」

「……分かりました」

「大事なのは、その都度その都度で、何を挑戦の目標にするのか。どんな目標なら、君自身が心の底から達成したいと思い、雑念や邪念を捨てて立ち向かえるのか……と、ごめんなさい。語りすぎましたかね?」

「いいえ、ありがとうございます」

「クドウ監督も、出しゃばってしまいすみません」

「いえ、十六夜にとってとても有意義なお話だったかと思います。流石は、トップチームを指導するコーチ……プロ選手を見ている方です」

 

 なるほど……確かに、この人はサッカーを知っている。スカウト専門じゃなくて、実際に指導している側だと言われれば納得だ。

 

「今日はこの辺りで。昨日の激闘を経て、イザヨイ選手もお疲れでしょう。またお話出来たら嬉しく感じます。では」

 

 そう言って立ち上がり、出て行こうとする。

 

「今回の話、凄く為になりました。それに、スカウトの話もありがとうございます」

「いえいえ。……一応、お伝えしておくとイザヨイ選手には多くの選択肢があります。もし、日本が勝ち進めば、間違いなくキミの存在を欲しがるクラブは多数出てくるでしょう。あくまで、ワタシたちが1番早かっただけ……だから、スカウトを受けるかどうかのお話はすぐに決めなくて大丈夫ですよ」

「……お気遣い感謝します。そして、改めてありがとうございます。……オレは今の実力で満足するつもりはありません。オレはエドガーより弱い。世界トップレベルの奴らからすればまだ足下レベルです」

「そこまで卑下する必要は……」

「だから、もっと強くなります。アイツらを超える選手になる……まだまだオレの実力はこんなものじゃないって証明して見せます」

「……驕りもなく、向上心もある……ですか。えぇ、是非見せてください。イザヨイ選手の挑戦を」

「はい!」

 

 そして、部屋から出て行く。

 

「……大きく出たな」

「さっきまでの話の通り、オレの実力はまだまだ。それはエドガーと戦って一番感じたことです。……評価されたのは嬉しいんですが、アレで満足されては困ります。それに……あの試合はナイツオブクイーン相手だから勝てた試合です」

「ほぅ」

「エドガー以外が弱い。エドガー頼りのワンマンチームだったから勝てました。……アメリカやイタリアにはああいう戦術は取れませんから」

「……なるほどな」

「でも、心配していませんよ。寧ろ初戦がナイツオブクイーンでよかったです。オレが信じるって決めた彼らならあの試合を正しく糧にしてくれる……そう思っていますから」

「そうか。ちなみに話は戻るが、十六夜。このFFIでは予選の段階で既にイナズマジャパンのメンバーには、日本の各クラブチームからかなりのオファーを受けているぞ。高校入学と同時に来て欲しい、FFI終了次第実際に会って話をしたい……って感じでな」

「あれ?そうなんですね。……え?もしかして、いつものオレだけ知らなかったパターンですか?」

「いや、お前以外には誰にも伝えてない」

 

 おっと、今回はオレしか知らないパターンでしたか。

 

「へぇ……何でって思いましたが伝えると面倒なことが起きる可能性があるからですかね」

「その面倒なこととはなんだ?」

「具体的には、オファーを受けた受けていないによる格差が生じること。それが、チーム内に不和をもたらす要因になりかねないこと。また、相手に勝つためではなく、目立ってオファーをもらうためのプレーをしてしまう可能性があるから……でしょうかね」

「概ね正解だ。お前以外のメンバーにはFFIが終わり次第、落ち着いたら伝える予定だ」

「分かりました。他言無用で行きますね」

「そうして欲しい」

「ちなみにですが、日本のクラブからのオファーって一番多いのは円堂ですか?」

「察しが良いな。次点で鬼道、豪炎寺、吹雪と言った面々が続いてる」

「へぇ……」

「ちなみにお前はオファー数で言えば、イナズマジャパンの中では中の下ぐらいだ」

「あれ?意外とあるんですね」

「……お前は本当に中学生か?」

 

 え?何でそうなりました?

 

「……お前の実績を考えれば、普通は自分が1番でもおかしくないって思うと思ったんだが……」

「そうですか?……だって、クラブチームからすれば、自分たちに欲しい人材にオファーをするんですよね?」

「そうだな」

「だったら、オレにはほとんど来ないですよ。だって、オレほど扱いにくい選手は居ないでしょうし」

「…………まぁ、私もお前の力を発揮できているかと聞かれれば答えに困るしな」

「強くても自分たちが扱えないんじゃ意味が無い……だからオファーには期待してないです。それに、この先もアピールする気はないですよ。オレはオレのプレーを貫きます。今欲しいのはオファーより世界一の座……目の前の凄いヤツらと戦って勝つことだけです。ああ、もちろん、こんなオレを高く評価してもらえること自体はすげぇ嬉しいですけどね」

 

 合わないなら見限ってもらった方が良い……その方が絶対に互いのためになる。少なくとも、オレはお利口な選手にはなれる気がしないから。

 

「そうか」

「ああ、そうだ監督。ある許可が欲しいんです」

「許可だと?」

「はい。実は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久遠監督との話も終えて、風呂に入って寝ようとしたところで……

 

「何でオレは呼び出されてるんだろうか……」

 

 オレはボスに呼び出され、2回目となるペンギンの世界へやって来た。

 

『おぉ、綾人。来てくれたな』

「いや、アレを断ること出来ないんだけど?断る手段があるなら教えてくれない?」

『うーむ……知らないな!』

「その反応は知ってるなこの野郎……で?ボスがお出迎え……はいいんだけど、呼び出してどうした?」

 

 あたりを見るとボス以外にペンギンの姿はない。……というか、なんだこの遺跡っぽいの……

 

『今日、妹とも会っただろう?』

「まぁな。使役者のメハトと一緒に会った」

『そこで疑問に思わなかったか?』

「いや、疑問だらけだけど?でも、もう面倒だからいいかなって……」

『ということで』

「聞けよ」

『お前の疑問を解決するために、ここに呼び出したのだ』

「はぁ……」

 

 と言っても、何か壁に絵が書いてあるだけで……いや、分からんが?というか、サッカーと関係あるか?

 

『まず、前に呼び出したときのことを訂正させて欲しい。歴代のペンギン使いで我を呼び出せなかったって話は嘘だ』

「……嘘?じゃあ、過去にはお前を使役していたヤツが居るって事か?」

『ああ。そして、我が兄弟の特異性に繋がるんだが……我が家系のペンギンたちは、綾人たちの世界に強大な「器」と「特異性」を持っている人間と共に産まれるんだ』

「えーっと……」

『ペラーから聞いたことはないか?アイツはお前が生み出した存在……お前が生まれたから、アイツは生まれたって……』

「ちょっと待てよ……」

 

 確か、オレがエイリア石の力に飲み込まれそうになった事件で、ペラーがそう言っていたと八神が言っていたな。

 

『聞き覚えがあるんだろう』

「ああ……ということは何だ?ペラーはオレが生まれたからこの世界で生まれたし、アイツの姉……次女だよな。アイツもメハトの母さんが生まれた時にこっちの世界で生まれたってことか?」

『そうなるな』

 

 …………あれ?今更だけど、ペンギンと喋れるとか、器が大きいのって神様特典じゃないってことですか?おい、どういう事だよ神様。異世界転生にチート能力は付き物だと教えてもらったんだが?…………ん?いつ教えてもらったっけ?

 

『……ただ、ペラーだけは特殊だった』

「特殊?」

『アイツだけ幼い子どもだろう?それはアイツが生まれてまだ少し……具体的には、綾人が中学校に入ったときに生まれたんだ』

「えっと……」

『普通は生まれたときからある程度素質は決まっている。その素質が強大なときに、我らが産まれる……が、ペラーの生まれた時期が他の4人の時と比べズレてるんだ』

「あー……」

 

 なんとなく分かった。本来なら、彼らの一族のペンギンとオレたちは誕生日が一緒になるはず……だけど、明らかにズレているんだ。理由はオレが、この世界に転生したのが赤ちゃんからではなく、中学生からだからで……

 

『まぁ、細かいことはいい』

「……ん?でも、待てよ……ということはメハトはどうなるんだ?メハト・アイアも、お前らの一族を呼び出せたって事は、かなりの器を持っているはずだろ?その時に、お前らの兄弟は増えなかったのか?」

『確かに彼の「器」は母親譲りで相当なもの。我が一族を呼び出すことが出来るほどな。……だが、「特異性」はそこまでじゃない。だから生まれなかったんだと推測される』

「特異性……ねぇ……」

 

 オレの特異性は出自だろうな……うん、間違いないと思う。

 

「……まぁ、なんとなくは分かったからいいけど……でも、名前とかって誰が決めるんだ?」

『それは我らを呼び出せた者から授けられる。ある意味で生みの親から貰うものだな』

 

 まぁ、この場合の生みの親ってのは、産んだ親ではなく、一緒に生まれてきた人間側を指すんだろうな。

 

「……うん?じゃあ、こっちの世界のペンギンって子どもを産まないのか?人間の事情関係なく結婚とか出産は……」

『我らの血を引かないペンギンは普通に増えるな』

「我らの血って……お前らの兄弟はアレなんだろ?オレたちに影響して増えるから勝手には増えないんじゃねぇの?」

『あー兄弟は……な?』

「兄弟?……そういやあの次女がメハトの親……つまり、30年は生きていると考えると……お前ら兄弟って結婚しないのか?人間側なら30で結婚している人はそこそこ居るだろうし」

『結婚するし、子どもも産む。ただ、これがまた面倒な話で、結婚して産まれる子どもって言うのはお主らの世界と関係しているんだ』

「そこも関係するのかよ」

『我ら兄弟を生み出した者の子孫で、器が認めるほど大きく、なおかつ対応するペンギンが結婚しているときに起こるな。だから次女……アリアは結婚していないから、メハト・アイアが生まれたときにペンギンは増えていない』

 

 つまり、条件としては、

 1.ペンギンを生み出したヤツの子孫であること。

 2.ソイツの器が大きいこと。

 3.生み出されたペンギンが結婚していること。

 この3つの条件が揃ったときに、ペラーたちの子どもは生まれるってことか。どれか1つでも欠けたらダメ……ねぇ。

 

「でも、それってかなりの数にならねぇか?子孫ってことは、どんどん増えていくと思うんだが?」

『そうはならんな。お前さんたちの子孫が、必ずしも大きい器を持っているわけではない。お前さんも両親の持っているものを100%受け継いではいないだろう?だから、必ずしも増え続けるとは限らんよ』

「なるほどねぇ……まぁ、先祖返りとかはあるけど、そんなの沢山あるってわけじゃないか」

 

 ペラーたち兄弟を生み出す側の人間には、そういう血にも負けない何かしらの『特異性』が必要になってくるわけだ。で、残りの奴らは器だけがあればいい。兄弟が増えるか、兄弟の子どもが増えるかの違い……頭が痛くなる話だな。ただ、現状ペラーの子どもとか考えなくていいだけマシか?

 

『お前は我を生み出し、唯一呼び出せたアイツによく似てる……だから、話したくなったんだろうな』

「はぁ……」

『ちなみにお前が驚いたように、アリアは力だけは我らを超えるぞ』

「……え?アレ、本当だったの?」

『ああ。我らの一族は、何かしら強みを持っている。我はこの体格と圧倒的なカリスマ性、末っ子は智将と呼ばれるくらいの頭脳と頭の回転、次女は破壊者の異名を持つ力に優れたペンギンだ』

 

 ……どうしよう……なんて一家だ。しかも、それでいてペンギンだからな……いや、ほんとなんて話だ。

 

「ちなみに他は?後2匹居るんだろ?」

『ああ、長女であるジェーンはスピードに優れている。異名は神速……それぐらい、アイツは速さに特化しているペンギンだ……だが』

「だが?」

『アイツを生み出した存在が居なくなってからは、引き籠もっていてな。世間では王族唯一のニートペンギンと呼ばれている』

 

 おいおい、ここにはニートも居るのかよ……

 

『次男のバールは器用性だな。すべてのことをそつなくこなせるオールラウンダー……何でも屋と呼ばれるほどのペンギンだ。ただ……』

「ただ?」

『どこかを旅しているから、ここ数年会ってないな。末っ子も次男だけは見たことないはずだ』

「…………」

 

 え?旅できるほどこの世界広いのか?というか、大丈夫か?この一族。何か肩書きは立派だけど……え?大丈夫か?すげぇ、不安になってくるんだけど……

 

『ペラーにアリアは勝手に世界間を行き来しているし……困ったものだ』

「あー……なんというか……大変そうだな」

 

 というか、アイツらにやり方聞けば自由に行き来できるのでは?夏とか避暑地にピッタリだろ。

 

『まぁ、気にしても仕方ない。王として、我がいる限りここは安泰だからな』

「はぁ……あれ?お前、王子だろ?」

『親父はベッドの上だからな……前に立って指揮を執っているのは我だ』

 

 なんだこの家系、なんだこの兄弟……なんというか、聞いたけど想像も出来ない世界だなぁ……

 

『ところで泊まっていくか?』

「風邪引くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日……オレは久遠監督に許可を貰って、影山問題に首を突っ込むことにした。条件はアルゼンチン戦との切り替えをはしっかりすること。アルゼンチン戦が3日後に迫っていることを考えると今日中に目処をつけ、明日切り替えがベストか……

 

「とりあえず、鬼瓦刑事から写真付きでメールも送られてきたし……」

 

 特徴を伝えたらこの男じゃないか?と聞かれたので、その男を捜すことにする。で、この男はイタリアエリアにいるってことは分かっているが……

 

「フィディオたちが病院に行ったって話が気になるな……行くか」

 

 イタリア代表の宿舎の方へと行ったが、完全に閉ざされていた……で、入るわけにも行かず、近くにいた人たちに聞いてみたところ、さっき病院に向かったって話を聞いたので、病院に向かうことに……

 

「よっ、探したぞ」

「アヤト?どうしてここに?」

 

 病院に向かうとフィディオ、アンジェロ、ダンテの3人がいた。

 

「ちょっと、お前に用があってな」

「用って……」

「ああいや大した用じゃないんだが……その前に、何で病院に?」

「……ブラージが昨日怪我をしたんだよ」

「は?……重傷なのか?」

「ううん、幸い数日安静にしていれば治るんだけど……」

「けど?」

「えーっと……なんて言うか……」

「皆、事故に遭って怪我をしちゃったんだよ!」

「アンジェロ!それは……」

「でも……アヤトならいいでしょ?それに隠したって……」

「皆が事故?隠した?……ちょっと待て、お前ら一体何が起きてるんだ?」

 

 何処か歯切れが悪そうな彼ら。場所を移そうと言うことで、人目が気にならないところに移動したが、どことなくまとう空気は重い……

 

「昨日のことから話すよ。昨日、俺たちのもとに1人の男が現れたんだ」

「ミスターK……そう名乗っていた」

「……K?」

 

 Kって……影山のKじゃないよな?いや、プロジェクトZの時も安直だったけど……

 

「ああ。調べるとその男は日本人の『カゲヤマ』という男だった」

「…………」

 

 その名を聞いて頭を抱えてしまった……まさか、もう問題が起きていたなんて……

 

「アヤト、知ってるの?」

「ああ……ただ、先にそっちの状況を聞きたい」

「分かった。……ミスターKは、急遽代表の監督に就任することになり、俺たちに代表をクビにすると告げた」

「はぁ?そんな横暴……いや、監督には代表交代の権限があるのか……」

「だから反発したんだ。そしたら、彼が用意したチームと3日後に試合……勝った方が代表という条件を告げてきた」

「それが……昨日のことか?」

「ああ」

 

 だったら試合は2日後……つまり、アルゼンチン戦前日か。

 

「だけど、代表チームのグラウンドは彼らチームKが使うって事で話は進んで……俺たちは練習できそうな場所を探したんだ。そしたら……」

「……次々と事故で怪我人が増えていったんだ。ブラージ、ラファエレ、ジャンルカ……」

「昨日だけで10人の選手が怪我をした……ブラージのように、完治まで数日かかるヤツも居れば、その怪我がミスターKの仕業だって事で、試合に対し恐怖を抱くヤツも……」

「なるほど……ということはミスターKのせいで事故が……」

「ああ。少なくともそう考えているヤツは多いよ」

「偶然じゃないよ!偶然で10人も同じ日にけがをするなんて……!」

「確かにな……1人2人ならまだしも……って待てよ。何人残ってるんだ?」

「無事なのは6人だけ……とてもじゃないが、このままじゃ試合できない」

「…………」

 

 なんというか……帝国の話に似ているな。相手を事故に遭わせて試合に出させなくする……しかも、今回は何かの大会ではなく、代表交代を賭けた……公式戦ではない試合……クソッ、ここまでやるのかアイツは……!

 

「……なぁ、公式戦じゃないんだろ?」

「ああ、そうだね……」

「オレも混ぜてくれないか?……ミスターK……いや、影山には昔、いろいろあってな」

「でも、いいのかい?」

「もちろん。それに……オレはこの予選リーグ、チームKじゃなくて、お前らオルフェウスと戦いたい」

「アヤト……」

「これで7人!確かにアヤトが入ってくれるなら心強いよ!」

「でもいいのか……アルゼンチン戦が近いだろう?」

「監督はなんとか説得する。そんなことより問題はチームKだろ?」

「そうだな。アヤトが入ったとは言え、人数不利は否めない」

「かと言って、後4人を誰かスカウトしても……危険な試合に巻き込めないしね」

 

 とりあえず、後4人をどうにかする問題は置いておいて、今日は近くで練習することにした。ただ……

 

「……アヤト、動き鈍ってない?」

「まさかお前も怪我を……!?」

「いや……今朝からおもりつけてるけど……サッカーってなるとやっぱ動きにくい……」

「何でまた……」

「特訓……!」

 

 20kgって改めて感じるけど、凄い重いんですけど……え?メハトのヤツ、コレつけてても違和感ない動きが出来てたとかマジ?日常生活はともかく、サッカーでそのレベルは相当なんだけど?これは試合外はずっと付けて過ごさないといけないヤツですかね?




 最初のヤツはこの話の設定です。……いや、世界レベルと戦っている選手なんて、この世界のクラブチーム(特に日本)からすれば、無茶苦茶欲しい人材でしょ。
 それにGO世代で10年後の彼らの一部メンバーが海外や日本のプロサッカー選手として活躍してるとか言ってたし、この大会で見られても不思議じゃないだろうし……

 ちなみに、ナイツオブクイーンをエドガーのワンマンチームと言っていますが、あくまで十六夜くん視点ではって話ですね。エドガーと周りのレベル差があり過ぎる……前まで置かれていた状況と似た問題を抱えているって思っていますね。だからこそ、ナイツオブクイーンにエドガーと並ぶ選手が居ればもっと勝つのに苦戦したと分析しています。だからこそ、あの戦術では少なくともアメリカやイタリアには勝てないと話していますね。アルゼンチン?あそこはまた別問題ですから……

 そして、十六夜くんに覚醒フラグが立った気がしますが……十六夜くんにとって、フロー、あるいはゾーン状態はある代償(?)と引き換えに入れるものです。ある代償とは何でしょうか……?

~ペラー一族の簡易説明コーナー~

長男 ボス 異名:王 現在の使役者:十六夜綾人
ペンギン界の王子にして、巨体と高いカリスマ性を有している。
5兄弟の纏め役である。

長女 ジェーン 異名:神速 現在の使役者:なし
2番目に生まれた、速さに特化しているペンギン。
現在、ニート生活中である。

次男 バール 異名:何でも屋 現在の使役者:なし
3番目に生まれた、器用性に優れたペンギン。
現在、どこに居るか不明。

次女 アリア 異名:破壊者 現在の使役者:メハト・アイア
4番目に生まれた、パワー特化型ペンギン。
兄弟愛が強いが少し不器用である。

三男 ペラー 異名:智将 現在の使役者:十六夜綾人
5番目に生まれた、頭脳明晰なペンギン。
十六夜と共に居る末っ子ペンギンである。

 何か、オリキャラというか、オリペンというか……ねぇ?まさか、名前付きオリキャラの人数(予定だと十六夜合わせて4人、オーガ・過去編除く)よりオリペンの数(5匹)が多い作品もそうないだろう。
 ちなみにオーガ編で出て来たゼロはペラーの息子ですね、はい。レイが生まれたときに産まれました。

 次回は過去編……陽向神奈のヤバさの片鱗が……?そして、十六夜に変化が……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。